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『IoTとは何か』 [仕事の小ネタ]

IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)

IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)

  • 作者: 坂村 健
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
  • 発売日: 2016/03/10
  • メディア: 新書
内容紹介
今までの日本のICT(情報通信技術)戦略は、技術で始まり技術で終わることが多く、出口戦略がなく、結果として使われないものになっている。IoTがその轍を踏まないようにすること、そのためにも哲学が重要なのである――。
「IoT=モノのインターネット」とは何か。何のための技術であり、私たちの社会や生活は、一体どう変わるのか。技術研究開発や社会制度設計、ビジネスや実用の最前線から、豊富な実例をあげつつ、その現状・課題・未来像と、日本への指針を示す!

ちょっとばかり7月中旬に仕事でIoTと関連するプレゼンをやる必要が出てきて、かなり早い時期にKindle版を購入してあったのだけれど、結局時間がだんだん押してきて、結局参考文献に当たる時間も確保できないうちに既存資料の焼き直しだけでプレゼンはやっつけてしまった。このため本書も約2ヵ月積読状態で放置してあった。9月に入り、再び別のプレゼンを行う機会が得られそうなので、今度こそと思い、先週後半から急いで読み始め、3日(土)にようやく読了した。でも、結局この内容だとプレゼントの関連性が薄く、あまり使えなかったのが残念だ。

このブログを長年ご覧になっている読者の方ならおわかりかと思うが、僕は一時期「スマートシティ」の関連図書を集中して読んでいた時期がある。スマートシティはモノとモノをネットでつないで制御し、エネルギー使用を最適化することで、エネルギー消費量を抑制する効果が期待されるが、人によればそれは公共交通機関利用への誘導を指していたり、都市を走る車両の流れを把握して交通量の少ない道路に誘導する仕組みのことを指していたりする。スマートシティという言葉は魅力的で、それに向けて推進役となっている大学や企業は多いけれど、1つの企業がこんなすべてを包摂するようなパッケージを提供できるとは思えず、それじゃあ複数の大学・企業がコンソーシアムを作って1つの都市をまるごとスマート化するようなことをどこかでやっているのかというと、それもよくわからない。何をどうやって進めて行ったらスマート化が達成されるのか、道筋がはっきりしなかったのだ。

それに比べると、坂村先生の近著は、特定の企業が売り込んでいる「閉じたIoT」と、本当の意味での「オープンなIoT」との違いを明らかにしており、同じ議論は企業が自社が得意だとしている「閉じた」中でのスマートシティ化と、本当の意味での都市のスマート化とはかなり違うのだという形でも適用されそうだ。

本書のキーワードは、「オープン」という点にあるようだ。そして、いろいろな企業や研究機関も参加したオープンなネットワーク化の中では、どういうシステムを構築すればいいのか標準を定めるような「ガバナンス」が鍵となるという。そういう姿を、既に1980年代のTRON開発から描いておられた坂村先生の先見性には驚かされる。IoTの捉え方も、本書に書かれている内容の方が僕的にはしっくり来る。

以下はKindle版の本文からの抜粋である。ページ番号がふれない制約についてはご容赦願いたい。

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「IoTは日本の得意な組込み機器のネットワーク化という流れの先にある未来」

「先行していたのに後塵を拝していることにこそ、日本の産業界の本質的問題が現れている」

「トヨタのカンバン・システムもIoTだが、それは系列に閉じたIoTだ。逆にインダストリー4.0が目指すのは、標準化したカンバンによりドイツ――さらには世界中の製造業すべてが繋がる、系列に閉じないカンバン・システムである」

「日本が先行する「閉じたIoT」が、これからの「オープンなIoT」になれるかを決めるのは社会的問題」

「将来はすべての医薬品――さらには食品といった消費財についても、原料は何か、関わった製造者は誰か、どこに流通して、誰に消費されたかのトレーサビリティがIoTの一環として行われるようになる」

「家庭やオフィスや工場や農場――社会のさまざまな現場の設備や機械、さらにはそこで扱われている物品、それらが関係するさまざまな利用シーンの「すべて」を対象として自動連携させ、ひとつの有機的な生態系にするべきであり、それこそがIoTのゴールなのである」

「センサーと自律電源と無線ネットワーク機能を備えたチップを使えば、橋梁や建造物で異常振動を検知すると通報するようにセットすることもできる。法面やトンネル内部などにセンサーモジュールを埋め込めば、検査用の車両が走行してデータを受信し、問題の出そうなところをピックアップできる」

