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『国土計画を考える』 [持続可能な開発]

国土計画を考える―開発路線のゆくえ (中公新書)

国土計画を考える―開発路線のゆくえ (中公新書)

  • 作者: 本間 義人
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1999/02
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
列島改造、田園都市構想など時々のコンセプトを掲げて国土を開発してきた「全国総合開発計画」は日本の現在の豊かさの原動力となった。反面、中央主導、公共投資重視によって環境破壊、東京一極集中をもたらし、地価高騰、政官財界の癒着を生み出したのも国土計画であった。しかし98年に策定された新計画にこの反省は生かされていない。地方分権と行財政改革が迫られている現在にふさわしい国土計画とはどのようなものであるべきか。

10月3日(月)の全国紙クエンセルに、「日本が360万ドル相当の支援をコミット(Japan commits USD 3.6M in assistance)」という見出しが躍った。ブータンのメディアは外国による支援はすぐに供与総額を見出しにしたがるので、この記事のヘッドラインだけ見ても何のことだかよくわからないが、記事をよく読むと、2030年を目途とした全国総合開発計画の策定を支援することらしい。「全国総合開発計画(全総)」といったら、ブータンの人々がこの国を長期的にどのような国土と社会にしていきたいのかという理念を形にするものなので、外国の援助機関が協力するとはいえ、ブータンの人々がどう考えるのかが大事だと思う。ターゲット年が「持続可能な開発目標(SDGs)と同じだし、この策定のプロセスは2018年7月から始まる第12次五カ年計画の策定プロセスとも軌を一にする。それだけにこの全総策定は非常に重要な計画だ。いろいろな考え方があると思うが、それをうまく引き出して、集約していく作業に協力するJICAの責任は重い。

ということで、少しばかり日本の全総の経験をおさらいしておこうかと考え立ち、こんな本を読んでみた。出版年は1999年と古いが、一般には「全総」という言葉は1998年の五全総―「21世紀の国土のグランドデザイン―地域の自立の促進と美しい国土の創造」では使われなくなったので、この時点を区切りとして過去の全総の振り返りをしている本書の論点は今でも有効だと思う。著者はこの通称「五全総」で同じ失敗を繰り返すのかという問題意識でペンを取られたのだろうが。

面白かったし、参考にもしたい記述が随所に出てくる。これらを列挙するだけでも相当なボリュームになるが、幾つか拾ってみれば、それだけでも本書の全体のトーンはわかるだろう。

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『500億ドルでできること』 [持続可能な開発]

五〇〇億ドルでできること

五〇〇億ドルでできること

  • 作者: ビョルン・ロンボルグ
  • 出版社/メーカー: バジリコ
  • 発売日: 2008/11/07
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
世界を救うための経済学的「正解」とは何か。地球温暖化、感染症の蔓延、内戦、教育格差、飢餓、独裁政治、人口と移住、水問題…。どれだけ金をつぎこんでもむくわれない問題とわずかなコストで劇的成果をあげられる問題がある。気鋭の経済学者たちが提言する世界的危機への優先順位ランキング。

以前、このブログで、The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030という本を紹介した。2015年に発表され、17ゴール、169ターゲットもある持続可能な開発目標(SDGs)を、限られた資金でどこから手を付けていったらいいのかについて、2名のノーベル経済学賞受賞者を含めた世界的にも著名な経済学者を動員して、優先順位付けを行うというものだった。

こうした優先順位付けをビョルン・ロンボルグが代表を務めるコペンハーゲン・コンセンサス・センターが始めたのがSDGsが最初だとずっと思っていたが、実はロンボルグの著書はこれまでにも出ていて、そのうち幾つかは日本語訳も既に出ているのに気付いた。

本日ご紹介する『500億ドルでできること』は、原題"How To Spend $50 Billion To Make The World A Better Place"(世界をより良い場所にするのに500億ドルをどう使ったらいいか)という、ロンボルグが2006年に出したレポートの日本語訳である。

特に本文の中では「なぜ500億ドル?」ということについては触れられていないので、少しだけ補足しておくと、この当時は2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)を達成するためにどれだけの資金動員が必要なのかが議論の焦点になっていた時期で、特に2003年にメキシコで開かれた第1回開発資金国際会議(FfD)で、民間資金動員も含めて年間500億ドルの追加的資金が必要だと合意文書の中にも書かれている。どうやって「500億ドル」をはじいたのかは僕もよく知らない。

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タグ:MDGs 開発資金
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SDGsを優先順位付けする [持続可能な開発]

英エコノミスト誌の5月7日号に、バングラデシュにおける開発課題の優先順位付けに関する記事が掲載された。デンマークのシンクタンクであるコペンハーゲン・コンセンサス・センター(以下、CCC)が、ここ数年取り組んでいるSDGsの費用対効果の分析手法をバングラデシュに適用した結果について紹介した記事である。同様にCCC自身もそのHPにおいてその分析結果を発表している。それによると、費用対効果が最も高く多くの資金を投入すべきとされたのは、①結核対策、②公共サービスのデジタル化、③幼児の栄養、だったという。

