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欧州開発報告書2015年版 [持続可能な開発]

European-Report-on-Development-2015-blog.jpgEuropean Centre for Development Policy Management (ECDPM)
European Report on Development 2015
Combining finance and policies to implement a transformative post-2015 development agenda
May 4, 2015
http://ecdpm.org/publications/european-report-on-development-2015/





最近読んだ本の中の一節に、「本を書きたければ、書きたいテーマに関連した本を3冊読みなさい」というのがあった。僕の場合は本ではなく論文ということになるが、同じ法則を当てはめると、既にご紹介した『開発協力と新興国』が1冊目であり、本日ご紹介する『欧州開発報告書2015年版』(以下、ERD2015)が2冊目ということになる。

ERDはオランダ・アムステルダムにあるシンクタンク欧州開発政策運営センター(ECDPM)がドイツや英国の有名な開発シンクタンクの協力も得て編集・発刊している年次報告書で、毎年6月にブリュッセルで開かれる欧州開発デーで公表されている。世界銀行が世界開発報告書(WDR)を毎年出しているように、EUも毎年年次開発報告書を出している。ERDがそれに相当する。

ERDの今年のテーマは持続可能な開発を可能にする開発資金の話である。

本書では先ず、開発資金を巡る情勢は過去15年間で大きく変化したと指摘している。各国国内で動員される資金は急激に増加し、開発に必要な資金の相当部分は国内で調達される一方で、外国から流入する公的資金-いわゆるODAとOOFというので表される公的資金は、若干の増加は見られたものの、金額としては微々たるもので、その相対的な地位は15年間で大きく低下した。国内動員資金のうち、民間資金は最も急激に増加したが、その対GDP比は、低所得国(Low Income Countries, LICs)では極めて低い。

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『ASEAN諸国の科学技術情勢』 [仕事の小ネタ]

ASEAN諸国の科学技術情勢

ASEAN諸国の科学技術情勢

  • 編著者: 林幸秀(国立研究開発法人科学技術振興機構)
  • 出版社/メーカー: 美巧社
  • 発売日: 2015/07/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
 本書は、日本企業のチャイナプラスワン政策などにより急激な経済発展をとげているASEAN諸国の科学技術に焦点を当て、その現状について述べたものである。現時点での科学技術の進展は、シンガポール等の一部の国を除きそれほど急激ではないが、各国とも科学技術の重要性を十分に認識し科学技術の振興に努力している。特に、東南アジア特有の地理的環境研究や、生物多様性に基づくバイオ関係の研究などが、各国で行われている。これら諸国の現状を把握し、それぞれの国の状況に応じた協力関係を構築することが重要である。

タイトルの仰々しさに焦って思わず借りてしまった1冊である。中身を確認せずに借りたけど、ページをパラパラめくるだけで、ネットでもある程度は取れる情報の羅列であることにすぐに気付いた。ふんだんに使用されている口絵を見れば現地調査もされているのはわかるけど、写真以外に現地調査をやって盛り込んだ付加価値って何だったんだろうか…。

たいていの読者は特定の国に関心があり、その該当のチャプターだけを読もうとするだろう。そして、あまりの薄っぺらさにガックリするだろう。科学技術とも関係のない各国情勢の記述は要らないので、もう少し課題の部分にも踏み込んで論じても良かったのではないか。

もう1つのアプローチは「科学技術政策」という切り口で各国の情勢を横串で刺し、ASEANで共通して言えることは何なのか、メタ分析をしっかり行い、それに中国や韓国、欧米などがどう絡んでいるのかも情報整理し、日本にとっての課題と取るべき方策をしっかり論じることだ。実は本書で書けていると思ったのはその部分である。そもそも何故「科学技術」なのか、せめて、「中所得国の罠」からの脱却という開発課題とも絡めて論じて欲しかったところだ。

本書の要約は、冒頭の2ページにわたる序論を読めば事足りてしまう。要するに「ASEAN諸国における科学技術全般の進展状況は、経済での大きな進展と比較してそれほど急激ではない」として、安心して終わってしまっている感があるのである。それは果たして15年後であってもそう言えるのだろうか。彼らは彼らなりに先進国にキャッチアップしたいと考えて政策を推進している。先行しているという現状の優位な立場にあぐらをかいているだけではなく、今後のASEAN諸国の科学技術の発展のために、今以上に日本にできることは何か、もうちょっと論じて欲しかった気がする。

