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枯れた南部のオレンジ果樹園 [ブータン]

気候変動とともにオレンジは高海抜地へ
Orange trees climb higher in Bhutan with climate change
The Bhutanese、2018年3月10日、Tshering Delma記者
http://thebhutanese.bt/orange-trees-climb-higher-in-bhutan-with-climate-change/

2018-3-10 Bhutanese.jpg

【ポイント】
オレンジのような換金作物は過去30年、農家に生計の糧を与えてきた。オレンジは、カルダモン等と並び、主要換金作物と見られてきた。しかし、最近まで、ダガナ県やチラン県では、毎年年間24,000トン(原文ママ)のマンダリンオレンジを出荷してきた。しかし、近年、ダガナの農家は、オレンジの生育が低海抜地よりも高海抜地で速いことに気付いた。気候変動の影響ではないかと考えられている。

オレンジの生育に適した海抜は1,100メートルぐらいだが、それが最近では1,200メートルぐらいの海抜でより大きなオレンジができるようになってきた。もう1つの理由は不規則な降雨パターンで、土壌の含有水分が保たれなくなってきたことが考えられる。天水に任せるだけの農法では成り立たなくなってきたのである。農民はこれに気付き始めており、地元の農業普及員は、マンゴー等の新しい園芸作物に作付転換することを奨励している。

こうした状況はダガナだけではなく、チラン、サルパン、サムチ、サムドゥップジョンカル、シェムガン、ペマガツェル等の南部ベルト一帯で見られる。

全国柑橘類プログラムのジグミ・テンジン調整官によると、同プログラムではオレンジ作付の再興に向けてガイドラインを策定している。作況の悪化の原因としては、気候変動の他に、不十分な果樹管理や、果樹の老化を挙げている。果樹の植え替えや灌漑システムの整備、天蓋管理等も生育の改善に寄与する。

◇◇◇◇

今月前半、ペマガツェルからナンラム経由でパンバンまで移動する途中、至るところで枯れた果樹園を見かけた。一緒に来てくれていた運転手が、「農業省が作付転換を推奨している」と教えてくれた。運転手は病害だと言っていた。オレンジの病気が蔓延しているのだと。

一方で、以前ご紹介した世界銀行のレポートによると、温暖化の影響で、今後2050年までの間に生産高が増える唯一の作物として、柑橘類が挙げられていた。そのレポートをそのまま読めば、今後海抜の高いエリアでもオレンジは作付されるようになるということだが、僕が南部ベルトで見てきたことと、この新聞記事とを組み合わせると、別のイメージが湧いてくる。海抜が高い地域ではオレンジ生産は増えるかもしれないが、低い地域ではむしろ減るのだということだ。

さらに言うと、海抜が低い地域のオレンジ生産が減る理由は、海抜がそれに適さなくなるという温暖化要素というより、むしろ果樹の衰えのような不可避の事態なのだということもわかる。敢えて温暖化要素を挙げるとすれば、農家がそれに適応して従来のやり方を変える柔軟性を未だ身に付けていないということは言えるのかもしれないが、植え替えや接ぎ木技術等を習得すれば、低海抜地でも引き続き生産維持は不可能ではないということで、要すれば農民のキャパシティの問題もあるのかなと思う。

実際、運転手が「病害」のせいにした南部ベルトの枯れた果樹園の間にも、所々にしっかり維持されている果樹園は存在していた。僕は専門家じゃないから生きのびている果樹園で生産されているオレンジの品質についてまでは判断できないが、中には歯を食いしばってオレンジ生産に取り組んでいる農家もいるのだと想像する。

オレンジがうまく行かなくなったから今度はマンゴーだ、カルダモンだと、政府はすぐに救いの手を差し伸べる。農民は言われた通りにやるだけで、自分で試行錯誤するといったプロセスもあまりない。自分で工夫すればまだまだできることはあるのに。

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