So-net無料ブログ作成
検索選択

「微笑みの国」からこんにちは [ブータン]

Chorten2016-4-30.jpg

1週間のご無沙汰でした。無事にブータン王国に到着しました。

先週金曜日までは東京で普通に会社に通勤し、週末で必要な物資の追加調達やら、やり残していた家族関係のイベントやらを片付け、一気に荷造りしました。

日曜深夜の羽田空港発のフライトに乗り込み、経由地バンコクで乗り換えて、月曜10時過ぎにはパロ国際空港に着陸します。そこから首都ティンプーの勤務先に直行、あとは怒涛の5日間でした。

実は土曜日の今日も早朝から行事があり、それが終わったところでようやく一息つけました。ブログの更新頻度の低さからもご想像の通りで、3月、4月はとても慌ただしく、ゆっくりできたのは体調を崩して家でぐでっていた今月最初の週末ぐらいでした。たとえ数時間とはいえ、久しぶりにゆっくりできたなと思います。

続きを読む


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

『美しい国ブータン』 [ブータン]

美しい国ブータン (かに心書)

美しい国ブータン (かに心書)

  • 作者: 平山 修一
  • 出版社/メーカー: リヨン社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書
内容紹介
国民の98%が幸福と実感し、自殺者ゼロの国、ブータン。その生活を綴ったエッセイ。
幸せ指数世界一の社会学。物資や食料の欠乏は、心の貧困には繋がりません。物質社会・競争社会に溺れる現代人必読の書。

前回、「これが海外赴任前の最後の1冊」と書いたが、今週に入って同時進行で2冊読んでおり、いずれも読了、ないし読了見込みというところまでこぎ着けた。任地に着いてすぐにネットにつながるかどうかはわからないので、取りあえず読了したものから紹介しておこう。

今度ブータンに行きますとお伝えしたところ、平山さんが謹呈下さった1冊。僕も初めての国というわけじゃないので、多少なめてたところはあったけど、この本を読んで、ブータンの人々とどう付き合ったらいいのか、いろいろ考えさせられた。

僕の前任者は既に帰ってきており、先々週から数度にわたって引継ぎを受けた。その中で最も印象的だったのは、ブータン人は意外と期限を守らないし、それを咎める人もいない、期限について指摘すると、「そんなに厳しく言わなくても…」という反応が返って来る、云々。自分自身でいついつまでに作業しますと言わせたらやってくれるのかというと、そういうわけでもないらしい。自分で決めた期限であっても守らないことが多々あるのだとか。また、何かをやってもらいたくてお願いしようと思うと、それほど忙しそうには見えないのに、「私は忙しい」といって断られることもあるのだそうだ。

これは、知らないで行くよりも、そういうものなのだと心の準備をして行くのが精神的には良さそうだ。東京からは期限付きの作業を求められても、現地ではそうそう思い通りに結果は得られない。往々にして無理は現地の日本人スタッフに求められることになってしまう。そこは多少覚悟しておくとしよう。

さて、このブータン人が期限を守らないという点について、本書で平山さんはこう書いておられる。

 傍から見ると何とも努力しない人たちだと思う時もあった。彼らはできる仕事もやろうとせずに延ばし延ばしのするように私には思えた。「もっと効率的に仕事をしよう」と私が提案したやり方はことごとく彼らに否定された。
 物事には理由が隠れているものだ。実は彼らは努力や向上心がないのではなくて、日本人なら仕事に振り向けるべき時間を別のことに費やしているのである。もちろん彼らは彼らなりにこのままではいけないとの問題意識は持っている。しかし、それ以上に既存の仕事のやり方を変えるリスクを取りたくなかったのである。
 つまり仕事が効率的になるとより多くの業務量が降りかかることを彼らはわかっていたのだ。そうなると今の生活が維持できない。家族のために、生活のために割く時間が少なくなる……だからこそ「改善がすべてではない」と一見平凡に見える生活を必至で守っていたのであった。彼らは現状に不満を持ちながらも状況を受け入れ、その状況を楽しむ術を心得ている。必死ながら、人生を楽しんでいる。(p.51)

