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『小説 君の名は。』 [読書日記]

小説 君の名は。 (角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)

  • 作者: 新海 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫
内容紹介
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一報、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。

このアニメーション映画、今日本では大ヒットしてるんですってね! オジサンが映画館に足を運んでいたらコワイと思われるだろうが、ちょっと興味があります。作品の舞台の半分は岐阜県の飛騨地方、もう半分は東京だけど、瀧クンの住んでる新宿区若葉って最寄駅が四ツ谷なので、僕が学生時代を過ごし、今の職場の本社とも近いんですよね。だから、作品でどんな風景が描かれているのかには正直興味はある。

巷では「聖地巡礼」などと言って、岐阜県古川町を訪ねるファンが多いそうだが、たとえ一時的ではあっても、そうやって田舎の良さを感じてもらうにはいいことかもしれない。ブータンを訪れる日本人がどこかしらその風景になつかしさを覚えると仰るのを聞くと、「いやいや日本にだってそういう土地はあるんですよね」と言いたくなる。そういう土地に住んでる若い人が、農村の風習に飽き飽きして、「ああ早く高校卒業して東京行っちまいて~」と思うのは、ブータンの農村の若者が「都会に出たい」というのと大して変わらない。そして、若者が村を去って行ってしまった後に残るものはといったら、やっぱり共通する問題だ。

大ヒットしている作品なんで、ストーリーを云々するなんて不要。ここでは、オジサンがなぜ今この作品を読むことにしたのか、そのあたりの背景を少し述べておく。「読書日記」なんだから。

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政府、公的債務政策を発表 [ブータン]

公的債務上限、固定へ
Public debt thresholds fixed
Kuensel、2016年9月8日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/public-debt-thresholds-fixed/

2016-9-8 Kuensel.jpg

【ポイント】
9月7日、公的債務政策が閣議決定された。その目的は、政治家が政権公約を実現するために無秩序な借入に走ることを防ぎ、過度の債務累積による経済への損害を回避することにある。

◆対外債務に対する年間返済額は、財・サービスの輸出総額の25%を超えてはいけない(債務返済比率)。

◆非水力発電事業債務以外の公的債務残高の対GDP比は、今次5ヵ年計画期間中、35%を上限とする。

◆一般政府債務は各年度の国内歳入の22%未満に抑制。

◆王立中央銀行の債務を含む短期対外債務は、各年度の外貨準備高の30%を超えてはならない。

◆公社の借入れに対する政府保証額は、GDPの5%までに限定。

◆こうした上限は、経済危機やその他政府が社会経済の安定維持のためにそれ以外の策がないと判断した場合には破約も認められるが、3年以内での経済安定化が条件となる。

◆水力発電事業にかかる対外債務の対外売電収入による債務返済比率は40%を上限。水力発電事業の負債資本比率は70:30を超えてはならない。

ブータンの最近の経済成長は、公的債務の増加、とりわけ水力開発に伴う債務増加と同時に起きている。今後も同水準の成長率を維持するなら、今後10年以内にブータンは低所得国を脱して中所得国の仲間入りする。そうなると、これまで経済成長に燃料を注いできた低コスト資金の調達は困難になることが予想される。

1人当たりGDPの増加に伴い、国際金融機関による資金供与の譲許性条件の変更も予想される。政府は、今後、資本支出のための新たな資金源を探していく必要がある。無償資金の受取は難しくなり、対外借入は増加が見込まれる。公的債務管理と公的借入に関する明確な政策ガイドラインがないと、持続不可能な借入により国がリスクにさらされる恐れがある。

本政策は、2007年公共財政法、2006年会計検査法、2010年王立中央銀行法、及びそれらの修正法に依拠。

この政策策定は、国家統計局、GNH委員会、財務省、王立中央銀行、経済省水力発電局の代表者からなる委員会で2年間にわたり検討されてきたもの。政策は8月18日から有効となる。

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タグ:電力 LDC
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『500億ドルでできること』 [持続可能な開発]

