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『メイカーズ進化論』 [仕事の小ネタ]

メイカーズ進化論―本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書 471)

メイカーズ進化論―本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書 471)

  • 作者: 小笠原 治
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2015/10/09
  • メディア: 新書
内容紹介
IoTを制する者が、真のビジネスの勝者だ!
モジュール化、3Dプリンター、インダストリー4.0……激変を続ける製造業を取り巻く環境の中、日本が生き残る道筋はあるのか?設備総額5億円超 秋葉原の“モノづくり"拠点DMM.make AKIBAをプロデュースし、 DMM.makeの総合プロデューサーを務めた著者が、メイカーズの本質を「売れる」「作れる」「モノゴトで稼ぐ」の3つの明快な切り口でわかりやすく解説。

年の瀬も押し迫ってきたところで、今年1年を総括するような本をご紹介したい。

今年の読書歴を振り返ると、特徴的に多かったのがものづくりに関する書籍の多さである。ビッグデータ、メイカームーブメント、デザイン、第3の産業革命、インダストリー4.0、オープン・イノベーション、ハッカソン、IoT、モジュール化、科学技術イノベーション、3Dプリンター等等。でも、いちばん悩ましかったのは、3Dプリンターのような比較的新しい技術を用いた個人レベルのものづくりを論じる一方で、IoTやインダストリー4.0のようなよりマクロな、製造業の生産様式にかかわる議論をどうつなげるかであった。

キーワードばかりが揃っているのに、ちゃんと包括的に理解できる枠組みがない―――これが悩みであった。IoTやインダストリー4.0について解説されている本は、ほとんどが大企業の生産様式に及ぼす影響と機会について論じたものである。逆に、3Dプリンティングについて書かれた本では、それが個人レベルのものづくりの地平をはるかに拡げてくれる、革命的な技術であると書かれているが、それが大企業の生産様式をどう変える可能性があるのかにまでスコープを拡げて論じられることがほとんどない。

それを1冊の新書の中で包括的に論じようとするのだから、本書は画期的だと思う。

本書では、現在のものづくりにおける変化を、「モノが売れる」「モノが作れる」「モノゴトで稼ぐ」の3つの段階に集約されるとし、これらの要素を中心に、新たに登場しつつあるものづくりのエコシステムを描こうと試みている。

第1章では、「モノが売れる」という段階について、ハードウェア・スタートアップで作られるモノがなぜ「売れる」ようになったのかについて解説している。そこでのキーワードとして、「クラウドファンディング」や「グローバルニッチ」に言及する。「売れる」というのは、モノが大ヒットするという意味ではなく、従来だったら売ること自体ができなかったモノが、情報通信の発達のお陰で、資金調達や販売ルートの面で恩恵を受け、売ることができるようになってきたことを指す。

第2章では、「モノが作れる」という状況の説明である。ここでは、先述したようなミクロの視点で、実際にものづくりに携わるハードウエア・スタートアップが、どんなモノを作れるようになっているのか、そのモノづくりの特徴が何かについて論じられている。3Dプリンティングについても言及がある。「3Dプリンターという存在は、(中略)「モノが作れる」という変化の中の、最後の1ピースに過ぎない」という。3Dプリンターは、「外装品やパーツを作る」「カスタマイズされた部品を作る」といった、ものづくりのプロセスにおける一部を担っているに過ぎないと著者は言う。これは僕の感覚ともフィットする、重要な指摘であるように思える。

さらに第3章では、「売れる」「作れる」という2つの環境の変化を前提として、モノがインターネットにつながっていくと何が起こるのかについて述べている。ここで初めてIoTが出てくるが、著者によればIoTを「モノのインターネット」と訳すのは間違いで、むしろ「モノとコトのインターネット」と呼ぶ方が正確だと述べている。この「モノ」が「コト」とくっついていくのが「サービス化」で、それは従来の日本のメーカーが得意としてきた「モノ」の品質向上で儲けるやり方が通用しなくなってきており、それを「コト」と組み合わせて、サービス・パッケージとして売らなければならなくなってきているのだという。

最終章はものづくりの未来ということだが、ここでの主張はIoT(Internet of Things)からIOE(Internet of Everything)への移行で、要すれば「モノとコトがつながるインターネット」に、人間の動作や行為までつながることが予想されている。センシング技術が向上し、さまざまなセンサーがモジュール化により安価で手に入るようになったため、人間の身体から得られる情報や人間の動作・行動から得られる情報――いわばビッグデータが価値を持つようになってくると著者は見ている。

こうして、ものづくりに関する数々のキーワードは、本書の中で余すことなく整理がなされているのである。しかも、話は思いもよらずウェアラブルやビッグデータの世界にまで及んでいる。

こういうまとめ方は非常に助かる。頭の中で散らかっていた情報のピースをつなぎ合わせるには、こんな本の手助けを借りるのも一案かも。

唯一の心残りは、僕自身がこの本を読んだタイミングの問題。今月初旬に出かけた東南アジア某国への出張の帰路、飛行機の中で読んだのだが、前夜『下町ロケット2 ガウディ計画』にハマってほぼ徹夜状態で空港に向かったため、読みながらところどころウトウトしてしまい、あまり良質な読書の時間を確保できなかったことが悔やまれる。いずれこのテーマでは自分の考えていることを文章に落とさなければならない時期が来るので、その時の参考文献として、本書はキープしておきたいと思っている。

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