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『家族の見える場所』 [森浩美]

家族の見える場所

家族の見える場所

  • 作者: 森 浩美
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2013/10/16
  • メディア: 単行本
内容紹介
ラジオ局のベテランアナウンサー、寺田武は長年担当してきた生放送番組の、最終回に臨もうとしていた。
そこへ入院中の母が危篤との報が入る。武は子どもの頃から飽き性で、母にはよく叱られた。
「お前は物事を全うしたことがない」と。
“地味な番組だけど今度こそ、この番組こそはと思ってやってきたんだ。
母さん、もう少し待っててくれ……"『最後のお便り』ほか、家族の日常に起きるドラマチックストーリー。
40万部を誇る家族小説短編シリーズの第7弾。
別の記事でもご紹介した通り、僕は今週はずっと体調が良くなくて、木曜日には大事を取って1日お休みをいただいた。それで大事なミーティングを1つ欠席してしまったのだが、翌日の金曜日には50人ほどの人々を前にして講義を行なう仕事を引き受けていたため、そちらの方を休んだ方が迷惑をかける度合いが大きいと判断し、泣く泣くミーティングを1つ犠牲にしたのである。無理すれば行けたのではないかと思われるかもしれないが、朝方病院で診察を受けるために外出したところ、寒くて仕方がなかった。送り迎えしてくれた妻が「今日は昨日よりも暖かいよ」と言っているのに僕だけ寒さを感じていたということは、やっぱり体調がおかしかったのだろう。

先週末、土日両日とも、早朝4時~6時30分をファミレス、10時~12時30分、14時~16時30分を近所のコミセン図書室でのデスクワークに充て、日曜夕方に他人の原稿を読み込んで赤ペンを入れる作業を終えた。その上で、原稿に対するコメントをWORDで作成する作業を月曜早朝3時に起床して出勤前に済ませた。これだけやって月曜夕方の打合せに備えたわけだが、打合せ終了後、夜帰宅する途中で両足の股関節が痛くなり、なんだか調子の悪さを感じた。翌火曜日の朝は喉のいがらっぽさが気になるようになり、夕方には本格的に喉が痛くなった。それでも夜の忘年会までお付き合いは続いたが、翌朝は微熱があり、痰が絡むような咳が続く中、マスク姿で出勤。意識も朦朧の中で1日を耐えた。そして翌日ダウンである。

金曜日もまだ頭がふらついたが、講師を務める予定もあったことから出勤。最後まで仕事をして帰宅。この週末は本当にゆっくりと休みたいと思っている。

そんな事情は『原発ホワイトアウト』の記事の中でもご紹介した通りだ。『原発ホワイトアウト』自体は、病床にあった木曜日に読みはじめ、その日のうちに読了したものだが、今週はその前に読みかかっていた別の小説があり、木曜日はその本をまず読み終えることから始めた。それが、森浩美の最新の家族小説短編集である。

森浩美の家族シリーズはたいていが8編ほどで構成されており、各々が20~30分程度で読み終えることができる。朝風呂に浸かって体を温めている間とか、トイレに籠ってネイチャーコールを待っている間とか、夜布団に潜り込んで眠気が襲ってくるまでのわずかの時間とかを利用して、取りあえずは1編また1編と、コツコツと読み進めていくには丁度良い。今回も、病院の待合室で自分の診察の順番を待っている間も読んだりして、3日ほどで読み切った。

毎回感じるのだが、森浩美って家族を題材にしていい短編を書く作家だと思う。世間的にどの程度名が知られている作家なのかはよくわからないが、その作品が中学高校の入学試験の出題問題で使用されたりするというのは、割と模範的な文章を書ける作家だとの評価はあるのではないかという気がする。

しかも、同じ家族をテーマにしていても、重松清の作品とは明らかに異質だ。重松作品にはある程度固定化されたパターンみたいなものがあって、人物や場面の設定にバリエーションがあまりない。それに対して、森作品は、主人公が初老を迎えたラジオのディスクジョッキーだったり、仕事の無理が祟って重病を患ってしまったお父さんであったり、義母と2人で香港旅行に出かける嫁であったり、鬼瓦のような自分の顔に似た年頃の娘を持つ父親であったり、三陸沖の津波で両親と祖父を亡くした姪を引き取った文具店経営の叔父であったり、東京で一人暮らしを始める一人息子が気になって仕方がない母親であったり、定年退職して自宅で留守番していたところ、長男の嫁の訪問を受けて我が家の家屋の歴史を語り始める義父であったり、幼少期に両親を亡くし、2人で暮らしてきた姉と妹が、妹の結婚に伴って巣立ちの日を迎えるといったお話だったり、とにかく重松作品よりも人物や場面の設定に工夫が凝らされているように感じる。

その上で、読者にも考える余地を残してくれている描き方になっている。僕が最近の重松作品を読んでいて感じるのは、読者に何をどう感じて欲しいか、登場人物の口から語らせるシーンが目立ち、読者の想像の余地を多少奪っているのではないかということだ。そこまで気を回さず、作品の余韻に読者自身が浸れる余地をもう少し残してほしいというのが重松作品への希望だ。その点では、森浩美にはそういう作品が多いように感じる。また、著者が中央線沿線に住んでいるからか、吉祥寺から武蔵小金井あたりが舞台と思しき場面が幾つか登場する。ご近所なので親近感を覚える。

本書の中で特に気に入ったのは最初の2編、「最後のお便り」と「閉園近し」であった。

タグ:吉祥寺
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