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全国教育会議の結果 [ブータン]

既報の通りで、1月9日から12日まで、南部の都市プンツォリンで、全国教育会議というのが開催された。教育大臣を筆頭に、教育省関係者、学校関係者等が集まり、幾つかの議題について審議を行った。最終日にはトブゲイ首相も駆けつけた。クエンセルでは連日この会議の決議内容についてトップで報じていた。その他に関連イベントの些細な報道もなされていたが、今日は1面で報じられた会議の結果をご紹介してみたいと思う。

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学期期間変更案、承認
Change in academic session endorsed
Kuensel、2017年1月10日、Tempa Wangdi記者
http://www.kuenselonline.com/change-in-academic-session-endorsed/
【ポイント】
冬休みを期間短縮し、夏休みを長くする案が承認され、この冬休み明けから適用されることになった。教員は2月1日、生徒は2月3日に登校することになる(冬休みは12月18日から始まっている)。但し、高地であるメラ、サクテン、ラヤ、リンシー等は変更なし。冬場の通学が難しい高地では、3月ないし4月に新学期入りし、11月中旬まで開校する。

ゾンカ語、主要科目に復帰
Dzongkha reinstated as a main subject
Kuensel、2017年1月11日、Tempa Wangdi記者
http://www.kuenselonline.com/dzongkha-reinstated-as-a-main-subject/
【ポイント】
ゾンカ語はPP(Pre-Primary)からクラス12までの各学年での昇級試験の必須合格科目として再認定される。これに合格しないと、次の学年に進めない。また、環境教育はPPからクラス3までの間、ゾンカ語と英語の教科に統合される。

教育省、補助教員600名以上を採用へ
Education ministry to recruit over 600 support staff
Kuensel、2017年1月12日、Tempa Wangdi記者
http://www.kuenselonline.com/education-ministry-to-recruit-over-600-support-staff/
【ポイント】
教育省は、200人以上のmatron(保母)とwarden(教務主任?)、402人の補助スタッフの募集を決め、近々採用募集を開始する。これは、教員が教務以外の業務に忙殺される労務負荷を軽減するのが目的。matronとwardenはすぐにリクルート開始、補助スタッフは今後4年間かけて徐々に増やす予定。

教員向け英語研修拡充へ
Teachers to receive English language training
Kuensel、2017年1月13日、Tempa Wangdi記者
http://www.kuenselonline.com/teachers-to-receive-english-language-training/
【ポイント】
教育省は、全国の教員に対して、5日間の英語研修を実施することを決めた。生徒の英語能力の向上のためには、教員の英語技能の拡充が必要との考え。ゾンカ語教員以外の全ての教員に今年度から適用されるが、教育省は実施の条件として、実施に必要な9550万ニュルタムの予算が確保されることが必要としている。但し、教育大臣は、本当に英語能力を引き上げるには、5日程度の研修では不十分であり、教員自身の自己研鑽とハードワークが必要だともコメント。

プレミアスクールの実現可能性、効能、さらなる検討が必要
More research needed on feasibility, benefits of premier schools
Kuensel、2017年1月14日、Tempa Wangdi記者
http://www.kuenselonline.com/more-research-needed-on-feasibility-benefits-of-premier-schools/
【ポイント】
科学技術やパフォーミングアート、スポーツ、社会科学などの特定分野の教育を拡充して個々の生徒の個性を伸ばそうと意図して提案された「プレミアスクール」制度は、制度のフィージビリティに関するさらなる研究を進めることを条件として承認された。但し、初年度創設のプレミアスクールは、教育省原案の12校ではなく、多くても1、2校でスタートするとの条件も付された。STEM(科学技術、工学、数学)教育が中心に据えられる見込み。研究の結果、同制度がブータンで妥当と判断された場合、教育省学校教育局は今年4月までにコンセプト、必要とされるカリキュラム、予算、人材等をまとめ、2018年2月の開校を目指したい考え。プレミアスクールは、その科目を特に勉強したいと希望する子供を適性検査で選抜し、越境入学を認めるもの。但し、全国教育会議の出席者の間では、この制度が教育制度全体に与える影響の大きさ、特に学校間の格差や資源配分の不均衡化をもたらすものだと危惧されている。

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全国教育会議の議題は1月11日付けのブログで既にご紹介し、その中でも僕の意見も述べさせていただいているので、今さら感もあるが、ちょっと簡単に整理しておくと…。

第1に、英語研修については、僕自身の英語学習の歩みを振り返ってみても、5日程度の研修で能力が劇的に改善することなどあり得なくて、大臣がコメントされているように、教員本人の自覚と自己研鑽がなければ変化は望めないと思っている。もっと言ってしまえばこれは教員が変われば生徒も変わるという、生徒の英語力を従属変数で見ているような書きぶりだが、自覚や自己研鑽は教員の側だけに求められるものではなくて、生徒の側にも求められるものだと思う。ブータン人にはボソボソ英語をしゃべる人が多くて、全然聞き取れなくて何度も聞き返すことが度々起きる。なんでこんなに自信なさげなしゃべり方をするんだろうと思うこともしばしばだ。でも、そういうのは教員がそうでなければ改善されるというものなのだろうか。教員に求められることがあるとしたら、恐れず声をはりあげるよう仕向ける教え方、生徒への動機づけで、あとは生徒が自分でやっていくしかない。生徒であれ、教員であれ、直線的に英語のスキルアップに取り組めるベンチマークのようなものがあるといいと思う。

第2に、プレミアスクールについては、1、2校から始めるというのは現実的でよいと思うが、学校教員だけで科学技術カリキュラムの拡充を図るのは大変なことであり、せめて大学からの支援も比較的容易に受けられるような地域での実施が現実的なのではないかと思う。また、全国からの生徒の入学を適性検査によって認めるとあるが、そんなやり方をしたら、頭の良さそうな子供をその時点で選抜してしまうことになるのではないかと思う。まあそうなってしまうとしたら嬉しい悲鳴かもしれないが。

この記事ではそのプレミアスクールというのがどの学年から適用されるのかが書かれていないが、日本のスーパーサイエンス・ハイスクール(SSH)に倣うというのであれば、クラス10ぐらいからだろうと想像される。でも、その時点で既に「自分は理科をもっと勉強したい」という強い意思を持っている子どもがどれくらいいるんだろうかも正直疑問。日本のSSHは、むしろ普通に高校に進学してきた生徒に、先端科学に関心を持ってもらう働きかけを、その高校で行おうとする試みである。そもそも「将来の夢」を訊かれてもまともに答えられない子どもが多いブータンで、クラス10に進む以前に「自分は科学者になりたい」と固く決意している子どもがいるというのがイメージしにくいのである。

それにしても、フィージビリティの確認のためのさらなる研究が必要と言いつつ、あと3カ月でコンセプトを固めて予算取りに向かうという記事の書き方では、これからの3カ月間、どんな研究がどの程度の深度で行われるのかかなり心許ない。

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