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『海外でデザインを仕事にする』 [読書日記]

海外でデザインを仕事にする

海外でデザインを仕事にする

  • 編者: 岡田 栄造
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2017/01/25
  • メディア: 単行本
内容紹介
自分なりのスケールで世界に確かな存在感を示す14人のデザイナーによるエッセイ。
IDEOの欧米オフィスを渡り歩いた職人的仕事術、Googleのアートディレクターに至る紆余曲折、テキスタイルの可能性を探る北欧のアトリエ風景、制約だらけの途上国のファブラボでの奮闘・・・
フィールドに飛び込み領域を切り拓く先駆者からのメッセージ。

1月に出たばかりの本だが、知り合いの方が2人、本書にエッセイを寄稿されているので、2月に日本に帰った時に1冊購入してブータンに持って来ることにした。大きくは欧米で働いておられた方と、中国、シンガポール、フィリピン、ガーナ等の国々に足を運んだ方々とに分けられる気がする。

僕ら中年世代は「デザイン」というと本当に狭い意味でのデザインしかイメージできないことが多いが、2年ほど前に大騒ぎになった新国立競技場の建設問題でもちょっとだけ垣間見れたように、1つの建物が出来上がるためには様々なステークホルダーとの調整も出てくる。単に建造物のデザインだけでなく、それに関わる人々全ての役割を定義して、全体を俯瞰できるデザインである必要がある。

本書で登場する多くの執筆協力者が、大学でデザインを勉強して、取りあえずメーカーに就職して働き始めてみたものの、全体の中の一部のみのデザインをやらされていて、そのうちに全体のデザインをやりたくなって会社を辞め、海外に飛び出していったという点では共通性がある。単に白い画用紙の上にスケッチを描くだけでなく、実際のステークホルダーとの調整も入ってくる。デザイナーというよりも、ひょっとしたら「トータルコーディネーター」と言った方がいいのかもしれない。

どこの国に行っても、何をやろうとしても、本当にそこに必要と思われる仕事は、複数のステークホルダー、省庁、企業、住民/市民等にまたがることが多い。それまでつながっていなかったもの、なかなかつながれなかったものをつなぎ合わせることで、今までとは違う何かが生まれてくる―――そう思えることは多いけれど、実際にそれを実現させるのは大変なことだと思う。当事者はわかっていてもできてこなかったケースも少なくない。そういうことはブータンに住んでいてもよく直面する。必要なのにできてないのがわかっているから、政府は「コーディネーション」や「コラボレーション」を強調するのだろう。

そういうことを実践してきた人の話はとても参考になる。というか、50代の僕が参考にしててもいけなくて、この本は多分これから社会に出ていく若い人たちに読んでもらった方がいい本なのではないかと思う。本書で登場する人々は皆、コミュニケーションの壁に当たりながらも、自分の強みが何かを考え、それを武器にして突破口を開いていった。1つのことをコツコツと諦めずに地道にやるというのが日本人のいいところだと改めて思う。

僕は、冒頭で述べたような理由からこの本を買ってこちらに持ってきてしまっているが、本書の想定読者層というところには、4月から大学生になる僕の長男や、来年大学受験を迎える娘あたりが今読んでおくと良い本である。長男は機械工学を勉強するという。そして、娘は西洋の建築史を勉強したいのだという。一見すると接点のなさそうな両者であるが、人や社会にとって受け入れやすいデザインにするには、工学系の知識も要るだろうし、歴史の理解も必要とされるかもしれない。娘は先ずは大学に合格することが先決だが、長男の場合は、単に機械だけを見てタコツボにはまることなく、もっと学際的な知見を得られるよう、ネットワークを広げて欲しいと期待する。

さあ、僕もこういう若い人が頑張っている話を読んで元気をもらい、モノのデザインではなくシステム全体のデザインを考えるべく、いろいろなステークホルダーのうち、誰と誰をどのようにくっつけたらいいか、考えていきたいと思う。元気をもらえるいい本だった。

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