続きを読む


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『世界の辺境とハードボイルド室町時代』 [読書日記]

世界の辺境とハードボイルド室町時代

世界の辺境とハードボイルド室町時代

  • 作者: 高野秀行・清水克行
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2015/08/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
人々の心の動きから法体系まで、こんなにも似ている社会が時空を超えて存在したとは!その驚きからノンフィクション作家と歴史家が世界の辺境と日本史を徹底比較。辺境を知れば日本史の謎が、日本史を知れば、辺境の謎が解けてきた…。

これが海外赴任前の最後の読書日記となる。新しく赴任する国に未読の本を何冊か持って行くことは既に決めていて、その多くをEMSで既に発送してしまったので、あとは図書館から借りている本を読み終えて返却することと、現地入りまでの数日間のうちに読めそうな本を1冊だけ手元にキープしておくぐらいしかない。

本日ご紹介する本は、なんとこのタイミングで貸出の順番が回って来た。慌てて借りて読むことにした。この本も発売された当初は新聞各紙の書評でも取り上げられ、世界の辺境を旅するルポライターと新進気鋭の日本中世史研究者の異色の対談録として話題にもなった。以前、僕は高野秀行の『謎の独立国家ソマリランド』『恋するソマリア』をブログで紹介した。ここ数年ソマリアに入れ込んできた著者が出した3冊目の本は、ソマリアの混沌を理解するには、かつて混沌の時代を送って来た日本自身の歴史を振り返ってみるとよい、室町時代中盤から戦国時代にかけての日本と、内戦状態にあるソマリアは状況が酷似しているとして、日本の中世を論じる歴史家を引っ張り出してきたのが本書だ。

本来あまり交わることのなかった異なる領域の作家と研究者が、タコツボを廃して交流することで、新たな発見や新たなアイデアが生まれるのだというのを、改めて実感させられる1冊だ。日本中世史の研究者の側からしても、史料を読み込むことで日本の歴史を遡り、当時はどうだったのかを考えるというのは、タイムマシンに乗って過去に行って実地検証することなどできない以上、どうしても想像の域を出ない。日本の中世に関する仮説を検証するには、今も開発途上国の特に辺境地帯における社会の実態を見ることが、どうやら相当に参考になるらしい。こうして、辺境作家、歴史家の双方にメリットがある対談となっている。

また、多分高野さんの方は最初はソマリアの混沌を理解するために清水さんの著書に当たったのだろうと思われるが、対談が進むにつれ、話はソマリアのような紛争国にとどまらず、これまで高野さんが歩いてきた、世界の多くの国々の、知られざる辺境の社会の理解全般への適用可能性についても語られている。その中には、僕が今回赴任する予定のあの国も含まれている。

続きを読む


nice!(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

五段合格 [ご挨拶]

来年4月には五段受験資格が発生しますが、今の僕の剣道では、多分合格自体が相当難しいと思っています。特に、今年は6月頃から仕事が忙しくて、8月には無理がたたって体調を崩し、10月以降も休日出勤や休日イベント参加が多くて稽古が休みがちになりました。そんな中で、ご指導下さっている先生方から、「我慢が足りない、攻めがない」と言われ続けており、一時は何が何だかわからなくなってしまったこともあります。

昨年大晦日のブログで、僕はこんな弱音を吐いていました。会社の剣道部の11月の稽古会で、直後に四段審査を受験する同僚の実技審査の模擬審査を全員でやってみた際、僕の攻めがほとんど効いておらず、逆に相手に面を引き出されて応じ技でポイントを取られることの繰り返し。いつも指導に来て下さるH先生の言葉もなかなか頭に入らず、パニックに陥りました。何をやってもうまくいかず、何をやればいいのかがまったくわからず、どん底の状態を味わいました。今すぐ五段受験したら絶対実技で不合格だろうと思いましたが、幸い五段審査の権利発生は今年4月だったので、これだけ落ちたら調子はいずれ上向いてくるだろうと前向きにとらえていました。

新年になり、道場の先生方も五段審査を意識したご指導に変わっていきました。地稽古をお願いしても気付いたところでは稽古をやめてチェックをして下さるようになりました。そこで言われたのは、「今の状態だったら五段は微妙」というメッセージでした。

