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『「超」情報革命が日本経済再生の切り札になる』 [仕事の小ネタ]

「超」情報革命が日本経済再生の切り札になる

「超」情報革命が日本経済再生の切り札になる

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
人工知能、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーン、Airbnb、Uberの登場で、経済・社会が一変。このままでは日本経済は中国化する!

近頃流行りのAirbnbやUberについて書かれているという新聞広告の謳い文句を見て、なんだかピンと来るものがあり、書店に立ち寄って中身も見ないで衝動買いしてしまった。僕としては珍しいことをやったもんだと思う。そして、一気に読んでしまった。先週のことだ。

実際に読んでみて最初の3章は面白かった。情報革命が情報の非対称性問題を克服して、アダム・スミス的競争市場の実現をより可能にするという説明は、UberやAirbnbが例示されている限りは当たっているようには思える。スマホさえ手元にあれば通訳の代わりにもなるだろうし、遠くの高等教育機関で行われている教育だって受けられるだろう。僕はそこまでのスマホの活用はしてないけど。

スマホがこれだけ普及していると、情報アクセスはスマホで相当できそうだ。僕は今東南アジアの某国の僻地に滞在している。ネット接続環境は不安定だと現地の若い人たちは口々に訴えるが、一方でみんなスマホを使っている。

日本で論じられているIoT導入論が的を外しているという指摘もそうかもしれない。単にものをネットでつないだからといって、すごい利益が得られるようなビジネスモデルは形成できないだろう。それができたらすごいと思うが、なんだかピンと来なかった。IoTを騒いでいる人って、企業側から見ている人じゃないかと思える。ユーザー側のメリットがよくわからない。また、ものをネットでつないだら、サイバーセキュリティの問題も出てくるだろう。IoTを言っている企業の人って、サイバーセキュリティのことまで考えて話しておられるのだろうか。

そう思ったのは、先週スマートコミュニティインフラの話を企業の方から聞く機会があったが、インフラをつなぐのはいいとして、サイバー攻撃を受けた場合を想定されているのかと質問したところ、議論してないと正直に答えられた。日本の企業は個別の技術では今でも強いが、全体をとらえたシステム構築の部分ではあまり強くないと言われる。ビットコインを可能にしているブロックチェーン技術への著者の注目も、僕には勉強になった。

全体的にはまとまりのない論考だと思う。おそらくいろいろなところに寄稿されていたのをまとめられたものなのだろう。各章における個々の論考は十分に傾聴に値すると思うけど、少なくとも今の僕の問題意識から言えば、参考になったのは最初の数章だけだった。それでも購入して手元に置いたことには後悔はない。

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『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』 [仕事の小ネタ]

残酷な20年後の世界を見据えて働くということ

残酷な20年後の世界を見据えて働くということ

  • 作者: 岩崎 日出俊
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2014/11/22
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
興銀、J.P.モルガン、リーマンなどで働いた歴戦のビジネスマンが語る、20数年後、65%の人が今は存在していない仕事に就く時代の生き延び方。すべての「逃げ切れない世代」へ!

ただいまアジアの某国に出張で来ております。ちょっと前までは11月末締切の論文を書き上げるのに四苦八苦していたのが、期日までに提出して次の用務に頭を切り替えるのにわずか1週間弱。論文提出まではと先延ばしにしていた作業が幾つかあったので、それをこなしていたらいきなり出発の日を迎えてしまった感じである。6日(日)に東京を出発し、その日のうちに現地入りしたが、今日まで予定がぎっしりだったので、なかなかPCに向かうのもままならなかった。今日は17時でリリースされたので、今は少しホッとしているところだ。

さて、こうしてアジア某国にまで渡航する道すがら、リムジンバスと飛行機とで、合計すると6時間ほどの時間があった。勿論出張用の資料の読み込みはある程度進めたけれど、それでも時間があったので、僕は機内に持ち込んだこの本を1冊読み切ることができた。今回の出張の用務と関係があるようで、ないようなテーマ。読了して現地での日程に臨んでいるが、こちらの人々にインタビューすればするほど、本書の著者が言う「アジア諸国とのボーダレス化が日本を苛烈な状況に追い込む」(p.220)という状況がよく理解できる。僕自身そんなに仕事ができる人間だとは思ってはいないが、東京の職場で周囲の人々を見ているのと、こうしてアジアの国に来てその国で若くして起業した人やこれから世に出ようとものづくりにいそしんでいる学生さんを見ているとでは大きな違いはない。日本のアニメの仕事がこの国にかなりアウトソーシングされていると聞くと、さもありなんと思う。ロボット工学が勉強したいとか、将来アニメーターになれたらとか言っているわが家の若者達を見ていると、どっちに競争力があるだろうかと悩む。少なくとも英語が普通に話せるだけ、こちらの若い人の方が競争力があるような気がする。

