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『アジアのハリウッド』 [インド・トリビア]

アジアのハリウッド―グローバリゼーションとインド映画

アジアのハリウッド―グローバリゼーションとインド映画

  • 作者: 山下博司・岡光信子
  • 出版社/メーカー: 東京堂出版
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
活気づくインド経済。グローバル化の進展にともない、インド映画も越境している。盛んな映画人の海外進出、急増する外国ロケ、興行収入の急伸、コンテンツの欧米化、制作の大型化と国際化、海外市場の拡大…「越境するインド映画」の実像に迫る一冊。

最近、ブログでインドを取り上げるケースがめっきり減った。インド駐在を希望して10年がかりで実現したのが2007年。4年ぐらいはいたいと希望していたのに、何の前触れもない辞令で3年ちょうどで帰国させられたのが2010年。自分の年齢を考えると、今の会社にいる限り、インドで働く機会は二度と訪れないだろうとうっすらと想像もつく。帰国してからもう5年近くになり、今年の年末までには次の方向も見えてくるだろうと思うが、子ども達が成長する一方、親はその分歳を重ねている。この年末年始の里帰りの際には、やはり父母の老いを痛感せざるを得なかった。そんな状態で、次にまた海外とは易々とは言えない。

このようにモチベーションが下がっているものだから、インド関連の書籍に関しては自ずと読むペースも鈍りがちだ。この本など、発刊情報を早くからつかみ、2010年夏にインド駐在から帰国してすぐに購入したのだが、なんとなく読みだすきっかけがなく、これまでずっと書棚の肥しにしてきた。読書メーターでも、「積読本」カテゴリーの末尾でずっと死蔵されていたかっこうだ。インド関連であるかないかに限らず、読書メーター上で根雪状態になっている積読本を処分していくのは、今年の重要な課題の1つだ。

さて、肝心の本書の紹介だが、インド映画の歴史、ヒンディー映画からテルグ、タミル、カンナダ等の南部の映画産業に至るまでの地理的広がり、大衆作品からドキュメンタリー映画に至るまでの多くのカテゴリー、制作にかかわる様々な人々、そして人材養成の制度など、様々な角度から述べられている。インド映画といったら僕らはヒンディー映画をすぐに連想してしまうが、実際の映画の制作本数ではタミル映画やテルグ映画も相当に多く、その点では各映画の取り上げ方がバランス取れていると思う。近年日本でも公開された『3 Idiots(邦題:きっとうまくいく)』や『Jab Tak Hai Jaan(命ある限り)』、『Om Shanti Om(恋する輪廻)』を観てヒンディー映画で盛り上がっているファンにとってはちょっと物足りなさはあるかもしれない。でも、そうした多様性が1国内にあるのがインドなのだ。

ただ、その割にはアーミル・カーンに関してはかなり言及しているので、12月に主演映画『チェイス(Dhoom 3)』の日本公開に伴い初来日したアーミル・カーンについてもっと知りたいというファンには薦める。僕は個人的には『Dhoom』のシリーズは嫌いで、これにアーミル・カーンが出演したのにはがっかりだが、本書の原稿を著者が書いていたのは識字障害(ディスレクシア)の子どもの秘めた才能が開花するというストーリーだった『Taare Zameen Par』公開直後だったので、社会派俳優としてのアーミルがフィーチャーされていて、なかなか好感が持てる。

著者は元々タミル語や南インドの地域研究者らしく、タミル映画の字幕翻訳の依頼をかなり受けてきた人らしいので、本書の中でもタミル映画への言及がかなり多い。本書はこれまで著者が書き溜めていた研究論文を1冊にまとめたような内容で、歴史を網羅していることから、発刊後5年経過して新しい映画はどんどん制作されてきていても、本書の内容は色あせるところはないように思う。

僕はもうインド映画を映画館で鑑賞するような機会は東京でしかないと思うので、インドの映画館で映画に惚れて、帰国後もインドと関わりたいというモチベーションを維持し続けている何人かの知人にも本書はお薦めしたい。

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