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『国土計画の変遷』 [持続可能な開発]

国土計画の変遷―効率と衡平の計画思想

国土計画の変遷―効率と衡平の計画思想

  • 作者: 川上 征雄
  • 出版社/メーカー: 鹿島出版会
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
国土計画の新たな根拠法である国形法が施行され、新しい国土計画の枠組みができた。人口減少・高齢化社会を迎えるに際して、わが国の国土計画の経緯を回顧し、その中に見られる計画思想の変動について論じている。

知人から薦められていながら長らく読めなかった本である。著者は日本の全総策定を、国土庁、国土交通省の中から見て来られた方であり、中から見られていることもあってか、その時々の政策に関する重要な意思決定の節目で誰がどんな発言をしたのか、書かれていたりもする。

本書の内容だが、はっきり言ってしまえばサブタイトルが全てである。歴代の国土計画が効率性重視と衡平性重視との間で交互に繰り返されてきたという点が明らかにされている。また、国土の開発への重点から、国土の有効利用というところに重点が移ってきているという点も指摘されている。

以前、本間義人『国土計画を考える』をご紹介した時にも書いたが、日本の国土計画には負の側面も相当大きい。本間氏の著書が1999年発刊で既にこれだけの批判が出ていたのに、さすがに国土計画策定の当事者側に近い川上氏の著書では、発刊が2008年と比較的最近ではあるものの、批判的というトーンはさほど強くはなく、全総も回を重ねるにつれそれ以前の全総で出てきた課題に対処するための新たな方策を盛り込んできたという形で書かれている。それが結果的に経済成長重視と衡平性重視との間を行ったり来たりする結果になっているようにも見えるのだけれど。

さて、前述の本間氏の著書を紹介した際にも少し触れたが、ここブータンでも国土計画を策定する動きがあり、これをJICAが支援しようとしている。当然失敗も含めた日本の経験を踏まえた計画策定支援になってくるのだと思うが、これについて、2月4日付けのクエンセルで記事が出ていたのでご紹介する。引用しておく。

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タグ:ブータン JICA
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『水力発電が日本を救う』 [持続可能な開発]

水力発電が日本を救う

水力発電が日本を救う

  • 作者: 竹村 公太郎
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2016/08/19
  • メディア: 単行本
内容紹介
ベストセラー『日本史の謎は「地形」で解ける』の著者、待望の書き下ろし。日本のエネルギー問題は、世界でもまれな「地形」と「気象」と「既存ダム」で解決できる!未来に希望が持てる、目からウロコの新経済論。新規のダム建設は不要! 発電施設のないダムにも発電機を付けるなど、既存ダムを徹底活用せよ――持続可能な日本のための秘策。

今から35年も前、僕が高校生だった頃、美術の授業で啓発用ポスターを描くという課題が出て、『見直そう、水力発電』というタイトルでポスターを描いてみた。本書の表紙の写真のダムを、正面から見た感じの、ベタなポスターだった。美術のH先生からは笑われた。「お前、世の中もう原子力の時代だぞ。水力なんて環境問題もあるし、徳山ダムを見てみろ。構想が持ち上がってから30年も経つのに、未だ全然建設進んでねーじゃねーか」という趣旨のことを言われたと記憶している。なぜ「徳山ダム」かというと、僕の母校は岐阜県大垣市にあったからです。

そうH先生から言われて、余計に意地になってポスターを仕上げたが、生徒がやろうとしていることを馬鹿にして許される教師というのもなんだかなぁと思いつつも、確かに当時の風潮としては原子力には明るい未来があったように思う。

今そのH先生がご存命であられたら、是非本書を読んで、35年前に僕のポスターに付けたケチを撤回してもらいたい。あ、もう時効ですかね?

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『都市輸出』 [持続可能な開発]

都市輸出―都市ソリューションが拓く未来

都市輸出―都市ソリューションが拓く未来

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2015/11/27
  • メディア: 単行本

内容紹介
日本の「都市」を輸出するノウハウを書籍化する初の企画。日本人が実は知らない、都市を通じた課題解決力を分析し、効率的に世界に売り込むノウハウを紹介する。高齢化社会に対応したコンパクトシティの確立に成功した富山市の事例、世界一安全で高い人口密度を実現した東京都の事例、防災都市としての実力を見せつけた仙台市の事例など、多数の事例を掲載。