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『太陽は動かない』 [吉田修一]

太陽は動かない (幻冬舎文庫)

太陽は動かない (幻冬舎文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/08/05
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
油田開発利権争いの渦中で起きた射殺事件。産業スパイ組織AN通信の鷹野一彦は、部下の田岡とその背後関係を探っていた。目的は機密情報を入手し高値で売り飛ばすこと。商売敵のデイビッドと謎の美女AYAKOが暗躍し、ウイグル過激派による爆破計画の噂もあるなか、田岡が何者かに拉致された。息詰まる情報戦の末に、巨万の富を得るのは誰か? 産業スパイ“鷹野一彦”シリーズ第1弾!

僕のKindleには、いずれ長時間の移動を伴うような出張をする機会があれば読もうと思って、積読状態にしてある小説がいくつかある。吉田修一『太陽は動かない』もそんな1冊で、鷹野一彦シリーズの第2弾『森は知っている』を図書館で借りて読む際、ついで買いをしてしまったのである。ところが期待した出張機会などなかなか訪れず、先もどうなるかわからないので、我慢しきれず読んでしまうことにした。

鷹野一彦シリーズとしては本作品が第1弾で、いきなりこれを読んだ人も十分楽しめる作品だと思う。また、僕のように第2弾『森は知っている』を先に読んでいた人にとっても、鷹野のその後を知ることのできる作品としての面白さは十分にあるだろう。今回もディビッド・キムは登場しているし、鷹野に指示を出す風間も出て来る。また、現在鷹野とペアを組んでいる田岡に加えて、AYAKOや青木といった、今後シリーズ化が進むにつれて鷹野との絡みが相当出てきそうなキャラも何人か登場させている。また、『森は知っている』には出てきたけど今回は登場しない柳というのもいて、今後の展開が楽しみだ。

産業スパイというのをテーマに据えたのは、その時々の時事問題を中心的に扱えるからというのもあるだろう。今回は宇宙太陽光発電――静止軌道上で太陽光を効率的に集めてエネルギーを生み出し、そのエネルギーをマイクロ波やレーザー光に変換して地上に送って、それを地上で受けて電力や水素の形で利用するというものだ。荒唐無稽の話にように聞こえるが、本書でも取り上げられているように、意外と実用化にまで近いところに来ているらしい。そういう時事ネタが盛り込まれ、読了するとちょっとわかった気になれるところがいい。

展開が速すぎるのと主要登場人物が世界各地で何をやっているのかを同時並行的に描く必要があって場面があまりにも頻繁にとぶので、なかなか話についていけないところもある。産業スパイの話に、主人公以外のライバルを何人も登場させたらまあそうなりますわな。エンターテインメントなんだから、それはそれでよしとしないといけない。

こういうタイプの作品は、イッキ読みするのがいい。暇を見つけてはコツコツ読み進めるというタイプの読書には向いていない。僕は本書の前半部分はそんな感じでチンタラやってたら、読書再開するたびに今どこだかがわからなくて苦労した。前半部分では登場するキーパーソンが相互につながっていない場合も相当あった。週末に入って後半部分はまとめて読める時間があり、しかもキーパーソンがつながり始めたので、読むペースが一気に加速した。

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『開発協力と新興国』 [持続可能な開発]

来週末、都内で開催される会議で、15分間の英語によるプレゼンをやることになった。テーマについて書き始めたらブログの記事としては十分説明しきれないと思うので、あえてここでは明かさない。ただこれだけは言える。僕にとっては今年の大きなチャレンジの1つであると。プレゼンだけでなく、発表内容をまとめた英文ペーパーを後日提出することになっている。

それほど造詣があるとも思えないテーマであっても発表を引き受けたのは、僕なりの「下心」があってのこと。どこに異動するにしても、就活するにしても、自分の履歴書に書けるものなら無理してやって、アピールの材料にしたいという魂胆だ。年明けぐらいから意識して取り組んできたことで、既に形になったものもあるけれど、今からでももうちょっと頑張っておこうと思った次第。

予備知識がほとんどないテーマで話すには、それなりに勉強しておかなければならないことは言うまでもない。後日まとめるペーパーにも、参考文献を載せなきゃならない。そう考えて、1ヵ月前にこの仕事を引き受けた頃から少しずつではあるが参考になりそうな英文の報告書や論文を読み始めていた。その全部をご紹介するつもりはないけれど、そのうち何冊かはまとめてこの場で紹介しようかと思う。

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Development Cooperation and Emerging Powers: New Partners or Old Patterns?

