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『ブータンの学校に美術室をつくる』 [ブータン]

ブータンの学校に美術室をつくる (いのちのドラマ)

ブータンの学校に美術室をつくる (いのちのドラマ)

  • 作者: 榎本 智恵子
  • 出版社/メーカー: WAVE出版
  • 発売日: 2013/08/06
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
青年海外協力隊として、ブータンの子どもたちと過ごした、涙と感動の2年間。ブータンのろう学校で美術を教えながら体験した子どもたちとの毎日や、ブータンの障がい者の生き方について。世界一幸福な国といわれるブータンを、少しちがった角度から紹介。

タイミング的には前回ご紹介した朝井リョウ君の近著よりも先に読了していた本。小中学生を対象とした本なので、わりと早く読めてしまうと思う。

ブータンのパロ谷の奥の方の聾学校に青年海外協力隊の美術隊員として派遣された女性のオートエスノグラフィである。ブータンという国の紹介から始まり、その中での障害者の見られ方を客観的に述べた上で、著者自身の任地での活動の展開がほぼ時系列的に描かれている。途中で起きた様々な困難や壁を、時に同僚や他任地の隊員との連携で乗り切り、時には先送りして課題解決に向けて機が熟すのを待ち、しまいには大きな成果につなげていっている。2年間の任期を考えた時、ここまで見事な展開で締めくくれるケースは難しいかもしれない。小中学生読者向けに平易な文体で書かれているが、これ自体立派な国際協力のケーススタディともいえる。

タコツボにならず、外部者の立場をうまく生かして異業種の人たちとの交流を図り、協働につなげていくことが協力隊員の1つのあり方だと常に思っている。ここで描かれている他任地の隊員とのコラボなどはその典型的な事例だろう。また、教師隊員はえてして本来のカウンターパートであるべき同僚の教師が、一緒に授業をやるというよりも授業を分担することになってしまうケースが多く、「カウンターパートがいない」というボヤキにもつながりやすい。そんな中で、目の前にいる生徒さんたちをカウンターパートとして捉えて将来的に同校の美術教育を担ってくれる人材として育てるという発想の柔軟さにも感銘を受ける。そして、デザイン的要素を加えて売れる製品に仕上げるよう意識付けしていく取組み。協力隊員だけではなく、どのような形であれ国際協力に携わりたい人全般に対しても与える示唆が多い本だと思う。

美術作品の製作を通じて、聴覚障害を持った子供たちが変わっていく姿、そしてその変化を目にした同僚教師たちの変化。美術が持つポテンシャルの高さを感じずにはいられない。こういう本を読んだら、芸術学部志望の我が家の娘のやろうとしていることにも意味はあるのだろうと思える。

それにしても、著者のセルフプロデュース力は素晴らしい。最初から本にすることを想定して情報収集をされていたのだろうと思うし、印象的な写真をこれだけ撮りためておられたというのも、チャンスがあれば本にしたいと考えておられたからだろう。でなければ、任期終了からわずか数カ月で本が出版されるということはあり得ない。

ブータンに来てからまだ日が浅い僕には、ブータンの人々の考え方やライフスタイルに関する記述で、参考になるところが多くあった。
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『ままならないから私とあなた』 [朝井リョウ]

ままならないから私とあなた (文春e-book)

ままならないから私とあなた (文春e-book)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/04/10
  • メディア: Kindle版
内容紹介
「レンタル世界」――先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。
「ままならないから私とあなた」――成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、そして決定的に対立する瞬間が訪れる。
正しいと思われていることは、本当に正しいのか。読者の価値観を心地よく揺さぶる二篇。

ブータンに赴任してきて25日でちょうど1カ月となった。毎日が慌ただしく過ぎるのに、1週間が1カ月にも感じる。着任1カ月というが、気持ちとしては長いなぁという印象だ。

