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15.その窮地を救おう! [S.D.Gokhale]

Gokhale1.jpg それは知的でかつ実用的な物の考え方をするB.G.ガテ氏が州社会福祉局長を務め、私がその補佐を務めていた時に起きた。マハラシュトラ州の社会福祉担当大臣がムンバイの物乞い収容施設を報道関係者を連れて訪れることになったのだ。

 ムンバイの通りで物乞いをやっているのが見つかった人々は、警察に検挙され、社会復帰のために収容施設に送られた。彼らが施設に着くと先ずスクリーニングにかけられ、カテゴリー別に分類される。ハンセン病や他の感染症を患っている者は、隔離された建物に収容された。

 社会福祉大臣と報道関係者が来るということで、施設は一斉に清掃し整頓せねばならなくなった。ガテ局長は、入所者は全員清潔で白く輝く服装をしていなければいけないと言った。私は全員が白衣でいることは難しいと指摘した。入所者の服は清潔にはできるが、ピカピカの白色には統一できないのではないか、それは彼らに対して多くを求め過ぎだと。入所者は自分達の服をリタというハーブ系の果実で洗っている。石鹸と比べて安いからだ。リタは衣類をきれいにすることはできるが、白くなるかどうかは別問題だ。

 しかし、ガテ局長は白にこだわった。「私はみなにピカピカの白でいて欲しいのだよ。それだけだ!」

 1956年当時、バンド・ボックスという新しい洗濯業者が開業したところだったので、私はそこのマネージャーに会い、私達のところに2,000着近いシャツと2,000本のズボン、それに2,000個の帽子があって、それらを全て洗濯しなければならないのだと説明した。そのうえで、私はこのマネージャーに、洗濯料金について多少割引してほしいと要望してみた。

 マネージャーはそれを引き受けてくれた。そして、大臣訪問の当日、トラックに載せられた白くてきれいな衣類が施設に配達された。

 マネージャーが私達ににちゃんと割引をしてくれると言った筈だが、バンド・ボックスから送られてきた請求書の金額は法外なものだった。監査係官は衣類を洗濯のためにバンド・ボックスに送った私の判断に疑念を呈した。彼によれば、私にはそんなことをやる権限はなく、今施設の財務に大穴をあけてしまったことに関する唯一の解決策は、バンド・ボックスからの請求額をそのまま私の給料から何回かに分けて差し引くことだと言われた。

 私はガテ局長にこの件で相談してみた。彼は単にこう答えた。「心配するな。私がなんとかするから。」

 局長は施設の医療問題委員会のパテル博士と会い、人はどうしたらハンセン病に感染してしまうのかを説明して欲しいと頼んだ。

 パテル博士によると、からだを使った直接的な接触や罹患者の着用した衣類に触ってしまうことでもハンセン病には感染する恐れがある。

 ガテ局長は次に私に対し、ハンセン病に感染した人がどれくらいおり、そのうちどれくらいの数の人が毎日収容施設に連れてこられるのかを試算してみるよう指示した。

 「少なくとも10人はいます」―――私はこう言った。「局長、罹患者を隔離してその衣服を焼却すれば病気の蔓延は防げます。しかし、ハンセン病の病原を有する人が入所直後のスクリーニングの段階で見落とされている可能性があり、他の入所者と一緒に残っているかもしれません。それを確認したいのです!誰かがハンセン病に感染したら、他の人々にも病気が拡がってしまう恐れがあるということを。そうした感染経路を制御する方法の1つが、入所者の衣類を全て化学洗浄してしまうことなのです。パテル先生、そうじゃありませんか?」

 パテル博士がそれに頷くと、ガテ局長は、保健衛生学的理由から、入所者の衣類を全て化学洗浄する必要があると訴えた書簡を書いて欲しいとパテル博士に依頼した。 「ドクターからの書簡であれば、私は洗濯業者の請求に対する支払いを許可するのに十分な理由となる。ゴカレ先生、あなたがこれ以上窮地に陥るようなことはありません。」

 こうして、実用的で機知に富んだガテ局長は、私の窮地を救ってくれたのである。
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