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掃除道 [読書日記]

掃除道 会社が変わる・学校が変わる・社会が変わる

掃除道 会社が変わる・学校が変わる・社会が変わる

  • 作者: 鍵山 秀三郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2005/08/06
  • メディア: 単行本

内容(「MARC」データベースより)
掃除を毎日続けるだけで赤字企業が黒字になり、荒廃した学校が甦り、犯罪も減少した! 会社創業以来44年間、徹底した掃除を実践してきた著者が、誰もができる「掃除」の驚くべき威力をあますところなく紹介した体験記。

この本、近所のコミュニティセンター図書館の新着本のコーナーで偶然見つけた。なんとも気になるタイトルで、パラパラと頁をめくって元の棚に戻した後、やっぱり気になると思って借りることにした。最近、僕の心が荒んでいたのは当ブログを読まれた方は何となく感じておられるのではないかと思う。自分はあまり悪くなくて、上司が悪い、部下が悪い、家族が悪い―――などと周囲に対して感じた怒りが文章に表れているようにも思う。でも、なにげに読んだこの本で、本当に変わらなければいけないのは自分自身ではないかと思った。

本書は、自動車部品・アクセサリー販売大手「イエローハットの創業者が書かれた本である。イエローハットという会社のことは、自動車レースのスポンサーをされていた時期もあったりしてなんとなくは知っていたのだが、朝の6時30分から2時間もかけて毎日掃除をやっている会社だとは知らなかった。社員総出で、店舗やオフィスの中だけではなく、店舗周辺の清掃も行なうのだとか。創業当時、この業種は店舗を開設すると暴走族のたまり場となるのが問題だと言われ、地域社会にどのように受け入れられるかが常に問題意識としてあった。しかし、この創業者の掃除の徹底振りは、そのような社会貢献意識の芽生えとともに始まったのではなく、ご本人が掃除の効用を早くから察していたからである。

本書の前半部分は、掃除のノウハウが写真入りで詳細に説明されている。そこまで徹底しなくてもというぐらいに徹底した書きぶりであるが、そこはやり過ごし、本書の醍醐味は、こうした徹底した掃除道が、理解者をどんどん増やし、多くの会社の生産性を向上させ、学校の荒廃を解決し、崩壊しかかっていた地域社会の人と人の繋がりを再構築していく様である。1人が掃除を始め、最初は「なに1人で馬鹿なことやってんだ」と無視されていたのが徐々に仲間が増え、やがて1つの職場を越えて地域全体へと拡がっていく。筆者のこの運動は広く社会に受け入れられ、国内100箇所近く、海外にも4箇所に組織を持つ「日本を美しくする会・掃除に学ぶ会」の創設に繋がっていく。一種の社会運動である。

では、ここまで広がりを見せている「掃除」の効用とは一体何なのだろうか。本書の序文で、著者はこのように述べている。

「荒んだ人の心を落ち着かせ、穏やかにするためには、掃除をしてきれいにすることがもっとも効果的であるということを実感してきました。穏やかな人が多くなれば、犯罪につながる事件など起こりようがありません。まず「掃除で美しい生活環境を保つ。」このことこそが日本を再生するための隠れた大きな力になると確信しています。」(p.2)

その他にも、とても惹かれた記述が幾つかあるので紹介したい。

「私は社員をよい人間に育てたいのです。そのためには、社員が人間として成長する仕組みを作ることが大事です。その点、掃除はもっとも効果的な仕組みだと思います。しかし、掃除そのものが目的だとは考えていません。掃除を通じて、社員同士が心を合わせて仕事の進め方に気づくきっかけにしてほしい、そう願っています。掃除をすることによって得られた大きな効用の1つが、手間ひまかけることを面倒くさがらなくなったということです。気づいたことを億劫がらずに、サッと処理する行動力が身についたということです。」(事例で紹介された会計事務所の社長の談、p.145)

「最初はどうなることかと思っていた新宿の掃除も、続けていくうちに、少しずつゴミの量が減ってくるのを感じられるようになりました。(中略)きれいになるにしたがって、新宿の犯罪件数も激減してきました。竹花副知事のお話によりますと、平成15年度と比較すると、平成16年度の犯罪件数は50%以上減少しているということでした。また、新宿の客層が以前とは変わってきていると地元の商店会の方が教えてくださいました。その環境が街を変え、人を変えていく証ではないでしょうか。」(毎月開催されている「東京掃除に学ぶ会」の新宿街頭清掃について、p.200)

「「政治を変えなければ日本はよくならない」ということは誰でもわかっていることです。しかしその前に、立候補する政治家を厳選しなければ政治は変わらないと思います。(中略)政治と政治家が悪いと、現状を安易に諦めていては何も進みません。われわれ国民一人ひとりがしっかりとした判断基準を持ち、人物本意の政治家を選べば、まだまだ日本は捨てたものではないと思います。大切なことは、選ばれた政治家が政治家としての自分の資質を高める努力をせずにはおれなくなるような国民運動を起こすことではないでしょうか。そうすれば、自然と政治家は襟を正し、政治は正しく機能するようになります。」(中田ひろし横浜市長の市長選応援に関して、p.213)

「トイレ掃除をするようになってから、そんないままでの自分がいかに傲慢だったかに気付かされたのです。(中略)掃除をしている私に患者さんが声をかけてくださることが多くなったのです。以前は皆無といってもいいくらいなかったことだったものですから、不思議でなりませんでした。よくよく聞くところによりますと、私に声をかけやすくなったといわれるのです。そのとき、私は思いました。「下座は一切を包容する」という意味はこういうことなんだなあと初めて理解できたような気がしたのです。そんなことがあってから、だんだんこの土地に親しみを感じるようになり、好きになってきたのです。いまでは、この病院で地元の患者さんから喜ばれる診療に打ち込もうと真剣に思っています。」(大隅鹿屋病院院長の談、pp.135-136)

「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己を尽くし、人を咎めず、我が誠のの足らざるを尋ぬべし」(西郷南洲翁)

「凡事徹底」

「幾年月、陰徳耐忍下坐の行。重ねられにし、この人にて」

最近読んでいた自己啓発の本は、マインドセットを変える必要性には度々言及しているが、具体的にどのような行動を取ればマインドセットを変えるきっかけになるのかについては殆ど触れていない。逆に、本書は、おそらくはマインドセットを変えようということよりももっと身近に、とりあえず身の回りをきれいにするところから始めようというのが非常に明確である。

著者ほど徹底した掃除はできないが、少なくとも自分の身の回りをきれいにすることくらいから始めていきたいと思う。


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コメント 1

浜村拓夫

学校教育の荒廃、イジメ自殺問題が取り沙汰される昨今、学校で掃除道をやらせたらいいかもしれないですね☆
\(^o^)/
by 浜村拓夫 (2006-12-05 23:24) 

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