五〇〇億ドルでできること

五〇〇億ドルでできること

  • 作者: ビョルン・ロンボルグ
  • 出版社/メーカー: バジリコ
  • 発売日: 2008/11/07
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
世界を救うための経済学的「正解」とは何か。地球温暖化、感染症の蔓延、内戦、教育格差、飢餓、独裁政治、人口と移住、水問題…。どれだけ金をつぎこんでもむくわれない問題とわずかなコストで劇的成果をあげられる問題がある。気鋭の経済学者たちが提言する世界的危機への優先順位ランキング。

以前、このブログで、The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030という本を紹介した。2015年に発表され、17ゴール、169ターゲットもある持続可能な開発目標(SDGs)を、限られた資金でどこから手を付けていったらいいのかについて、2名のノーベル経済学賞受賞者を含めた世界的にも著名な経済学者を動員して、優先順位付けを行うというものだった。

こうした優先順位付けをビョルン・ロンボルグが代表を務めるコペンハーゲン・コンセンサス・センターが始めたのがSDGsが最初だとずっと思っていたが、実はロンボルグの著書はこれまでにも出ていて、そのうち幾つかは日本語訳も既に出ているのに気付いた。

本日ご紹介する『500億ドルでできること』は、原題"How To Spend $50 Billion To Make The World A Better Place"(世界をより良い場所にするのに500億ドルをどう使ったらいいか)という、ロンボルグが2006年に出したレポートの日本語訳である。

特に本文の中では「なぜ500億ドル?」ということについては触れられていないので、少しだけ補足しておくと、この当時は2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)を達成するためにどれだけの資金動員が必要なのかが議論の焦点になっていた時期で、特に2003年にメキシコで開かれた第1回開発資金国際会議(FfD)で、民間資金動員も含めて年間500億ドルの追加的資金が必要だと合意文書の中にも書かれている。どうやって「500億ドル」をはじいたのかは僕もよく知らない。

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タグ:MDGs 開発資金
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バイクレースに出た首相の話 [ブータン]

カナダ人選手、ツアーオブザドラゴンを制す
Canadian tops Tour of the Dragon
Kuensel、2016年9月5日、Younten Tshedup記者
http://www.kuenselonline.com/canadian-tops-tour-of-the-dragon/

2016-9-5 Kuensel.jpg
《今年は例年以上の悪路だったようで…》

ブータンの道路を車で走っていると、マウンテンバイクを走らせるサイクリストの姿をよく見かける。ティンプー市内には自分が知ってるだけでもバイクショップが3軒あり、この辺もサイクリストの数と合っている実感がある。なにせ先代国王もマウンテンバイクを走らせているというし、トブゲイ首相や主要な閣僚もバイク愛好家が結構いらっしゃるようである。

そんな環境だから、当然、マウンテンバイクのイベントも結構あるらしい。その中でも最高峰なのが、ブムタンからティンプーまでの268kmを12~14時間で走破するという山岳バイクレース「ツアー・オブ・ザ・ドラゴン」である。一見すると距離は大したことないかもしれないが、問題は高低差。途中3000m級の峠を3つ(ヨトン・ラ、ペレ・ラ、ドチュ・ラ)を越えなければならないし、最も海抜が低いワンデュの町は1200m、従って高低差は2200mあるのである。毎年高山病でリタイアを余儀なくされる選手も多く、完走率はあまり高くない。去年の優勝タイムはそれでも11時間55分52秒だった。

今年は9月3日(土)早朝午前2時にジャカールの町をスタートした。参加者は誰でもというわけにもいかないようで、わずか47名。うち20名が外国人選手だった。残念ながら日本からのエントリーはなかったらしい。去年に比べても道路状況は劣悪だったらしく、1位のカナダ選手の走破タイムは13時間2分5秒だった。完走は19名。外国人は8名。ブータン人選手よりも完走率が高いのは、勝負事で勝てる目途が立たないと簡単に勝負を諦めるブータン人の良くないところも垣間見る気がする。

