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『幸せとまずしさの教室』 [仕事の小ネタ]

幸せとまずしさの教室: ~世界の子どものくらしから~ (ちしきのもり)

幸せとまずしさの教室: ~世界の子どものくらしから~ (ちしきのもり)

  • 作者: 石井 光太
  • 出版社/メーカー: 株式会社 少年写真新聞社
  • 発売日: 2015/08/28
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
知ってる? 世界の5700万人の子どもたちが小学校に通えていないことを。世界を旅した作家石井光太さんが伝える、路上に生きる世界の子どもたちのリアルなくらし、そして幸せ。

以前、同じ著者による『絶対貧困』という本を、単行本、文庫本の二度にわたってブログで紹介したことがある。途上国における貧困を、僕たちの住む先進国の貧困と比較しながら14回にわたる講義形式でまとめた労作であり、「絶対貧困」に対する「相対貧困」という概念を具体例も踏まえてよく理解できる良書だと紹介した。
*単行本:http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2009-06-12
*文庫本:http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2011-10-31

本日ご紹介する石井さんの新作は、この『絶対貧困』を小学生でもわかるように編集し直したような1冊である。『絶対貧困』には大人の話、性や暴力の話も多く、子どもは大人の元締めによってその日の売り上げのかなりの部分を巻き上げられてしまう搾取の対象として描かれている。『幸せとまずしさの教室』では、そうした大人に関連する記述を削ぎ落し、目線を子どものそれに合わせ、日本の小学生でも興味を持ちそうなテーマに絞っている。以下がその構成だ。

 1時間目「住まい」:スラムって何?/スラムができる場所/バラックの中
 2時間目「生活の方法」:水とともに/水の危険/病気
 3時間目「学校と仕事」:学校に行ける子ども、行けない子ども/児童労働の種類
             /戦争によって学校に行けない子ども
 給食
 4時間目「ストリートチルドレン」:ストリートチルドレンとは/家と仕事/遊び

主には途上国の貧しい子ども達の様子を描いた内容だが、実はこの授業の前と後に「朝の会」と「帰りの会」というのがあって、朝の会では途上国の貧困が描かれる一方、帰りの会では「幸せってなんだろうか?」という問いを小学生に投げかけ、途上国の子ども達って、貧しいからといって幸せではないのかというのを改めて問うている。

だから、当然、授業時間の中では、途上国の子ども達の生活実態を描きつつも、そこには悲壮感よりもしたたかさ、楽しさ、日本では失われつつある家族やコミュニティの絆といったものが頻繁に言及され、暗にではあるが貧しくても幸せというものがあるというのを感じさせる。家族全員が1つの部屋で眠り、年長の子どもや母親がいろいろな話を聞かせて年下の子ども達を寝かしつける、それが世代間の知識の継承にもつながっているというし、いくら通りで物売りなどをして日中は働いていても、子ども達は恋をして、夜になればデートを楽しみ、結ばれればそのストリートチルドレンのコミュニティの中で祝福されるし、夫婦になれば我が子にまでこんな生活をさせてはならぬといっそう仕事に精を出すようになるという。

そして、著者は小学生にこう言う。「みなさんが考えている不幸は、必ずしも不幸ではない。」

―――なんか、いい話じゃないか。

世界の貧困問題を取り上げた展示物などを見ると、やはり生活のひっ迫感、悲壮感といったものが前面に出されていて、そうしたところに共感を求めようという期待が見え隠れする。逆に、そこで住む人々の主観に依存する幸福度のようなものは、なかなか写真等では捉えることが難しい。実際にそこでの生活を体験してみて、日常の彼らの生活を理解した人がそうした役割を務めないと、なかなか伝えられにくい。

長年この手の途上国の開発問題を扱った本は手に取って読んでみてきたけれども、開発教育の書籍の中で、小学生を対象としたものが意外と少ないというのが気になっていた。せいぜい中高生までなのだ。そんな中で、明らかに小学生を対象としている『ちしきのもり』のシリーズの中で、貧困と幸福が取り上げられたというのは画期的なことだと思う。仮に今12歳の小学六年生がこれを読んだとして、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標達成年限である2030年には、この子ども達はまだ20代後半である。地球の未来を担っていく、中心的な世代だと言っていい。

だから、本来であればこの本もアラフィフのオヤジが読むよりも、まさに小学六年生である我が家の次男坊に読ませてみて、その感想を聞いた上で書きたかったのが正直なところだ。今回は取りあえず自分が読了した段階で本書を紹介したけれども、学校の図書委員長を務めている愚息にも読ませて、その反響をブログに書きたい。

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