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『武道館』 [朝井リョウ]

武道館

武道館

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/04/24
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
本当に、私たちが幸せになることを望んでる?恋愛禁止、スルースキル、炎上、特典商法、握手会、卒業…発生し、あっという間に市民権を得たアイドルを取りまく言葉たち。それらを突き詰めるうちに見えてくるものとは―。「現代のアイドル」を見つめつづけてきた著者が、満を持して放つ傑作長編。
4月に発表になっていた朝井リョウ君の新作、人には「おススメ」だと散々吹聴しておきながら、実は未読でここまできていた。頻繁にコミセン図書室を利用していたら6月初旬には借りることができたかもしれないが、なにせ土日にコミセンを訪れること自体があまりできていなかったので、新着コーナーのチェックがずっとできないでいた。人気のありそうな本は、よほどタイミングが合わないと図書室で出会うことが難しい。たまに訪れても、返却されて新着コーナーの棚に陳列されていること自体が激レアなのである。加えて、その手の本を読んでいる余裕もなかったのも事実だ。

それが、たまたま夏休み前の週末、コミセン図書室を訪れたらたまたまそこにあった。これぞ神の思し召しとばかり、夏休み用の図書として真っ先に借りることにした。

『スペードの3』あたりから感じていたのだが、朝井君の扱うテーマにちょっとついていけないものを感じていた。芸能界を扱い始めたことに伴う違和感だったが、『スペードの3』がミュージカル女優とそのファンクラブの人々の話だったのに対し、今回の『武道館』は女性アイドルグループ。まあ自分が多少なりともこの類の女の子達に関して免疫ができたからだろうと思うけれど、前作に比べたら入っていきやすくなった気がする。『あまちゃん』のおかげかもしれないし、ももクロのおかげかもしれない。さらに言えば、ちょうど主人公と同年代で、5人組で、さらにボーカルにダンスを合わせるよりも曲にダンスを合わせているという意味では、『東京女子流』を連想させる。オジサンが言うセリフじゃないかもしれないが、『東京女子流』はなかなかいい!メンバーの年齢にバラつきがあるという点では東京女子流とはちょっと違うかもしれないが、今の女子アイドルユニットの中でのポジションや楽曲の特徴などを考えると、意外と東京女子流をモデルにしていたのかもしれないという気がする。

それともう1つ、『武道館』というタイトルから想起させるのは、僕にとっては剣道だったわけだけど、朝井君、その予想通りで、作品の中でうまく剣道を使っている。剣道が出てくるのは朝井作品では初めてのことで、さすがにあまり突っ込んだ描写はないけれど、同じ『武道館』でも、九段の日本武道館じゃなくて綾瀬の東京武道館の取材もちゃんと行ない、綾瀬駅から東京武道館までの歩道の描写もしっかり入れている。

以上の2点だけで、僕にとっては許容範囲の作品といえる。芸能界のドロドロとしたところまで描いたら読む気をなくしていたと思うけれど、アイドルを目指す女の子って結構普通っぽいんだなとむしろ感じ、読みやすい作品だった。確かに、普通の女の子にしてみれば当たり前のことが、アイドルであるが故に「普通」と見なされないという意味での苦悩はあると思う。それが本書の主題でしょう。

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