浮上のきっかけをつかんだと思ったのは、1月の会社の稽古会でした。いつものH先生が休まれ、K先生が攻めを意識した指導をして下さいました。これが僕には非常にシンプルでわかりやすかった。その直後に市の剣道連盟が開いて下さった四段五段講習会でもそれを意識して立会いに臨んだところ、これもまずまずの感触でした。但し、ここでも新たなことを教わりましたし、また「気剣体一致」の「気」が十分出ていないとの指摘も受けました。

一方、体勢についても見直しました。11月に行われた自分の試合の写真を見て、まだ前のめりになっている自分の姿勢は十分改善されていないのに気づきました。1月末に行われた官公庁剣道連盟主催の月例稽古会で、元立ちをされていた先生の姿勢を参考にし、竹刀を持つ左拳の位置を少し下げ、体重を意識的に左足に乗せる構えを意識するようになりました。

そうするうちに、少しずつ自分の剣道も変わっていった気がします。打ち急がず、じっくり攻めること、左足に体重を乗せて、右足は相手に向かっていくことが、少しずつですができるようになってきました。ただ、ピークが3月中旬に来てしまった感があり、このタイミングで昇段審査があったら、まあなんとか行けるだろうと思っていました。

それからの3週間は、思ったように稽古機会を設けることができませんでした。1つには異動に伴う送別会等の宴会が続き、ひどい時は7日間連続という時もありました。これに追い打ちをかけたのが花粉症です。僕はスギ花粉のアレルギーはさほどでもないのですが、3月中旬頃から飛散を始めるイヌシデの花粉が苦手で、まさにこのイヌシデの大木が自宅の向かいの神社に生えているポジションは最悪と言えます。毎年悩まされているこの花粉症ですが、くしゃみと鼻水が止まらなくなるという症状が今年は例年よりもひどく、たまりかねて医者に行き、薬を処方してもらったのが審査の2週間前。お陰で4月に入って最初の道場稽古を欠席せざるをえなくなりました。

続きを読む


タグ:剣道
nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

『日曜日のアニメが待ち遠しい』 [読書日記]

水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす

水曜日のアニメが待ち遠しい:フランス人から見た日本サブカルチャーの魅力を解き明かす

  • 作者: トリスタン ブルネ
  • 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
  • 発売日: 2015/08/03
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
1970年代末、フランスの子どもたちはみんな日本アニメに夢中になった―。激しいバッシングや創造的な誤解を巻き起こしながらもアニメやマンガはやがて彼らの人生や世界観に大きな影響を与えるまでになった。日本のサブカルチャーはなぜフランスの若者をこれほど熱狂させるこことになったのか。自身の経験を踏まえてフランス人オタク第一世代の著者が解き明かす。

半年ほど前に発刊されて書評でよく取り上げられていた1冊。なんだかこのところブログでサブカルを取りあげた本をよく紹介している気がしないでもないが、この本も悪くはない。

フランスでなんで日本のマンガやアニメが受けるのか、この現象はなかなか理解できない。フランスのオタク第一世代の著者がこうしてアカデミックな観点から1970年代以降の年代記をまとめてくれたおかげで、かなり詳しくその経緯を理解することができた。

面白かったのは、フランスの子どもたちがハマった最初の日本アニメが『UFOロボ・グレンダイザー』だったという点。僕たちは『マジンガーZ』世代なので、『グレンダイザー』における兜光児の位置付けが結構微妙で、最終回までちゃんと見た記憶がない。ただ、コックピットのメカニックだけはカッコ良すぎて、よく自分たちで描いたりしていた。(小6の頃の作品なので、僕らはそこでメカニックの落書きで練習を重ね、その成果が中学時代のスーパーカーの落書きにつながっていったのである。)なんで『マジンガーZ』じゃなかったんだろうか。その疑問は本書でご確認下さい。