Development Cooperation and Emerging Powers: New Partners or Old Patterns?

  • 編者: Sachin Chaturvedi, Thomas Fues, and Elizabeth Sidiropoulos
  • 出版社/メーカー: Zed Books
  • 発売日: 2012/05/15
  • メディア: ペーパーバック

1冊目の本は新興国のお話。ふと思いついて購入してから1年以上放置していた本である。

開発協力のための既存の枠組みが先進工業国の経験に大きく支配されてきたけれども、新興国が近年、他の開発途上国に対する開発協力を加速化させ始めており、こうした国々を既存の援助の枠組みに引っ張り込むことには慎重かつ懐疑的な見方も多い。本書は、中国やインド、ブラジル、南アフリカの開発協力政策を分析し、これをメキシコや西側諸国のそれと比較したものである。また、新興国の開発協力の動機や実績を調べる中で、「南南協力」という考え方がどのようにして生まれてきたのか、それが伝統的な先進国と途上国の間の開発協力とどういった点で異なるのかを考察している。執筆したのはそれぞれの国出身の研究者であり、今後グローバルな枠組みが既存の枠組みからどのように変貌していく可能性があるのかも述べている。

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『空色ヒッチハイカー』 [読書日記]

空色ヒッチハイカー

空色ヒッチハイカー

  • 作者: 橋本 紡
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
あれほど憧れ続けた兄貴の背中を追いかけて、18歳の夏休み、僕は何もかも放りだして街を出た。兄貴の残した年代物のキャデラックに免許証。抜けるような夏空。ミニスカートにタンクトップの謎の美女・杏子ちゃんが、旅の相棒。個性あふれるヒッチハイカーたちと一瞬の出会いを繰り返しながら、僕は、ひたすら走り続ける! バカだからこそ、突き進める。真面目だからこそ、迷わない。―究極の青春小説。
橋本紡作品は以前アンソロジー収録の短編で何か読んだ記憶があるが、何だったか思い出せないでいる。いずれにしても、最近文庫化された『流れ星が消えないうちに』を読む前に、橋本作品の1つでも先に読んでみておこうかとふと思い立ち、近所のコミセン図書室を訪れたついでに借りた久々の小説だ。

このところ僕が紹介している本のチョイスをご覧いただければわかる通り、僕は先月のシルバーウィーク前から続いていた仕事のヤマを先週半ばにようやく乗り越え、先週後半から週末にかけてはちょっとした燃え尽き状態となっていた。次のヤマ場は2週間後に訪れるが、仕事自体は週明けからまた忙しくなる。だから週末まで息抜きできるところはちゃんと息抜きしておこうと考え、久々の小説を手に取ったのだ。

あらすじについては既にご紹介の通りなので、これ以上書くとちょっとネタ晴らしになってしまう。先まで読み進めれば明らかになって来る話だが、何故主人公・彰二が年代物の空色のキャデラックで神奈川から九州・唐津に向かったかは予め知っておいても損にはならないだろう。

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タグ:橋本紡
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『地名に隠された「東京津波」』 [読書日記]

地名に隠された「東京津波」 (講談社+α新書)

地名に隠された「東京津波」 (講談社+α新書)

  • 作者: 谷川 彰英
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/01/20
  • メディア: 新書
◇東日本大震災により、東京湾でも船橋に2.4mの津波が襲い、浦安は大規模に液状化した。東京にもっと大規模な地震や津波がおそったらという想定は、ありえないものではない。この機に地名研究家である著者は、東京の高低を記した古地図を入手。そこで改めて、東京が起伏の多い地形であり、いまそれが高層ビルの乱立や地下鉄による移動などで見えづらくなっていること、また、山の手と下町で「山」「丘」「台」、「川」「橋」「江」など地形や水に関する地名が多いことなどを確認した。

