So-net無料ブログ作成
検索選択

小規模零細企業の発展に取り組む [ブータン]

家内小規模産業、増加は堅調も多様性を欠く
Robust CSI growth, although there is lack of diversity
Kuensel、2017年7月14日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/robust-csi-growth-although-there-is-lack-of-diversity/

【ポイント】
家内小規模産業(Cottage and Small Industries)の登録数は、2016年6月末の17,364社から今年5月末時点で20,143社に増加。この11カ月間で2,779件の登記申請が受理されたことになるが、多様性を欠く内容。内訳をみると、66%はサービス部門、生産・製造部門は12%に過ぎない。

ブータンの定義では、資本金100万ニュルタム未満で被用者数1~4人の企業は家内工業、資本金100万~1000万ニュルタムで被用者数5~19人の企業を小規模企業と分類する。

家内小規模産業局(DCSI)がまとめたレポートによると、ブータンの小規模製造業は、ローテク、かつ自然資源への依存度が高いという特徴があるという。2015年のデータでは、家内小規模企業の50%以上が林産資源ベースだった。これには、製材所、家具製造、木製工芸、製紙、藤や竹製工芸等が含まれる。

サービス部門を見ても、43%はホテル・レストラン業である。但し、家内小規模企業全体の21%は航空券販売、旅行斡旋、決済機関等が含まれ、さらに不動産売買や賃貸業もある。このため、サービス部門は比較的多様化が進んでいる。

金融機関が行った家内小規模企業向けの貸出残高は166.2億ニュルタムで、総貸出残高に占める割合は18.07%。中規模企業向けが21.8%、大企業向けが14.15%で、合計しても50%を少し越える程度である。残る融資は非企業部門――住宅、個人、商業取引、教育等に向けられている。

家内企業の平均被用者数は3.6人、小規模企業では5.45人。この2015年のデータを援用すれば、2017年5月時点での家内小規模産業の雇用は9万2322人と見込まれる。

王立通貨庁(RMA)は、家内小規模企業向け貸出諸規則を起案し、現在審議中。同案によると、家内企業には最大40万ニュルタム、小規模企業には200万ニュルタムを上限とする無担保融資が認められる由。このため、この制度が正式導入されれば、企業数は大きく増えると見込まれる。

XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX

なんだかまとまりに欠ける記事であるが、近々日本の某業界紙向けにブータンの中小企業について紹介する短いコラムを寄稿することになったので、少しファクトの整理でもしなきゃと思った矢先にこの記事が載った。備忘録としてブログでもご紹介しておくことにした。

この記事、情報ソースを明記していないので、自分で調べてみた。どうやら、経済省家内小規模産業局がリリースした「家内小規模産業レポート」の2016年版らしい。
http://www.moea.gov.bt/documents/files/pub8pb5886zl.pdf

家内小規模産業――僕たちには中小零細企業という方が馴染みがあるが、これは現国王がおっしゃっている「5つの宝石」の1つに数えられ、ブータンの水力発電依存からの脱却、経済多様化に向けて、拡充を図っていきたい産業である。でも、その実態はサービス部門偏重、生産・製造部門も林産物加工業にかなり依存していて、だから特にこの生産・製造部門の拡充に政府は力を入れたいのだろう。家内小規模産業局はティンプー市内にビジネスサポートセンターを開いてスタートアップを低家賃で入居させ、今後もインキュベーション施設の開設も予定されている。

ただ、課題も多いように思う。

2017-7-19 DCSI01.jpg

例えばこの写真、ビジネスサポートセンターの入居者を訪ねてそこで撮ったものだ。見た目カラフルな石鹸であるものの、石鹸の鋳型はどうやって作ったのかと訊くと、インド・コルカタからの輸入だという。当然、ブータンっぽくもないデザインだし、工夫にも乏しい。ここに3Dプリンターで型枠でも作る技術があればと思える。さらに、ここの女性起業家、パッケージングに関しては別のブランドの石鹸の箱の使い回しを想定していた。

石鹸といえば、「バイオ・ブータン」ブランドで、手すき和紙を素材にラッピングしたなかなかおしゃれな石鹸が既に市場に出ているが、これも、中身に関しては型枠がシンプルすぎてあまり魅力的な彫りものにはなっていない。このバイオ・ブータンの石鹸はハイエンドの市場向けとして価格設定もちょっと高めにできると思うが、翻ってこの入居者の石鹸はもう少しローエンドの市場を狙わないといけない筈で、そうするともう少し石鹸そのものとパッケージングの工夫が必要だという気がした。

さらに、この入居者、販売のチャンネルをほとんど考えてなかった。納入先を想定しないで大量に作ってしまうというのは、素人の僕でもどうかなぁと首を傾げるものだ。

2017-7-19 Buckwheat.jpg

もう1つの写真、これは既に市内のスーパーなどの店頭に並んでおり、商品化された乾燥ソバである。日本の蕎麦のように、茹でて麺として食べてもらおうと狙って商品開発された。これも女性起業家の一品である。

実際茹でて食べてみたけれども、パッケージに書かれた通りの茹で時間でやっても、うまく茹であがらない。中途半端に平べったい、きしめんのような断面で、長めに茹でても芯が残る。それに茹でている間に面がプチプチ切れてしまい、およそお蕎麦のイメージとは異なる茹であがりとなる。そして、食べてみるととにかくエグイ。いくら麺つゆを濃くしても、醤油の味が麺のエグ味に圧倒されてしまう。パッケージングがブータンぽくないのが問題だと政府の方はおっしゃっているが、この製品の問題はむしろ中身の麺だと思う。

また、素材となるソバも、エグ味を消すために唐辛子をふんだんに使うこちらのレシピとは異なる、エグ味の少ない素材を国内で探すか、あるいは農業研究機関と共同ででも新たなソバの品種を開発する必要があるのではないかと感じた。

このように、現状はあるものをできる範囲で加工して販売しようとしている程度なので、消費者の嗜好を知ろうとする努力も不足、原材料の厳選、場合によっては新規開発といったところでの努力も不足である。「惜しい」と言える段階にもまだ達しているとは思えない。

ビジネスインキュベーションといっても、単に入居者を安い家賃で1年とか入居させておけばスタートアップはうまく行くという単純なものではない。石鹸を作っている女性入居者の隣りのスペースには、実は手作りだが3Dプリンターを持っている若手男性起業家が入居している。なんでこの2人がコラボしないのか不思議だが、実はこの3Dプリンターの起業家は、3Dデータを持ち込めば「印刷」はやってくれるが、データを自らCADソフトで作るノウハウがまだないと言っていた。各々、どこかが欠けている。各々の弱みを補えるようなパートナー探しは、自助努力だけではいかんともしがたい。出会いの場を意図的に演出する仕掛けも必要だ。

また、経済省は経済省、農林省は農林省といった、縦割りでビジネススタートアップを考えているだけでも不十分。ものは作ればそれで済むというわけじゃなくて、消費者が買いたがるものとは何か、リサーチも必要だし、それを作るのに最も適した素材と技術の組み合わせは何かを考える努力も必要だろう。

記事で紹介された家内小規模企業の登録数は、僕の感覚からするとちょっと多すぎるような気がする。多分、登録はしたけれども既に事業停止してしまったという退出者も相当含まれているのではないか。諦めのはやい人たちなので、寄り添う側にもそれ相応の努力が求められそうだが、その部分ではまだまだ改良の余地がありそうだ。

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

メッセージを送る