1978年夏の水曜日の午後に『グレンダイザー』に遭遇した著者たちは、続けて放映された『キャンディ・キャンディ』、『キャプテン・ハーロック』などでがっちりとハートをつかまれた。通っていた学校で話題にすることはなかったものの、家庭の兄弟の間では情報がシェアされていく。途中オタクを中断する期間はあったものの、やがて復帰すると、著者は『北斗の拳』の原作マンガの仏語翻訳を手がけたりされて、日本のアニメ・オタク文化研究の第一人者のフランス人となっていった。

僕らは日本のアニメを普通に見て育ったからあまり気にしていなかったけど、日本のアニメの登場人物の国際性とか、悪人側にもドラマがあり、悪事を働く事情があることを描いていたりするというのは、外国人から見ると驚きらしい。『サイボーグ009』や『マッハGo!Go!Go!』、『新造人間キャシャーン』あたりを見ていると、これはどこの話かわからなくなるし、『機動戦士ガンダム』のホワイトベースのクルーたちは、そもそも国籍自体が不明だ。また、日本サンライズ系のアニメは、敵方にも人気キャラが生まれるケースが多い。『ガンダム』のシャア以前にも、『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキン、『闘将ダイモス』のリヒテル提督といった美形敵キャラがいた。

欲を言うともう少し口絵挿入があると良かったかもしれない。本当にオタクなのかと想像していたが結構内容はアカデミックなトーンで書かれているので、どのアニメがフランスでヒットしたのかを知りたければ、多少の飛ばし読みをしても許されるだろう。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

にわか仕込みの「システム思考」 [持続可能な開発]

先月末で形の上ではそれまで所属していた部署を離れ、海外赴任の準備に入った。とはいえ、実は残している仕事が2つある。2つとも書きもので、これまで僕の頭の中にあったものを吐き出して文章化するというものである。だから、赴任準備期間中とはいえ、前の部署の仕事で時間を割かれているという現実はある。

例年、この時期は裏の神社のイヌシデの木がカイコのような形をした花を大量に付け、花粉をまき散らす。僕はスギ花粉のアレルギーは大したことないが(それでも今年はちょっとひどかった)、このイヌシデ花粉がダメで、くしゃみは続き、流れ出る鼻水で体中の水分が奪われるような感覚に襲われる。先月末から今月最初の週末までが特にひどかった。会社では自分の座席周りの大掃除をやっていて疲れ切ったこともあるが、2日(土)はまったく動けなくなり、医者で薬を処方してもらった。翌3日(日)は大雨でイヌシデの花がすべて散ったので、症状は多少改善されたが、依然血行不良で下肢の冷えと頭痛が治らず、引き続き自宅で療養した。お陰で自宅PCにベタ張りとなり、懸案の書きものの片方は相当進んだ。次の4日(月)にずれ込んだが、ほぼ書き上げた。細部の見直しと論文要約を新たに付け加え、実際の提出は7日(木)となった。

実はこの作業、単に思っていることを書き出せばいいというものではなかった。体調が良くなかった週末は、それでも書き進めようという意欲だけはあったので、自分の論旨を裏付けしてくれる参考文献はそれなりに再確認のために読み直したりもした。その1つは以下の本の中にある1章だったが、それを今改めて読み直してみて、自分が最近何気なく接していた我が社の業務の1つが、実は「システム思考」に由来するものだということを初めて知った。

Catalyzing Development: A New Vision for Aid

Catalyzing Development: A New Vision for Aid

  • 編著者::Homi Kharas, Koji Makino, Woojin Jung
  • 出版社/メーカー: Brookings Inst Pr
  • 発売日: 2011/06/21
  • メディア: ペーパーバック
Some may dispute the effectiveness of aid. But few would disagree that aid delivered to the right source and in the right way can help poor and fragile countries develop. It can be a catalyst, but not a driver of development. Aid now operates in an arena with new players, such as middle-income countries, private philanthropists, and the business community; new challenges presented by fragile states, capacity development, and climate change; and new approaches, including transparency, scaling up, and South-South cooperation. The next High Level Forum on Aid Effectiveness must determine how to organize and deliver aid better in this environment.

Catalyzing Development proposes ten actionable game-changers to meet these challenges based on in-depth, scholarly research. It advocates for these to be included in a Busan Global Development Compact in order to guide the work of development partners in a flexible and differentiated manner in the years ahead.