高地だからというのもあるし、心理的なプレッシャーもあるのだろうか、こちらに来てから時折胸の苦しさを感じることがある。それ自体はもうなんとか付き合っていくしかないなと思ってやり過ごしてきたところではあるが、さすがに1カ月近くなると体の他のところにも影響が出てきた。

24日、僕は久しぶりのひどい下痢をやった。朝から出るものがすべて液体と化している。午後になって症状はさらに悪化し、1時間のうちに何度もトイレに駆け込むひどい状態となった。翌日に持ち越せる仕事はすべて後回しにして、定時で退社してアパートへ戻った。何も食べる気がせず、ベッドに直行。毛布にくるまったところ、異常な寒気を感じて震えが止まらなくなった。みるみる体温が上がっていく自分を感じ、実際に体温計で計ると、38.1度あった。平熱が36度台前半の僕にとって、38度台は異常事態だ。解熱剤を飲み、着られるだけの厚着をして、再び毛布にくるまった。すぐに熟睡できるわけでもなく、睡眠導入作用がありそうなことをやるしかない。専門書や洋書なら眠れるが、意識朦朧の中でそんな堅いものを読んでられるわけもない。

そこで思い付いたのが、Kindleで小説を購入すること。物色していたら、僕の高校の後輩、朝井リョウ君が新刊を出しているではないか。さっそくダウンロードして読み始めた。寝るのが目的だから、お陰でその晩は早々に寝てしまい、読みかけの部分を読み切ったのは翌日夜であった。

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「バンド・デシネ」再び [読書日記]

ブラックサッド 黒猫探偵 (EUROMANGA COLLECTION)

ブラックサッド 黒猫探偵 (EUROMANGA COLLECTION)

  • 作者: フアンホ・ガルニド
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2014/11/08
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
私立探偵ブラックサッドは警察のスミルノフに呼ばれ殺人現場に向かう。被害者はかつての恋人ナタリアだった。スミルノフの忠告をよそに、ブラックサッドは独自に事件を調べることにする。しかし殺害現場に残された手がかりはなく、ブラックサッドは以前ナタリアの用心棒にと紹介したボクサーのジェイクの所に向かう。調べていくうちにブラックサッド自身にも危険が…ブラックサッドはかつての恋人の無念を晴らすことができるのか?50年代のニューヨークを舞台に、登場キャラクターが全員動物という斬新な設定のハード・ボイルドBDの記念すべきシリーズ第1巻。

今から3年前、三鷹国際交流協会の国際理解講座でフレデリック・トゥルモンドさんをお招きして、フランスのマンガ文化をご紹介いただいた。その際、フランスのマンガ「バンド・デシネ」(以下、BD)の奥深さを初めて知り、講座の後、図書館ですぐに借りることができた『モンスターの眠り』、『天空のビバンドム』、『闇の国々』等を読んだが、その頃から既に、『ブラックサッド』と『赤いベレー帽の女』はいずれに読みたいと公言していた。

*僕のBD関連記事は以下のURLから読めます。
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2013-07-28
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2013-08-16
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2013-09-01

僕は既に国際交流協会の行事から足を洗って既に2年以上が経過している。僕よりも圧倒的に年上のボランティアの先輩方から僕らの企画書がケチを付けられたり、僕の働いている会社に対して批判的なコメントをいただいたり、そういうのが嫌になって僕は国際交流協会のお手伝いをしなくなったのだが、本当はもっとちゃんとやるべきなのに今も国際交流協会ではできていないことのひとつが、過去に開いた講座の講師や登壇者の方々へのアフターケアである。これは1つの理想論なので、僕は当時入っていた分科会でそういう提案をしたのだが、結局実現させられなかった。たとえボランティア団体だとはいえ、2カ月に一度しか集まらない僕らボランティアに組織全体を動かしていく力はない。講師や登壇者の方々のフォローアップは、僕が個人的にやっている程度に過ぎない。

