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『アゲイン 28年目の甲子園』 [重松清]

アゲイン 28年目の甲子園 (集英社文庫)

アゲイン 28年目の甲子園 (集英社文庫)

  • 作者: 大森 寿美男
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/12/16
  • メディア: 文庫

内容(「BOOK」データベースより)
もう一度、甲子園を目指しませんか―。40代半ばの元高校球児、坂町は見知らぬ女性に突然、声を掛けられる。彼は高校時代、ある出来事が原因で甲子園への夢を絶たれていた。記憶の蓋をこじ開けるような強引な誘いに苛立ちを覚える坂町だったが、かつてのチームメイトと再会し、ぶつかり合うことで、再び自分自身と向き合うことを決意する。夢を諦めない全ての大人におくる感動の物語。

この歳で『アゲイン』と聞くと、楳図かずおが少年サンデーで連載していた漫画を連想してしまうのは私だけでしょうか(笑)。すみません、いきなり余談でした。

17日公開のこの映画、原作が重松清だということで、来週末にでも映画館に足を運ぼうかと思っている。その前に、この映画の撮影を指揮し、脚本も手がけたという大森寿美男の書き下ろした文庫版の物語を、予習のつもりで読んでみた。ちなみに、大森氏はNHK大河ドラマ『風林火山』や朝の連ドラ『てるてる家族』などの脚本を担当し、映画では『風が強く吹いている』などの脚本・監督を務めている。年齢的には僕の4つ下。つまり、この映画の主人公、坂町と同い年である。

この作品、原作となっている重松清の作品というのがルポであるため、小説ということでいえば大森監督のまったくのオリジナルだと思っていい。そのあたりのことがちゃんと理解できずにこの本を読むと、読点の打ち方とか、それなりにクライマックスシーンを設けているところとか、いつもの重松作品とはちょっと違う印象を受ける。重松清の小説でちょっとツラいと感じる、これでもかこれでもかと描かれるお涙頂戴の展開は、この大森版の小説でも繰り広げられるが、登場人物の心の中の葛藤をそれほど描いていないので、僕にとってはいいさじ加減だったように思う。

坂町が高校時代に甲子園出場の夢を断たれた事件というのは、埼玉県予選の決勝前日、チームの補欠だった同級生の起こした暴力事件だった。そのために決勝戦は辞退を余儀なくされ、坂町たちの最後の夏は突然終わった。「負けるなら、ちゃんと負けろ」という言葉がひとつのキー・フレーズになっている作品だが、地区予選の決勝を、勝っても負けてもちゃんと試合をやれなかったというのが、キャプテンだった坂町をはじめ、エース高橋、キャッチャーで主砲だった山下らの悔いとして今まで引きずってきたのだろう。

ただ、敢えてツッコミを入れたくなるのは、このストーリー、当時の川越学院のチームメイトの中に、離婚経験者がものすごく多いという印象を受けてしまう。少なくともこのストーリーの登場人物の間では、全国平均を上回る離婚経験者の割合だ(笑)。ついでに言うと、この出場辞退を余儀なくされた当時の川越学院のチームメイトで、「マスターズ甲子園」出場に向けて参加を表明したのが、坂町、高橋、山下の3人しかいなかったという点は、ちょっと首を傾げざるを得なかった。「夢を諦めない」とは言うが、実際に参加を呼び掛けてみても、仕事が忙しくてそれどころじゃないとか、暴力事件を起こしたチームメイトを許せないとか、いろいろな理由があって、全員が全員、夢を諦めなかったわけではないのだ。(逆に言うと、チームに参加を決めた3人は、夢が諦めきれなかったからこそ、それぞれスポーツ新聞の記者、プロ志願者、少年野球の監督になっていったんだろうが。)

ちなみに、僕は高校球児じゃなく高校剣士だったんだけど、高校生活最後の公式戦で団体戦Bチームの大将を任され、一回戦でいきなり大将戦に決着がもつれ込み、0-1で負けて夏が終わった。相手チームは誰もが認める優勝候補だったからか、審判は僕らのチームに対する旗の上げ方が重く、僕自身も一本先取だと思い、チームメイトも「あれは入っていた」と思った会心のメンも審判を動かすに至らず、その後相手に旗が上がって、それが取り返せなかった。

試合後、僕は観客席で号泣した。剣道の試合で負けて泣いたのは後にも先にもその1回きりだ。当時の僕の心境を振り返ることはできないが(日記をつけていたので、実家に戻ればそれが確認できるものがひょっとしたら残っているかもしれないが)、既に剣道は高校までと心には決めていたのかもしれない。結局、再開したけどね。今となってはいい思い出だ。

こうして小説を読み、ますます映画が見たくなった。中井貴一さんカッコいいし、僕は波瑠さんのファンだし。でも、この小説を読んで最も好きだったキャラはエース高橋の奥さんであった。


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