2016-9-3 Kuensel.jpg
《コース図。9月3日付クエンセル紙から》

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タグ:バイク
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『海の見える理髪店』 [読書日記]

海の見える理髪店

海の見える理髪店

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。もしも「あの時」に戻ることができたら…。母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編。誰の人生にも必ず訪れる、喪失の痛みとその先に灯る小さな光が胸に染みる家族小説集。

東京に住んでいる頃、毎週のように図書館通いをして、借りたい小説がなかなか見つからない時、その空隙を埋めてくれていたのは荻原作品だった。最初に読んだのが『あの日にドライブ』だったのがいけなかったか、真面目なテーマなんだろうけどどこか滑稽さを漂わせる登場人物という設定に一種の軽さを感じていて、重松清のように「ハマる」というところまではとても到達しなかった。長編としては、この他に『明日の記憶』『花のさくら通り』、収録短編に荻原作品が含まれるアンソロジーとして『最後の恋 MEN'S』『短編工場』などがあるが、読んでてハズレはないものの、すごく読み続けたいというほどインパクトのある作品には出会ってこなかったので、他に読みたい本があればどうしても後回しにしてしまう作家だった。

ただ、もし「海の見える理髪店」が最初の荻原作品だったとしたら、僕は続けて作品を読み始めたかもしれない。意外性が大きい。荻原さん、こういう作品も書くんですか?ちょっとどころか、かなり驚いた。これに近い雰囲気を持った過去の作品としては『明日の記憶』はあるだろうが、これで直木賞を獲れていないとしたら、『海の見える理髪店』で受賞できたというのは納得である。

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タグ:荻原浩
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地方選、候補者出揃う [ブータン]

地方選挙候補者出揃う―郡長には616人が立候補
616 candidates selected for gup
Kuensel、2016年9月2日、MB Subba記者
http://www.kuenselonline.com/616-candidates-selected-for-gup/

【ポイント】
9月27日に実施される地方選挙に向け、立候補者が出揃った。全国205の郡(Gewog)の首長(Gup)選挙には、8月中に各郡下の村落(Chiwog)レベルで開催された村落総会(Zomdu)を経て、8月31日までに候補者が選ばれた。

村落総会は全国で1,052件開催され、有権者101,060人がこれに参加。県事務所から派遣されたチームのファシリテーションにより、郡長候補に選ばれた候補者の数は906人(男性856人、女性50人)。その後選挙管理委員会による候補者の書類審査を経て、最終的な候補者は全国で616人(男性589人、女性27人)となった。

村落総会では、副郡長(Mangmi)の候補者選定も同時に行われた。総会を経て選ばれた候補者は全国で926人(男性804人、女性122人)。副郡長候補者もその後の選挙管理委員会の書類審査により、654人(男性576人、女性78人)が最終的に地方選挙に立候補できることになった。

選挙戦は9月3日に正式スタートし、25日に終了予定。

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タグ:地方行政
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スマホで道路状況チェック [ブータン]

リアルタイム道路情報がオンラインで
Realtime road conditions info now online
Kuensel、2016年8月30日、Tempa Wangdi記者
http://www.kuenselonline.com/realtime-road-conditions-info-now-online/

2016-8-29 MOWHS02.jpg

【ポイント】
通行客が道路封鎖に遭って長い車の行列の中で立ち往生するような事態を回避できるよう、道路局は8月29日(月)、道路情報システムをリリースした。公共事業省ウェブサイトおよびスマホのアプリを通じてシステムは利用可能。

アプリから、ユーザーは現在地と目的地を入力すると、その区間で行われている道路封鎖の情報を得ることができる。但し、現在はAndroid端末でのみ利用可能で、iOSシステム端末での利用にはあと1カ月かかる見通し。

一方のウェブベースの道路情報システムでは、ブータンの道路ネットワークの地図が表示され、がけ崩れの可能性のある危険箇所や道路封鎖地点、道路拡張工事実施箇所等の情報が地図上に表示され、その地点をクリックするとより詳細な情報が得られる。全国の道路局事務所の連絡先も一覧できる。

