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『2030年超高齢未来』 [少子高齢化]

2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする

2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする

  • 作者: 東京大学高齢社会総合研究機構
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
このままでは、少子高齢化で日本は破綻する…そんな暗い空気が漂っています。しかし、わたしたちには知恵と行動があるはずです。いまなら、社会のしくみを変えることで、超高齢社会を幸せな長寿社会に変えることができるのです。東京大学の英知を結集して描く超高齢社会の明るいビジョンがここに。
最初に断わっておくと、週報で「たかが200頁弱の本を読了するのに1週間もかかる」と書いたのが本書である。正直言うと非常に読みにくかった。集中して読めなかった僕の方の事情もあるが、1センテンスで段落を区切る書き方自体ものすごく内容を塊としてつかみづらかったし、理念や今後の方向性は確かに示されているような気がするものの、東大高齢社会総合研究機構の研究チームが千葉・柏の豊四季団地で行なっているという実験の結果がどう出ているのかがあまり示されておらず、研究成果に基づいて本書が書かれているのか、研究に着手した段階で作業仮説を先に提示しようとして書かれたのか、どちらなのかがよくわからなかった。

集中して読んでいなかったこともあるので、いずれはもう一度読み直したいと思う時期がやって来ると思う。先週、僕はある会議で、15年来の知人と久し振りに再会した。多分7~8年振りだったかと思う。某政府系機関の調査部門にいるその知人は、「最近途上国の高齢者向けビジネスに注目しているので、そのうち相談に行きます」と言っていた。日本の企業にそういう動きがあるのかと少しばかり驚いたのだが、僕はインドで成功した人々が大都市でコロニーを作って悠々自適な生活を送っているのを見てきたし、そういう人々が今のインドの高齢者問題のアドボカシーをリードしているのも知っているので、確かに今から日本がインドでの高齢者向けビジネスモデルを提示できたら大きなチャンスに繋がると思う。

だから本書で次のような言及があるところには惹かれた―――。
 企業としても、これから世界全体が高齢化していくことを考えると、日本で超高齢化社会のマーケットにいちはやく対応することは、それ自体大きなビジネスチャンスです。
 たとえば、インドや中国はもともとの人口が大きいため、今後あらわれる高齢者の数は「億」の単位になるわけです。日本で最初に高齢化を意識した商品づくりを経験しておけば、その商品や技術をそうした世界のマーケットに売り込んでいくというビジネスも当然考えられます。
 この動きをさらに大きくし、実効性の高いものにしていくためには、より多くの企業や研究者の参画と、何より国との連携が必要になってくるでしょう。
(p.154)
この点には異論はないのだが、あえて突っ込みさせてもらうとすれば、確かにインドは今後20年で高齢者人口が急激に増加することは間違いないのだが、インドと日本で高齢者ビジネスを考えていく際に決定的に違う点が1つある。それは、その時点での就労年齢人口と年少人口である。インドはまだこの2つの年齢層の方が高齢者人口よりも多いが、日本は比較的少なく、しかも就労年齢人口よりも年少人口の方が少ない構図になっている。また高齢者の中でも日本は80歳以上の超高齢者が相当割合いることになるが、インドの場合はその割合は少ない。つまり、インドの方が、本書が述べている「高齢者が高齢者を支える社会」も「ビジネスが高齢者を支える社会モデル」も、その担い手が十二分におり、実現可能性が高いということなのである。

言い換えれば、20年後のインドでは日本よりも労働集約的な高齢者ケアのモデルが考えやすいということである。2015年頃から就労年齢人口が減少に転じる中国では、日本のモデルがまだ適用しやすいということだが。

従って、本書を読んでいて漠然と感じた違和感は、「高齢者が高齢者を支える社会」も「ビジネスが高齢者を支える社会モデル」も、2030年に向けて確立可能だと思われているところにある。片や超高齢者が増えていく一方で、ケアの担い手が減っていくのであるから、話がそんなに簡単であるわけがないと僕は思うのだが。しかも、「高齢者が高齢者を支える社会」のシステム構築の前提として、男性の場合は今まで以上にすんなりと社会活動に入っていけること、女性の場合は今まで以上に精神的に自立していることが示唆されているが(p.176)、いずれについてもそれ自体がそう簡単なことではないというのが今の日本の状況ではないかと思う。

インドについて言えば、繰り返しになるが各所で高齢者の権利擁護に向けた積極的な発言を行なっている高齢者リーダーの殆どが、大都市で社会的に一定の成功を収めた人たちである。このため、僕自身はインドでの高齢者権利擁護活動に対して少し引いた立場で見て来ていた。彼らには資産があり、場合によっては軍や政府、大企業から支給される年金もある。放っておいても誰かが何かを考案するだろうと思ったし、彼らには金があるから企業がサービス提供するのでもいいだろうと思った。むしろ、何の生活保証もない都市の低所得者層や若者が都市に出て来てしまった農村の高齢者については、何かしらのセーフティネットが必要だと考えられるが、それについてはインド駐在生活中にあまり目にすることができなかったのが悔やまれる。

またインドで仕事したいと希望している僕としては、日本での高齢者向けビジネスに対してアンテナを張っておくことが必要なのだろうなと思えた1冊であった。時がきたらまた読み直してみたいと思っている。
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