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『シビックエコノミー』 [持続可能な開発]

シビックエコノミー—世界に学ぶ小さな経済のつくり方

シビックエコノミー—世界に学ぶ小さな経済のつくり方

  • 作者: 00
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2014/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
誰もが経済の中心を担う、市民起業家になれる。私たちはもっと、市民参加型社会を理解し、実行に移すことができる。世界の市民の、市民による、市民のためのイノベーション事例集&解説本!  本書は、名もなき市民1人1人の知恵を結集して起こした、海外の「地域イノベーション」の実例集です。日本国内のソーシャルデザイン本に不足していた、具体的な結果としての「数字」を25のすべての事例で明らかにし、コミュニティやプロジェクト成立の背景、問題解決までのストーリーを、年代ごとにポップなイラストで図説しています。その地域ならではの社会問題、イノベーションが周囲に与えた影響、他地域でも生かせるポイント、他国での類似事例、結論など、すべてをコンパクトに1事例=8ページで見事に整理し、完結して解説しています。また、最終章では成功や失敗を踏まえて「市民起業家に必要な行動ガイド」を8つに絞り込み提案。問題意識を持つ誰もがプロジェクトを立ち上げられる具体策が、丁寧に解かれています。市民としての意識が強い欧米圏で、市民参加型社会をつくるために、コミュニティを活性化するために、大きな社会問題も小さな取り組みから始めるために、日本には足りなかった巻き込み方、さまざまな参加の仕方、結果(数字)の作り方がよくわかる1冊です。

何かの拍子に、この本の存在を知った。多分、ものづくり市民工房の事例が本書にも紹介されていたからだろうと思うが、思いもかけぬタイミングで、市立図書館で順番が回ってきたものだ。ちょっと忙しかった時期なので、タイミングとしては最悪。幸い後ろに順番待ちの人がいなかったお陰で、貸出延長も含めてトータルで4週間かけ、なんとか最後まで目を通した。

市民が主体的に参加して立ち上げる地域経済の取組みを沢山集めた事例集である。そして、その多くは英国の事例だ。その1つ1つはなかなか革新的で興味深い取組みも多い。中にはファブラボ・マンチェスター等、聞いたことがある取組みもあることはあるが、ほとんどは僕のまったく知らなかったもので、目を開かせてくれるものだった。

個別の事例を列挙した後、そこからの含意と教訓を述べておられる。太字で書かれた箇所だけを拾ってみておく。

- シビックエコノミーは、社会、経済、環境の問題を前進させるための欠かせない力として、新しいかたちで
  再び台頭し始めている。


- 市民起業家は、人、地域、地域社会の強さ、繁栄、幸福を増すことに積極的に貢献することができる。

ー 地域――市町村や隣近所――が新しいシビックエコノミーの中心である。

- シビックエコノミーの成長には、公共、民間、第3セクターにわたって、さまざまな考え方ややり方が必要
 になる。


これに関してはちょっと補足しておくと、シビックエコノミーは極めて多様な主導者と参加者の目的と行動力によって牽引される経済なので、政府、地域の公共機関、民間、第3セクターのどの主体であっても、単独では市民起業家の成長のための材料を揃えることができないとも指摘し、その中での公共、民間、第3セクターの果たすべき役割を述べている。

公共部門の役割について、本書は「サーバントリーダーシップ」を提供することだとまとめている。基本になるのは、「時間を追って、地域で起こっていることの正確な把握、地域や組織内での下位者への権限移譲、実践コミュニティーの形成、そしてスチュワードシップ(管理責任)」(p.172)だという。それは容易なことではなく、「人や場所の隠れた機会や能力に気づくだけでなく、それらを組み合わせ直し、革新的な手法で、たとえば仲介、共創、資金調達、委託、成功の測定」(同上)等を行うことが求められるのだという。

- シビックエコノミーが成功するためには、巨大なものと極小のものの橋渡しが必要になる。

- 私たちは、シビックエコノミーをもっと理解し、そして実行に移さなければならない。

これらの教訓に基づき、本書は8つの提言を行っている。

1.主導者=市民起業家を見つける。
シビックエコノミーを築くのは、自らの情熱、目的、責任感に導かれ、その人的つながりと信頼を重要な資産として活用する主導者達であり、こうした主導者を先ず見つけ出すことが重要。

2.協議を超えた市民参加=市民に共創を呼びかける。
シビックエコノミーは、社会全体から参加者を迎えることによって成り立つ。その参加の目的は、協議や相談にとどまらず、共創や共同投資の枠組みを築くことであり、それによって民主的な深い帰属意識が醸成される。

3.共同出資=資金調達の多様化。
シビックエコノミーは、ますます多様化する資金源、そして別の種類の「通貨」――人々の時間、信用、人的つながりなど――の投資を活用して築かれる。

4.すでにある資産を再活用する=隠れた機会の発掘。
シビックエコノミーは、休眠状態や十分に利用されていない、潜在する物理的資産、人的能力や向上心などを発掘し、組み合わせ直すことによって起こる。

5.場所の体験=物理的・社会的な条件を設定する。
シビックエコノミーは、場所の総合的な体験を創り出そうとする。その場所の目的を物語るような場所を創り出し、利用者に驚きや喜びを与え、人びとの参加や協働を歓迎する仕組みづくりに生かそうとする。

6.ゴールを決めないアプローチ=自然発生を促す枠組み。
シビックエコノミーは、目的ありきではあるものの、戦略的計画によってではなく、試行錯誤を繰り返しながら、柔軟、臨機応変、段階的に推進される。小さくスタートし、ニーズや機会に応じて徐々に発展していく。

7.ネットワークの力で変化を起こす=規模の挑戦。
シビックエコノミーは、地域に根ざすだけでなく、外部のチェンジメーカーと精巧につながっている。真似するのではなく、ネットワークの力と地域への適用によって成長する。

8.価値のありかを認識する=変化の指標。
シビックエコノミーは、多元的な価値観や成果を届けることを基本にしている。新たな政策、プロジェクト、調達の目的や指標を設定する際には、これを認識し、考慮していく必要がある。

パートナーシップを形成するというのはこういうことを言うのだなというのがわかる一方で、事例の殆どが英国のものであるため、なんとなく口惜しさを感じた。この種の取組みは日本国内にもある筈なのに、なんでわざわざ英国の事例を大きく取り上げ、礼賛するのだろう。やっかみ半分の複雑な気持ちにもさせられた。

日本のシビックエコノミー形成への取組み事例について書かれた本はないのかと探していたら、実はこの本には続編制作の構想があり、つい最近日本版が出たことを知った。海外赴任する時には持って行こうかな…。こういうのが持続可能な社会の形成へ向けた地域レベルの取組みだと思う。SDGsと紐づけられたら、日本も意外といいことを国内でたくさんやっているというのをアピールできてよい。

日本のシビックエコノミー―私たちが小さな経済を生み出す方法

日本のシビックエコノミー―私たちが小さな経済を生み出す方法

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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