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『酷道を走る』 [読書日記]

酷道を走る

酷道を走る

  • 作者: 鹿取 茂雄
  • 出版社/メーカー: 彩図社
  • 発売日: 2009/08/08
  • メディア: 単行本
内容紹介
全国に広がる大々的な道路網。しかしそのすべてが快適に走れると思ったら大間違いだ。 ダートでドロドロ、ガードレール皆無なのはあたりまえ。それ以上の、命の危機を感じる危険が国道には数多く潜む。 そんな「国道」ならぬ「酷道」を走破した記録とノウハウが詰まった1冊。 地図もついているので、ドライブにも必携!

どうしょうもない事情により19日からの一時帰国をキャンセルしてしまった。どうしてもいなければいけないのは24、25日の両日だけで、あとのところは何の予定も入れていない。一時帰国をキャンセルしたからといって何か代わりにやることが急に入るわけでもないので、ふだんなら早朝やっている仕事の予習もせず、息抜きに何かもう1冊読もうかと考えた。

シリアスものじゃ息も詰まる。何かないかなとキンドルのショップで物色していたら、なにやら表紙が面白い本に目が吸い寄せられた。タイトルには『酷道』とある。明らかに日本の辺境の国道のルポだと想像できた。いいですね~、ブータンの国道で経験させられるようなことが、日本の国道でも味わえるのだ。

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《ブータン国道4号線、ゾンカラム橋の崩落現場。7月上旬に崩落後、最近ようやく復旧した》

2016-8-30 Kuensel05.jpg
《ブータン国道1号線、ノブディン手前約10km地点の斜面。目の前を石が転がり落ちてくる》

酷道・廃道ものは、本書の前にも何冊か出ているのがあるらしい。いずれも人気で、発刊から10年近く経過してもいまだに絶版になっていないが、なにせキンドルで読める初期の作品といったら本書ぐらいなので、さっそくダウンロード開始。

ダウンロードしてみてわかったことだが、著者の鹿取さんて、今はわからないが発刊当時は岐阜県に住んでいた人らしい。その著者の最初の酷道体験は、免許取りたての時に日産シーマをレンタルして、岐阜市から国道157号線で福井県に抜けるルートを図らずも走ったものだという。続いて紹介されている国道418号線、417号線も岐阜県内を走る現役の酷道である。そもそも417号線なんて、岐阜の実家に戻る際にいつも通っていたルートだ(勿論、二車線のまともな区間だが)。岐阜県出身者にはたまらない内容だ。

国道152号線は、「秋葉街道」の名前で、1974年の岡田喜秋『山村を歩く』にも出てくるので、比較して読んでみた。岡田さんが歩かれた当時の秋葉街道も、所々で道路が破線になっていて、彼は来たから南下を試みたのだが、地蔵峠の南斜面で歩道を見失って大変な思いで下山された経験を書かれているが、30年以上経過して21世紀になった現在も、道はあれども迂回を強いられる、未完の国道になっているようである。

単に酷道の状況を描いているだけではなく、途中にある構造物や出会った怪しげな集団のことを後で調べたりもしている点は好感持てる。欲を言えば、国道152号線の章ぐらいから後は、1人ドライブじゃなく同じような酷道マニアと一緒に走っておられるので、車内でのおちゃらけた会話とか、話の内容が単なる旅行記になっていってしまうところが残念。岡田喜秋さんの秋葉街道編は、途中で平家の落人の集落や南北朝時代の宗良親王の立てこもった村の話なども出てきて、歩きながらいろいろ思索を巡らせておられる様子が好感持てた。

歩くのとドライブとの違いはそのスピード感にあるので、岡田さんと同じようなことをドライバーの鹿取さんに求めるのはお門違いだとはわかっている。でも、418号線や417号線では後から補足調査をされたりしているのに比べ、四国や九州、中国、東北の酷道への遠征は、どうしても旅そのものの記述にウェートがかかってしまい、面白いことは面白いのだが、中部編と比べるとちょっと重みに欠けるような気がしてしまった。自分たちが旅先で見たものがなぜそうだったのか、後付けでも調べてみてくれるともっと良かった。

こうした酷道・廃道ものが売れているということは、今でもアタックしているドライバーが多くいらっしゃる証なのだろう。かく言う僕も、国道ではないものの、自宅から行きやすく、交通量の少ない道路を走るのは大好きで、一車線道路を手に汗握りながら走った経験を持っている。国道417号線は、旧徳山村の、まさに道幅が狭くなりすぎてこれ以上先には行けないなぁというところまでは行って引き返したことがある。楽しさはよくわかっているつもりだ。

でも、決して無理はしないで下さい。著者も、「これ以降通行不能」と書かれたような柵を乗り越えてその先へと車を走らせる冒険を何度もしておられるが(それが酷道マニアの醍醐味でもあるが)、常に遭難のリスクと背中合わせであり、無謀と思われるようなこともやっておられる。実名で出版しちゃって大丈夫なのかと心配にもなった。

「ブータンの道路ってどんな感じなの?」と聞かれることがあれば、本書を参考に、「日本で言えば、国道〇〇号線みたいな感じ?」なんて答え方してみたいものである。

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ゾンカラムの通行禁止、解除
Dzongkhalum block cleared
Kuensel、2016年9月20日、Nima Wangdi記者
http://www.kuenselonline.com/dzongkhalum-block-cleared/

2016-9-20 Kuensel.jpg

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