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『ビッグデータ革命』 [仕事の小ネタ]

ビッグデータ革命 無数のつぶやきと位置情報から生まれる日本型イノベーションの新潮流

ビッグデータ革命 無数のつぶやきと位置情報から生まれる日本型イノベーションの新潮流

  • 作者: 野村総合研究所
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/03/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
クラウド時代に必須のITビジネス戦略とは何か? 「全力案内!」「TRUE TELLER」が解き明かした生活者の本当のニーズ。
この本は、先月、近所のコミセンで開かれた「コミュニティセンター祭り」の古本市でたまたま見つけて10円で購入した。会場でパラパラとページをめくってみて、野村総研のやってることを宣伝するための本だとすぐにピンと来たが、仕入れ値が10円だと思えばたいていのことは笑って済ませることができる。

「自社製品の宣伝に偏り過ぎ」、「商品カタログに過ぎない本」などといった辛口のコメントもアマゾンのHPには載っていたが、この手の本は名刺代わりに出版されてるものでしょう。たぶん出版社の印刷製本代分をカバーするぐらいの冊数の買取りを野村総研でやられている筈で、先に挙げたような批判は的が外れているように思う。

逆に、ビッグデータ活用の具体例と、実際の製品開発に至るプロセスを知ることができ、なかなかの本だとも思える。本書では、ビッグデータを「高詳細、高頻度で生成され、多様性に富むデータ」と定義し、それを活用して、経済・社会の問題解決や、業務の付加価値を向上させる事業、もしくはそれを支援する事業をビッグデータ・ビジネスと呼んでいる。今では消費者のIT活用の方が先端的になり、企業よりも個人のIT利用環境の方が高度化する、「産消逆転」現象が頻繁に見られるようになったと本書は指摘する。

そこでは、ビッグデータ・ビジネスを企画する際に最も重視すべきは、市井の人間に関わるデータ、消費者接点のデータだと主張する。例えば、「コールセンターに寄せられる肉声」、「ネット上のつぶやき」、「ウェブログ、クリックストリームなどから得られるデータの動向」、「運行中の車両や電力のスマートメーターから得られる消費者接点のデータ」である。

その上で、本書は、野村総研が手がけるビッグデータ・ビジネスから、具体的に2つの事例を取り上げて詳述してる。1つは、運行中の車両に搭載したGPSセンサーで情報を集積して渋滞回避してスムーズに走行できる道路を割り出し、スマホに「プローブ交通情報」を提供するナビゲーションアプリ「全力案内!」、もう1つは、ソーシャルメディア上でユーザーから発信されるテキスト情報をテキストマイニング技術を用いて分析するツールである「TRUE TELLER(トゥルー・テラー)」である。但し、前者については、間が悪いことに2013年5月に野村総研はサービス終了を発表し、同年11月末までに全サービスを終了している。理由はよくわからないが。

いずれにしても、世の中ビッグデータ、ビッグデータと騒々しい中で、具体的に何をどうやったらいいのかを示すことは重要で、参考にはなると思う。特に、「最も重視すべきは、市井の人間に関わるデータ、消費者接点のデータ」だという視点はとても重要だろう。知らず知らずのうちに、消費者がビジネス開発に参加しているというわけだ。一種のオープンイノベーションなんだろう。

野村総研はビッグデータをどうやってビジネス開発につなげたかをこうして具体的に語っているわけで、他の企業も同様の宣伝をやっていったらいいと思う。僕らはこうしたサービスを取り込んで実際の経済・社会の問題解決につなげていくことを考える立場なので、誰がこういうサービスをやってくれるのかを知ることは重要だ。例えば、ショートメールやツィッターで飛び交うテキストデータや携帯電話の音声データから、どこの街のどの場所でテロが起きたとか、デモが起きているとかわかれば、ユーザーは危機回避につながると思う。フェリカがもっと途上国に普及すれば、僕ら外国人が公共交通手段を使う時によく感じるストレスはある程度解消されるし、女性の利用が比較的多い区間や時間帯によってサービス内容を改変するとか、利便性向上も検討しやすいかもしれない。

勿論、こういうビッグデータを活用したビジネスの開発に精通した人材の育成や、プライバシーの保護との折り合いについては課題で、その点は本書でも認めている。強いて挙げればもう1つ、サイバーセキュリティ上のリスクへの言及はあってもいいのかなという気もするが。

また、野村総研が自社の提供サービスの宣伝をこのような形でするのは別に構わないけど、「全力投球!ナビ」にせよ、「TRUE TELLER」にせよ、ビジネス開発の段階でビジネスパートナーとどのように費用・収益を分配したのかについて、多少言及があってもよかったのではないかという気がした。タクシー会社各社が、独自搭載して集めていたデータに別の価値があったのなら、各社とも自社で集積したデータを新たな収益源として期待したいだろうから、タダで野村総研にデータを提供するなんて考えられない。各々の事例でどのような費用・収益の分配が行われたのかは、結構大きなブラックボックスであるように思える。

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