もしユーザーが国内移動を始める前に道路封鎖の情報が必要な場合、いつその封鎖が始まったか、封鎖解除までの所要時間、道路局担当事務所の携帯番号等の詳細情報を得ることができる。

ウェブベースのシステムはJICAの協力で開発された。スマホアプリの方は、首相直轄のG2C事業により開発されたもの。なお、この日は同時に公共事業省が豪DFATやWHOの協力を得て開発された水衛生情報システム(WaSIS)もリリースされた。

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『IoTとは何か』 [仕事の小ネタ]

IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)

IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書)

  • 作者: 坂村 健
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
  • 発売日: 2016/03/10
  • メディア: 新書
内容紹介
今までの日本のICT(情報通信技術)戦略は、技術で始まり技術で終わることが多く、出口戦略がなく、結果として使われないものになっている。IoTがその轍を踏まないようにすること、そのためにも哲学が重要なのである――。
「IoT=モノのインターネット」とは何か。何のための技術であり、私たちの社会や生活は、一体どう変わるのか。技術研究開発や社会制度設計、ビジネスや実用の最前線から、豊富な実例をあげつつ、その現状・課題・未来像と、日本への指針を示す!

ちょっとばかり7月中旬に仕事でIoTと関連するプレゼンをやる必要が出てきて、かなり早い時期にKindle版を購入してあったのだけれど、結局時間がだんだん押してきて、結局参考文献に当たる時間も確保できないうちに既存資料の焼き直しだけでプレゼンはやっつけてしまった。このため本書も約2ヵ月積読状態で放置してあった。9月に入り、再び別のプレゼンを行う機会が得られそうなので、今度こそと思い、先週後半から急いで読み始め、3日(土)にようやく読了した。でも、結局この内容だとプレゼントの関連性が薄く、あまり使えなかったのが残念だ。

このブログを長年ご覧になっている読者の方ならおわかりかと思うが、僕は一時期「スマートシティ」の関連図書を集中して読んでいた時期がある。スマートシティはモノとモノをネットでつないで制御し、エネルギー使用を最適化することで、エネルギー消費量を抑制する効果が期待されるが、人によればそれは公共交通機関利用への誘導を指していたり、都市を走る車両の流れを把握して交通量の少ない道路に誘導する仕組みのことを指していたりする。スマートシティという言葉は魅力的で、それに向けて推進役となっている大学や企業は多いけれど、1つの企業がこんなすべてを包摂するようなパッケージを提供できるとは思えず、それじゃあ複数の大学・企業がコンソーシアムを作って1つの都市をまるごとスマート化するようなことをどこかでやっているのかというと、それもよくわからない。何をどうやって進めて行ったらスマート化が達成されるのか、道筋がはっきりしなかったのだ。

それに比べると、坂村先生の近著は、特定の企業が売り込んでいる「閉じたIoT」と、本当の意味での「オープンなIoT」との違いを明らかにしており、同じ議論は企業が自社が得意だとしている「閉じた」中でのスマートシティ化と、本当の意味での都市のスマート化とはかなり違うのだという形でも適用されそうだ。

本書のキーワードは、「オープン」という点にあるようだ。そして、いろいろな企業や研究機関も参加したオープンなネットワーク化の中では、どういうシステムを構築すればいいのか標準を定めるような「ガバナンス」が鍵となるという。そういう姿を、既に1980年代のTRON開発から描いておられた坂村先生の先見性には驚かされる。IoTの捉え方も、本書に書かれている内容の方が僕的にはしっくり来る。

以下はKindle版の本文からの抜粋である。ページ番号がふれない制約についてはご容赦願いたい。

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『秘境ブータン』 [ブータン]

秘境ブータン (岩波現代文庫)

秘境ブータン (岩波現代文庫)