「システム思考」って何だ?――なんとなく、それをうやむやにした状態で自分の論文の中で言及するわけにもいかず、かといって論文の中で描きたかった最近のトレンドをうまくまとめた言葉が思い浮かばなかったので、何かパンチの効いたキーワードが欲しかった。「システム思考」はまさに僕が探していたキーワードだ。

続きを読む


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『蚕の村の洋行日記』 [シルク・コットン]

蚕の村の洋行日記―上州蚕種業者・明治初年の欧羅巴体験 (セミナー〈原典を読む〉 (5))

蚕の村の洋行日記―上州蚕種業者・明治初年の欧羅巴体験 (セミナー〈原典を読む〉 (5))

  • 作者: 丑木 幸男
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1995/07
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
「帰国の時はおまへを大切に致し候」 蚕の種紙を売りに出かけたイタリアから、こう妻に書き送った上州村の豪農たち。近代のとば口の様々な西洋体験は、人々に何をもたらしたか。

6日(水)、かねてからの念願だった「世界遺産」富岡製糸場に行ってきた。「世界遺産」というのがくっついたお陰で訪問客が増え、なかなか行く機会を見出せずにいたのだが、さすがに海外赴任まで残り時間が少なくなり、前の部署での仕事もひと段落ついて出勤せずに赴任準備に時間が割けるようになってきたので、まさにその赴任準備と称して、富岡まで足を運んだのである。

東京からの一人旅。車で行くのと電車で行くのとでかかる費用を比べて、後者を選択した。但し、目的地にまで辿り着くまでには時間もかかる。行きは朝8時半に最寄り駅から出発し、製糸場到着は正午だった。帰りも同様に3時間半かかった。これだけ時間がかかるわけだから、良い機会なので積読状態だった蔵書を多少でも読み進めようと考え、携行した1冊が『蚕の村の洋行日記』だった。

サブタイトルに「上州蚕種業者・明治初年の欧羅巴体験」とある。このサブタイトルだけ見れば、上州境島村の田島家が代表して欧州にわたり、島村産の蚕種を欧州のバイヤーに直接売った例の話だと容易に想像がつく。この話については橋本由子著『上州島村シルクロード』をブログでご紹介した際に概略説明済みなので併せてご参照下さい。『上州島村シルクロード』は子供向けの読みものとして書かれているので、欧州に渡った人々の現地でのご苦労が物語風に描かれているので理解しやすいが、実際に彼らが残した報告書や現地から出した書簡などの史料が直接引用されてるわけではない。そこを補っているのが『蚕の村の洋行日記』だ。

この本には、そうした史料の引用がかなり頻繁に出て来る。お陰で、1879年(明治12年)の第1回直輸出における派遣で、田島弥平、信、弥三郎の3人は西回りの航路ではなく、東回りの航路を使い、先ずサンフランシスコで上陸して、大陸横断してナイヤガラ、ニューヨーク見物など行っていることや、こんなルートを使えるくらいだから、相当な所持金を持っての豪遊だったことなどが浮かび上がってくる。

続きを読む


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『ビッグデータ革命』 [仕事の小ネタ]

ビッグデータ革命 無数のつぶやきと位置情報から生まれる日本型イノベーションの新潮流

ビッグデータ革命 無数のつぶやきと位置情報から生まれる日本型イノベーションの新潮流

  • 作者: 野村総合研究所
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/03/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
クラウド時代に必須のITビジネス戦略とは何か? 「全力案内!」「TRUE TELLER」が解き明かした生活者の本当のニーズ。
この本は、先月、近所のコミセンで開かれた「コミュニティセンター祭り」の古本市でたまたま見つけて10円で購入した。会場でパラパラとページをめくってみて、野村総研のやってることを宣伝するための本だとすぐにピンと来たが、仕入れ値が10円だと思えばたいていのことは笑って済ませることができる。