先週、10月17日から20日までの日程で、エクアドルの首都キトで、第3回国連人間居住会議―通称ハビタット3(Habitat 3)という国際会議が開催された。会議の成果文書として採択されたのは、その名も「新しい都市の課題(New Urban Agenda)」。都市と農村の人口比率が2008年に逆転し、不可逆的に都市の人口比率が高まっている現状、開発課題のフォーカスが都市に向かうのは致し方ないところだ。

ここではハビタット3の成果文書について詳述するつもりはないが、都市が開発課題の焦点だというのなら、その都市での開発課題への取組みで結果を残してきた日本の都市の経験は、これから都市化がさらに進んでいく多くの途上国にとっても有用であるに違いない。本日ご紹介する本のタイトルはその名もズバリ「都市輸出」。日本が「都市ソリューションの宝庫」だという立場に立ち、この都市ソリューションのポートフォリオこそが、都市化というメガトレンドのなかで、日本が世界に貢献できる大きな潜在価値だと主張する。

本書は「都市ソリューション研究会」という、産学官の合同研究会での議論を1冊にまとめたものだ。都市課題解決の優れたモデルを有する地方自治体6団体と、日本をリードする都市・インフラ関連の企業13社、それと都市・インフラ分野をつかさどる政府機関6機関が参加している。そして、日本の経験を「ソリューション化」するためには、国と自治体と企業が三位一体となることが不可欠だと論じている。

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『国土計画を考える』 [持続可能な開発]

国土計画を考える―開発路線のゆくえ (中公新書)

国土計画を考える―開発路線のゆくえ (中公新書)

  • 作者: 本間 義人
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1999/02
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
列島改造、田園都市構想など時々のコンセプトを掲げて国土を開発してきた「全国総合開発計画」は日本の現在の豊かさの原動力となった。反面、中央主導、公共投資重視によって環境破壊、東京一極集中をもたらし、地価高騰、政官財界の癒着を生み出したのも国土計画であった。しかし98年に策定された新計画にこの反省は生かされていない。地方分権と行財政改革が迫られている現在にふさわしい国土計画とはどのようなものであるべきか。

10月3日(月)の全国紙クエンセルに、「日本が360万ドル相当の支援をコミット(Japan commits USD 3.6M in assistance)」という見出しが躍った。ブータンのメディアは外国による支援はすぐに供与総額を見出しにしたがるので、この記事のヘッドラインだけ見ても何のことだかよくわからないが、記事をよく読むと、2030年を目途とした全国総合開発計画の策定を支援することらしい。「全国総合開発計画(全総)」といったら、ブータンの人々がこの国を長期的にどのような国土と社会にしていきたいのかという理念を形にするものなので、外国の援助機関が協力するとはいえ、ブータンの人々がどう考えるのかが大事だと思う。ターゲット年が「持続可能な開発目標(SDGs)と同じだし、この策定のプロセスは2018年7月から始まる第12次五カ年計画の策定プロセスとも軌を一にする。それだけにこの全総策定は非常に重要な計画だ。いろいろな考え方があると思うが、それをうまく引き出して、集約していく作業に協力するJICAの責任は重い。

ということで、少しばかり日本の全総の経験をおさらいしておこうかと考え立ち、こんな本を読んでみた。出版年は1999年と古いが、一般には「全総」という言葉は1998年の五全総―「21世紀の国土のグランドデザイン―地域の自立の促進と美しい国土の創造」では使われなくなったので、この時点を区切りとして過去の全総の振り返りをしている本書の論点は今でも有効だと思う。著者はこの通称「五全総」で同じ失敗を繰り返すのかという問題意識でペンを取られたのだろうが。

面白かったし、参考にもしたい記述が随所に出てくる。これらを列挙するだけでも相当なボリュームになるが、幾つか拾ってみれば、それだけでも本書の全体のトーンはわかるだろう。

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『500億ドルでできること』 [持続可能な開発]

五〇〇億ドルでできること

五〇〇億ドルでできること

  • 作者: ビョルン・ロンボルグ
  • 出版社/メーカー: バジリコ
  • 発売日: 2008/11/07
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
世界を救うための経済学的「正解」とは何か。地球温暖化、感染症の蔓延、内戦、教育格差、飢餓、独裁政治、人口と移住、水問題…。どれだけ金をつぎこんでもむくわれない問題とわずかなコストで劇的成果をあげられる問題がある。気鋭の経済学者たちが提言する世界的危機への優先順位ランキング。