  • 作者: 中尾 佐助
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/09/17
  • メディア: 文庫
内容紹介
1958年に単身ブータン入りした探検家が、ヒマラヤにひっそり佇む古代的な小王国の自然と社会と文化を日本にはじめて紹介した。山ヒルの襲いかかる密林の道、ブータン・ヒマラヤの氷蝕地形、高山に咲く青いケシの花、チベット遊牧民の名残の風俗。百数十点の貴重な写真とともに臨場感あふれる筆致で描く。

久しく絶版だったが、2011年のワンチュク国王陛下御夫妻来日を機に起きた「ブータン本」ブームの中で、復刻なった1冊である。8月初めから読み始めたが、ダラダラやってるうちに月末を迎えてしまい、先週末にようやく読み切った。(ダラダラというのには語弊がある。ブログ更新が滞ったのもそうだが、公私ともども非常に忙しかったのだ。)

誰もが同意下さると思うが、ブータンのことが知りたい人にとっては必読の書だ。中尾佐助といえば植物学者だが、1953年のマナスル登山隊に川喜田二郎らと参加し、そこからさらにネパール・ヒマラヤのダウラギリ峰方面に向かった川喜田らと袂を分かち、ブータンへと展開したのが中尾であった。マナスル登山隊の科学班の経験は川喜田の『ネパール王国探検記』が詳しい。中尾の著した本書は、冒頭、再びネパールへと向かう川喜田と飛行機に乗り合わせるシーンが出てくるが、同じシーンは川喜田の著した『鳥葬の国』にも登場する。川喜田が行った1958年のトルボ地方踏査を元に描かれた1冊だが、こちらの川喜田チームには、後にブータンの農業開発に貢献する故・西岡京治さんも若手研究者として登場している。

ここで挙げた川喜田著の2作品、そして中尾著の『秘境ブータン』は、いずれも当時のチベット、ヒマラヤ地方の人々の生活や風俗を綴った、今となっては非常に貴重なベースラインデータとなっている。さすがに海抜が4000メートルを超えるような土地に行くには、ネパールであろうがブータンであろうが2週間程度のまとまった時間が必要となるので無理だが、こと『秘境ブータン』に関しては、隣国インドのカリンポンからの入国ルートから含めても、プンツォリン、パロ、ハ、ティンプー、プナカ、トンサ、ブムタンと、比較的僕らがアクセスしやすいエリアの踏査が記録されているので、昔の風景を踏まえてブータンの今を考えるにはとても有用なレポートだといえる。

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ダガナ、チランの観光開発 [ブータン]

2016-9-1 Tsirang01.jpg
《ダンプーのロッジからの朝の眺望。見晴らし最高!》

ダガナ、チランの観光開発に50万ニュルタム
Nu 500,000 for tourism development in Dagana, Tsirang
Kuensel、2016年8月25日、MB Subba記者
http://www.kuenselonline.com/nu-500000-for-tourism-development-in-dagana-tsirang/

【ポイント】
政府はダガナ、チラン両県の観光開発に今年度50万ニュルタムを配分する。県に観光予算が配分されるのはこの2県のみで、地域間でバランスの取れた観光開発を進めたいとする政府の姿勢を強く反映したもの。

元々ダガナ、チランには通行客が古くから利用してきた歩道が存在しており、トレッキングルートとして魅力的。また、文化遺産も多いことから、観光開発のポテンシャルは大きいと期待されている。

これらに加えて、両県は、ブータン観光評議会(TCB)との協働で、自転車道路整備やラフティング、自然観察、村落滞在等の新たな観光資源開発の可能性も探る。

観光セクターに対して、政府は今年度1億1,339万ニュルタムを配分、観光インフラの整備や公共サービスの改善を通じて、ブータンを年間を通じて観光客が訪れやすい国にしていきたい意向。

課題としては、第1に観光業の持続可能性を保証する標準の設定、第2には道路沿線の観光客向けアメニティの整備やトレッキングルート、キャンプ場、橋梁等の整備、第3には国際市場での観光プロモーションが挙げられる。

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タグ:観光
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