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見直される「評価」 [ブータン]

眞子様がパロにご滞在されていた6月6日、ティンプーではもう1つ大きなイベントがあった。GNH委員会(国家計画委員会に相当)が南アジア評価者コミュニティ(COE-SA)と共催した「第4回評価コンクラーベ(Evaluation Conclave)」という会合で、6、7日はプレイベント、8、9日が実質会議となる。

この会議はブータンのことだけを扱う会議では元々ない。世界中の評価学会の研究者や実務者が集まって意見交換する会議で、6日に行われた参加型評価に関するワークショップには、開発協力の業界人なら誰もが知ってる英サセックス大学のロバート・チェンバース教授が来られていたという。知ってたら出てみたかった~と地団駄踏んでも後の祭りだ。

これは一種の国際会議だから、眞子様御訪問との日程調整があったわけでは必ずしもない。会場となったティンプーのメリディアンホテルは、眞子様御訪問の際、日本から来たメディアの方々用にと確保されたホテルだったので、そこを会場とする国際会議を眞子様ティンプーご滞在中に開催できたかと訊かれると、かなり難しかったのではないかと推測する。

*評価コンクラーベ2017のURLはこちら:http://evaluationconclave.com/2017/index.php

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評価をしっかりやることが必要不可欠:首相
Getting evaluation right is crucial: PM
Kuensel、2017年6月8日、Yangchen C. Rinzin記者
http://www.kuenselonline.com/getting-evaluation-right-is-crucial-pm/

2017-6-8 EvaluationConclave.jpg
《首相の公式Facebookから拝借した開会式典の写真》

【ポイント】
国内歳入も増えて、政府が投資できるプログラムやプロジェクトの数は増えたが、一方で案件間の優先順位付けや利用可能な資源の効果的効率的配分に向けた国の案件評価能力の構築は大きな課題となりつつある。コンクラーベ開会式典の冒頭、壇上に立ったGNH委員会のティンレイ・ナムゲル事務次官は、ブータンにおける評価能力の向上のために、政府は2006年の国家モニタリング評価制度導入等、様々な取組みを進めているものの、評価能力は依然として弱い状態にとどまっていると認めた。GNH委員会は、これまでに国が実施した8つのプログラムの評価を実施し、現在も政府事業2件について評価実施中である。

コンクラーベは、世界14カ国から175人の参加者を得て開催されるもので、世界の学者や専門家が、その知見や経験、評価ツール、方法論をブータンにおいて共有することは、受入国ブータンの評価者の能力向上にも大きく寄与するであろう。ナムゲル次官はこう述べ、期待を表明した。

今年のコンクラーベのテーマは、「福祉(Well-being)と持続可能な開発――評価の新たな地平」。COE-SAのマリカ・サマラナイケ代表は、このテーマは各国政府がSDGs達成に向けた取組みを開始した今、最も時宜を得たものだといえると強調。評価プロセスを通じて、我々は誰が影響を受けるのかを認識できると指摘し、もし何らかの緩和措置が取られない場合、開発事業で最も影響を受けるのが必然的により貧しい人々であるということを我々は理解できるようになると述べた。

基調演説を行ったトブゲイ首相は、評価とは複雑なもので、ひと晩でできるようになるものではなく、計画立案・実施・モニタリング・評価のサイクルから始めるのも不可能に近いが、それでも評価を行うことは重要で、そうでなければ我々が期待された成果をしっかり果たしたかどうかを知ることができないと指摘、計画立案段階から評価をしっかり行うことから先ず始める必要があると強調した。

さらに首相は、ブータンは国民の幸福レベルを評価することができ、これができるのなら、他のことを評価するのも不可能なことではないと述べた。

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コンクラーベ、独立評価制度導入を提言
Conclave recommends independent evaluation system
Kuensel、2017年6月10日、Yangchen C. Rinzin記者
http://www.kuenselonline.com/conclave-recommends-independent-evaluation-system/