3年前の講座終了後、僕はFacebook(FB)上で「海外マンガフェスタ」のフォロワー登録をした。(フレデリックさんは当時FBをやられていなかったので、友達にはなっていない。)BDも何冊か読んだし、毎年10月に行われる海外マンガフェスタはいつも別の行事と重なってしまい行ったことがないが、それのサイドイベントには女子校の漫研にいるうちの娘を連れて参加したこともある。マニアというには程遠くてとても話にはついてけないが、辛うじて作品を多少知っているぐらいのところで踏みとどまっている感じだ。

でも、そうやってフォロワーになっていたおかげで、最近フレデリックさんがFBに上げた記事に気付くことができた。『ブラックサッド』第1巻と、『赤いベレー帽の女』全2巻が、この5月14日に電子書籍化されるという告知だった。単身生活のこちらにいると、週末や平日夜に1人で過ごす時間がそれなりに長いので、待望の2作品、ダウンロードして読んでしまおうと考えた。

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『シャオミ-世界最速1兆円IT企業の戦略』 [仕事の小ネタ]

シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略

シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略

  • 作者: 陳 潤
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2015/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
Google、Apple、Facebook、Amazonを超え、わずか創業5年で売り上げ1兆円を達成した謎のIT企業のビジネスモデルと戦略。本書は、「超低価格+高スペック+洗練されたデザイン」のスマホをもとに市場を席巻し、今最も注目されているIT企業シャオミのすべてを、「チーム」、「プロダクト」、「イノベーション」、「バリューチェーン」、「ビジネスモデル」、「マネジメント」、「マーケティング」、「エクスペリエンス」、「オリジナリティ」という9つの観点から分析した一冊だ。リアル店舗は「持たない」、自社工場は「持たない」、役職は「つくらない」、ハードウェアでは「稼がない」、KPIは「いらない」などの常識破りなビジネスモデルと経営戦略を、シャオミの創設以来のプロセス、そして創設者である雷軍の20年の経験をもとに徹底的に解説する。シャオミの急成長の理由とそこにいたるまでの失敗の数々は、イノベーションの本質を学びたいすべての人にとってのもっともいいケーススタディとなるだろう。

ブータン赴任の直前、それまで2年使ってきたスマホをデュアルSIMスマホに切り替えることにした。ヨドバシカメラに出かけて物色した際、シャオミ(Xiaomi)って扱ってないのかなと思って眺めてみたけど、それほど置かれたなかったように記憶している。ファーウェイやASUSが幅を利かせていたので、僕はそれじゃあと店員のお薦めにそのまま乗っかる形でASUSのZenfoneを選んだ。

シャオミのことは、前回ご紹介した『メイカーズのエコシステム』の著者である高須正和さんが僕らの会社の勉強会にお越し下さった時に、深圳のイノベーション・エコシステムの典型例として言及されていて覚えていた。早口の高須さんの話の展開に必ずしも十分ついていけてなかった僕は、取りあえずはシャオミのことはシャオミのこととして、高須さんの著書とは別に適当な読み物があれば読もうと考えていた。本書も一度は近所の市立図書館で借りることができたけど、仕事が忙しすぎてすぐに読むことができず、仕方がないので電子書籍版を購入してブータンに持ってきている。

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『メイカーズのエコシステム』 [仕事の小ネタ]

メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 (OnDeck Books(NextPublishing))

メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。 (OnDeck Books(NextPublishing))

  • 作者: 高須 正和
  • 出版社/メーカー: インプレスR&D
  • 発売日: 2016/02/17
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
内容紹介
iPhoneが製造されている中国の工業地帯、深圳。そして最も偽物のiPhoneが「発明」されているのも、深圳。「製造業のハリウッド」と呼ばれるかの地では、秋葉原の30倍の電気街をもち、100倍のベンチャー企業が最先端の電子ガジェットを作り、世界中にクラウドファウンディングで販売しています。そんな「IoT(モノのインターネット)」の中心を、高須正和・井内育生・きゅんくん・江渡浩一郎らが渾身のレポート。日本と深圳で自らベンチャーを行う小笠原治・藤岡淳一も寄稿。解説:山形浩生。

