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重い国王のお言葉 [ブータン]

大学卒業式での国王演説に感動し、男性自首
Man, moved by His Majesty’s Convocation Address, confesses
BBS、2017年6月14日、Tshering Zam記者
http://www.bbs.bt/news/?p=74105

2017-6-8 Kuensel02.jpg
《大学卒業式での国王演説の様子。クエンセルから》

【抄訳】
先週行われた第12回王立ブータン大学合同卒業式における国王陛下の演説は、出席した卒業生だけではなく、全国の人々にもインスピレーションを与えたようだ。その1人がモンガルの36歳の男性だった。

揺るがぬ忠誠心について語った国王陛下の聡明なお言葉を聞き、彼は1年前に犯した犯罪について告白した。彼は意図的に村の自分の家に火をつけたことを、モンガル警察に認めた。「コミットメント(Tha Damtshi)なしに働く人の人生がどのように影響を受けるか、陛下は語っておられました。それを聞き、私は自分がしたことについて大いに後悔しました」ー匿名希望のその男性は語った。「後悔の念は私の心を突き刺す針のようでした。」

この男性は、より大きな建物を建てるのに保険金が欲しかったので、彼の家に火をつけてほしいと友人を扇動したという。「私はその友人に会い、その後の雑談の中で、自分の家に関する話題を持ち出しました。彼は私の家には誰も住んでいないと言いました。それで、私はそれが私が公務員だからだと答えました。そして、私はその家には保険がかけてあるので、家を燃やして欲しいと友人に頼みました。」

はじめのうちは、その友人も男性の言葉を真に受けてはいなかったという。しかし、ルンツェ県リンチェン・ドルズワンで二度目に会った際、その友人は彼の家に火をつけることを了承したという。

「その夜、警察は私に電話して、私の家から出火したと連絡してきました。」

この火災事件の後、彼は王立保険会社(RICL)から50万ニュルタム以上の保険金を受け取った。今、彼は、警察の捜査終了後に明らかになる、自分に対して行われる告発を待つ身である。

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ワンチュク国王陛下がブータン国民に向けて演説をされる機会は、さほど多くない。僕の知る限りでの話になるが、1つは春と秋の国会会期末、1つは12月の建国記念日(National Day)、それともう1つは王立ブータン大学(RUB)傘下の10のカレッジの4年生が集結する合同卒業式(Convocation)ぐらいである。

来年7月から始まる第12次五カ年計画の策定ガイドラインには、昨年6月のRUB合同卒業式における国王陛下のご発言の中から、次の部分を引用し、ガイドライン文書の中で紹介している。
.....it is not a question of whether we can do something or not, whether we have enough or not, whether we are permitted or not. The question is, are we going to do it or not.
(それは私たちが何かをできるか否かの問題ではない。それをするのに十分なリソースを持っているか否かの問題でもない。それをするのを許されるか否かの問題でもない。重要なのは、私たちがそれをするか否かである。)
このお言葉自体は僕も機会があれば引用してみたいと思わせるものである。ブータン人はやらない理由を並べるのは非常に上手だが、先ずはやってみるというところが意外とできない。制度をいくら整えても、起業しようと考える若者は少ない。国王陛下もそこはわかっておられるのだろう、「やってみなはれ」(サントリー創業者・鳥井信次郎)にも通じるお言葉を昨年は使っておられたのである。

では、この我が家への放火を仕組んだことを告白した男性が後悔するきっかけとなった、今年の合同卒業式における国王陛下のお言葉とはどのようなものだったのだろうか。一応、その全文はクエンセルにも載っているので、そのURLを記しておくが、概要はこんな感じだった。
http://www.kuenselonline.com/his-majestys-address-2/

【ポイント】
我々は特別な(extraordinary)な時代を生きている。今の卒業生が生まれた1990年以降、WWWは発明され、インターネットはまたたく間に世界に普及した。Facebookの創設は2004年だが、これまでの13年間で19.4億もの人がこれを利用している。Eコマースはブータン人でも利用できるようになった。医学的新発見も相次ぎ、技術進歩も著しく、これにネットやソーシャルメディアが加わり、我々が暮らす世界を変えていく。ブータンのような小国は、こうした進歩から大きな恩恵を得ることができる。

しかし、同時に気がかりなのは、今日の世界には大きな不安定性も存在する。大きな変動(Volatility)、不安定性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、不透明性(Ambiguity)――我々はこれらの頭文字をとってVUCAの時代を生きている。ブータンは中国、インドという超大国に挟まれた山間の小内陸国である。そんな小国を、我々ブータン人は偉大なスキルと知性、強い責任感をもって運営し、平和で調和のとれた主権国家として存続させてきた。

諸君はそうした国を継承し、自身も責任を今後になって行くわけだから、次の3つのことを忘れないで欲しい。第1に、我々は平和と統一の守護神であるとの自覚を持つこと。第2に、我々固有の文化と国のアイデンティティの保全は我々の責務であるということ。第3に、この国の富はその人材にあるということ。我々の未来は若い世代の諸君が持つ才能とスキル、ハードワーク、コミットメント、献身的な奉仕精神によるところが大きい。

我々自身をブータン人として形づくる特別なクオリティとは5つの言葉で集約できる。ブータン人は言行一致(Sincere)の性質を持つ。ブータン人は自身の義務や責任、幸福感に常に心を配る(Mindful)。ブータン人は明敏(Astute)であり、強固な国を築くための知性とスキルを有する。ブータン人は強靭(Resilient)であり、苦難を恐れず問題やリスクに立ち向かえる。そして、ブータン人は自分たちが暮らす今だけでなく、未来に対する意識も有する。時限の概念がない(Timeless)。これら頭文字を合わせ、自分はブータンがSMARTな国家であり続けてきたと思っている。これからも我々は、SMARTな制度作りを続けていかなければならない。そして、この国の人々がみなSMARTであり続けることが必要だ。

―――これ聞いたら、やっぱり過去に悪さをした人も自分の悪行を悔い改めたくなるような気はしてしまう。特に、Resilientのくだりは、実際には苦難を恐れて問題やリスクに立ち向かわない人を何人も見ているだけに、国王陛下のお言葉を盾にとって説得材料として使ってみたいという気がする。

タグ:企業家精神
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