「自社製品の宣伝に偏り過ぎ」、「商品カタログに過ぎない本」などといった辛口のコメントもアマゾンのHPには載っていたが、この手の本は名刺代わりに出版されてるものでしょう。たぶん出版社の印刷製本代分をカバーするぐらいの冊数の買取りを野村総研でやられている筈で、先に挙げたような批判は的が外れているように思う。

逆に、ビッグデータ活用の具体例と、実際の製品開発に至るプロセスを知ることができ、なかなかの本だとも思える。本書では、ビッグデータを「高詳細、高頻度で生成され、多様性に富むデータ」と定義し、それを活用して、経済・社会の問題解決や、業務の付加価値を向上させる事業、もしくはそれを支援する事業をビッグデータ・ビジネスと呼んでいる。今では消費者のIT活用の方が先端的になり、企業よりも個人のIT利用環境の方が高度化する、「産消逆転」現象が頻繁に見られるようになったと本書は指摘する。

そこでは、ビッグデータ・ビジネスを企画する際に最も重視すべきは、市井の人間に関わるデータ、消費者接点のデータだと主張する。例えば、「コールセンターに寄せられる肉声」、「ネット上のつぶやき」、「ウェブログ、クリックストリームなどから得られるデータの動向」、「運行中の車両や電力のスマートメーターから得られる消費者接点のデータ」である。

その上で、本書は、野村総研が手がけるビッグデータ・ビジネスから、具体的に2つの事例を取り上げて詳述してる。1つは、運行中の車両に搭載したGPSセンサーで情報を集積して渋滞回避してスムーズに走行できる道路を割り出し、スマホに「プローブ交通情報」を提供するナビゲーションアプリ「全力案内!」、もう1つは、ソーシャルメディア上でユーザーから発信されるテキスト情報をテキストマイニング技術を用いて分析するツールである「TRUE TELLER(トゥルー・テラー)」である。但し、前者については、間が悪いことに2013年5月に野村総研はサービス終了を発表し、同年11月末までに全サービスを終了している。理由はよくわからないが。

続きを読む


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『サーキットの狼』 [趣味]

[まとめ買い] サーキットの狼 (1-15)

[まとめ買い] サーキットの狼 (1-15)

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版
[まとめ買い] サーキットの狼 (16-27)

[まとめ買い] サーキットの狼 (16-27)

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: Kindle版
スーパーカーブームの火付け役となった、名作レーシング漫画が待望の電子化!
「ロータスの狼」と呼ばれる一匹狼の走り屋でスピードに命を賭けた男・風吹裕矢(ふぶき・ゆうや)が、宿命のライバルたちと繰り広げる凄まじいデッドヒートをダイナミックに描いたカーアクション巨編。ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、日産・フェアレディZ、シボレー・コルベット、トヨタ・2000GTなど、世界中の著名なスポーツカーが多数、劇中に登場!!

電子書籍は専門書を読むにはあまり向いているとは思えないけれど、マンガとかを購読するには結構便利だと思う。物理的にマンガが家の中に積み上がっていくような状況が生じないから、バレない限りは「この歳にしてまだマンガかよ」と妻から白い目で見られる心配もなく(笑)、しかも懐かしのコミックを再び読むことができる。

昨年末、待望の『サーキットの狼』の電子書籍版が公開された。1975年から1979年まで週刊少年ジャンプで連載され、僕の中学時代はこの作品とともにあったといっても過言ではない。僕がジャンプを読み始めたのは1976年夏。ストーリーの中では「流石島レース」の直前ぐらいからだ。当時はまさにスーパーカーブームの最盛期と言ってもよく、このブームのお陰で僕はカメラの操作法を学んだし、外車への思いも馳せた。当時僕がいずれ乗ってみたいと言ってた車は、伊ランボルギーニ社の4人乗り車「ウラッコ」だった。結婚して家族ができても乗れるだろうと考えていた(笑)。この辺り、僕のスーパーカーファンとしての底の浅さが窺える。

今回の電子書籍27巻、最初は「公道グランプリ編」が終わるまでのつもりで購読していたが、それが「Aライ模擬レース編」が終わるまでになり、さらにはエスカレートして、「流石島レース編」、「日光レース編」、「欧州F3編」へと次々と目標の下方修正を繰り返し、とうとう27巻まで買って読み切ってしまった。まこと意志の弱いことよ。