僕がブータンに引っ越してくる前、日本でメイカームーブメントに関わっておられる何人かの方々から、「面白いよ」と薦められたのがこの本。勿論、著者ご本人による自薦もあったけれど。僕はこの本の著者である高須さんが講師をされた勉強会に出たことがあるが、その時と同じ語り口がそのまま文章になっている箇所が随所に見られて、ちょっと吹き出しそうにもなった。おそらく本書にはプロのライターさんが付いていて、高須さんが口述したのをライターさんが文章に起こしたか、あるいは再構成もされたのではないかと思う。

書籍版にすると400ページもある本である。僕は電子書籍を購入してキンドルで読んだが、読み進めるにはかなり時間がかかった。電子書籍の良くないところは、全体の構成を把握しづらいことである。本書自体が構成的にわかりやすく書かれていないのか、そもそも電子書籍というのが持っている欠点によるものなのかはわからないが、イッキ読みではなく、少しずつ毎日コツコツ読み進めていく方法では、全体をどれだけ理解できたかやや自信がない。

本書の帯には、「全力で深圳を見てきた。シリコンバレーから深圳へ」と書かれている。とはいえ、必ずしも深圳だけが描かれているわけじゃなく、著者が住むシンガポールのケースも本書では出てくる。この本を読めば、いちげんさんにはわからない、深圳のディープなところはよく理解できると思う。僕らは中国製というと、なんとなくコピー版の電化製品を廉価で販売する、低賃金労働力を売りにした製造業が多く立地しているのではないかとおいうイメージで見てしまうが、本書を読むと、深圳の企業もそれなりにものづくりを真剣に捉えているし、小ロットでも生産を引き受けてくれる業者がいるということがわかる。自分でものづくりをやりたいと思っている人には深圳はかなり刺激的な地だ。「秋葉原の40倍」と言われても、容易に想像がつかない。

一方で僕のものづくりのレベルは、まだまだ使いこなせないIllustratorでなんとかデザインしたものを、レーザーカッターを使って木材やアクリル板にどうにかこうにか加工・プリントできる初心者レベルなので、まだまだ深圳には程遠いという気はする。ここブータンではデスクトップ工作機械はまだどこにもないが、もしファブラボのようなものが僕がこちらにいる間にできるようなことでもあれば、僕は入り浸って自分のスキルを高めたいし、そして少しはメイカーとしての実践経験を高めていければ、そのうちに深圳やシンガポールに行ってみたいという気持ちも芽生えてくるだろう。

それにしても、著者も含めて、こういうのにかかわっている人たちって、どうやって生計立てているんだろうか(笑)。いつ投資資金を回収できるかわからぬスタートアップに興味本位でお金注ぎ込めるんだから…。こんなこと僕がやってたら、嫁さんに怒鳴られるに違いない。

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SDGsを優先順位付けする [持続可能な開発]

英エコノミスト誌の5月7日号に、バングラデシュにおける開発課題の優先順位付けに関する記事が掲載された。デンマークのシンクタンクであるコペンハーゲン・コンセンサス・センター(以下、CCC)が、ここ数年取り組んでいるSDGsの費用対効果の分析手法をバングラデシュに適用した結果について紹介した記事である。同様にCCC自身もそのHPにおいてその分析結果を発表している。それによると、費用対効果が最も高く多くの資金を投入すべきとされたのは、①結核対策、②公共サービスのデジタル化、③幼児の栄養、だったという。

