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『聲の形』 [読書日記]

聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)

聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)

  • 作者: 大今良時
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: コミック

今年の夏は日本映画のヒット作が続いている。先日、小説版をご紹介した『君の名は』は、8月公開後、現在まで絶賛公開中だが、9月のシルバーウィークの頃になると、今度はさらに『聲の形』も公開され、話題になっている。水門小学校6年生の将也のクラスに転校してきた硝子は聴覚障害者。筆談で友達になりたいと訴える硝子をウザいと捉えた将也を筆頭にクラスのいじめが始まる。やがてそれがエスカレートし、校長先生からいじめの存在を疑われるようになると、担任を含めてクラスの皆が将也1人にその非を負わせるべく無視、嫌がらせの矛先が将也に向く。硝子は転校し、将也は小中学校生活を孤独で過ごし、高校生活も同じ状態で半ばを迎えた時、硝子への詫びと過去の償いに向けて将也は動き始める―――ざっとそんな話である。


この作品で要注目なのは、僕が高校卒業までを過ごした岐阜県大垣市の様々な場所の風景が作品の中で登場していることだ。既に「聖地巡礼」が始まっていて、中には作品と実際の場所とをセットで紹介してくれている動画サイトもあり、それを見るとすぐに「あ、あそこか!」と思わず手を叩きたくなるぐらいに身近な場所が多いことに気付かされる。『君の名は』は同じ岐阜県でも郡上市が舞台だったが、『聲の形』はもっと身近だ。原作の大今良時さんが大垣出身なので、さもありなんだ。

《映画のシーンとの比較》

《原作マンガのシーンとの比較》

残念ながら僕は上映中の映画を見に行くことが難しい。だから、それに代わって原作全7巻を全部読破することにした。正直言うと第1巻の執拗ないじめのシーンは読んでいて気分が悪くなるくらいである。それが、高校生になった将也が硝子との再会に向けて動き出す第2巻からの展開は、早く続きが読みたいという感覚に襲われ、ページをめくる手が止められなくなった。小学校時代に自分を仲間外れにした昔の同級生たちとの関係も再構築され、順風満帆かと思った矢先に、その関係性が再び壊れてしまう出来事があり、硝子は自殺を図り、硝子を助けた将也が逆にマンションから転落して意識不明に陥る。そこからは硝子自身が仲間たちを再びつなぎ合わせるべく動き始める。意識を取り戻した将也が硝子と再会するシーンは、泣ける。言葉がない分、描画だけでそれを描ききり、泣かせるシーンに仕上げた原作者には敬服する。

原作のマンガを読んでいると、基本的には将也目線なので、転校していった硝子がその後どのような小中高生活を送ってきたのかはあまり触れられていないが、将也の心の中の葛藤がセリフとしてはかなり多いため、マンガを読みつつも何となく小説を読んでいるんじゃないかという錯覚に襲われることも多かった。

一方でマンガだと描くのが難しいのは、硝子と将也、結弦、佐原等とのコミュニケーションの手段として重要な役割を果たす「手話」である。マンガのコマ割りでも手話の動作は描きにくいので、会話が手話で行われているのか、単に言葉で行われているのかがわかりづらいところもあった。

今回アニメ映画化されてみて、それがこの作品ではどれだけ効果的だったのかを改めて感じた。将也の内なる葛藤も、手話による会話シーンも、アニメ化するといずれも描ける。PV見るだけでも相当きれいな動画で、日本のアニメ技術もここまで来たかと思わせる作品になっている。

論点がちょっとズレてしまったが、この作品を読んだ若い読者が、障害者への偏見や情報保証、アクセシビリティ保証の問題に少しでも関心を持ってくれるようになることを願ってやまない。

最後に、この聖地が実家から近いところに点在し、しかも高2の漫研部長の漫画オタクの娘を有するオヤジとしては、娘に原作を読ませた上で、次に長めの帰省ができる機会には、父娘で「聖地巡礼」をしてみたいと密かに思っている。娘とLINEで話したところ、娘は『聲の形』は知っていたが、その舞台が岐阜県大垣市だとは知らなかった様子だった。
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