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『半ケツとゴミ拾い』 [読書日記]

半ケツとゴミ拾い

半ケツとゴミ拾い

  • 作者: 荒川 祐二
  • 出版社/メーカー: 地湧社
  • 発売日: 2008/12
  • メディア: 単行本
出版社/著者からの内容紹介
 今、僕は伝えたい---- 誰にでも出来ることが人生を変える。
 「夢なし」「自信なし」「希望なし」の誰もが認めるダメ男・荒川祐二が、一本の映画をきっかけに動き出し「脱・ダメ男」するまでのリアルストーリー。自分を変えるために著者が起こした行動、それは「毎朝、日本一汚い新宿駅東口広場を掃除する」ということ。
 意味もなく背後から蹴られ、顔に唾を吐きかけられ、「偽善者!」と罵倒される毎日の中、いつも僕を支えてくれたのは、「自分を変えたい!」という信念と「絶対続ける」という兄との約束。
 半ケツのホームレスとの出逢いから始まった、「一緒にやらせてください!」「いつもありがとう」「今までごめんな」という周りの変化。毎朝起こる出来事の中で、感謝することをリアルに体感した僕が、生きる価値を手に入れ「自分が好きだ」と言えるようになるまでの成長を描いた笑いと涙の物語。

著者は僕の大学の後輩。以前、どなたかのブログで本書のことを知り、これだけのことを非常に短期間で成し遂げた後輩の著書だから読んでおこうかと考えていた。200頁以上ある本だが、文字が大きくかつ文体が詩のようになっているため、1時間もあれば全て読み切れる。

1人で起こしたほんの小さな行動から多くの賛同者を得て全国的な運動にまで発展させたこと、そしてその行動というのが「掃除」というごくごく身近なことだということ、この2点においては僕は本書は僕達だけではなく、自分の子供達にも読んでみて欲しいと思う。小学校高学年であれば十分読める。

これだけのことを成し遂げた人だから、その功績についてどうこう言うことはできない。ただ、彼が起こした「変化」には素直に感動し共感する一方、何か割り切れないものも感じていた。

第1に、20歳にして人生達観して本まで書いてしまったという点への戸惑い。「動けば変わる」「実際に行動すること」「できない」という前にやってみろ!」「何でも良いからやってみる、やってみろ!」「外に頼っているうちは、何も変わらない」「日々起きる出来事に感謝し、その一つ一つに自分のベストを尽くす」「「誰にでもできること」で人生は変わる!」―――言われていることはまさに正論なのだが、それを20歳の人に言われてしまうと40代の僕達が素直に受け止められないところはあるのかもしれない。勿論、年下の高校生や小中学生あたりには感動を与えやすい話であるのは間違いないだろうが。

第2に、著者の行動に感じられるある種の「計画性」「戦略性」。新宿駅東口で1人で掃除を始める際に、何故仲間を募るメッセージボードを掲げていたのか、何故自分がやっていることを新聞マスコミにメールで売り込んだのか、そして今や新宿駅東口での掃除はこの運動に賛同したボランティアに任せて自分は講演で全国を飛び回っているのか、何故その著書は大人向けの文体ではなく子供でもサクサク読めるような文体にわざわざしているのか――。著者は自分は掃除を始める前は生きていく資格もないダメ人間だったと卑下しているが、実は掃除は思い付きなんかではなく、こうなることを事前にかなり想定して掃除を始めたのではないかと思う。勿論本人の頭の中のことはホントのところはわからないが。おそらく著者はこの先何らかの形で政治の世界にも進出してくるのではないかというのも想像できる。

第3に、1人で始めた掃除という行動に2週間後3週間後に最初に賛同してくれたホームレスの方お二人は、この運動が拡大していく過程で姿を見せなくなったと本書には書かれている。著者は彼らが元々実在しなかった「神様」であったかの如く述べているが、1つ気になったのは、これだけ大きな運動になってしまうと、逆にその地域である意味最大の受益者とも言えるホームレスの人達が参加しづらい、或いはただ乗りして参加せずに傍観者になってしまうような雰囲気を作り出してしまうのではないかという点だ。本書に挿入されている写真を見ていると、掃除に参加しているのは若者が殆どで、ホームレスっぽい人はあまり写っていない。ボランティアの参加動機は多分に個人的なもので、達成感や満足感、一緒に働く他のボランティアとの繋がり等を感じられるから続けられるのだと思うが、掃除をしてもらっている地域の人々がどれくらいこの運動に今でも参加してくれているのかという点がもっと知りたかった。

とはいえ、彼が達成したこと自体は素晴らしいことで、次の世代の子供達にも是非知って欲しいと素直に思う。

荒川祐二オフィシャルウェブサイト
http://arakawayuji.com/

荒川祐二オフィシャルブログ
http://www.arakawayuji.sblo.jp/


さて、インド在住者の僕が読んで面白かったのは、著者が掃除をしていたある日、1人のインド人が近付いてきて彼に言った一言だった。
「ハーイ、オニサン。ナゼコンナコトシテクレテヤガリマスカ?」
誰がこんな日本語をインド人に教えたのか!…と思う一方、路上で平気でものを捨てて、捨てる側と掃除する側の立場がはっきり分かれてしまっているインドでは、著者の成功譚はどのように見られるのだろうかとふと考えてしまった。
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