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ユヌス総裁解任について [時事]

先週、バングラデシュ・グラミン銀行のムハマド・ユヌス総裁が解任されたという報道は、初め聴いた時は先ず驚き、二度目以降はグラミン銀行はどうなるのだろうかということを心配した。あまりにも傑出し過ぎた超有名人だけに、総裁解任がもたらす企業イメージの失墜は計り知れないだろうし、シェイク・ハシナ首相はユヌス総裁を「貧者からの吸血」「脱税のためのトリック」と強烈に批判していただけに、こうして公権力に屈したことになると、借入人の返済にも影響が出てくるのではないかと危惧もされる。そもそも、解任された後の新総裁って誰がなるのだろうか。いずれにしても、与党寄りのレッテルは貼られるのだろうなと思う。

タイミングの良いことに、月刊誌『選択』の2011年3月号がユヌス総裁に関する記事を取り上げていた。「「ノーベル平和賞」受賞者に不正疑惑」という記事で、読んでいくとユヌス解任の話は数か月前から予兆があったらしい。

不正疑惑が持ち上がったのは昨年12月初めのことらしい。発端は、11月30日にノルウェーの国営テレビ局NRKが放送した「マイクロクレジットにやられた」というドキュメンタリー番組だった。
その内容は、「グラミン銀行が1996年、ノルウェー政府から受け取った約1億ドルを同グループのヘルスケア部門『グラミン・カリヤン』に送金し、不正に流用した」というもの。番組は数々の証言で構成され、不気味なBGMで疑惑ぶりを演出。騒ぎが起きて早々に、英BBCのインタビューで番組制作者は「ユヌス氏個人の不正があったとは思わない」とフォローするも、後の祭り。「ノーベル平和賞受賞者の不正疑惑」というスキャンダルはあっという間に広がった。

この記事が面白かったのは、この不正疑惑報道で得した者がいるとすれば、ノルウェー政府だと述べている点。

グラミン銀行と同様、ユヌス氏が設立に奔走した通信会社「グラミンフォン」が騒動の鍵を握っているという。
 グラミンフォンは通信を使ったソーシャルビジネス(社会的企業)の成功例として世界的に著名である一方、ノルウェー国営通信会社「テレノール」が株式の55.8%を保有、いわば「ノルウェー政府の子会社」でもある。この資本構成を巡って、過去にユヌス氏はテレノールとしばしば対立を繰り広げてきた。これはもともと、設立後6年以内にテレノールがグラミンフォン株の過半支配を譲るという発足当時の約束を守っていないことに原因がある。資本構成に関する事項は正式な契約ではなく努力義務であったため、法的拘束力がなくテレノール支配からいまだ脱出できていない。「営利企業との合弁は無理があった。テレノールが親会社のままでは『ソーシャルビジネス』と呼ぶには程遠い。それどころか同社は『浮動株比率10%』、一般上場企業と比較しても公器とさえ言い難い。この状況は支配権にこだわるノルウェー側が作り出している」
ノルウェー国営放送が疑惑を報じたのは、邪魔なユヌス氏に対して「ハシナ首相が疑惑報道に乗じてユヌス攻撃に出ることを見透かしたノルウェー側の仕掛け」だとの見方もあるらしい。

そして記事はこう結んでいる。
 利害関係者なしにソーシャルビジネスは立ち上げられない。「リスクテーカーへどう報いるか」という資本主義の根本、そして「特別法の恩恵を許可する政府とどう向き合うか」、ユヌス氏は答えを見出せていない。そもそもソーシャルビジネスは個人のカリスマ的資質に極端に依存して運営される側面が強い。そのカリスマを失った時、ソーシャルビジネス自体もその役割を終えてしまうのか。これにも答えを出せていない。
個人のカリスマ性が際立っていた組織が異なるトップを抱いた時、組織は存続できるのか。同じ疑問は、東京都知事選に立候補表明した渡邊美樹氏が本当に知事になってしまった後のワタミフーズについても感じているところである。
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kobakoba

確か貧乏人への小額の貸付ですが返済率は95%以上で銀行としても
順調だという報道を聞いたのですが 先見性があり人気のある人は
権力者にとって目障りなんでしょうね
by kobakoba (2011-03-08 09:44) 

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