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『2050年の世界』 [持続可能な開発]

2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する

2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する

  • 作者: 英『エコノミスト』編集部
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/08
  • メディア: 単行本
内容紹介
1962年に日本の経済大国化を予測し、見事に的中させたグローバルエリート誌が、今後40年を大胆に予測。
-日本は、人類がまだ見たことのない老人の国へと突き進んでいる。
  2050年における日本の平均年齢は52.7歳。米国のそれは40歳。
-しかし、中国も同じ少子高齢化に悩み、2050年に人口減少がはじまり、経済成長は止まり、
  インドに逆転される。
-豊かさの指標であるGNPで、日本は韓国の約半分になる。
-今後もっとも進歩をとげる科学分野は、生物学である。
-英語は、タイプライターのキー配列のように、いったん得たグローバル言語の座を維持する。
-人口の配当をうけるタンザニアなどアフリカ諸国が新興国として台頭。
ビジネスに、教育に、あなたの未来に関するヒントが満載!

2年ぐらい前から、わけあって未来予測の本を意識的に読むようにしてきた。『〇〇年の〇〇』というタイプの本だ。お陰で自分たちの老後はどうなるとか、我が子の未来はどうなっているのかとか、地球はそもそもどうなっていくのかとか、そういうことへのある程度のイメージは作り上げることができた。それでも未来予測の本は多く、とりわけ分厚い本は、取りあえず購入はしたけどそのまま積読状態で長く放置してしまった。年明けから始めた蔵書の「リストラ」、年の初めということもあり、やっぱりこれから世の中はどうなっていくのかを考える本から行くのがいい。

400頁超の大作で、各頁の文字も細かい。お陰で読了には多少時間がかかった。読み込みにかけられる時間が意外と少なかったというのも理由としてはあるかもしれない。ちょっとペースが遅いなと感じたので、会社の昼休みにコーヒーショップに行って30~40分の読み込みをやったりもして、なんとか読み進める時間を捻出した感じだ。

未来予測といっても、何についての未来かは読者によって関心も異なるし、1人の読者であってもその時々の関心によって読むポイントも変わってくるだろう。ひと通り読んだ上で、必要に応じて必要な箇所を読み返すのでもいいかと思う。訳本を読むときに常に気になるのは、文中で引用されている文章の出所だ。日本語で引用元の著者名とタイトルを書かれていても、原文の日本語版が出ていない限りは英語の原書を当たるしかないが、それを調べることができないケースが多い。編集の都合上、訳本では索引や脚注、参考文献リストが往々にして割愛されてしまう。そうすると、引用文献の原文の記述がどうなっているのか、その前後に何が書かれているのかがわからない。

要するに、本書の場合も先ずは訳本を読んで何が書かれているのか全体像を掴むというのは良いが、本当にこの中の記述を使いこなそうと思ったら、次は英語で書かれた原文の方をチェックできるようにしておくべきだということになる。だから、読了と同時に僕は原書の方も購入することを決めた(中古だが)。

Megachange: The World in 2050 (The Economist)

Megachange: The World in 2050 (The Economist)

  • 作者: D. Franklin
  • 出版社/メーカー: Wiley
  • 発売日: 2012/03/27
  • メディア: ハードカバー


肝心の内容についてであるが、人口動態の予測については、元々当たる確率が最も高いわけだから、これまでに僕が学んできた予測とそんなに大きく変わる内容ではなかった。それ以外でも、書かれている内容は過去にどこかで読んだなというのが載っていることが多くて、目新しい予測がそんなにあるとも思えないというのが1点。

とはいえ、考え方の整理には役立つだろう。僕にとって最も参考になったのは第12章「貧富の格差は収斂していく」―――世界的には新興国の成長や途上国の人間開発指標の改善が見られることで、国家間の格差は縮小していくという、「コンバージェンス」が扱われているチャプターだ。「コンバージェンス」を扱っている本は他にもあるが、そこではコンバージェンスだけが強調されているけれど、本書の場合はこうした国家間の貧富格差の縮小と同時に、国内の貧富格差はかえって拡大するという点についてもフェアに注目している点が良いと思った。国内格差の拡大は、富裕層の所得の割合が急増することによる。ただ、そうであったとしても、各国間の所得格差の縮小の方が強力だと言い切っている点、結論はあまり変わらないが。どちらの方が重要かは、読者の立場によっても異なる。

本書で良い点は、短いながらも巻末に船橋洋一氏が解説を載せていることだ。国家間格差と国内格差の問題についても、二者択一ではなく、同時に起こっているのだと強調されている。つまり、貧しい国では億単位で貧困層から中産階級へ人々はのし上がっているが、豊かな国では中産階級がボロボロと貧困層へこぼれ落ちていく。それに伴って、国家間の格差は縮小していくが、国内の格差は拡大していく。同時に起きることなのだという。国内格差の大きな原因は、前述の通り一握りの大金持ちが全体に占める富が巨大になったことに加え、高齢者と悪念層の富の格差の広がりにもよるのだと解説している。

それと、最終章「予言はなぜ当たらないのか」もなかなかよかった。今から40年前になされた予言を見ると、悲観的な予言ばかりで、しかもそれらはことごとく外れていると指摘している。その理由として、特に大きいと感じるのは、多くの予言は、現時点で起きていることの延長線上で未来を描いているからだと考えられる。人間が対策を講じるということを無視しているというのが著者の主張だ。だから、「資源が枯渇する」「食糧が枯渇する」といった終末論的予言が多く見られたが、そこではイノベーションによる「低価格化」が起こるという、「人間による対策」が無視されてきたという。

僕たちは、どうしても地球環境、温暖化のことを考えて暗い将来を思い描いてしまう。でも、それに対して科学技術イノベーションがちゃんと応えてくれれば、何もしなかった時に起きる未来とは別の未来が待っているかもしれない。予測は往々にして外れるという指摘には少しだけ救われた気がした。また、著者は先進国では様々な形で実際に森林面積が増えるなど環境の良化が起きているので、今の新興国が先進国並みの経済水準になる2050年までには、これまで損なわれてきた寛容が復興するようになるだろうという、楽観的な予測もしている。(ただ、最近の国際会議なんかを見ていると、そうした科学技術イノベーションの進展も織り込んだ予測がされているようにも思えるので、予断は許さないだろうが。)

一方で、やや首を傾げるような予測も。第6章「宗教はゆっくりと後退する」などはその典型である。この本が書かれた2012年の時点では、ISISの台頭すら予測されてなかったわけで、やっぱり一寸先は闇だとも痛感させられる。


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