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『旅する巨人』再訪 [宮本常一]

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)

  • 作者: 佐野 眞一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/04/10
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
瀬戸内海の貧しい島で生まれ、日本列島を隅から隅まで旅し、柳田国男以来最大の業績を上げた民俗学者・宮本常一。パトロンとして、宮本を生涯支え続けた財界人・渋沢敬三。対照的な2人の30年に及ぶ交流を描き、宮本民俗学の輝かしい業績に改めて光を当てた傑作評伝。第28回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
南インド・マイソールを起点とした2泊3日の農村訪問調査を終え、28日(火)にいったんバンガロールに戻った。1泊した後すぐにコラール県での1泊2日の調査に出かけてしまったので、なかなかインターネットにアクセスできずにいる。30日(木)にまたバンガロールに戻り、翌日のデリーへの移動を前にネットに接続し、この記事をアップしようとしたが、これまたうまくいかない。どうしようもないからデリーでアップすることにした。

自分自身も現在旅をして、多くの農家の方々のお話に耳を傾ける取組みを続けていることから、少しでも参考になればと思い、旅のお供に『旅する巨人』を携行した。もう1つ理由を挙げるなら、こういう分厚い文庫本は旅のお供にするに限るということがある。それに、僕も現在行っている調査の結果を自分の書いている本に反映させるつもりでいるので、ノンフィクション作家というのがどのような取材をしてどのように文章を書くのかというのを勉強させてもらおうとも考えた。渋沢敬三と宮本常一を並べて取り上げた本書は、以前単行本になっているものを図書館で借りて読んでみたことがある。誰々と誰々の繋がりとか、結構詳細に書かれているので何かの時に参考になるのではないかと考え、文庫本を手元に置いておこうと考えた。だから、今回のような一気通貫で読む以前にも、必要箇所だけを読んで確認作業を行ったことが二度ほどある。



それで今回の読書と相成ったわけだが、正直、事実の記述以外に相当な憶測が書かれていて、どこまでが本当なのかがよくわからないなと思った。相当念入りな取材をされているし、裏付け調査もちゃんとなさっているのはわかる。だが、同じ時期にある場所に2人とも出入りしていたからこの2人には接点があるというロジックはどこまで正しいのかよくわからない。こんな調子で誰かと誰かが繋がっているからある種の意図が働いていたに違いないという書きぶりが中盤で多すぎるため、陰謀史観かとちょっと違和感を覚える。同じ時期に同じ組織に出入りしていたからといって、その2人がツーカーかどうかというのは別の問題だろう。ひょっとしたら対立関係にあったのかもしれないし…。

そういう余計な憶測を取り除いたら、もう少しすっきりした本になったのではないかと思う。主題からいって渋沢と宮本に直接関連する事項だけに記述をとどめれば、読んでいる途中で「俺何読んでんだっけ?」なんて路頭に迷うこともないだろう。一気通貫で読むには途中の寄り道が結構多く、やっぱり必要な時に必要な箇所を拾い読みするだけで今後は済まそうと心に誓った。

結局のところ、参考になったのは渋沢と宮本に直接関連する記述だけ。柳田國男への微妙な評価は、多分そうかなと思うものの、実際に柳田の著作を読んだことがない現時点ではなんともいえない。官僚出身者が平民を見下すなんて、今でも大いにありそうなことではあると思う。ただ、だったら「平民を馬鹿にするな」と言うほど僕が平民のことをよく知っているのかというとそうではない。僕はもっと謙虚に学ばなければいけない。

多分これが南インド滞在中の最後の記事になると思います。ネット接続環境の関係でかなり不定期になりましたが、今後はもう少しまともな記事になると思うので、お付き合いいただけると幸いです。

タグ:渋沢敬三
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