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『ゼツメツ少年』 [重松清]

ゼツメツ少年

ゼツメツ少年

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/09/20
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
小説家のもとに、少年から謎の手紙が届く。「僕たちはゼツメツしてしまいます」少年2人、少女1人、生き延びるための旅が始まる―僕たちをセンセイの書いた『物語』の中に隠してほしいのです。ゼツメツ少年からの手紙は届きつづける。でも、彼らはいま、どこにいるのか。「大事なのは想像力です」手紙は繰り返す。やがて、ゼツメツ少年は、不思議な人物と次々に出会う。エミさん。ツカちゃん。ナイフさん。このひとたちは、いったい、誰―?
『ファミレス』や『みんなのうた』を読んで、「もうシゲマツは読まない方がいい」などと書いていた僕であったが、新刊が出たら出たで、なんとなくsomething newを期待して手にしてしまう。とはいえ、小説は再読する可能性が低いため、結局図書館で順番待ちして、ようやく手にするまで半年近くがかかった。

確かにsomething newは、本作品を読む限りはあったと言える。作品中に登場するゼツメツ少年3人組が小さな旅に出て逃げ込んだのは東京郊外のニュータウン。エミさん、ツカちゃん、ナイフさん―――過去にニュータウンを舞台にしてシゲマツさんが描いた長編作品の登場人物が次々と現れる。『きみの友だち』、『エイジ』、『ナイフ』等に加え、『きよしこ』、『青い鳥』あたりを読んでいると、少し懐かしさを感じるかもしれない。それぞれの登場人物が暮らした舞台は各々の作品中では別々の町だった筈だが、『ゼツメツ少年』の中では1つの町に集結している。そんなことを可能にしたのは、多分これらの登場人物が、作品中で登場するこの物語の作者でもある「センセイ」の想像に基づくからだと思う。「センセイ」がその都度書き足していく物語に、昔別の作品で登場させた人物をぶつけて少年たちに刺激を加えて、フィナーレに向けて展開していくのである。

但し、扱っているテーマは「いじめ」や「自殺」である。シゲマツさんお得意の交通事故死やガンによる病死といったものは、少年たちの肉親や姉の死といった形で、この物語が始まる前の出来事として描かれているだけである。小学校や中学校では今も陰湿ないじめが横行している実態を見せられると、残念で仕方がない。そういうものを物語にして描くのは読み手としては悲しさがあるが、メッセージは発信し続けなければならないのだろう。ただ、こういう作品を書き続けている作家の身近なところで、いじめを苦にした女子中学生の自殺や、原因究明が進まない中で心を患った父親である友人を持ってしまったシゲマツさんの無念さは、随所に伺える。きっとこの友人は重松作品を愛読し、暖かい声援を送ってくれていた人だったのだろう。

場面場面の情景を思い浮かべることは難しくはなく、読みやすい作品だと思う。ストーリー自体は追いかけやすいが、どこからどこまでがリアルな話で、どこからが「想像」の産物なのか、途中でよくわからなくなった。取りあえず流れに従って読んで、本書のメッセージが何かは大まかにはわかったけれど、なんでそうなるのかを考えはじめたら、きりがなさそうだ。
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