でも、この語学力だってひょっとしたら安泰ではないかもしれない。昔は外国語を訳してくれる通訳なんて、なりたくてもハードルが高すぎる専門的な仕事だったと思う。僕が就職した1990年代は、英語を日本語に訳してくれる翻訳ソフトの能力なんて、たかが知れていると思っていた。やんごとなき事情により翻訳ソフトを購入したが、5万円ぐらいした。大変な出費だ(・・・と妻にはアピールしておきたい)。それが今やどうだ、パソコンのソフトなど購入することはない。Google Translateを使えば、翻訳などある程度の正確さでできるし、電子辞書には音声機能が付いているので、発音の仕方がわからなきゃ機械にしゃべらせればいい。多分、海外旅行者用に文章通訳のアプリだって既にあると思う。既に逐次通訳の世界は機械に置き換わりつつあるし、そのうちに同時通訳だって機械がやってくれる世の中がくるかもしれない。少なくともSiriの音声認識機能がここまで正確になってきたのなら、同時通訳だってできるようになるに違いない。

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『出世する武士、しない武士』 [読書日記]

出世する武士、しない武士 (日経プレミアシリーズ)

出世する武士、しない武士 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
足軽の家から老中へ?―江戸時代は「能力主義の下剋上社会」だった!「引き上げてくれる人」の心をキャッチした柳沢吉保、上司に嫌われ閑職にやられた遠山金四郎景元、忠義を貫いて世論代表になった大石内蔵助など、武士たちの出世構造と処世術を読み解く。

新書サイズのこの本は、近所の図書室で別の新着書籍を借りる際に、新書だから気楽に読めそうだという理由から付け足しで借りたものである。今週はいろいろ思惑があって読む順番を入れ替えたりしたため、本書についても順番を繰り上げ、やはり息抜き的な位置づけで読んむことにした。

今年1年を振り返ってみると、意外と幕末から明治維新の頃について学ぶ機会が多かった。最大の理由はNHKの大河ドラマ『花燃ゆ』を意外とよく見たというところにあるが、これに最近では同じNHKの朝ドラ『あさが来た』やテレ朝で放送中の『サムライ先生』も加わり、まあそれはそれは興味深くドラマを見させてもらうことができた。例えば本書の最終章で伊藤博文の生涯がかなりの紙面を割いて紹介されているが、松下村塾の塾生だった時代から明治にかけての彼の動きをこうして読んでみると、大河ドラマでの伊藤の描かれ方というのは意外と史実に忠実であったというのがよくわかった。

そうは言いつつも、この本は古くは徳川家康の旧武田軍掃討作戦に参加していた大久保彦左衛門から、伊藤博文に至るまで、実に30人もの人物を登場させている。その各々の生涯を6ページほどの紙面にコンパクトにまとめられているので、各々がどういう人だったのかをかいつまんで理解しておくにはちょうどいい本だと思う。とかく江戸時代というのは、戦国から安土桃山の時代までと比べると内戦や外国との戦争が少なく、鎖国政策の下で社会が安定化して面白味があまりなくて、僕自身にとってはあまり興味のない時代だった。従って、歴史上の登場人物といっても、高校の日本史の教科書に出てくるぐらいの人物の名前と業績ぐらいはなんとなくは知っているけれど、それ以上のことはあまり積極的に学ぼうという試みをしてこなかった。

例えば、田沼意次といったら「わいろ」を横行させた腹黒高官というイメージしか持っていなかったが、この人にはまったく別の評価もあり、それまでのコメ生産高に基づく各藩の歳入構造を、民間商業活動振興による税収増や官営事業の実施による事業収入の増加に切り替えていくきっかけを作った人だというポジティブな受け止め方もされている。(そこを透明にやらずに恣意的な課税を行っていたから、わいろがどうこうという話が出て来るのだ。)

また、柳生十兵衛とか遠山金四郎とか、実在の人物であることはあるけれども、僕らがテレビドラマで見て抱いているイメージと、実際の彼らの生涯とでは、大きな乖離があるらしいというのもこの本を読むとよくわかった。また、遠山の金さんっていつの時代の人なんだろうかと、ドラマをそうそう頻繁に見てなくて誰が登場してたのかもよく覚えていない僕らのいい加減な知識ではよくわからなかったが、なんとなんと、結構江戸時代末期に近い、天保の改革の頃の名奉行だったのだと初めて知った。

何よりも強調しておきたいのは、この本、江戸時代の経済や社会の歴史を俯瞰できてけっこう有用かもしれないという点である。また、官僚制度の変遷を理解できる1冊でもあると思う。元禄期をバブル経済絶頂期と捉え、その後幕府、各藩ともに財政が悪化し、そこで様々な取組みが行われるものの、改革はなかなかうまくいかず、しまいには既存の社会制度を完全に破壊して新しい社会制度を構築しようとする明治維新につながっていくという流れになっている。著者本人は明示的には述べていないけれど、こうして振り返ると、既成勢力の抵抗をなかなか打破できず、既存の政治や社会の枠組みを根本的に変えるような動きにつながっていない今の政府の改革姿勢や、それを許してしまっている日本の社会の受け止め方そのものが、著者から見ればまだまだ生ぬるく、小手先の改革では日本経済、日本社会を再浮揚させることなど難しいと考えておられるのではないかという気がする。

意外と面白い着想の1冊である。息抜きとして読むには最適だろう。

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