軽く読める新書サイズの本を図書室で物色していて、何となく手に取った本。古地図が口絵としてふんだんに挿入されており、読了するのにさほど時間はかからないと思う。

著者は元々全国の地名の由来を研究している学者である。東日本大震災の直後、東京湾にも津波が到達していたという事実を知り、これが三浦半島沖とかを震源にした巨大地震があったら津波の被害は絶対避けられないだろうと考え、問題提起する本を出そうと思い立ったようだ。本書の付加価値は、東京都が地震災害による危険地帯を「建物倒壊危険度」と「火災危険度」の2つの尺度のみで測っていて、津波や液状化現象に関するハザードマップが考慮されていないのを指摘したという点にあると思う。

ただ、後半の地名による危険度評価の章は蛇足で、東京23区の地名の由来を知るのはいいにせよ、災害とは全く無関係の話題に脱線するところも多々ある。それはやむを得ないことで、東から見ていったら、沖積層の上に形成された東京東部から都心のビジネス街あたりまでは元々軟弱な地盤でもあるし海抜も低いので、地震の際には液状化や津波の影響を受けやすいのは間違いない。

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『内向型人間の時代』 [自己啓発]

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

  • 作者: スーザン・ケイン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/05/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
ビル・ゲイツもガンジーもウォズニアックもみんな内向型人間だった!
内向型の人とは、喋るよりも他人の話を聞き、パーティで騒ぐよりも一人で読書をし、自分を誇示するよりも研究にいそしむことを好む人のことだ。アメリカ人と言えば、社交的で自己主張が激しそうなイメージがあるが、実際にはその三分の一が内気でシャイな内向型だという。これはアメリカに限ったことではない。
外向型が重視されるアメリカにおいては、内向型の存在感は薄く、出世競争でも不利になりがちだ。本書は、内向型が直面する数々の問題を浮き彫りにするとともに、あまり顧みられることのない内向型の強みと魅力を明らかにし、その個性を伸ばして生かす方法を模索する。
同時に、外向型の欠点や問題点を挙げ、外向型の人は企業のトップにふさわしいか、チームで作業するやり方は本当に効率的なのか、などの問題も議論する。現代アメリカ社会の内部分裂を浮き彫りにする衝撃のドキュメント。

その昔、僕は「内向的」な子どもだと親から言われたことがある。人に何か言われたらすぐに自分のせいだと考える、クヨクヨしてなかなか気持ちが切り替えられない、人からどう見られているかをすごく気にする、人と付き合わない等々。これらの性質は今でもあまり変わらない。本書が2013年5月に出た当初、面白い本だなと思ってすぐ読んでみたい気持ちにかられたが、図書館で借りようにも順番待ちが半端じゃなかった。「自分のような内向的な人間が必要とされる時代が来ているんだ」などと救いを求める人が結構いたということなのだろう。そのうち待ちくたびれて僕は予約自体をキャンセルにしてしまった。ほとぼりが冷めた頃にもう一度予約してみたら、今度はすんなり借りることができた。

本書の冒頭、自分が内向型なのか外向型なのかを自己診断できる20項目のチェックリストが掲載されている。これらに対して〇が多ければあなたは内向型で、✕が多ければ外向型だというわけだ。といって確立されたチェックリストではない。内向型人間にはこんな性向があるぐらいで考えておけばよいかと思う。

