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『闘翔ボーイ』(全9巻) [趣味]

闘翔ボーイ 1巻

闘翔ボーイ 1巻

  • 出版社/メーカー: Benjanet
  • メディア: Kindle版

内容紹介
高校球界の暴れん坊・篁大介はプロ注目の剛速球投手!しかし、プロやメジャーリーグからの熱烈な誘いをよそに大介が選んだのは何と新東京プロレスだった! 日本最強の格闘王・海王完二をめざし、新東京プロレスの門を叩く。だがそこには、先輩レスラーの手荒い歓迎が待ち受けていた・・。

週刊少年サンデーで、昭和61年(1986年)秋から昭和63年(1988年)夏まで連載されていた竜崎遼児作『闘翔ボーイ』全8巻を、Kindleでまとめ読みした。

親に仕送りをしてもらっていた立場上あまり大きな声では言いづらいが、僕は大学生時代、少年サンデーをわりと愛読していた。元々『サーキットの狼』(池沢さとし)の熱烈な読者として中学生活を過ごした僕が、少年ジャンプから少年サンデーに移るきっかけとなったのは『がんばれ元気』(小山ゆう)を知ったからだと思うので、高校進学とほぼ同時期に『サーキットの狼』の連載が終わり、『がんばれ元気』の連載が中盤を迎える頃に、僕はジャンプからサンデーに乗り換えたことになる。さらには80年代前半には『うる星やつら』(高橋留美子)や『タッチ』(あだち充)、『ふたり鷹』(新谷かおる)、『火の玉ボーイ』(石渡治)、『六三四の剣』(村上もとか)といったキラ星の如きヒット作品が誌面を飾っており、高校から大学にかけて、ずっとお世話になっていたに近いのである。

僕のサンデー愛読は1985年の米国留学を契機に終了するが、86年夏に留学から戻ってからじきに再開し、残りの学部4年生生活と、大学院に進んでからの2年間も、学業の息抜きも兼ねて、サンデーだけはわりと読んでいた。石渡治の『BB』の最終回は記憶にあるぐらいだから、1991年頃までは毎週というわけではないにせよ、多分書店コンビニでの立ち読み等も交えて、お気に入りの作品はそれなりにキャッチアップを試みていたことと思う。

竜崎遼児は中学生時代に一時期月刊少年ジャンプを毎月購読していた頃に『どぐされ球団』という、ちょっと水島新司の『野球狂の詩』のモチーフをパクったような作品を連載していて、でもその躍動感あふれる画風が好きだった漫画家だ。とにかく若者が全身を動かすようなスポーツを描かせたらかなりうまい絵を描ける人で(逆に女性の描き方がイマイチだった)、とりわけ野球や格闘系の競技の作品がうまかった。僕的には竜崎遼児といえばやはり『どぐされ球団』なのだが、もう1つ、格闘技系でおススメの作品としては『闘翔ボーイ』ということになる。

連載がスタートする1986年頃のプロレス界といえば、やはりアントニオ猪木が率いる新日本プロレスの全盛期で、猪木自身の強さには陰りが見え始めていたけれども、猪木門下で力をつけてきていた前田日明が頭角を現わし、それに呼応するようにサブミッション(関節技)が脚光を浴び始め、藤原喜明のような玄人受けするレスラーにまで光が当たり始めた時期だ。前田は1984年に新日本プロレスを辞めてUWFを設立し、キックと関節技を中心にした格闘技性の強いスタイルを追求していく。藤原や高田延彦もこれに参加、新日ではしぶい中堅レスラーだった木戸修もがこれに参加して、実はサブミッションが相当できるレスラーとして脚光を浴びた。UWF軍がキックへの志向性を強めるにつれ、蹴りを主体とする他の格闘技にも光が当たり始める。それが骨法であり、シュートボクシングであり、ムエタイであった。一方で、サブミッションの方向でも、ロシアの格闘技サンボが注目され始める。新日本プロレスが、ソ連のペレストロイカの流れを受けて、「レッドブル軍団」を来日させたのは1989年のことだから、この作品の連載が終了した後の話となる。

従って、高校野球のスターだった主人公・大介が海王戦にたどり着くまでに、先ずは空手、骨法、ボクシング、モンゴル相撲、ムエタイ等の選手との対戦を勝ち抜いていかねばならなかった。実在の人物のモデルが相当数出てきて、しかも風貌まで似せてあるところは、格闘技好きの読者を惹きつけるにはいいかもしれないが、賛否は分かれるだろう。

こうした大介のステップアップとは別トラックで、大介はシュートボクシングの第一人者からキックの手ほどきを受け、サンボとの対戦前には海王が差し向けた、カール・ゴッチを彷彿とさせる外国人レスラーにサブミッションの特訓を受ける。面白いのは、高校時代のライバルだった強打者・天童と、プロ野球対プロレス、サンボ対プロレスと、二度にわたって対戦していること。お得意の野球と格闘技を融合させるなど、この作者でないと思いつかないユニークな発想だ。

こうして第8巻において海王戦に漕ぎつける。対戦場所はギリシャの円形競技場――夜明けとともにパンクラチオン方式の死闘がくり広げられるが、結末についてはここではご紹介しません。でも、このくそ忙しかった2週間の間に、あっという間に8巻まで読み切ってしまったということで、作品の面白さはわかっていただけるだろう。

1980年代後半の格闘技界の熱気を存分に感じさせてくれる、楽しい作品だった。

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