以前、このブログで、The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030という本を紹介した。2015年に発表され、17ゴール、169ターゲットもある持続可能な開発目標(SDGs)を、限られた資金でどこから手を付けていったらいいのかについて、2名のノーベル経済学賞受賞者を含めた世界的にも著名な経済学者を動員して、優先順位付けを行うというものだった。

こうした優先順位付けをビョルン・ロンボルグが代表を務めるコペンハーゲン・コンセンサス・センターが始めたのがSDGsが最初だとずっと思っていたが、実はロンボルグの著書はこれまでにも出ていて、そのうち幾つかは日本語訳も既に出ているのに気付いた。

本日ご紹介する『500億ドルでできること』は、原題"How To Spend $50 Billion To Make The World A Better Place"(世界をより良い場所にするのに500億ドルをどう使ったらいいか)という、ロンボルグが2006年に出したレポートの日本語訳である。

特に本文の中では「なぜ500億ドル?」ということについては触れられていないので、少しだけ補足しておくと、この当時は2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)を達成するためにどれだけの資金動員が必要なのかが議論の焦点になっていた時期で、特に2003年にメキシコで開かれた第1回開発資金国際会議(FfD)で、民間資金動員も含めて年間500億ドルの追加的資金が必要だと合意文書の中にも書かれている。どうやって「500億ドル」をはじいたのかは僕もよく知らない。

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タグ:MDGs 開発資金
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SDGsを優先順位付けする [持続可能な開発]

英エコノミスト誌の5月7日号に、バングラデシュにおける開発課題の優先順位付けに関する記事が掲載された。デンマークのシンクタンクであるコペンハーゲン・コンセンサス・センター(以下、CCC)が、ここ数年取り組んでいるSDGsの費用対効果の分析手法をバングラデシュに適用した結果について紹介した記事である。同様にCCC自身もそのHPにおいてその分析結果を発表している。それによると、費用対効果が最も高く多くの資金を投入すべきとされたのは、①結核対策、②公共サービスのデジタル化、③幼児の栄養、だったという。

この分析は、1年ぐらい前からCCCがバングラデシュのシンクタンクや市民社会組織、民間セクター等と協議を重ね、絞り込んだ72の項目について、ノーベル経済学賞受賞者を含む内外の経済学者を動員して行われた。その報告書は1000ページにも及ぶもので、今現在バングラデシュの仕事に関係していない僕が内容を理解するには大部過ぎて手も足も出ない。ただ、分析結果が示唆するものは大きい。SDGsの達成に向けて投入される公的資金は主には国民の税金か公債発行である。いずれにしても少ない調達額で最大限の成果を上げることが考えられなければならない。(NGOの活動に投入される民間資金はちょっと意味合いが違う。たとえ費用対効果が低くても、寄付してくれた人々が高い価値をつけるものに対して投入されることが、寄付してくれた人々の効用につながるからだ。)

エコノミスト誌の記事はこちら。
http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21698302-ambitious-attempt-work-out-best-use-scarce-resources-how-spend-it?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

CCCの関連記事はこちら。
http://www.copenhagenconsensus.com/bangladesh-priorities/top-three-priorities-bangladesh-tb-infant-nutrition-e-government

この分析結果が公表されたことを受け、SDGsのターゲット間の優先順位付けの議論が再燃するかもしれない。バングラデシュで同国の文脈において何が優先されるべきかを研究するのに先駆け、CCCは昨年6月頃から既にSDGsの169のターゲットについて、費用対効果の分析結果を公表している。「169のSDGs(Sustainable Development Goals)ではなく、19のSDGs(Smart Development Goals)を」という主張である。169のターゲットに対してあまねく同等の取組みを進めるのではなく、取りあえず19のターゲットへの取組みを優先的に進め、そこで出た成果と節約できた資金を用いて次のターゲットへの取組みへと移行していこうというものだ。

僕はその19のスマート・ゴールというもののリストだけをつまみ食いして、169のターゲットのうち、何から取り組んでいったらいいのかを考える上での参考としていた。ただ、そうした考えに至るまでの分析ペーパーは単純計算でも60編ほどになるが、それらを熟読したわけではないし、今からそれを1人の努力でやるというのも少々面倒だ。

