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『日本人のくらしと文化:炉辺夜話』 [宮本常一]

日本人のくらしと文化: 炉辺夜話 (河出文庫)

日本人のくらしと文化: 炉辺夜話 (河出文庫)

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/08/06
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
旅する民俗学者、フィールド調査の達人であった宮本常一は、聴きだす力・聴かせる力の達人でもあったが、その唯一の講演集。山の中、離島、そして町なか、すべてのくらしの中に、歴史と伝統に培われた、失われた日本人の懐しい文化が脈々と息づいていた。民俗学の新しい可能性を拓く手法を語り遺した一冊。
購入したのはもう半年以上前になるが、文庫本ということで気軽に出張に持って行き、帰りの機中でなんとか読了した。読み始めるまでにこんなに時間がかかってしまったのは、文庫版とはいえ、宮本民俗学の本はそれなりの集中力をもって読まなければならないからだ。

本書は離島振興について重点を置いて書かれている。離島に住む人々が自らオーナーシップを持って島の未来づくりに取り組まないと折角の法整備がモラルハザード、依存心、たかり体質を引き起こすと危惧されている。宮本常一の著作は結構読んできたが、離島住民を叱りつけたという体験談に関する記述は意外な感じがする。あまりそこに住む人に「それではダメだ」と言う宮本さんというのは聞いたことがなかったから。

離島振興法は宮本が特に力を入れて法制化に貢献したものだが、法律が必ずしも期待したような運用をされないケースが目立ってきたのだろう。
 水産は各地で成功しています。たとえば五島の漁業生産額は340億にのぼっている。これはたいへんすばらしいことだと思うのですが、そういう成功の基にあるものは、個人的経営ではなくて、たいてい集団的経営、法人的な経営をもっている。(中略)漁業の場合はそういうように集団操業が比較的容易に成り立っておりますが、農業の方にどうしてそれが移ってこないのか、不思議な感じがします。
 これは、それなりの理由があるのだということをわれわれも考えざるを得ないのですが、それはどこから来ているかというと、団野さんはここに鋭い指摘をしています。
「開発関係を担当するある役場の幹部職員が財政難を訴えて、国がもっと金を出すべきだと強調した。そこで、その金をどんなことに使いたいのかと問い返してみると答えがはっきりしない。これにはいささか驚いた。自主性というものがない。計画性もない。よく話し合ってみると、結論として国や県からの金が出ることが決まらなければ、具体的に町からとるべき施策を決めることができないという」。本来はその逆でなければならないでしょう。そして、その中間に立つ農協自体が指導性を失ってしまっていることに大きな問題がありはしないかと思うのです。(pp.134-135)

本書で重点的に出てくるのは、東北・山形、隠岐島、大阪・吹田周辺です。 ただ、講演録なので、話があちらに飛んだりこちらに飛んだりする。そういう意味では、地名だけでもいいので索引を作っておいてくれると嬉しかった。勿論、宮本常一の著作全般に言えることなのだけれども。
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コメント 1

yotaka

宮本常一の著作から得るものは多いですね。
by yotaka (2014-04-29 20:47) 

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