 1.グループよりも1対1の会話を好む。
 2.文章のほうが自分を表現しやすいことが多い。
 3.ひとりでいる時間を楽しめる。
 4.周りの人にくらべて、他人の財産や名声や地位にそれほど興味がないようだ。
 5.内容のない世間話は好きではないが、関心のある話題について深く話し合うのは好きだ。
 6.聞き上手だと言われる。
 7.大きなリスクは冒さない。
 8.邪魔されずに「没頭できる」仕事が好きだ。
 9.誕生日はごく親しい友人ひとりか二人で、あるいは家族だけで祝いたい。
 10.「物静かだ」「落ち着いている」と言われる。
 11.仕事や作品が完成するまで、他人に見せたり意見を求めたりしない。
 12.他人と衝突するのは嫌いだ。
 13.独力での作業で最大限に実力を発揮する。
 14.考えてから話す傾向がある。
 15.外出して活動したあとは、たとえそれが楽しい体験であっても、消耗したと感じる。
 16.かかってきた電話をボイスメールに回すことがある。
 17.もしどちらか選べというなら、忙しすぎる週末よりなにもすることがない週末を選ぶ。
 18.一度に複数のことをするのは楽しめない。
 19.集中するのは簡単だ。
 20.授業を受けるとき、セミナーよりも講義形式が好きだ。


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『荒木飛呂彦の漫画術』 [読書日記]

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

  • 作者: 荒木 飛呂彦
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: 新書
内容紹介
全く人気が衰えることなく長期連載が続く『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦。「漫画は最強の『総合芸術』」と言い切る彼が、これまで明かすことの無かった漫画の描き方、その秘密を、作品を題材にしながら披瀝する!絵を描く際に必要な「美の黄金比」やキャラクター造型に必須の「身上調査書」、ヘミングウェイに学んだストーリー作りなど、具体的な方法論からその漫画術を明らかに! 本書は、現役の漫画家である著者が自ら手の内を明かす、最初で最後の本である。
我が家の子どもたちの間で、アニメ化されていた『ジョジョの奇妙な冒険』が大人気となり、自分の学生時代に読んでいた「少年ジャンプ」で連載開始した当初のことを覚えている僕としては、驚きが隠せないでいる。僕の記憶では『ジョジョ~』の連載は自分が高校生の時だと勝手に思い込んでいたが、今調べてみたところでは連載開始は1987年新年号らしく、そうすると僕自身は大学4年生だったわけだ。さすがに当時「少年ジャンプ」を購読していたとは思えず、それなのに連載開始の記憶だけはあるというのだから不思議だ。理髪店の待合室ででも読んだのかな???

僕より3つ年上の荒木先生が、『ジョジョ~』を連載開始したのは26歳の頃という計算になる。それだと普通だが、僕は自分の記憶の間違いに気づくまで、僕は荒木先生の『ジョジョ~』連載が荒木先生が大学生の時に始まったと勝手に思いこんで驚いていたのである。大変な記憶違いだ。でも、先生が『武装ポーカー』で手塚賞準入選して少年ジャンプ誌に初めて作品掲載されたのは確かに1980年から81年にかけてで、この頃ならさすがに僕も高校2年生であり、そうすると先生のデビューは確かに20歳の時だという計算になる。これは早い。でも、その荒木先生を焦らせたのは同い年のゆでたまご先生。荒木先生が大学中退して漫画の途に踏み込んだきっかけは、ゆでたまご先生が『キン肉マン』で16歳でデビューしたことだと本書で明かしている。これは驚きだ。

うちに中高と漫研所属して自室でも絵ばかり描いている娘がいる。漫研所属して絵は確かにうまくなったけど、部で毎年制作している同人誌を読むと、4頁の作品でもストーリーがイマイチで、作画のクオリティにもバラつきがある。1ページ目にエネルギーを費やし過ぎて締切までの残り時間が少なくなり、後半はかなりの手抜きをしていたりとか、登場人物の顔が常に同じ方向からしか描かれていないとか(要は別アングルから顔を書くのがどうも苦手っぽい)、稚拙さがまだまだ解消されていない。

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『モジュール化の終焉』 [仕事の小ネタ]

モジュール化の終焉―統合への回帰

モジュール化の終焉―統合への回帰

  • 作者: 田中 辰雄
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2009/11/26
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
iPhoneの隆盛、クラウドの広がり、グーグルの成長…統合への回帰による産業構造の変化と、日本企業復活の可能性。歴史的考察と実証分析によるIT産業の未来像。

この本は、ある問題意識に基づいて9月初旬に市立図書館で借り、2週間の貸出期間延長の後、さらに1週間延滞させた上で、ようやく読み切ったという代物である。時間がかかった理由は、この本が専門書でボリュームがそれなりあったというのが大きいが、読了する前に用件が片付いてしまったりして、読み切るモチベーションが途中で下がってしまったことも大きい。