この分析は、1年ぐらい前からCCCがバングラデシュのシンクタンクや市民社会組織、民間セクター等と協議を重ね、絞り込んだ72の項目について、ノーベル経済学賞受賞者を含む内外の経済学者を動員して行われた。その報告書は1000ページにも及ぶもので、今現在バングラデシュの仕事に関係していない僕が内容を理解するには大部過ぎて手も足も出ない。ただ、分析結果が示唆するものは大きい。SDGsの達成に向けて投入される公的資金は主には国民の税金か公債発行である。いずれにしても少ない調達額で最大限の成果を上げることが考えられなければならない。(NGOの活動に投入される民間資金はちょっと意味合いが違う。たとえ費用対効果が低くても、寄付してくれた人々が高い価値をつけるものに対して投入されることが、寄付してくれた人々の効用につながるからだ。)

エコノミスト誌の記事はこちら。
http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21698302-ambitious-attempt-work-out-best-use-scarce-resources-how-spend-it?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

CCCの関連記事はこちら。
http://www.copenhagenconsensus.com/bangladesh-priorities/top-three-priorities-bangladesh-tb-infant-nutrition-e-government

この分析結果が公表されたことを受け、SDGsのターゲット間の優先順位付けの議論が再燃するかもしれない。バングラデシュで同国の文脈において何が優先されるべきかを研究するのに先駆け、CCCは昨年6月頃から既にSDGsの169のターゲットについて、費用対効果の分析結果を公表している。「169のSDGs(Sustainable Development Goals)ではなく、19のSDGs(Smart Development Goals)を」という主張である。169のターゲットに対してあまねく同等の取組みを進めるのではなく、取りあえず19のターゲットへの取組みを優先的に進め、そこで出た成果と節約できた資金を用いて次のターゲットへの取組みへと移行していこうというものだ。

僕はその19のスマート・ゴールというもののリストだけをつまみ食いして、169のターゲットのうち、何から取り組んでいったらいいのかを考える上での参考としていた。ただ、そうした考えに至るまでの分析ペーパーは単純計算でも60編ほどになるが、それらを熟読したわけではないし、今からそれを1人の努力でやるというのも少々面倒だ。

そこで、各論のペーパーを読む代わりに、22のテーマが各3ページのテキストと表にまとめられ、1冊の本になっている総合レポートを読んでみようと思い立った。本当はもっと早くに読んでいた方が良かったのかもしれないが、何かのきっかけがないと勉強にもなかなか着手できない。今回はバングラデシュの国別分析結果が発表されたのがいいきっかけになった。

The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030 (English Edition)

The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030 (English Edition)

  • 出版社/メーカー: Copenhagen Consensus Center
  • 発売日: 2015/11/01
  • メディア: Kindle版
内容紹介
2000年、ミレニアム開発目標は数項目の最も効果的なターゲットを世界に向けて示した。貧困人口を半減させることや、幼児死亡率を2/3削減することなどである。これらのターゲットは15年間で大きな成果を収めた。今、世界はまさに次の15年間に達成に取り組むべきターゲットについて決めるときに来ている。国連は169のターゲットを提案しているが、それらは等しく効果的であるわけではない。コペンハーゲン・コンセンサスは、世界中の著名なエコノミストから成る60のチームに依頼して、22のグローバルなトピックを代表する100あまりのターゲットについて社会・環境・経済面から費用対効果を分析し、ウェート付けを行った。テーマの中には、空気汚染や教育、水といった課題が含まれる。2016年から2030年に向けて、世界は2.5兆ドルを目標達成に投入できる。最良のターゲットを選んで資金を集中投入することで、世界中の最貧困層に対する便益は3倍にも膨れ上がらせることができる。本書は我々がより賢い選択をする手引きとなる。

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『門田先生の3Dプリンタ入門』 [仕事の小ネタ]

門田先生の3Dプリンタ入門 何を作れるのか、どう役立つのか (ブルーバックス)

門田先生の3Dプリンタ入門 何を作れるのか、どう役立つのか (ブルーバックス)

