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タタを見直した―低価格浄水器計画 [インド]

TataSwach.jpg

インドの財閥タタ・グループが超低価格乗用車「ナノ」を発表した時、正直この構想には首を傾げた。デリーの小金持ちか学生がオートローンを組んで購入し、交通渋滞を悪化させると思ったからだ。しかし、12月7日にラタン・タタ会長が超低価格浄水器「スワチ(Swach)」を発表したとの報道を知り、この企業グループを相当に見直した。ナノにしても、タタ系列の低料金ホテル「ジンジャー」にしても、かなりの成功は収めているが狙っているターゲット消費者層は「ピラミッドの最底辺(Bottom of Pyramid、BOP)」とは必ずしも言えない。街の小金持ち程度だろう。しかし、「スワチ」に関してはこれはかなりBOPに浸透しそうな気がする。それも相当に爆発的に。

タタの「スワチ」ウォーター計画
Tata's 'Swach' water plan
12月6日、Times of India
 数年前、家族4人が慎重にバランスを取りながら二輪車に乗ってインドの道路を走っている光景を見て、ラタン・タタ会長には閃くものがあった。そして今、タタグループの会長は浄水器の構想を打ち出す準備が整ったようだ。タタはきれいな飲料水へのアクセスが妨げられているインドの多くの人々が直面する問題に応えようとしている。この浄水器は、コメの籾殻の灰から作られたもので、タタ・コンサルタントサービス(TCS)の子会社であるタタ研究開発設計センター(Tata Research Development and Design Centre)のイニシアチブによるものだ。ナノテクノロジーを駆使して製作された。
TataSwach2.jpg 当初はタタグループの社会貢献(CSR)の一環と考えられていたこのプロジェクトは、今では商業的にも採算が取れるビジネスになるとみられている。1,000ルピー未満の価格設定で、この浄水器は電気を必要としない。このため、この製品は電力不足に悩まされている農村部の巨大な人口にもアピールするものである。この浄水器は塩分を含んだ水を飲料に適した水に変える。各種調査によれば、2020年までに水に起因する様々な病気で亡くなる人の数はAIDSによる死者数よりも多いと予想されている。
 このプロジェクトには、タタ・ケミカルやタイタン・インダストリーといったタタ系列の企業も参加している。タタ・ケミカルは浄水器のマーケティングを担当する。同グループにとっては、これはエコ・フレンドリーな製品開発への長い道のりの第一歩となるかもしれない。

続報を読むと、この浄水器「スワチ」の本体価格は749ルピー(!!)、清掃用キットのカートリッジも付属で合計価格は999ルピー(!!)だという。約2,000円である。政府が最貧困層向けで行なっている全国農村雇用保証制度(NREGS)の保障最低賃金は1日100~120ルピー、これでまるまる100日働けば10,000~12,000ルピーの年収にはなる。従って、1,000ルピーの浄水器はかなり高い確率で爆発的に普及しそうな気がする。

インドには今でも下痢に悩まされて幼くして命を落とす子供が非常に多い。そのためのコレラや赤痢などの研究、サーベイランスには多くの政府予算が投じられている。母子保健でも安全な水の確保は大きな問題だった。水絡みの病気で命を落とす確率が下がれば、1人のお母さんが出産分娩する回数も少なくなるだろうし、それでお母さんも丈夫になれる。人口増加圧力も軽減されるに違いない。

農村に行くと掘り抜き井戸(Dug Well)はよく見かけるが、家畜や鳥も寄って来れるオープンな造りで、大腸菌やゴミが混入しやすい。これに砂ろ過フィルター装置を据え付けるとそれだけでも何十万ルピーもするし、井戸は公共物であることが多いから、住民参加でルールを決めて維持管理や利用料徴収等を行なっていくのも場所によっては難しい。

それが超低価格で一家に1台普及するとしたら、この製品はこれまで安全な飲料水の確保のために官民が取り組んできた殆どの取組みを根底から覆す革命的な発明になるかもしれない。

要注目です。
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コメント 1

toshi

ご訪問ありがとうございました。
仏跡の記事にコメントいただいて嬉しいです。
by toshi (2009-12-12 16:52) 

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