【ポイント】
9日のコンクラーベ最終日のパネル討論に登壇したジグミ・リンズィン上院議員は、ブータンの現在の評価制度は非常に弱小で、技術的能力に乏しく、評価実施のための資金も不足しており、標準化された評価レポートの枠組みを作ることが必要であると強調した。このパネル討論は「議員は評価の意義を訴える効果的な提唱者となっているか」と題して行われたもので、他にスリランカとバングラデシュから登壇者があった。

ブータンの立法府の議員は、評価レポートの重要性について熟考したことがほとんどなく、そのために正確で信頼の置けるレポートが作られず、結果として政策をレビューして新たな意思決定につなげるという立法府本来の役割を果たすのに支障が出ていると同議員は指摘する。リンズィン議員自身も、教育や水力発電等3つの委員会に所属するが、評価レポートが提出されたことなど一度もないと述べた。

同議員によると、評価自体がブータンでは比較的新しいコンセプトであり、反汚職腐敗委員会(ACC)や王立会計検査院(RAA)が外部監視機関が見ているに過ぎないという。ブータンは2010年に国家評価政策を策定したが、現時点でもこの政策は草案の状態にとどまる。ブータン評価協会という組織も2013年に作られたが、CSO局はこの協会をCSOとまだ認定もしていない。GNH委員会からこのコンクラーベにももっと多くの参加者があって然るべきだが、ほんの数人が出席しているだけであるとも指摘。

また、GNH委員会にしても他省庁にしても、年次報告書は作成しているが、良いことばかりを書き連ねており、都合の悪いことについては言及していないという。このため、評価者にはより専門性の高い評価能力の構築が求められるし、国会議員ももっと評価レポートの活用を図るべきである。同議員はこう述べ、独立した第三者評価機関の設置が必要だと強調した。

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―――あまり面白くない話題でスミマセン。

一部の、「評価」というものにご興味のある方にとっては、南アジア諸国が持ち回りでこういう専門家会議を開いているというのは要注目かもしれないが、内容的にいくらクエンセルの記事が「盛った」としても、内容的にブータンにとって関連性が高いかいどうかは別の問題でもあるかもしれない。GNH委員会が共催者に名を連ねているからといって、同委員会からこの会議に出席した人自体は少なかったようだし、それもさもありなんという気がする。登壇したブータン人といったら次官とトブゲイ首相、それに2つ目の記事にあるリンズィン上院議員ぐらいである。

それなのになぜブログで取り上げたのかというと、赤字で強調したトブゲイ首相の言葉が印象的だったからだ。そう、この国は少なくとも国の発展度合いを国民の総幸福量で評価しようという仕組みを持っていて、しかもこのGNH全国調査は何年かに1回は実施されている。ブログではご紹介していないが、5月30日から6月1日までの間、全官公庁を休日扱いにしてまで実施された全国国勢調査には、「幸せ」の度合いを10段階で訪ねる質問項目まで入っていた。

しかも、この間、タイの外交チームもブータンに来ていた。先日ご紹介した「ブータン・タイ・フェスティバル」開催のためだが、その中でも「足るを知る経済(Sufficiency Economy Philosophy)」というタイのコンセプトに合わせ、ブータン側もブータン研究所(CBS)がGNHに関する様々な出版物の展示配布を行っていた。その気になれば、この評価コンクラーベに向けて、役者が揃っていた筈なのに、それに、「福祉(Well-being)と持続可能な開発」というブータンにピッタリのテーマがコンクラーベで設定されていたのに、それらがうまく活用されなかったのは残念である。

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トブゲイ首相は、「計画立案段階から始めよう」とも述べている。これも、GNH全国調査の結果からも示唆されるところである。幸福度の高い県よりも低い県での取組みを拡充するとか、都市部よりも農村部での取組みを拡充するとか、男性よりも女性の幸福度を引き上げるための方策を検討するとか、国家の開発計画を司る部門として、GNH委員会が既に第12次五カ年計画に向けて始めていることもあるのではないかと思う。そういうのを開陳すれば良かったのに…。


タグ:国際会議 GNH
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