  • 作者: 門田 和雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/10/21
  • メディア: 新書
内容紹介
本書は、3Dプリンタのしくみや用途、3Dプリンタの普及とともに盛り上がる「ものづくり」の現状などを解説し、「3Dプリンタで何を作れる?」「3Dプリンタは何の役に立つ?」といった素朴な疑問に答えるものです。技術教育講座の准教授で、ものづくりのための市民工房「ファブラボ」のディレクターでもある著者ならではの視点で、海外における3Dプリンタへの取り組み方、3Dプリンタと学校教育の関係、3Dプリンタを中心とした近年の「ものづくり」ブームを冷静に俯瞰して紹介していきます。

ブータンには積読状態だった本を何冊も持ってきている。単に赴任までの読み始めることすらできなかった本もあれば、こちらに来て仕事のネタになるかなという淡い期待を胸に持って来た本もある。勿論、趣味を追求したくて持って来た独習本の類もある。

本日ご紹介の1冊はどれに該当するだろうか。元々本書を購入したのは今年2月のことで、僕が自宅の近所にできたメイカーズスペースに出かけ、自分の海外赴任の前に自分なりにものづくりを体験しておこうと考えていた時期だ。ただ、赴任までの限られた日数の中で、この工房で僕がたどり着けたのはレーザー加工機の操作が精一杯で、3Dプリンタを使いこなすまでには到底至らず、よって本書を読むまでに至らなかったのである。

だから、未読の書籍はとっとと読んでしまおうというつもりがあって、ブータンに本書を持って来た。赴任する直前、ブータンにもファブラボを作ろうという動きがあることを耳にした。ファブラボができればこちらででも空いた時間に入り浸って、工作に精を出そうとひそかに期待していたのだが、その実現は少し先の話になりそうだ。ただ、そういう動きがあることは間違いなさそうで、その前に自分なりに予習でもしておこうかと思ったのが、今週になって急に読み始めた理由である。

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『大河ドラマ読本』 [テレビ]

大河ドラマ読本 21世紀のNHK大河ドラマを大特集! (洋泉社MOOK)

大河ドラマ読本 21世紀のNHK大河ドラマを大特集! (洋泉社MOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2016/01/25
  • メディア: ムック

NHK大河ドラマに便乗した本は、毎年年末年始になるとたくさん出る。今年は『真田丸』ということで、真田幸村(信繁)にちなんだ本をたくさん書店で見かけた。また、たとえ真田家に直接関係する話でなくても、戦国から安土桃山時代、そして江戸時代初期を扱った書籍は、ここが書き入れ時とばかりに抱き合わせで店頭に並ぶ。

毎年そうした「大河協奏曲」が奏でられる中で、ちょっと翻ってみて、「昔の大河ドラマってどうだったんだろうか?」という疑問がわいてくることがある。僕が日本にいる時よく聴いていたTBSラジオ『荻上チキ・Session 22』では、3月頃だったか、金曜日の特集で、歴代大河ドラマのナンバーワンを決めようという面白い企画をやっていたことがある。視聴者の投票の結果、栄えある第1位は『平清盛』だった。僕もこの結果には大いに納得で、視聴率は低迷したとはいえ、『平清盛』はこのわかりにくい時代をうまく表現し、源氏と平氏の対称性を見事に描いたとても優れた作品だと思っている。

これを見てれば平清盛に対する評価は大きく変わったと思う。僕らはどうしても源義経の大活躍に目が行きがちだし、古くは『草燃える』の国広富之、もっと最近なら『義経』のタッキー(滝沢秀明)演じる源義経を見て、戦上手の美男子をイメージしがちだが、実際の義経はけっこうな不男で、女好きで、当時の戦のルールを無視したえげつない戦い方をした。壇ノ浦で平氏方の舟に次から次へと飛び移り、舟の漕ぎ手を斬るなんて、反則もいいところだったらしい。『平清盛』では義経を神木クンが演じたので、イケメン云々の話はまだあったかもしれないが、僕たちの平氏に対する偏見を解消し、よりバランスの取れた源平の見方に変えてくれたのが大河ドラマだったといえる。