そこで、各論のペーパーを読む代わりに、22のテーマが各3ページのテキストと表にまとめられ、1冊の本になっている総合レポートを読んでみようと思い立った。本当はもっと早くに読んでいた方が良かったのかもしれないが、何かのきっかけがないと勉強にもなかなか着手できない。今回はバングラデシュの国別分析結果が発表されたのがいいきっかけになった。

The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030 (English Edition)

The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030 (English Edition)

  • 出版社/メーカー: Copenhagen Consensus Center
  • 発売日: 2015/11/01
  • メディア: Kindle版
内容紹介
2000年、ミレニアム開発目標は数項目の最も効果的なターゲットを世界に向けて示した。貧困人口を半減させることや、幼児死亡率を2/3削減することなどである。これらのターゲットは15年間で大きな成果を収めた。今、世界はまさに次の15年間に達成に取り組むべきターゲットについて決めるときに来ている。国連は169のターゲットを提案しているが、それらは等しく効果的であるわけではない。コペンハーゲン・コンセンサスは、世界中の著名なエコノミストから成る60のチームに依頼して、22のグローバルなトピックを代表する100あまりのターゲットについて社会・環境・経済面から費用対効果を分析し、ウェート付けを行った。テーマの中には、空気汚染や教育、水といった課題が含まれる。2016年から2030年に向けて、世界は2.5兆ドルを目標達成に投入できる。最良のターゲットを選んで資金を集中投入することで、世界中の最貧困層に対する便益は3倍にも膨れ上がらせることができる。本書は我々がより賢い選択をする手引きとなる。

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にわか仕込みの「システム思考」 [持続可能な開発]

先月末で形の上ではそれまで所属していた部署を離れ、海外赴任の準備に入った。とはいえ、実は残している仕事が2つある。2つとも書きもので、これまで僕の頭の中にあったものを吐き出して文章化するというものである。だから、赴任準備期間中とはいえ、前の部署の仕事で時間を割かれているという現実はある。

例年、この時期は裏の神社のイヌシデの木がカイコのような形をした花を大量に付け、花粉をまき散らす。僕はスギ花粉のアレルギーは大したことないが(それでも今年はちょっとひどかった)、このイヌシデ花粉がダメで、くしゃみは続き、流れ出る鼻水で体中の水分が奪われるような感覚に襲われる。先月末から今月最初の週末までが特にひどかった。会社では自分の座席周りの大掃除をやっていて疲れ切ったこともあるが、2日(土)はまったく動けなくなり、医者で薬を処方してもらった。翌3日(日)は大雨でイヌシデの花がすべて散ったので、症状は多少改善されたが、依然血行不良で下肢の冷えと頭痛が治らず、引き続き自宅で療養した。お陰で自宅PCにベタ張りとなり、懸案の書きものの片方は相当進んだ。次の4日(月)にずれ込んだが、ほぼ書き上げた。細部の見直しと論文要約を新たに付け加え、実際の提出は7日(木)となった。

実はこの作業、単に思っていることを書き出せばいいというものではなかった。体調が良くなかった週末は、それでも書き進めようという意欲だけはあったので、自分の論旨を裏付けしてくれる参考文献はそれなりに再確認のために読み直したりもした。その1つは以下の本の中にある1章だったが、それを今改めて読み直してみて、自分が最近何気なく接していた我が社の業務の1つが、実は「システム思考」に由来するものだということを初めて知った。

Catalyzing Development: A New Vision for Aid

Catalyzing Development: A New Vision for Aid

  • 編著者::Homi Kharas, Koji Makino, Woojin Jung
  • 出版社/メーカー: Brookings Inst Pr
  • 発売日: 2011/06/21
  • メディア: ペーパーバック
Some may dispute the effectiveness of aid. But few would disagree that aid delivered to the right source and in the right way can help poor and fragile countries develop. It can be a catalyst, but not a driver of development. Aid now operates in an arena with new players, such as middle-income countries, private philanthropists, and the business community; new challenges presented by fragile states, capacity development, and climate change; and new approaches, including transparency, scaling up, and South-South cooperation. The next High Level Forum on Aid Effectiveness must determine how to organize and deliver aid better in this environment.

Catalyzing Development proposes ten actionable game-changers to meet these challenges based on in-depth, scholarly research. It advocates for these to be included in a Busan Global Development Compact in order to guide the work of development partners in a flexible and differentiated manner in the years ahead.

