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『下剋上受験』 [読書日記]

下剋上受験-両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

下剋上受験-両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!

  • 作者: 桜井信一
  • 出版社/メーカー: 産経新聞出版
  • 発売日: 2014/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
目指せ桜蔭!!中学受験ブログ人気No.1著者の書き下ろし
塾なしで偏差値41から70へ。全受験生の親必読の感動ノンフィクション!!
昼はガテン系仕事、夜は娘と勉強、そして朝まで娘のための予習…。わが子に全てを捧げた父親の壮絶記録。中卒の父と、偏差値41の娘が、進学塾にも行かず、2人で桜蔭中学を目指す――話が無茶苦茶すぎて信じてもらえないかもしれません。でもこのお話はすべて真実なのです。そして今、私たち父娘は思うのです。この挑戦が決して無謀ではなかったことに。そして、届かない夢ではなかったことに…。

うちにも中学受験を来年に控えた小学6年生がおり、志望校は違えどどうやって都立の中高一貫校に入れたらいいかで頭を悩ませる日々である。何しろ僕は地方で高校卒業までを過ごしており、都内の学校制度に詳しくない。

小学校、中学校では普通に地元の町立の学校に行き、中学の先生から受けてよいとのお墨付きをもらえるぎりぎりのところで第一志望の高校を受験させてもらい、僕は合格を果たした。少なくとも高校進学に至るまでに、本気で受験勉強をやったのは中3の秋以降である。体育祭実行委員長だの、郡駅伝大会の代表選手だの、秋もいろいろやってたために、今は亡き祖母からは、「そんなことばっかりやってるから成績が落ちるんや」といつも小言を喰らっていた。

そんな僕が東京で世帯を持ち、子どもをもうけてみると、戸惑うことが多い。妻は中学高校と自分では大して勉強してたわけではないというが、それがにわかに教育熱心な母親に豹変した。地方でのんびり過ごしてきた僕から見たら肩の力が入り過ぎで、塾でひたすら入試対策の勉強で詰め込むよりも、本をたくさん読んだらいいとか、少年時代は二度とないんだから部活動やスポーツにはいっぱい取り組んだらいいとかのんびりと言う僕に対し、妻はいつも「あなたは東京で小中高と過ごしたわけじゃないから」と嘲笑した。だから子育てに関しては僕は口をつぐみ、妻の言い分をなるべく生かすようにしている。

この夏もいつの間にか申し込まれていた息子の夏期講習は6勤1休とオヤジ並みにハードで、ほとんど夏休みはないに近かった。お陰でこれまで息子が通っていた道場が主催した剣道夏合宿は、6年生であるにもかかわらず不参加、暑中稽古も不参加となり、息子は秋に予定されている大きな試合で団体戦メンバーから外された。その間に実力をつけてきた同級生がいたというのもあるが、それまでは同学年ではいちばん強かったのに。これも一時のことだと我慢はするが、僕自身は全然納得していない。それで本当に良いのか、息子本人は納得しているのか。「東京の小中高受験を知らない」と言われても、でも普通に稽古に通っている6年生だっているではないか…。

でも、世の中には妻よりはるかにモーレツな父親がいた。本書の著者である。

子どもたちの教育には熱心なうちの妻であっても、さすがに取り得る選択肢は塾に通わせることと学校の進学相談等に欠かさず出席してつまらぬ知恵を仕入れてくるのが関の山だ。一方、本書の著者は違う。いろいろな情報を集めて比較考量した結果、最終的に塾に入れるという選択はせず、自ら娘と向き合い、父娘の二人三脚で最難関校の受験へと突き進むのだ。娘が小5の夏にこの「家塾」を決意し、なんと1年5カ月にもわたってほぼ毎日欠かさず一緒に勉強に打ち込んだ。しかも娘よりも先回りしていないと娘にも説明できないわけだから、夜娘が就寝した後も復習と準備を重ねる日々を過ごした。この夏、1日睡眠3時間を2週間ほど続けて体調がガタガタになった50代の僕からすると、30代後半と比較的若いとはいえ、これに近い生活を1年5ヵ月も続ける著者のタフネスぶりには驚きを隠せない。

こんなことはうちの妻ですらしていない。ましてや今でも読書だ稽古だ友達との思い出作りだなどとのんきなことをほざいているどこかのオヤジにしてみれば、それだけ長期にわたって休むことなく努力を継続できたことには頭が下がる思いで、ついでに言えばちょっと凹んだ。著者ご本人のモチベーションは、自分が中卒だからといって娘にまで質の低い教育しか受けさせられないのはいたたまれない、というものだったようだ。教育水準の格差が雇用・所得の格差を生み、それが子の教育の格差につながるといった負のスパイラルがよく指摘され、これを打ち破るのに政府なんとかしろという声もよく耳にするが、著者の場合は親子の自助努力でこれを打ち破ろうと試みたのである。本当に凄いことだ。

ネタ晴らししてしまうと、最難関校受験の結果については満足いくものではなかった。でも、これだけの長期間努力を続けられたというのは、これからお嬢さんがどんな進路を歩むとしても、きっと力になっていくだろう。

でも、本書を読みながら、この父娘のストーリー、どこかがおかしいような気もしてしまう。

この著者、自分も妻も「中卒」だからとやたら「中卒」「中卒」と連呼して自身を卑下しておられる。娘の受験に際しても、親が中卒だから馬鹿にされるのではないか、とか本気で思っておられる。でも、自分も私立に娘を入れた父親の目からすると、そんなふうには娘のクラスメートを見たことなど一度もない。雇用・所得面でご本人が不利を被るということはあっても、今や「機会の平等」の保障は大きな論点である以上、学校側だってそんなことは口がさけても言わないだろう。それに、優秀な人材なら出自がどうあれ学校だって企業だって欲しいに違いない。なんだかこの著者はマイナス面の自意識が過剰なんじゃないか。

それに、なんだかんだ言っても私立中学に娘を通わせられるとか、自分が教えられない平日の日中に家庭教師を付けられるとか、仕事の勤務時間が短く早く退社できるとか、この著者のご家族の生活は自身が書いておられるほど苦しいものではないのでは?本の内容紹介には「ガテン系」と書かれているけれど、自身でつるはしを振っておられる本当の意味でのガテン系ではなく、経営者的なにおいが本書からは漂ってくる。

はっきり言って、「中卒」であることを卑下しておられるといっても、著者の世帯は娘がたった1人であり、親が「大卒」と「短大卒」だとはいえ子どもが3人もいる我が家の方が、経済的にはよっぽど余裕がない。勤めている会社の都合で残業はさせられるし休日だって出勤させられるし、そんなオヤジよりかは著者の方がよっぽど余裕があるように見える。(妻だって、教育熱心だとはいえ意外と自分には甘いしね。)

妻、といえば、こんな書き方で本が出ちゃったら、著者の奥様は立場がないなとも思ってしまう。1年5カ月の間、奥様は協力らしい協力をした形跡がほとんどない。普通、こんなに長期間父娘が一緒に頑張っていたら、何らかのサポートをしてくれるのが家族というものだと僕は思うけれど。その点でも、何か違うような気がする。

受験勉強の追い込みのために冬休み明け以降学校を1カ月近く休ませて欲しいと学校に嘆願するとか、そのへんの行動もちょっと考えられない。こういう極端な人がいるのもまあいいことだが、なかなか参考にはしづらい。

結局のところ、僕はお嬢さんご本人のやる気だと思う。その部分、すなわちどうやってお嬢さんのモチベーションを維持させたかが、本書のキモだった筈だが、それがよくわからなかった。

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