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『内向型人間の時代』 [自己啓発]

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

  • 作者: スーザン・ケイン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/05/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
ビル・ゲイツもガンジーもウォズニアックもみんな内向型人間だった!
内向型の人とは、喋るよりも他人の話を聞き、パーティで騒ぐよりも一人で読書をし、自分を誇示するよりも研究にいそしむことを好む人のことだ。アメリカ人と言えば、社交的で自己主張が激しそうなイメージがあるが、実際にはその三分の一が内気でシャイな内向型だという。これはアメリカに限ったことではない。
外向型が重視されるアメリカにおいては、内向型の存在感は薄く、出世競争でも不利になりがちだ。本書は、内向型が直面する数々の問題を浮き彫りにするとともに、あまり顧みられることのない内向型の強みと魅力を明らかにし、その個性を伸ばして生かす方法を模索する。
同時に、外向型の欠点や問題点を挙げ、外向型の人は企業のトップにふさわしいか、チームで作業するやり方は本当に効率的なのか、などの問題も議論する。現代アメリカ社会の内部分裂を浮き彫りにする衝撃のドキュメント。

その昔、僕は「内向的」な子どもだと親から言われたことがある。人に何か言われたらすぐに自分のせいだと考える、クヨクヨしてなかなか気持ちが切り替えられない、人からどう見られているかをすごく気にする、人と付き合わない等々。これらの性質は今でもあまり変わらない。本書が2013年5月に出た当初、面白い本だなと思ってすぐ読んでみたい気持ちにかられたが、図書館で借りようにも順番待ちが半端じゃなかった。「自分のような内向的な人間が必要とされる時代が来ているんだ」などと救いを求める人が結構いたということなのだろう。そのうち待ちくたびれて僕は予約自体をキャンセルにしてしまった。ほとぼりが冷めた頃にもう一度予約してみたら、今度はすんなり借りることができた。

本書の冒頭、自分が内向型なのか外向型なのかを自己診断できる20項目のチェックリストが掲載されている。これらに対して〇が多ければあなたは内向型で、✕が多ければ外向型だというわけだ。といって確立されたチェックリストではない。内向型人間にはこんな性向があるぐらいで考えておけばよいかと思う。

 1.グループよりも1対1の会話を好む。
 2.文章のほうが自分を表現しやすいことが多い。
 3.ひとりでいる時間を楽しめる。
 4.周りの人にくらべて、他人の財産や名声や地位にそれほど興味がないようだ。
 5.内容のない世間話は好きではないが、関心のある話題について深く話し合うのは好きだ。
 6.聞き上手だと言われる。
 7.大きなリスクは冒さない。
 8.邪魔されずに「没頭できる」仕事が好きだ。
 9.誕生日はごく親しい友人ひとりか二人で、あるいは家族だけで祝いたい。
 10.「物静かだ」「落ち着いている」と言われる。
 11.仕事や作品が完成するまで、他人に見せたり意見を求めたりしない。
 12.他人と衝突するのは嫌いだ。
 13.独力での作業で最大限に実力を発揮する。
 14.考えてから話す傾向がある。
 15.外出して活動したあとは、たとえそれが楽しい体験であっても、消耗したと感じる。
 16.かかってきた電話をボイスメールに回すことがある。
 17.もしどちらか選べというなら、忙しすぎる週末よりなにもすることがない週末を選ぶ。
 18.一度に複数のことをするのは楽しめない。
 19.集中するのは簡単だ。
 20.授業を受けるとき、セミナーよりも講義形式が好きだ。


すごい、19を除いた全ての項目に僕は該当する。6(聞き上手)は、上手かどうかはともかく、先ずは人の話を聞くことから入るという意味では該当すると思う。敢えて人にコメントを求めてメッタ斬りに遭ったりするのが精神的に耐えられないので、研究者には向いていない。それなのに会社の研究部門に長く身を置くのは苦痛で、人事はなんて酷なことをするんだとブツブツ言いながら務めていた。要すれば、このリストを見て自分がいかに内向型なのかというのを再認識させられた。

自分が内向型だと思っている人を安心させるエピソードの1つは、ガンジーがそうだったというものだ。
 ガンジーは長年にわたって内気な性格を直そうとしたが、とうとう克服しきれなかった。彼は即興では話ができなかったし、スピーチの機会をできるかぎり避けた。晩年になっても、「しゃべってばかりいる友人と会いたい気持ちにはなれないし、そんな気持ちになるとも思えない」と書いた。
 だが、そんな内気な性格が独自の強靭さをもたらしたのだ。ガンジーの生涯のあまり知られていない一端を吟味すれば、その抑制された強靭さについて理解できる。(p.250)

偉人のエピソードを持ち出すまでもなく、著者が言いたいのは、内向型は良くないというステレオタイプを捨てようということだ。内向型の人間の優れた点は本書でいくつも挙げられている。例えば・・・
 研究の結果得られたもっとも興味深い発見のひとつは、すばらしい創造性に富んだ人々は落ち着いた内向型だという点で、のちの研究でも同じ結果が得られた。彼らは人間関係を維持するのが上手だが、「特別に社交的だったり、積極的に人間関係を築こうとしたりする性格ではなかった」。彼らは自分自身について、自立していて個人主義だと表現していた。そして、多くの人が十代の頃には内気で孤独だったという。
 これらの発見は内向型が外向型よりもつねに創造力が豊かだという意味ではないが、特別な創造力を発揮する人々のなかには内向型の人間が多くいるということを示唆している。(p.93)
これは建築家や数学者、科学者、エンジニア、作家などを対象としたインタビューで明らかにしたものだ。