「システム思考」って何だ?――なんとなく、それをうやむやにした状態で自分の論文の中で言及するわけにもいかず、かといって論文の中で描きたかった最近のトレンドをうまくまとめた言葉が思い浮かばなかったので、何かパンチの効いたキーワードが欲しかった。「システム思考」はまさに僕が探していたキーワードだ。

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『シビックエコノミー』 [持続可能な開発]

シビックエコノミー—世界に学ぶ小さな経済のつくり方

シビックエコノミー—世界に学ぶ小さな経済のつくり方

  • 作者: 00
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2014/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
誰もが経済の中心を担う、市民起業家になれる。私たちはもっと、市民参加型社会を理解し、実行に移すことができる。世界の市民の、市民による、市民のためのイノベーション事例集&解説本!  本書は、名もなき市民1人1人の知恵を結集して起こした、海外の「地域イノベーション」の実例集です。日本国内のソーシャルデザイン本に不足していた、具体的な結果としての「数字」を25のすべての事例で明らかにし、コミュニティやプロジェクト成立の背景、問題解決までのストーリーを、年代ごとにポップなイラストで図説しています。その地域ならではの社会問題、イノベーションが周囲に与えた影響、他地域でも生かせるポイント、他国での類似事例、結論など、すべてをコンパクトに1事例=8ページで見事に整理し、完結して解説しています。また、最終章では成功や失敗を踏まえて「市民起業家に必要な行動ガイド」を8つに絞り込み提案。問題意識を持つ誰もがプロジェクトを立ち上げられる具体策が、丁寧に解かれています。市民としての意識が強い欧米圏で、市民参加型社会をつくるために、コミュニティを活性化するために、大きな社会問題も小さな取り組みから始めるために、日本には足りなかった巻き込み方、さまざまな参加の仕方、結果(数字)の作り方がよくわかる1冊です。

何かの拍子に、この本の存在を知った。多分、ものづくり市民工房の事例が本書にも紹介されていたからだろうと思うが、思いもかけぬタイミングで、市立図書館で順番が回ってきたものだ。ちょっと忙しかった時期なので、タイミングとしては最悪。幸い後ろに順番待ちの人がいなかったお陰で、貸出延長も含めてトータルで4週間かけ、なんとか最後まで目を通した。

市民が主体的に参加して立ち上げる地域経済の取組みを沢山集めた事例集である。そして、その多くは英国の事例だ。その1つ1つはなかなか革新的で興味深い取組みも多い。中にはファブラボ・マンチェスター等、聞いたことがある取組みもあることはあるが、ほとんどは僕のまったく知らなかったもので、目を開かせてくれるものだった。

個別の事例を列挙した後、そこからの含意と教訓を述べておられる。太字で書かれた箇所だけを拾ってみておく。

- シビックエコノミーは、社会、経済、環境の問題を前進させるための欠かせない力として、新しいかたちで
  再び台頭し始めている。


- 市民起業家は、人、地域、地域社会の強さ、繁栄、幸福を増すことに積極的に貢献することができる。

ー 地域――市町村や隣近所――が新しいシビックエコノミーの中心である。

- シビックエコノミーの成長には、公共、民間、第3セクターにわたって、さまざまな考え方ややり方が必要
 になる。


これに関してはちょっと補足しておくと、シビックエコノミーは極めて多様な主導者と参加者の目的と行動力によって牽引される経済なので、政府、地域の公共機関、民間、第3セクターのどの主体であっても、単独では市民起業家の成長のための材料を揃えることができないとも指摘し、その中での公共、民間、第3セクターの果たすべき役割を述べている。

公共部門の役割について、本書は「サーバントリーダーシップ」を提供することだとまとめている。基本になるのは、「時間を追って、地域で起こっていることの正確な把握、地域や組織内での下位者への権限移譲、実践コミュニティーの形成、そしてスチュワードシップ(管理責任)」(p.172)だという。それは容易なことではなく、「人や場所の隠れた機会や能力に気づくだけでなく、それらを組み合わせ直し、革新的な手法で、たとえば仲介、共創、資金調達、委託、成功の測定」(同上)等を行うことが求められるのだという。

- シビックエコノミーが成功するためには、巨大なものと極小のものの橋渡しが必要になる。

- 私たちは、シビックエコノミーをもっと理解し、そして実行に移さなければならない。

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『ラーニング・レボリューション』 [持続可能な開発]

