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踊らないなら訴えてやる!(続報) [ブータン]

9月14日、この「踊らないなら訴えてやる!」というタイトルで記事を書きました。オリジナルの記事は9月11日付のクエンセルに掲載された「カムダル・チオッグ(村)、祭りに参加しない世帯を訴える」と題した記事でした。ところが、僕は不覚にもブログ上での操作を誤り、次の記事を上げる際に前の記事を上書きしてしまいました。後悔しても後の祭りで、もう一度書き直す気力もなく、そのまま放置していたところ、9月後半に入って幾つかその続報が出ました。そもそも経緯も含めてその顛末を書いてみたいと思います。

訴えられた住民、コミュニティが家族を虐めると抗弁
Sued Kamdar resident claims of community bullying her family
Kuensel、2017年9月21日、Tashi Phuntsho記者(ルンツィ)
http://www.kuenselonline.com/sued-kamdar-resident-claims-of-community-bullying-her-family/

【ポイント】
ルンツィ県カムダル・チオッグ(村)の地元舞踊祭への参加を拒否したとして訴えられた30歳の女性が、コミュニティが寄ってたかって自分とその家族を虐めているとの抗弁を、ルンツィ県裁判所に提出した。

カムダル・チオッグの8人の住民が、先月起こした訴訟によるもので、被告側は地元舞踊祭への参加を拒んだとされている。この舞踊祭は、地元では「ドチュン」(踊りと言う意味)として知られるもので、以前はチオッグ内のカムダル、タンマチュ、パゲドゥンという3つの集落が合同で、毎年開催されていた。しかし、過去4年間は一度も開催されていない。

住民は今年、この村の伝統行事を再興しようと試みたが、カムダル集落にある、伝統的にリードダンサーを輩出してきた世帯が、踊り手としての参加を拒否した。この事案は当初メンビ郡の郡庁に裁定が持ち込まれ、郡行政官もこの世帯を訪問して参加を要請したが、この世帯はどう歌って踊ればいいのかがわからないとして、改めて参加を拒否。他の村民はやむなく県裁判所に訴えることにした。

女性側が18日に行った反論によると、彼女の父親は確かに、リードダンサーとして過去長年にわたって舞踊祭に参加していたが、既に年老いていて踊るのに支障が生じているという。コミュニティが特定家族にこのような形で踊りを強要するのはフェアではないと主張する。また、彼女の世帯には父親以外に男性がおらず、コミュニティの全ての人がその父親が歳をとり過ぎて踊ることなどできないのは知っていた筈だと主張。

これに対して、コミュニティ側の主張は、長年この家族からリードダンサーを出していたのは、土地所有に対する税金のようなものだとする。しかし、女性側は、彼女の祖父や父親がリードダンサーになったのは、コミュニティ内で誰も踊り方を知らなかったからで、コミュニティ側から頼まれて踊り手を引き受けたのであって、税金の代わりだとするコミュニティ側の主張はおかしいと反論する。

コミュニティ側の反対陳述書は、9月28日に提出される予定。

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ということで、28日が訪れるのを待っていたところ、その前日、27日の新聞にこんな記事が出た。

カムダルの住民、舞踊祭不参加で罰金10万ニュルタム
Kamdar resident fined Nu 100,000 for non-participation
Kuensel、2017年9月27日、Tashi Phuntsho記者(ルンツィ)
http://www.kuenselonline.com/kamdar-resident-fined-nu-100000-for-non-participation/

【ポイント】
ルンツィ県裁判所は、シェラブ・デマ被告に10万ニュルタムの罰金を課す裁決を行った。この金額は、原告側カムダル・チオッグの住民代表5名と被告との間で合意したもの。裁判所は21日、裁判なして両者間での和解協議を行うことを勧告。これに基づきシェラブ・デマ被告は原告側5住民を訪れ、和解の意向を示したという。

合意内容によれば、シェラブ・デマ被告は、家族からリードダンサーを出さない代わりに、補償金として10万ニュルタムを支払うという。村民側では代わりのリードダンサーを探し、舞踊祭の伝統を維持することになる。なお、裁決の文書によると、原告、被告のいずれかが再びこの問題を持ち出す場合には、司法を侮辱した罪で3カ月の禁固刑及び1,000ニュルタムの罰金を課すとの由。

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こうして2つの記事を比較すると、実名がとうとう出てしまったし、原告側の住民代表は最初は8名だったと思うが、最後の5名に減っている。前の記事では28日に反対陳述書を提出するとなっていたのに、次の記事によると21日には裁判所の裁定が既に出ていたことになっている。僕の英語読解能力の限界もあるとは思うが、記事の英語もよくわからない箇所が幾つかあり、これは判決なのか、判決前の和解成立なのか、これもよくわからない。

はっきりしているのは、これで同じコミュニティの中での人間関係、悪くなるだろうなあということ。多分このシェラブ・デマさんの家は10万ニュルタムなんて和解金をホイホイ出せるほど裕福な家ではないと思うから、家計は苦しくなるだろう。また、受け取ったコミュニティの側も、自分たちがやりたい舞踊祭の開催を、他人のお金でやるというのもなんだかなあ、という気持ちは残るだろう。いずれにとっても後味の悪い結末だ。

このチオッグに合計で何世帯ぐらいあるのかはわからないが、このチオッグの世帯だけで人口ピラミッドを作ってみたら、こんなことをチオッグの中でやっているよりももっと大きな問題があるというのを実感できるのではないだろうか。ただでも30歳ぐらいの女性自体が数が少ない筈で、その貴重な女性をこんな形で周縁の追いやってしまうのは、僕は愚かな結末だと思う。村の女性はもっと大事にしないといけません。

文化や伝統の保全は確かに大切なんだけど、コミュニティのサステナビリティを犠牲にしてまで保全を図るものなのかという点は疑問です。文化や伝統を、昔のままで保全するのが年々難しくなってきているというのなら、できる範囲のことをやればいいのではないかと思う。コミュニティの結束があれば、新しい文化や伝統を作り出していく力にもなれるのではないか。そういうのを、日本の社会は既に経験してきている。

例によって例のごとく、クエンセルは翌29日の社説でこの問題を取り上げているが、問題だ問題だと騒ぐだけで、じゃあどうしていったらいいのかという方向性すら示していない。

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