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ティンプーのゴミ問題(その2) [ブータン]

ゴミのリサイクルを通じた女性のエンパワーメント
Empowering women through recycled waste
Kuensel、2017年7月28日、Karma Cheki記者
http://www.kuenselonline.com/empowering-women-through-recycled-waste/

2017-7-28 Kuensel.jpg

【ポイント】
タラヤナ財団が主催した、低所得世帯女性向けの技能訓練の模様。リサイクルゴミを用いた手工芸品製作の研修で、1月に2週間開催されたものの第二弾。参加者には、障害を持つ子供の母親や、軍人の配偶者、シングルマザー、タラヤナの会員、それに教員や生徒も含まれる。ゴミから製品を作るという研修は珍しいという。1月の第1回研修で製作したものは、4月に開催されたタラヤナ工芸品フェアで販売され、15000ニュルタムの売上げを上げた。手工芸品には150ニュルタムから750ニュルタムの値が付いた。

【解説】
女性を対象にした売れる手工芸品製作の研修は確かに珍しいかもしれないが、ゴミを加工してデザイン的要素を加えて美術品として付加価値をつけるようなアプローチは、ブータンのゴミ問題を取り上げた報道ではかなり頻繁に見かける。やれ学校の課外授業としてゴミを用いた芸術作品を作りましたとか。そういえば、6月に日本で報じられたTBS「世界ふしぎ発見」のブータン編でも、タクツァン僧院への登山道の途中にペットボトルを用いたマニ車があるのを不思議ハンターが見つけて、リサイクルがここまで進んでいるというのをアピールしてたかと思う。

取組み姿勢はいいと思う。個人レベルでやれることとしては悪くはない。ゴミ問題を知ってもらう啓発目的であれば、こうした手法もまあ有効だろう。ただ、国全体とか、ティンプー市全体で見た時に、それがゴミ問題を解決できるほどインパクトのあるものなのかと言われると、胸を張って「そうです」と言えるほどの確信はない。元々はそれがゴミでしたとひと目でわかるような程度の加工で出来上がったものが、大量に売れるとは限らない。写真にあるバスケットも、この国で大量に売れるような代物では正直ないと思う。最終消費財を作ってしまうという発想だけでは、大きなインパクトを残せる事業とはならない。

僕が7月後半のブログの記事で事ある毎に言及している「ファブラボ・ブータン」で、廃棄プラスチックを裁断した後、熱処理を加えて3Dプリンター用のフィラメントを作るという機械の試作品を見かけたことがある。また、誰がやるのか、本当にできるのかがわからない将来プロジェクトの1つとして、廃棄プラスチックを壁材にしてポータブルトイレを試作するというのもある。輸入に頼らずともリサイクルゴミなら近くにいっぱいあるわけだし、ひと目見てもそれが元々ゴミだったとわからない、中間財にまで加工してしまえば、そこからの用途はいろいろ考え得る。

ブータンのファブラボが、最も取り組まなければならないテーマの1つが「廃棄物処理」への貢献だと思う。それを、トイレとか、障害者のエンパワーメントといった社会的課題への取組みに充てられたらWin-Winになってよい。

前の記事で、乾燥ゴミからリサイクル可能なものを取り除けば、10~15%程度にまで圧縮できると書かれていたが、ちょっと想像しにくいぐらいの規模の圧縮だ。いったい何をどうリサイクルに持って行くことを想定しているのか、もう少し中身を調べてみたい気がする。

さて、話は記事で紹介されているタラヤナ財団の研修に戻る。研修だから材料は予め主催者が用意し、売る場も主催者が用意したのだろう。研修を受けた女性が、実際にこれをやろうとしても、材料はどこから調達するのか、それを手工芸品に加工する前に、殺菌だの何だの、前処理する必要なないのか、どこで売るか、値段はいくらでつけるか等、いろんな課題に直面するに違いない。ゴミだからと言って、原価がゼロなわけではないので要注意だろう。

ゴミ問題からは脱線してしまうが、その辺にある仕入れ値がタダに近い材料だからといっても、ものを作って売るにはそれなりの企業努力が求められる。根性がなく、忍耐強くなく、よって起業はあまり得意ではない(ように見える)ブータン人の中では、この研修に参加した女性たちはまだ粘り強く、打たれ強い人たちではないかと期待したい。
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