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初めて聞いた国王の肉声 [ブータン]

国会第7会期末閉会式における国王のご発言
His Majesty’s Address
Kuensel、2016年7月8日
http://www.kuenselonline.com/his-majestys-address/

(以下、要約)

7日(木)、会期末を迎えた国会では、全閣僚、下院、上院の議員72名全員が出席の上、閉会式が行われた。式の冒頭、玉座に着席された国王より演説があり、その英訳全文が翌8日の全国紙クエンセルに一面トップで掲載された。

冒頭、国王は、国づくりという重要な使命を担ってきた国会議員の尽力を称え、国民の代表として、国民の声を拾い、それを国の開発事業や政策に反映させ、かつその進捗を国民とも情報共有する上で、議員の果たしてきた役割は非常に大きいと評価した。同様に、権力の抑制均衡を確保するにあたって議員の果たした役割も大きい。2008年の議会制民主主義への移行以来、国会では18回の会期を重ね、35本の新たな法案を可決し、14本の修正法案を可決し、18法案を廃案にし、25本の国際合意の批准を承認してきた。ブータンの民主主義は、前例がない中で経験を積み重ね、徐々に強化が図られてきた。この過程でも国会は重要な役割を果たしてきた。

次に、国王は現政権と政府に対しても謝意を述べられた。2013年に発足した現政権の下では、第11次5ヵ年計画で示された、バランスの取れた社会経済開発が中心的取組み課題となっている。現行5ヵ年計画の総予算規模は2,130億ニュルタム(約4300億円)と過去にない大規模なものとなった。また、現行5ヵ年計画とは別に、主要水力発電所建設計画も順調に進捗し、5ヵ年計画の中間レビューでも進捗確認が行われている。

2016-7-8 Kuensel.jpg

自分が即位して10年目、議会制民主主義に移行して8年半が経過したが、今のところは順調に来ていると国王は述べられている。一方、それ以上に重要なのはこれからであり、国王は次の4点を挙げて、未来は明るいと考えると述べられた。

第1に、連結性(connectivity)の高まりにより、ブータンはより小さくまとまりつつあること。第2に、情報や経験へのアクセスが容易になり、人々はより良い教育を受け、社会全体がよりスマートになりつつあること。第3に、民主制度など、我々の制度はより強固なものになりつつあること。そして第4に、民主主義の礎を築くために大きな努力が払われてきたこと。

それを受けて、国王は次に、ブータンの目指す民主主義とは何かを述べられた。法の統治、国としての一体感、整合性、実力主義をともなう民主主義、責任ある民主主義、人々に仕える民主主義など。民主主義は国と国民のニーズに応え、また同時に国民もその行方に信頼を寄せるものでなければならない。しかし、世界中で最も好ましい統治の形と考えられてきた民主主義も、多くの国では失敗している。我々は現状に自己満足していてはいけない。常に慎重に、最善を尽くして仕える必要がある。

国王はここから目線を父親としてのそれに移す。今年2月の王子誕生により、自分は新たな責任を負ったと強調された。自分が先代国王から育てられたのと同様、我が子が王位継承するまでには、自分の知る全てのことを伝え、我が子から学べる日が訪れるのを願うと述べられた。父親としての自分の責任とは、他のすべての親と同様、我が子の明るい未来を保証することである。この国を、より強固で、より平和で、より繁栄した形で我が子の世代に引き継ぐことが、我々全員の使命だと国王は述べられた。

ここから国王の視線は国民全体へと向かう。王室の慶事において国民から寄せられた祝意、2003年の軍事作戦や2008年の民主化、大災害発生といった国の根幹を揺るがす出来事に国民から得られた支持と参加などに謝意を述べつつ、こうした出来事を通じてブータンの統一はより強固なものになり、アイデンティティは共有され、ブータン人であることに誇りを持つようになってきた。また一家族の一員として、お互いの幸せを思い、責任を果たしていくことが求められる。

最後に、先代国王への謝意、ジェツン王妃への謝意、全国20県のすべての人々への謝意を述べ、すべての人々に奉仕していくことを誓うと述べられて、国王は結びとされた。

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この演説は、ブータン国営放送(BBS)のテレビのニュースでも度々報じられ、BBSのHPからはライブ映像を再生できるようになっている。こちらへ来てほとんど初めて、国王陛下がまとまった演説をされた肉声を聞いた。ゾンカ語だったので、実際はもっと格調高い内容だったのかもしれないが、お話になられているのを聞いていて、僕自身も身がしまる思いがした。

こうして訳文を読んでみると、すべてのオーディエンスに対して配慮された、素晴らしい構成の演説だったことがわかる。次の世代によりよき社会を引き継いでいくという点を強調されていたのも印象的だった。
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