通しで読んでみると、やはり「流石島レース編」あたりがこの作品のクライマックスだったのではないかと思える。主人公・風吹裕矢が目指す最終目標は確かにF1だったので、どうしても街道レーサーからステップアップしていく過程で、スーパーカーとは別のレーシングカーの世界に話が飛んで行ってしまう。シルエットフォーミュラやGCマシンで狭い公道を走る「日光レース編」は相当な無理がある設定だし、欧州に渡ってからのレースはすべてフォーミュラカーで、メカニックの描き方の緻密さで、同時期少年サンデー誌で連載していた村上もとか『赤いペガサス』に負けていたように思う。

続きを読む


タグ:池沢さとし
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:自動車

『メンバーの才能を開花させる技法』 [自己啓発]

メンバーの才能を開花させる技法

メンバーの才能を開花させる技法

  • 作者: リズ・ワイズマン、グレッグ・マキューン
  • 出版社/メーカー: 海と月社
  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
全米ベストセラー『Multipliers: How the Best Leaders Make Everyone Smarter』待望の邦訳
「著者たちは、重要だがまだ研究が不十分な現象──優秀なリーダーはメンバーの知性と能力をどう解き放っているか──を解明することに見事に成功した。この実践的な本は、情報経済のなかでリーダーになろうとするすべての人の必読書である。」――C.K.プラハラード 元ミシガン大学ロス経営大学院特別教授

異動の時期を迎え、3月は読書の量が極端に落ち込んだ。離任する僕を送別する会が連日催される一方、現所属先では「やることはやっていけ」とばかりに仕事はやらされた。直接的な僕の後任は5月にならない来ないため、仕事をやりながら後任に引き継ぐというわけにもいかない。そんな中で海外赴任前のオリエンテーションは必須だから受けろと言われる。僕の頭の中を文章化する作業も同時並行でやらなければならない。僕の会社人生の中で、これほど予定がぎゅうぎゅうに詰まった1カ月は他には例がない。

そんな状況の中で前から積読にしてあったこの本を通勤途中の電車の中で主に読んだ。1つには今の所属先でのマネジメントのあり方に対する複雑な思いがあり、もう1つには次の部署では初めて自分が組織のトップになるので、改めて自分が取るべき作法を確認しておきたかったということ、さらに付け加えるなら、僕がこれまで29カ月の間、毎月行ってきた研修の講師としてしゃべって来た内容を文章化するにあたり、参考文献として付け加えておこうという考えもあった。

本書の構成はいたってシンプルで、著者はこの中で「増幅型リーダー(Multiplier)」と「消耗型リーダー(Diminisher)」の概念を提示し、前者はメンバーの知識を引き出して組織の中に伝染力のある集合知を築くことで、メンバーは最大限の能力を発揮し、消耗型リーダーに比べて2倍の能力を手に入れることができると主張している。逆に、消耗型リーダーは自身が全知全能の神であり、チームのメンバーが自分の意にそぐわぬ仕事ぶりだと全否定してしまい、そのうちにメンバーはやる気を失い、チーム全体でのパフォーマンスに悪影響が出るという。増幅型リーダーがメンバーの天賦の才を引き出すことができるのは、好奇心旺盛で学習意欲が高いせいであり、その第一歩はメンバーに対して「質問」だけを繰り返すことだと主張している。

「増幅型リーダー」と「消耗型リーダー」――それぞれに、思い当たる人が僕の職場にはいるが、前者は意外と目立たないが、後者の人はけっこう多く、しかもそれがかなり目立つ。自分の席に部下を呼びつけて大声でダメ出しやったり、多分そうすることで、自分の考え方を周囲にも伝えたいのだろうと思わなくもないが、叱られ役に対するフォローがないと、彼/彼女は潰れる。また、そのリーダーの上司にあたる人が、そこらあたりをちゃんと理解してないと、そのリーダーは有能な部下として上から評価されるかもしれないが、実はチーム内に不協和音をまき散らしているという実態が把握できていない。最低の組み合わせになってしまう。


続きを読む


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
メッセージを送る