「最初はオープンといえばOSだったのだが、オープンのレイヤーが拡大してきて、今は「ミドルウェア」「ライブラリ」「開発環境」「ブラウザ」「データベース」とオペレーティングシステムよりも上のレイヤーでオープンが話題になってきている」

「3Dプリンター向けの設計図をオープンにする例も多い」

「ICTの技術環境では、組込み分野においても開発環境からさらに利用環境にもオープン化が広がっている。そのオープンな技術を使って開発されるシステム自体もオープンになっている。これは組込みの利用環境が大きく変わっているからだ。ネットワークが高速化、低コスト化し、常時接続可能になってきたため、組込みシステムも単独で存在するということがどんどん減り、「クラウド前提の組込み」に大きく変わろうとしている」

「組込みシステムがいわゆる目や耳となって、現実の世界の状況を知る。スマートフォンが人と対話する。それらのデータを受けたクラウドが、状況を判断して最適制御を決める。その制御をまた組込みシステムが受けて、手や足となって現実の世界の状況を操作する。それらすべてをリアルタイムのネットワークがあまねく結ぶ」

「世の中にあるクローズな技術プロジェクトとオープンなプロジェクトの本質的な違いだ。それは技術の違いではなく、むしろ社会性の違いといった方がいい」

「IoT化した世界の理想像――あらゆるモノに超小型チップが付き、センサーネットワークにより状況(例えばある場所の温度や湿度、人がいるのかどんなものが置いてあるのかなど)を高精度に把握できる世界」

「道路の周囲の崖やトンネルへ、土木分野での危険感知用センサーネットワークを組み込むことは、今でも技術的には十分可能」

「責任やコストの分担の問題さえ解決できれば、道路に埋め込んだチップも、コンクリートの状況を知らせるためと同時に、目の不自由な人のガイドにもなり、将来的に点検ロボットやメッセンジャーロボットが導入されれば、それらのガイドにもなる。さらに平常時はそれらの目的に使われるチップが、災害が起こったときには、レスキューロボットのガイドや、橋やトンネルなどの倒壊の可能性評価などにも使えるようになるだろう」

「日本の組織・個人は、一般に責任感が強く失敗を恐れる傾向が強い、いわばギャランティ志向である。ギャランティ志向は、ベストエフォートにより成り立たざるをえないオープンなシステムとの親和性が悪い。そのことgあインターネットを始めとする、現在主流のオープンな情報システムを構築する上で、日本が後手に回る要因になっているように見受けられる」

「ICTそのものも間違いなく集中から分散に行っているが、その時に重要なのは、技術だけを分散にするのではなくガバナンスも「集中から分散に」「クローズからオープンに」する必要があるということだ」

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但し、なんだか坂村先生の進めておられる現行プロジェクトの宣伝のような内容でもあった。上記抜粋にもあるように、日本企業の進めようとしているIoTには問題ありと指摘はされているが、では具体的に何をどう変えて行ったらいいのかは必ずしも列挙はされておらず、ご自身の主宰するプロジェクトが挙がっているのみである。まあ、本というのはそういうものかもしれないが。

それじゃあ、これってブータンの文脈でも議論できることってあるのだろうか。ある。道路の周囲の崖や橋梁に危険感知用のチップを埋め込んでネットワークでつなげば、どこの崖や橋梁が倒壊の危険にあるのかを事前にキャッチできるだろう。火災もこの国の伝統建築を考えた場合には災害の1つと捉えていいと思うが、もし火災検知器を消防ネットワークとつなげば、火災もできるだけ小規模で食い止めることも可能となるだろう。

4日(日)はティンプーのゴルフ場で生まれて初めてコンペに参加した。20年近くもやってなかったゴルフをこちらに来てから再開したものの、この日は約1カ月ぶりのゴルフで、イン78、アウト67の大たたきをやらかした。途上国のゴルフ場である。ラフに打ち込むととたんにロストボール。無くしたボールの数は5個にも及んだ。

ゴルフボールに組込み式チップを付けたら、ロストボールが大幅に減らせるし、打数のカウントでも悩まされることが減り、プレイ時間の節約になる。それ以前に、シャツとズボンとクラブにチップを付けたら、スイングの補正をラウンド中でもこまめにでき、ボールを曲げずに済むようになるかもしれない。クラブ選択のミスも減らせるかも。本書を読んだ直後のコンペで大たたきした週末、そんなことを考えながらレビューを書いた。社会革新とは全然無関係だけど、これも立派なIoT、今の率直な気持ちである(笑)。

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