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カネも出すけど口も出す [ブータン]

優先セクター貸付は経済に革命を起こす(首相談)
PSL will revolutionise economy: PM
Kuensel、2017年12月14日、MB Subba記者
http://www.kuenselonline.com/psl-will-revolutionise-economy-pm/

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【ポイント】
12月13日(木)、シムトカ・ゾンにおいて、優先セクター貸付(PSL)ガイドラインのローンチングが行われた。PSLは、昨年12月17日の建国記念日の演説において国王が示した問題意識に政府が1年がかりで応えたもの。貸付対象となるのは農業セクターと非農業セクター小規模零細産業に分かれ、前者は農業一次産品の生産に加え、加工、パッケージング、マーケティング、販売等の付加価値活動も含み、後者には製造業やサービス業を含む。それぞれ、5億3000万ニュルタム、9億5000万ニュルタム、合計15億ニュルタム規模の資金注入になる見込み。これは、市中銀行各行が現在の両セクター向け融資残高を1%増加させれば達成可能な数値となっている。

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借入希望者は、投資のタイプに応じて最大1000万ニュルタムまで借入れが可能。農業セクターは無担保だが作物保険によりカバー、非農業セクターはキャッシュフローに基づき、加えて火災保険でのカバーがなされる見込み。想定される借入人は農民や若手企業家で、個人、グループ、企業、いずれの携帯でも融資申込みは可能。起業であっても事業拡大であってもPSL適用は受けられる。

金融機関は、PSL借入希望者向け特別融資チャンネル(窓口)を設け、必要な情報や支援を提供する。政府の特別技術窓口との調整も担う。政府の特別技術窓口は、政府各機関と調整し、PSL借入希望者に対して技術的なクリアランスのサービスを提供する。提案事業内容に対する審査に留まらず、より採算が取れる事業にするための助言も行う。

トブゲイ首相によると、小規模零細産業は大きな可能性を秘めた、ブータン経済の「宝石」の1つであり、この日を迎えることができ非常に光栄だと述べた。若者や農業セクターの人々は資金援助が必要だという国王のお言葉をもとに、ガイドライン策定に至ったと強調。これまでBDBLやREDCLのような開発金融、マイクロファイナンス金融機関だけに頼ってきた資金供給機能をPSLは補完し、市中銀行経由の資金量を増やす取組みで、ブータン経済に革命的変化をもたらすだろうと述べた。BDBLを除いて現行総融資残高の1%にも満たない同セクター向け融資を、2018年中に1%にまで引き上げるのが当面の目標。

新制度の進捗をモニタリングし、定期的な見直しや必要な介入措置を調整するため、新たにPSL評議会が設置される。王立通貨庁(RMA)総裁が議長を務め、政府及び金融機関の代表から構成される。

PSLガイドラインは、こうした関係機関のそれぞれの果たす役割を定義し、金融へのアクセスを改善するという共通の目的に取り組むための統合プラットフォームとなる。各県レベルでも、県知事を議長とする県PSL委員会を設置する。

新制度は2018年1月1日に正式にスタートする。

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すごい力の入った新制度である。ローンチングを、五つ星ホテルではなく昔ながらのゾンでやったというのも違うし、地方遊説に出ていた首相がこれに合わせて帰京し、農業大臣と財務大臣も同席したというのもいつもと違う。新制度には、起業家研修の定例化やビジネスサポートという点で労働人材省や経済省小規模零細産業局、国有地の使用権の付与で国土地理院等が絡んでいる。2018年7月から始まる第12次五カ年計画の横断的理念の1つが「調整(Coordination)」なのだが、新計画期間入りを前に、その理念を体現化する施策を政府が打ち出したことになる。

市中銀行の同セクター向け融資の拡大を狙ったものだが、地方に支店を置いていない銀行も多いことから、そもそも窓口がないという問題点もあり得る。そのために、窓口となるようなスタッフをわざわざ英府が指定して、村を巡回させるようなことが考えられている。そのための研修が既に始まっていると聞く。

もう1つの発見は、建国記念日で国王が行う演説がこうした形で政策形成につながるのだなということだ。お言葉の実現に向けて、これほど政府機関が連携して1つのプラットフォームを作れるものなのだというのには驚いた。上から言われたことは他のことは全部後回しにしてもやるというのが、役人のメンタリティなのだとは常々思っていたけれど、閣僚も政府自体も全体としてそうなのだ。僕もここに来てもうすぐ2年になるが、僕が来てから発せられた国王のお言葉が政策制度改革として具体的な形になったのを見たのは今回が初めてで、非常に示唆に富んだ出来事だった。

今年の建国記念日まであと2日と迫っているが、その意味では式典での国王演説は要注目ということになる。「ゴミを拾うだけではなく、そもそも捨てるな」ぐらいのメッセージでも発していただけたら嬉しいのだけれど。

まあそれはともかく、こちらでの議論を見ていると、金融アクセスを改善すれば民間セクターは発展すると考えられているように思えて仕方がない。そこに、「カネも出すけど口も出す」ようなプログラムが入ってきたわけだ。実際のPSLの運用がどのように行われるのかはまだわからないが、事業者に行うアドバイスには、「JICAに訊いてみろ」というのもどうも含まれているらしい。(まあ、日本の中小企業とはJICAもそこそこ接点があるだろうから、あながち的外れではないけれど、「JETROだったらどうなのよ」という気もしないでもない。)

そういうのが「小規模零細産業」のカテゴリーに含まれるのだとしたら、食品加工の機械のようなものなのだろう。但し、日本から輸入してたらそれだけ資本投資が高くついてしまうし、機械の維持管理もあまりきめ細かくは行えない。本当は、そういうカスタムメイドの工作機械を現地で製作できる工場のようなものがここにあるといいのだけれど。要は特定の機械を売るというのではなく、そういう機械を現地生産できる生産施設をここで作るという発想なのですが、それでも日本の企業で関心あるところはないですかねぇ。

タグ:経済 金融
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