とはいえ、専門書というわりには論点も明確で、文章もやさしいので、本気で読めばそれなりにスラスラ読めるいい本だ。著者の仮説を実証する幾つかの章は飛ばし読みでも構わない。

先ずお断りしておくが、本書は情報通信産業のことを述べている。「モジュール化」というと様々な定義があるが、本書では公開されたインターフェースで分けられているものをモジュールと呼び、「ある目的に使う財・サービスをいくつかのユニットに分け、その組み合わせのインターフェースを固定して一般にも公開すること」をモジュール化と呼んでいる。例えば、パソコンでいえば、ハードウェアとOSとアプリケーションソフト、周辺機器類が分けられるのがモジュール化ということになる。

昔のコンピュータはメーカーの作ったハードの上に専用OSと専用のアプリケーションソフトが載っていて、周辺機器も専用のものを接続して使っていた。統合化製品というやつだ。それが切り離されて、第三者の企業が公開されたインターフェースに従ってモジュールの生産・供給を始める。OSはOSの企業、ハードはハードの企業、アプリ開発はアプリ開発の企業、プリンターはプリンター専門メーカーといった具合だ。そして、モジュール毎に企業間の競争が起こり、技術革新も進む。

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『リトル・ブラザー』 [読書日記]

リトル・ブラザー

リトル・ブラザー

  • 作者: コリイ・ドクトロウ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/03/10
  • メディア: ハードカバー
内容(「BOOK」データベースより)
サンフランシスコに住む17歳のマーカス・ヤロウは、コンピューターやゲームに強い、ごくふつうの高校生。じつは、w1n5t0n―ウィンストンのハンドルネームをもつハッカーでもあった。校内に設置された歩行認識カメラをだましたり、居丈高な生徒指導主任の個人情報を調べたりするのは、お手のもの。だが、ある日、授業中に親友のダリルといっしょに学校を抜けだし、他の高校の仲間たちと遊んでいた最中に、世界が永遠に変わってしまう事件が起こった。サンフランシスコ湾で、大規模な爆弾テロがおこなわれたのだ。警報が鳴りひびくなか、避難しようとしていたマーカスたちは、テロリストの疑いをかけられ、国土安全保障省に拘束されてしまった。最初は尋問に抵抗していたマーカスだったが、やがて肉体と精神の両方をいためつける厳しい拷問をうけるはめに…。ネット仲間やガールフレンドとともに、強大な国家権力に対して果敢な戦いをくりひろげる高校生マーカスの活躍をあざやかに描く、全米ベストセラー長篇。ジョン・W.キャンベル記念賞、プロメテウス賞、ホワイトパイン賞受賞。
コリイ・ドクトロウというSF作家のことは、先月紹介した『Fabricated』を読んでいる中で初めて知った。そこでは彼の2010年の作品『Makers』のことが触れられていた。これもいずれ読んでみたいのだが調べてみると『Makers』はまだ邦訳版が出ておらず、日本語で読める唯一のドクトロウ作品が『リトル・ブラザー』であることを知った。原作は2008年発表である。

ドクトロウの作風が知りたくて、取りあえず『リトル・ブラザー』から読んでみることにした。本編だけで400ページを超える大作で、しかも冒頭紹介の通りでコンピュータやネット、ハッキングの知識がある程度ないと、この作品の面白さは十二分には味わえないかもしれない。そういう難解な記述は置いておいて、一般の読者ならスリリングな展開を味わうだけでも十分楽しめると思う。カテゴリー的にはジュブナイル小説なんだろうけれど、オジサンでも十分面白かった。ちょっと古いけど、1980年代半ばにリリースされた映画『WAR GAMES』を想起させる。

特定秘密保護法とか安保法制といった最近の日本で起こっていることを考えると、本書で出てくる米国の国土安全保障省(DHS)が国内で行っている活動に近いことが日本国内で行われていても、それは特定秘密保護法の対象に恣意的に定められてしまい、国家が国民のプライバシーを侵害し自由を侵す事態が生じないとも限らない。フィクションとはいえ、そんな社会を具体的にイメージするには、こういう小説もなかなか役立つ。

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