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『Fabricated』 [仕事の小ネタ]


シルバーウィークも最終日を迎えている。受験生を2人抱える我が家では毎日が勉強である一方、なぜか妻が集中的にパートの仕事を入れていて、留守番係の僕が受験生のケアを適宜やっている状態だ。遠出もあまりせず、せいぜい彼岸の墓参りに行ったぐらい。あとは敬老の日に妻方の両親、帰省した妹家族と食事をご一緒して飲んだくらいか。パートで出かけていた妻に代わり、僕がテキトーに晩御飯を準備したのが2回。引きこもりの連休だった。

でもそのおかげで大学受験を控える長男とはさしで話をすることができた。妻からは長男の志望大学についてだいたいのことは聞いていたけれど、本人と直接話す機会は少なかった。手のない人が身近にいたからか「義手を作ってみたい」というのが本人の夢らしいが、そうすると本人志望の機械工学以外に、単純に考えても脳科学、神経科学、バイオエンジニアリングの知識が要る。ついでに言えば、ユーザーが装着する義手にスティグマを感じないで済む、逆に着けていてカッコいいと思えるようなデザインのセンスも必要になるだろう。

そういう機械工学以外の学問領域との交流が学内でもできるような大学がいいねとコメントした。ついでに言えば、そう考えるなら、自宅から通える東京の大学にこだわらなくてもいいとも言い添えた。

さてここからが本題。子供2人が受験勉強をしていたこともあって、オヤジとしても何もしないわけにはいかない。正直いろいろ職場から持ち帰っていた読み物はあったわけだけど、その読み込みはほどほどにして、これだけはどうしても連休中に終わらせたかったことがある。今から紹介する本の読破だ。

Fabricated: The New World of 3D Printing

Fabricated: The New World of 3D Printing

  • 作者: Hod Lipson and Melba Kurman
  • 出版社/メーカー: Wiley
  • 発売日: 2013/02/11
  • メディア: ペーパーバック
内容紹介
 Fabricated tells the story of 3D printers, humble manufacturing machines that are bursting out of the factory and into schools, kitchens, hospitals, even onto the fashion catwalk. Fabricated describes our emerging world of printable products, where people design and 3D print their own creations as easily as they edit an online document.
 A 3D printer transforms digital information into a physical object by carrying out instructions from an electronic design file, or 'blueprint.' Guided by a design file, a 3D printer lays down layer after layer of a raw material to 'print' out an object. That's not the whole story, however. The magic happens when you plug a 3D printer into today’s mind-boggling digital technologies. Add to that the Internet, tiny, low cost electronic circuitry, radical advances in materials science and biotech and voila! The result is an explosion of technological and social innovation.
 Fabricated takes the reader onto a rich and fulfilling journey that explores how 3D printing is poised to impact nearly every part of our lives.
 Aimed at people who enjoy books on business strategy, popular science and novel technology, Fabricated will provide readers with practical and imaginative insights to the question 'how will this technology change my life?' Based on hundreds of hours of research and dozens of interviews with experts from a broad range of industries, Fabricated offers readers an informative, engaging and fast-paced introduction to 3D printing now and in the future.
この本は少し前にご紹介した『2045年の新世界』の原書である。実は僕は『2045年の新世界』を読んでいた当時、デジタル工作機械を装備した市民向け工房(ファブラボ)に関して知人が日本語で書いた33,000字超の論文下書きを英訳するという作業をやっていて、日本語ではわかっている語彙や表現を英語でどう訳したらいいのか、相当苦戦していた。分量的にも2、3日では終われないもので、1日3時間睡眠を約2週間続けて、ようやく納品にこぎ着けた。8月後半に自分が体調を崩したのは、この時の無理が祟ったからだと思う。

何はともあれ英訳は納品したけれど、その過程で英語での表現の仕方に自信がなかったところもあり、1冊ぐらい同じ分野で英文で書かれた本を手元に置いておきたいと思った。幸い、同じころに『2045年の新世界』を読んで内容の面白さ、3Dプリンティングに関して巷間言われている論点(著作権問題、バイオプリンティング、フードプリンティング等)の網羅性等は承知していたので、それじゃこれの原書でいいなと思い、Kindle版を注文したのであった。

当然その時は英訳の表現ぶりの妥当性を確認するためにワード検索してチェックするというような利用の仕方をしていたので、通読したわけではなかった。でも、折角購入したのに通読してないのは勿体ないとも思うようになり、9月に入って通勤時間を利用してコツコツ読み始めた。でも、さすがは洋書、僕の読むスピードが遅すぎて、1日10%進むのがせいぜいの日々。シルバーウィーク前までに読み進められたのはせいぜい45%に過ぎず、こうなったら連休中に読破してしまおうと心に決め、読み込みを加速した。

著者のホッド・リプソンはロボット工学専門で、米コーネル大学のクリエイエィブ・マシーン・ラボ(CCML)の教授、一方、共著者のメルバ・カーマンは科学ジャーナリストで、これまでにも何冊かの著書がある。どちらがどのチャプターを執筆分担したのかはよくわからない。共著とはいえ本書の中では一人称の主語「私達」を用いていて、どっちがどっちだとわからない書き方になっている。

Kindle版で原書を読んで良かったと思うポイントは、1つは邦訳では白黒だった口絵写真がカラーになっていて、よりわかりやすかったということ、もう1つは、Kindleには読書中にわからない単語を指でタップすると、内蔵の英和辞典から該当単語の意味を拾ってきて表示してくれるというありがたい機能が付いていることであった。おかげで、意味が分からなくて辞書を別途ひかなければいけないという手間はほとんどかからず、引っかからずにサクサク読めた。(といっても牛歩の歩みだったが…。)

さらに付け加えると、Kindleには気になる表現をマーカーでメモする機能があり、後からマーキングした箇所の一覧表示を見ることができる点にある。Kindleを購入して2年近く経過してようやくこうした機能を理解したというのは遅すぎる感もあるけれど、逆に言えば、本書の面白さがこうした機能の理解に導いてくれたともいえる。

僕がどこにマーカーで線を引っ張ったかはここでは詳らかにしませんのであしからず。でも、それだけではサービス精神に欠けるから、せめて目次の和訳ぐらいはしておこうか―――。

 第1章 なにもかもがSFになる
 第2章 ほとんどなんでも作れるマシン
 第3章 デザインと製造の変革:良い、速い、安い
 第4章 明日の仕事と経済はどう変わる
 第5章 積層の仕組み
 第6章 次世代のデザインソフトを求めて
 第7章 「生体インク」でバイオプリンティング
 第8章 食のデジタル:フードプリンティング
 第9章 教室のなかの工場:新しい学びの扉が開く
 第10章 新たな美:制約からの開放
 第11章 グリーンでクリーンなものづくり
 第12章 所有権、安全性、法律のニューフロンティア
 第13章 未来をデザインする発想とツール
 第14章 この先に何が起こるか

さて、冒頭のAFPの記事や連休中の長男との会話と関連付けて、本書で義手や義足がどのように描かれているかを紹介しよう。

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この写真はデボラさんという女性で、2004年にバイク事故で右足を失った。2010年、デボラさんはカスタムメイドの義肢を手に入れた。「他の人たちと同じように見せるよう試みるのではなく、今では外出して義肢を見せびらかすようになりました」―――僕が長男にデザインも重要と言ったのは、この義足の写真や、冒頭に載せたAFP電にある義手がクールで、自分も着けてみたいと思えるようなデザインだったからだ。


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