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バグマティ川の水質汚染 [ネパール]

2011-10-15.jpg考えてみたら、南アジアネタをさんざん取り上げてきたこのブログに、「ネパール」のマイカテゴリーが今まで存在していなかったのが不思議。2009年のネパール旅行についても、2010年のマニーシャ・コイララの結婚式も、当時は別のカテゴリーで記事を書いていたに違いない。僕が駐在していたのは今から15年も前の話だから、さすがにネパールへの関心も薄れ気味だし、ネパールに関する情報ソースも非常に限られている。今後もこのカテゴリーの記事を拡充するかどうかはかなり未知数だ。

ただ、僕が尊敬するビシャカパトナム(アンドラ・プラデシュ州)の「黄門様」が、今後活動拠点をカトマンズに移してバグマティ川沿岸のスクワッター居住地区の住民の生活向上に取り組まれると聞いたので、少しぐらいはネパールへの関心をリニューアルしたいと考えるようにもなった。そういう問題意識でインドのメディアで扱われるネパールネタを見ていたら、おあつらえ向きにバグマティ川の水質悪化に関する記事が隔週刊誌Down To Earth(DTE)の2011年10月1-15日号に掲載されているのを見つけた。「濁っていく水(Darlking Water)」(Aditya Batra通信員)というタイトルの記事で、政治的真空状態と都市のカオスがバグマティ川の行方を危うくしているという趣旨で書かれている。URLは以下の通りだ。http://www.downtoearth.org.in/content/darkling-waters

正直言うと、バグマティ川の水質悪化問題は1995年当時には既に顕在化していた。僕はこの頃に企画されていたスタディツアーに同行してカトマンズ市役所を訪れて話を聞いたことがあるし、当時「Clean, Green, Healthy Kathmandu」を標語にしていたシン市長主催の夕食会にも招かれてご馳走になったことがある。それよりも、市内バラジュー地区のスクワッター居住区から川沿いの道を歩き、何が捨てられているのかを見て回ったことがある。いろいろと凄まじい光景も見た。

DTEの記事を読んでいくと、15年前の状況と比べて何も変わっていないというのがよくわかった。その意味ではこの記事をブログで紹介するようなメリットはあまりないのかもしれないが、なんと15年前にお目にかかったことのある現地NGOの代表者の方のお名前を記事の中に発見した。当時はNGO業界駆け出しのおどおどした感じがあったけれど、今や通信員がコメントを取りに訪れるほどの有名人(?)になられているというのを知って嬉しかった。

さて、記事のポイントについて、なるべく数字を拾う形でご紹介してみたいと思う。

1)バグマティ川とその支流の水利用に関する明確なガイドラインがない中、カトマンズ市民は飲料用に1日3000万リットルの水を取水している。その一方で、1日600トンのゴミを川に直接廃棄している。(本文には6億トンとあったが、何かの間違いだろう。)2003年に非営利機関EPHOが行なった調査では、バグマティ川のBOD(生化学的酸素要求量)はカトマンズ市内およびその下流域において1リットル当たり400mgで、水質が安全とみなされる数値よりも10倍も高い。アジア開発銀行(ADB)が国際シンクタンクICIMODと共同で行なった調査でも、1日21,000kgもの家庭排水をバグマティ川に流しており、これでBOD悪化の42%までが説明できる。

2)ネパールの都市化は、ラナ家の摂政制が終わりを迎えた1960年代に始まった。2001年国勢調査によると、カトマンズ盆地内には165万人が居住しており、2016年までには340万人にまで急増すると見込まれている。年平均4.9%の人口増加率である。初期の転入者は盆地内でも低い地区に棲むにも河川とは若干の距離を置き、住居と河川の緩衝地帯を設けていたが、今では転入者は川の沿岸にも家屋を設けている。

3)居住権の確立に向けて都市貧困層と共同で活動している現地NGOルマンティ(Lumanti)が行なった調査によると、カトマンズにある40のスクワッター居住区のうち、24地区はバグマティ川とその支流の沿岸に形成されていた。スクワッター居住区の世帯の60%が、岸辺で用を足したり家庭排水を川に直接流したりして川を汚していた。しかし、ルマンティのラジャナ・マナンダール代表は、川を守るためにはただちにスクワッター住民を排除すべきという立場は取らない。スクワッターとは何か。同代表によれば、政府は48年も前の測量結果に基づく地図を今も用いているが、バグマティ川の流路はその頃と比べて大きく変化している。住民を排除するよりも、その場で廃棄物処理できるサイトを設けるべきだと同代表は提唱する。こうしたサイトは現在ナラヤン・トーレ地区に1ヵ所あるが、そこには同地区のトイレと連結した浄化槽と生物ろ過膜が設置され、地区住民はこのシステムを地元で運営するための訓練も受けている。

4)カトマンズ盆地内には8つの市があり、それぞれが行政機構を持っているが、統一的な土地利用計画を有していないため、河川水の共同利用を推進する枠組みがない。しかも、ネパール政局の混乱で、自治体レベルでも過去10年以上にわたって選挙が行なわれておらず、選出された議員ではなく、中央政府から指名された行政官が河川行政も担当している。これらの行政官も実質的な権限は持っていない。

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こんなところでしょうか。15年前とあまり状況が変わっていないと冒頭でも述べたが、住民の声を反映させるための自治体レベルの選挙が10年以上行なわれていないという時点で、僕の印象はあながち間違いではないというのがはっきりした。ちなみにナラヤン・トーレというのはカトマンズのダルバール広場からバグマティ川に向かってまっすぐ行ったところのエリアだという。観光でカトマンズを訪れる機会がある人、そうでなくてもカトマンズに長期滞在していてネパールの開発問題に取り組んでおられる人には、一度見てきてご報告下さらないかなと期待したい。

ラジャナさんのお名前を見つけられて嬉しかった。
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コメント 1

mika_m

こんにちは。たぶん、15年前よりもとことん悪化していると思います。マオイスト関連の混乱期に田舎を捨てて出てきた人も大勢いて、人口も急増。川の近くに来ると酸っぱい臭いで鼻が曲がります。無残な状態です(涙)。
by mika_m (2011-10-26 02:34) 

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