同様に、僕は意外と『花燃ゆ』も買っている。これも視聴率が低迷し、ボロクソ言われた作品だったけど、もしこの作品が、全編を通じて、楫取素彦と美和の心の絆を描いた物語だという目で、もう一度作品全編を見直してみたら、面白いものが見えてくるかもしれないし、僕にとっては、明治初期の群馬の様子を少しでも垣間見れたというのは収穫ではあった。

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タグ:NHK
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『「幸福の国」と呼ばれて』 [ブータン]

「幸福の国」と呼ばれて: ブータンの知性が語るGNH〈国民総幸福〉

「幸福の国」と呼ばれて: ブータンの知性が語るGNH〈国民総幸福〉

  • 作者: キンレイ ドルジ
  • 出版社/メーカー: コモンズ
  • 発売日: 2014/07/05
  • メディア: 単行本
内容紹介
南アジアの仏教王国ブータンの国是は「国民総幸福(GNH)」。GHNを生み出した現地文化とは? 日常生活とは? ブータンに生まれ育ち、そこに暮らす筆者の眼を通して、GNHの実像が等身大に伝えられる。GNPが伸びて、日本人は幸福になったのか? 日本が学ぶ点は多い。

ブータン行きが内定していた1月、ブータンゆかりの方々には早めにお伝えしたところ、その中のお一人が是非にと言って薦めて下さったのがこの本。先週、当地でお会いしたJICAの専門家の方からも、この本は今のブータンをよく描いているということで薦めていただいた。東京にいた頃は慌ただしすぎて全然読めなかったけれど、こちらに来て最初の週末が三連休になったことから、週末のうちに1冊ぐらい読んでおこうと考え、手に取った。

著者はブータンの日刊紙クエンセル(KUENSEL)の元編集長で、この訳本が出た2014年7月時点では情報通信省の事務次官を務めておられるとのこと。言いたかないが同姓同名の方は結構いらっしゃるようだが、2006年に国王から「ダショー」の称号を付与された偉い方らしい。日本との交流も結構あるようで、実は僕が個人的に存じ上げている方も本書では実名で登場する。クエンセルに派遣されていたJICAのボランティアだから当然か。

わりと最近の本だから、「持続可能な開発目標(SDGs)」なんて言葉も平気で出てくる。「私は、新目標の策定過程では「幸福」(happiness)や「良い生活」(well-being)といった用語が鍵概念になるだろうと予想します」(p.12)と書かれているが、実際、SDGsのターゲット17.19には所得に代わって人々のwell-beingを計測する手法を検討すると書かれている。著者の願いは、新目標が、「生きとし生けるものすべての幸福を慮った「新パラダイム」」(同上)として実現していくことを願っていると書かれている。

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高地のマラソン大会 [ブータン]

ブータンでランニングはできるのか―――。

剣道とランニングで海外赴任に見合うだけの健康状態を取り戻した僕としては、これは大きな関心事だった。まあ剣道は無理だろうというのは予めわかっていたので、竹刀/木刀と防具は持ってきたけど、当分の間は1人で素振りだろうと覚悟はできていた。

では、ランニングはどうだろうか。赴任する前に東京でいろいろな人に聞いてみたけど、確証は全くなかった。「ティンプーではフルマラソンの大会もある」なんて言う人もいたが、実際走ったわけではないらしい。だいたい、首都のティンプーは小さな町だから、フルマラソンなんてコース設定はどうやってやるのかわからない。郊外にまで足を延ばすにしても、相当起伏に富んだコースになるだろう。

半信半疑だったので、履きつぶしてもいいシューズしか持って来なかった。僕はここ数カ月ニューバランスのシューズしか履いてこなかったのに、持って来たのは履き慣れてないアシックスのスカイセンサーだけ。

案の定、現地入りしてこちらで働いている人に訊くと、どうもそこら中でマラソン大会は行われているらしい。ティンプーのマラソン大会にも出た人が職場にいた。大いに後悔。

その第一弾は、奇しくも僕が現地入りした最初の週末に開かれた。

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タグ:マラソン
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