 自分のスイートスポットを理解すれば、人生がさまざまな点でより良いものになるだけではない。それが生死に関わってくることを示す証拠もある。ウォルター・リード陸軍病院で軍人を対象に実施された研究によれば、眠りを奪われて覚醒が低い状態(睡眠がとれないと警戒心や行動力やエネルギーが低下する)では、内向型のほうが外向型よりもすぐれた機能を発揮するそうだ。外向型が眠いときに運転するなら特別に注意するほうがいい。少なくとも、コーヒーを飲んだりラジオの音量を上げたりして、覚醒レベルを高くすべきだ。逆に、内向型は騒音が激しい道で運転するときには、思考力がそがれないように意識して運転に集中すべきだ。(pp.159-160)
自分が運転している時に妻や子どもたちに話しかけられてウザいと感じたことが何度もあるが、内向型人間なんだから仕方ないことであり、少しは運転手の身にもなってくれと嘆く時のネタに使えそうだ。

次のケースは、あがり症で人前でのスピーチが苦手だという内向型人間の特性を踏まえて、それでも人前でしゃべらなければいけないシチュエーションでどうしたらプレッシャーを軽減できるかが書かれた箇所である。
過度の覚醒は集中力や短期記憶を阻害する。これらは即興で話すための能力の鍵となる要素だ。そして、人前で話をするということは本質的に刺激的な行為なので――スピーチ恐怖症ではないエスターのような人にとっても――内向型は肝心な場面で注意力をそがれてしまうのだ。だからこそ、エスターは誰にもひけをとらない知識と経験を備えているにもかかわらず、準備なしで発表をするのには不都合を感じずにはいられないのかもしれない。そんな機会があるたびに、長期記憶の膨大なデータのなかから必要なものを引き出そうとして悪戦苦闘せずにはいられないのかもしれない。
 ただし、いったんそうと認識すれば、発表の予定をきちんと教えてくれるように同僚に強く頼むことができる。そうすれば、発表の練習ができるので、いざ話をするときにスイートスポットにいられる。顧客との会議も、ネットワークイベントも、同僚との打ち合わせも、どれも同じことだ。集中力を高めた状態ならば、彼女の短期記憶と即興で考える能力は、ふだんよりも少しは柔軟に働いてくれるだろう。(p.160)

極端な内向型のリトルが講演の合間にトイレにこもった話を覚えているだろうか。矛盾しているように思えるが、あのエピソードからしても、自分の性格にそむいて行動する最大の秘訣は、できるかぎり本当の自分のままでいることだ――日常生活において、「回復のための場所」をできるだけたくさん作ることからはじめるのだ。(中略)就職するときに、休暇や保険の条件と同じように、回復するための場所の有無を確かめることができれば、労働環境はずいぶん改善されるだろう。内向型の人々は、自分にこんな具合に問いかけるべきだ。この仕事は、読んだり戦略を練ったり書いたり調査したりといった、自分に適した行動ができるだろうか? 仕事のための個人の空間を持てるだろうか、それともオープンオフィスでずっとすごさなければならないのか? 仕事場で回復のための場所を得られないのなら、夜や週末にそのための自由時間を充分にとれるだろうか?(pp.276-277)

僕も自分が講師を務める時や海外で開かれる会議等でプレゼンをやらなければいけない場合、コーヒーブレイクで他の参加者がくつろいでいる間、それに加わらずにトイレにこもったりしたことが何度もあり、自分の社交性の乏しさ、卑屈な行動パターンを嘆いたりしながら自分の出番に備えていたが、本書を読むとそんなの当たり前のことだと書かれており、卑屈になることはないんだと救われた気持ちになった。

また、僕は今の自分の職場のような大部屋が大嫌いで、周囲の電話での会話や自席での立ち話等が耳障りでまったく集中できないでいる。席についてPCに向かって作業している状況で、どうしても集中しなけれいけない場合には、ノイズキャンセリング機能付きの大型ヘッドホンを装着して作業するし、集中して資料を読んだり構想を練ったりするのは、早朝の会議室にこもったり、日中の閑散としたカフェテリアでやったりして何とかやり過ごしているのが現状だ。著者が言うような「回復のための場所」というわけではないけれども、そういう実践をしていること自体、別に僕だけが異常だというわけじゃなく、むしろ胸を張ってやっていいのだと安心させてくれる内容だった。

このように、元々自分自身を内向型人間だと思っている人にとっては、本書は、自分が矯正されるべき人間だというわけではなく、むしろ内向型には内向型の強みもあるのだと安心でき、今までの自分の生き方や行動パターンが決して異常なわけじゃないことを確認できる、貴重な1冊ということができる。内向型でない読者がわざわざ本書を手に取って読むかどうかは疑問なので、外向型の人々に対して、「内向型人間の性向、行動パターンを理解して」と主張しても、それが読者に届くかどうかはわからない。

もう1つの本書の示唆は、内向型人間が外向型人間とコンビを組めると、優れた業績を上げるチームになり得るというものだと僕は思った。本書で出てくるのは米国のフランクリン・ルーズベルト大統領とエレノア夫人のご夫婦の事例だが、僕自身の経験でもそうだと思える。内向型の自分が最もいい仕事ができたと思えるのは外向型の上司や同僚がいた時期だったように思う。内向型の上司だった場合は、意識的に自分が外向型を演じるようにしてみたりもしたが、結構精神的には疲れたし、それでいて残業時間も半端なくて、「回復のための場所」など作ることもできずに疲弊した。今の会社で自分が最もきつかったのは、内向型の上司がいたある時期だったと思う。


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