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バラ色の海外雇用などありませんので [ブータン]

失業状態の青年、インドで騙されたと主張
Unemployed youth allege of being deceived in India
Kuensel、2017年10月10日、MB Subba記者
http://www.kuenselonline.com/unemployed-youth-allege-of-being-deceived-in-india/

【ポイント】
海外雇用保証プログラム(Guaranteed Overseas Employment Programme)でインド・ニューデリーに向かったブータン人青年約30人が、苦い経験を経て帰国した。彼らはクラス12卒業後、労働人材省の第2期GOEPで4月にインドに渡航した青年86人のうちの30人で、インドにはまだ50人以上の青年が残り、働くか採用面接に臨んでいる。

労働人材省はインドのアルフレスコ・ソリューションLLPというエージェントと契約を結び、同社がインドでの現地研修と雇用先確保を行うことになっていた。同社はさらに、研修生に対する宿舎と食事の提供も行い、一方で労働人材省側では2カ月間の研修期間について、最初の1カ月を4000ニュルタム、次の1カ月については3200ニュルタムの給付金を研修生に手渡すことになっていた。

しかし、インドのエージェントは現地研修も雇用先手配も適切に行わず、労働人材省の給付金もタイムリーに振り込まれなかったという、同省はインドの雇用先企業は、諸経費別の手取り給与15,000ルピーの仕事を提供すると保証していた。主にはBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)関連の企業である。しかし、帰国した青年たちの訴えによると、インドの到着するとすぐ、彼らは給与が11,000~12,000ルピーであると知らされた。当初15,000ルピーになっていたのは、インド側エージェントの説明によると、「タイプミス」だとのことだった。また、着後研修期間中の食事の提供も行われない日が多かったという。

それでも研修が終わると、34人の修了生は6月にグルガオンに連れて行かれ、BPOの会社の採用面接に臨んだ。青年たちはそこで、2つの部屋で食事も与えられずに待たされた。中には30~40社も面接に臨んだ青年もいたが、実際に採用に至ったのはわずかに数名だった。採用通知をいったんはもらったのに、すぐにその会社が閉鎖されたと聞かされた青年もいた。

青年たちにとって大変だったのは、インド市民カード(Aadhar Card)の取得義務とヒンディー語習得だったという。カード取得には1カ月以上かかったという。

労働人材省は5月、監査官、法律家、同省首席雇用担当官等から成るチームをインドに派遣。同チームは青年たちが暮らしていたアグラを訪れ、エージェント側の担当者とも会って事態収拾を図ったが、状況を打開するには至らなかった。青年たちによれば、エージェント企業の関係者に言葉による虐待を受けたと主張。

帰国した青年たちは労働人材省を訪れ、同省が彼らに代わりの仕事を斡旋するよう求めた。しかし、GOEPプログラムを完了していない彼らは同省の統計上は「就業者」とカウントされている。雇用局のシュラブ・テンジン局長によると、「もしインドでつらい目に遭っているのなら、参加青年は帰国してもよい。当省とブータン青年をたばかったのはインドのエージェントだ」として、事態収拾に取り組んでいるところだと説明。

但し、同局長はこう付け足した。競争社会で職を得ることは容易ではないという現実を、若者は受け入れないといけない。頼りにしていた企業が倒産したからといって、我が省がインドのエージェントとの契約を打ち切ることはできない。まだインドには50人以上の青年が残って働いている状況なのだから。

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「誰も悪くない。ミスコミュニケーションの問題だ」―――これはブータンでよく聞かれる常套句だが、今回報じられたケースを見ると、誰も悪くないのではなく、みんなが悪いと言わざるを得ない。

先ず第1に、労働人材省とインドのエージェントとの契約内容に不備があったのではないかと感じられる点。労働人材省からすれば、雇用統計上で「失業状態」でカウントされるブータン人青年の数を減らしたいという思いがあるから、性急に契約に至ったのではないかと思われる。細部の詰めを十分行わずに契約すれば、したたかなインド人はその不備を必ず突いてくる。自分たちに有利な条文解釈で、契約はちゃんと履行してますよと主張してくる。追及し過ぎると、契約解除条項すら持ち出すだろう。

100%雇用保証を安易にインド側エージェントに任せていて、その一方で高卒程度の若者を煽り、自分に都合が悪くなると、「競争社会なのだから簡単に仕事が見つかることなどないのが当たり前」と開き直る労働人材省のやり方も、印象は良くない。そもそもクラス12卒業生という時点で、成績でカットオフされて大学に行けなかったわけだから、自分たちが相手にしているブータン人青年というのは、社会を知らない、英語の文章もややもすると理解できない、契約に対する意識も低い、ヒンディー語はできないという若者達だということを意識しておくべきだった。高卒を海外に出稼ぎに行かせるような制度は日本にはないので比較のしようがないけれど、相手が高卒なだけに、相当念入りな制度設計が必要だったのではないかと思う。

同省高官の発言の意図もわからぬではない。面接会場で飯が出ないのはおかしいなどという前提での青年側の主張も首をひねるものであり、自分の都合の良いように解釈してクレームしているように感じられる。彼らが、GOEPの制度をどこまで詳細に理解して、納得ずくで応募したのかはわからない。良さそうだから行ってみようぐらいの軽いノリで、応募した青年自身の熟慮も足りなかったか、あるいは熟慮の足りない高校の教員か誰かから「お前これ応募しろ」と言われ、上から言われたからそうしましたというぐらいの、いわば自ら考えることを放棄した状態で応募したのではないかと思われるのである。

政府からしたら困難などあって当たり前だと思っているところが、応募者側からしたら「そんなの聞いてないよ」となる。ミスコミュニケーションだと言えばそれまでなのだが、その意識のギャップをどこまで埋める努力がなされてきたのだろうか。困難な状況を事前説明してなかった政府側も、十分な事前情報収集を怠った応募者側も、どちらも悪いと思える。

ついでに言えばこの記事の内容も説明不十分な箇所がある。ニューデリーとアグラは違う。ニューデリーとグルガオンも厳密に言えば違う。もっと言えば、このインドのエージェントが就業斡旋しようとしていたBPO企業というのは1社だったのか、複数社だったのかもよくわからない。GOEPの制度の上っ面だけを舐めて、あとは帰ってきた青年数名へのインタビューで、青年側の狭い視野での言い分と、自分に都合の良い主張を聞いて記事を構成しているから、細部で矛盾点を含んでいる。

この記事を読めば、普通の読者なら、一番のワルはインドの企業、二番目は労働人材省で、ブータン人青年は被害者だと考えるに違いない。確かに、高卒の若者の無知につけ込む制度だとは思うが、こういう海外雇用に関する報道は結構頻繁に見かけるので、そろそろ若者も学べよ~と思わぬでもない。というか、制度をもっと良くしていくための建設的な対話をもっとしていって欲しいですね。

タグ:インド 雇用
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