ラーニング・レボリューション――MIT発 世界を変える「100ドルPC」プロジェクト

ラーニング・レボリューション――MIT発 世界を変える「100ドルPC」プロジェクト

  • 作者: ウォルター・ベンダー
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2014/05/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
すべての子どもが1人1台パソコンを手にしたら、この世界はどう変わるだろう。グローバルにつながり合う企業・政府・個人が共に仕掛ける教育革命の大プロジェクト「OLPC」。

OLPC(One Laptop Per Child)-「1人に1台のラップトップを」と称した巨大プロジェクトのことは、かなり前から聞き知っていた。構想を最初に聞いたのは2000年代に入ってから意外と早い時期で、「100ドルラップトップ」という良い方をされていて、世間の耳目はラップトップのコストダウンをどうやって実現させられるのかというハード面に集まり、これが学校に通う子ども達の手に渡った後、子ども達の学習姿勢にどのような変化をもたらすと期待されているのかという点については、あまり触れられることがなかった。

OLPCが具体的なラップトップとともに世界にお目見えしたのは2006年にチュニスで平かれた「世界情報社会サミット」の時である。当時、僕は「そんなにコストダウンできるのなら自分も1台欲しい」と思ったが、そういうものがヨドバシカメラやヤマダ電機の店頭に並んだことはないし、駐在していたインドでも見かけたことはない。都市部ならともかく、途上国の農村部はラップトップの使用環境が過酷だ。そして、OLPCが狙っている市場は、まさにそうした農村部であると理解している。ハード面ではとても制約が大きいだろうと当時は思い、そのことをブログでも記事として何度か書いていた(残念ながら、当時の過去ログは一般読者向け閲覧ができる状態で置いてないので、ここではリンク先をご紹介できませんが。)

その後も、『ものづくり革命』をご紹介した中でOLPCにも言及し、やはりかんばしくない結果を「それ見たことか」とこき下ろしたことがある。

こうして、僕はOLPCのことはかなり以前から聞き知っていたけれども、ハード面での制約要素の方ばかりに気を取られ、話の主役となるラップトップ「XO」が子どもの学習姿勢に及ぼす変化への洞察がほとんどなかった。それが本書を読んでみての大きな反省点だ。使い方のわからないラップトップをいきなり渡されたら、子ども達はどうするだろうか。友達と相談して、あるいは自分で調べたりして、操作方法をどんどん学習していくだろうし、こんなこともできる、あんなこともできると、いろいろな可能性を見出し、それをまた友達とシェアできる。うまくいかないこともある。失敗から学ぶことも貴重な教育機会だ。

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『Common Wealth』(その4) [持続可能な開発]

昨年9月頃にこの本を紹介する連載シリーズをやろうと試みたのだが、第3弾まで書いたところで頓挫し、今日に至っています。理由は第4弾を書きかけのまま放置していたためですが、半年も経つともう一度本を読み直してみないと書けません。

その一方、元々第5弾として書こうと考えていたのは、「持続可能な開発の実現に向けて、私たち自身何をすべきなのか」についての著者の見解で、数ページの中にで8項目を列挙されていて引用がしやすいようです。

そこで、順序を入れ替えて、今回は我々一人ひとりにできることについて、第4弾として先取りして書こうと思います。

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール

  • 作者: ジェフリー・サックス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/07/24
  • メディア: 単行本

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その1.現在の課題について知ること。持続可能な開発の基礎となる科学にくわしくなろう。
著者は、学生なら環境、開発経済学、気候変動、公衆衛生、その他関連領域の授業を受けようと提唱する。また、学生でなくても科学の発展についていけるよう努力すべきだという。『ネイチャー』や『サイエンス』など、一流の科学雑誌が現代の必読書だという。(この点では英語で書かれた雑誌ばかりの列挙は僕らにはハンデになるが。)

その2.なるべく旅をすること。街を歩きまわること、国内を見てまわること、海外に出かけること。
異なる土地や文化にじかに触れることは、共通の関心や願望をわかりあい、その土地特有の問題を理解するのに最良の手段だと著者は言う。特に若い人にとっては、未知の異文化に接し、ひどい貧富の差を知ること、地球の汚染、水ストレスに苦しむ地域、気候変動の脅威等を自分の目で見ることは貴重な経験だという。

その3.持続可能な開発を推し進める団体を作るか、または参加する。
これは言わずもがな。日本でも多くの若い人たちが、既存の開発協力の枠組みにとらわれない、新たな方法論でこの課題に取り組みはじめている。

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