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これからの5年間(タシヤンツェ) [ブータン]

タシヤンツェ、次期計画で4000人以上の観光客を誘致
Yangtse targets more than 4,000 tourists in 12th Plan
Kuensel、2018年1月23日、Younten Tshedup 記者
http://www.kuenselonline.com/yangtse-targets-more-than-4000-tourists-in-12th-plan/

2018-1-23 Choeten Kora.jpg
《チョルテン・コラ》

【ポイント】
タシヤンツェ県は、1992年にタシガン県より分離、コロンチュ川の渓谷沿いに開け、チョルテン・コラという、ボダナート型の大型チョルテンが有名。「縁起の良い富の要塞」という意味で、県内に幾つかの巡礼地が分散している。県内には、絶滅危惧種オグロヅルの避寒飛来地の1つであるブンデリン野生動物保護区を含む幾つかの自然保護区がある。

こうした豊かな観光資源にも関わらず、2016年に同県を訪れ、宿泊した観光客数は、1000人にも満たない。隣りのタシガン県の4300人とは対照的な数字である。従って、第12次五カ年計画でも、タシヤンツェ県の最優先課題の1つが観光誘致とされている。同県計画官によれば、劣悪な宿泊施設や道路アクセス、空路での移動手段がないこと等が、来訪者が少ない理由だという。

従って、宿泊施設に関して、県庁ではハウスキーピングや食事に関する研修を、ホームステイサービス提供者やホテル関係者に対して行う予定。「観光客向けのスタンダードなホテルがないことが、来訪者が少ない理由です。」加えて、同県では、ベイリン・セントラルスクールの向かいに三ツ星ホテルの建設を開始したところである。

また、国立公園サービス局と共同で、ブンデリン野生動物保護区を生物多様性ホットスポットとして整備し、地元コミュニティを巻き込んでエコロッジやホームステイプログラムの促進を図るという。ブンデリンには現在、ホームステイサービス提供者が2軒あるのみ。(その他観光誘致策や省略)

第12次五カ年計画期間中、訪問・宿泊客数を4100人に増やすことが目標。その他に、同計画では、県内の小規模零細産業を拡大して地域経済の開発を図ることも目指すという。また、国内でも最多の空き家家屋(Gungtongs)740軒を有する同県では、空き家対策も大きな課題。空き家が増加する最大の理由は、家族全員の退去や教育目的が中心で、新たな起業や就業機会を求めて他所へ転出する世帯もある。

このため、農家向け商業金融アクセスの改善を通じた商業作物生産の振興を進めたいという。そのためには、灌漑システムの整備や電気柵の供与等も進められる。また、「ブランド・ブータン」イニシアチブと既存産品の付加価値向上を通じた地元産品の振興を図りたいとの由。

こうした目標に対し、同県は約11億9852万ニュルタムを5年間で投入する予定。これは、第11次五カ年計画での5億6383万ニュルタムよりほぼ倍増。

◇◇◇◇

タシヤンツェの伝統漆工芸の再興にご関心のある日本の関係者の方もいらっしゃるように聞いたので、最近クエンセルに掲載されたタシヤンツェの次期五カ年計画の開発目標に関する記事をご紹介した。

今年7月から始まる第12次五カ年計画の全貌はまだ明らかになっていないが、こうした県別や省別の開発計画の概要を紹介した記事が時折出てきて、断片的にではあるが理解できる。それに、全体の分厚い計画書を読むのは大変だが、こうして先にミクロレベルの計画の要約を見ておくと、後で分厚いものをゼロから読むよりも心理的なハードルが低くなるので、これからも時々ご紹介していこうかと思っている。

僕も行ったことがないブータン東部の北東端に位置するタシヤンツェのことを、記事から得られる情報だけで云々するのは無責任だとは思うが、なんだか、県内の整備をしっかりやれば観光客は誘致できると思っている節がある。記事のポイントでは書かなかったが、県外での活動して書かれているのはブータン観光評議会(TCB)とブータン・ツアーオペレーター協会(ABTO)と協議の上、トレッキングルートやツアーの新規開拓を図るという一節しかなかった。そういうものを新設するのはいいにしても、根本的に観光客誘致のための営業努力として県外で何を行うのかについての記述がほとんどないのは気になる。

「ブランド・ブータン」についても、名前はいいが、ブータンブランドを売るための営業努力を、その親元の経済省がすごく本腰入れて取り組んでいるわけでもないので、「ブランド・ブータン」に頼ったからと言って、来訪者数をいきなり4倍近くに引き上げるというのは難しいのではないかと思う。ブンデリンにしても、オグロヅル飛来地だったら首都からもっと近いポブジカにもあるわけだし、他所との競合の末に今のこの現状があると考えた方がいい。

いちばん怖いのは、こうして予算倍増すると、それを執行するのに最も手っ取り早いのは、それを県庁の各セクションに割り振って、それぞれに使わせるという方法である。要するに行政の縦割りが進んでしまう。お忙しい県知事がその統括に当たるのは難しいかもしれないが、誰か1人、県知事の右腕となって、部署横断的に「県外からの来訪者を増やす」という上位目標の下での様々な取組みを主導できる地域開発のコーディネーター的な人が必要なのではないかと思う。そういう人やあるいは県知事自らが、観光誘致のための活動を県外でも行い、場合によっては国外での誘致活動にも取り組んで、いわばトップセールスを図る必要もある。

少なくとも外国人観光客がティンプーで初めてタシヤンツェのことを聞かされて、片道2、3日もかけて行けるようなところではないから、外国人観光客を捉まえたいなら、彼らが旅行計画を立てる時点で「タシヤンツェ」をインプットしておかないといけない。

こういう記事を読んでいると、「自分だったらこうするのに…」ともどかしさを感じることが多い。この国では、取りあえず足元のサービスを今よりも良くすれば人は来てくれるとか、物を作れば買ってくれるとか、何を根拠にそう言えるのかがわからない楽観的な話が多いが、どうやってそれを売るのか、どんな営業をするのかというところまで踏み込んだ話を聞ける機会は意外と少ない。とかくプロダクトアウトの発想をしがちなのだが、今読んでいるマーケティングの本でも、「プロダクトアウトな商品は売れない」と明記されている。この本については後日ご紹介しよう。

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