この分析は、1年ぐらい前からCCCがバングラデシュのシンクタンクや市民社会組織、民間セクター等と協議を重ね、絞り込んだ72の項目について、ノーベル経済学賞受賞者を含む内外の経済学者を動員して行われた。その報告書は1000ページにも及ぶもので、今現在バングラデシュの仕事に関係していない僕が内容を理解するには大部過ぎて手も足も出ない。ただ、分析結果が示唆するものは大きい。SDGsの達成に向けて投入される公的資金は主には国民の税金か公債発行である。いずれにしても少ない調達額で最大限の成果を上げることが考えられなければならない。(NGOの活動に投入される民間資金はちょっと意味合いが違う。たとえ費用対効果が低くても、寄付してくれた人々が高い価値をつけるものに対して投入されることが、寄付してくれた人々の効用につながるからだ。)

エコノミスト誌の記事はこちら。
http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21698302-ambitious-attempt-work-out-best-use-scarce-resources-how-spend-it?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

CCCの関連記事はこちら。
http://www.copenhagenconsensus.com/bangladesh-priorities/top-three-priorities-bangladesh-tb-infant-nutrition-e-government

この分析結果が公表されたことを受け、SDGsのターゲット間の優先順位付けの議論が再燃するかもしれない。バングラデシュで同国の文脈において何が優先されるべきかを研究するのに先駆け、CCCは昨年6月頃から既にSDGsの169のターゲットについて、費用対効果の分析結果を公表している。「169のSDGs(Sustainable Development Goals)ではなく、19のSDGs(Smart Development Goals)を」という主張である。169のターゲットに対してあまねく同等の取組みを進めるのではなく、取りあえず19のターゲットへの取組みを優先的に進め、そこで出た成果と節約できた資金を用いて次のターゲットへの取組みへと移行していこうというものだ。

僕はその19のスマート・ゴールというもののリストだけをつまみ食いして、169のターゲットのうち、何から取り組んでいったらいいのかを考える上での参考としていた。ただ、そうした考えに至るまでの分析ペーパーは単純計算でも60編ほどになるが、それらを熟読したわけではないし、今からそれを1人の努力でやるというのも少々面倒だ。

そこで、各論のペーパーを読む代わりに、22のテーマが各3ページのテキストと表にまとめられ、1冊の本になっている総合レポートを読んでみようと思い立った。本当はもっと早くに読んでいた方が良かったのかもしれないが、何かのきっかけがないと勉強にもなかなか着手できない。今回はバングラデシュの国別分析結果が発表されたのがいいきっかけになった。

The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030 (English Edition)

The Nobel Laureates Guide to the Smartest Targets for the World 2016-2030 (English Edition)

  • 出版社/メーカー: Copenhagen Consensus Center
  • 発売日: 2015/11/01
  • メディア: Kindle版
内容紹介
2000年、ミレニアム開発目標は数項目の最も効果的なターゲットを世界に向けて示した。貧困人口を半減させることや、幼児死亡率を2/3削減することなどである。これらのターゲットは15年間で大きな成果を収めた。今、世界はまさに次の15年間に達成に取り組むべきターゲットについて決めるときに来ている。国連は169のターゲットを提案しているが、それらは等しく効果的であるわけではない。コペンハーゲン・コンセンサスは、世界中の著名なエコノミストから成る60のチームに依頼して、22のグローバルなトピックを代表する100あまりのターゲットについて社会・環境・経済面から費用対効果を分析し、ウェート付けを行った。テーマの中には、空気汚染や教育、水といった課題が含まれる。2016年から2030年に向けて、世界は2.5兆ドルを目標達成に投入できる。最良のターゲットを選んで資金を集中投入することで、世界中の最貧困層に対する便益は3倍にも膨れ上がらせることができる。本書は我々がより賢い選択をする手引きとなる。

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にわか仕込みの「システム思考」 [持続可能な開発]

先月末で形の上ではそれまで所属していた部署を離れ、海外赴任の準備に入った。とはいえ、実は残している仕事が2つある。2つとも書きもので、これまで僕の頭の中にあったものを吐き出して文章化するというものである。だから、赴任準備期間中とはいえ、前の部署の仕事で時間を割かれているという現実はある。

例年、この時期は裏の神社のイヌシデの木がカイコのような形をした花を大量に付け、花粉をまき散らす。僕はスギ花粉のアレルギーは大したことないが(それでも今年はちょっとひどかった)、このイヌシデ花粉がダメで、くしゃみは続き、流れ出る鼻水で体中の水分が奪われるような感覚に襲われる。先月末から今月最初の週末までが特にひどかった。会社では自分の座席周りの大掃除をやっていて疲れ切ったこともあるが、2日(土)はまったく動けなくなり、医者で薬を処方してもらった。翌3日(日)は大雨でイヌシデの花がすべて散ったので、症状は多少改善されたが、依然血行不良で下肢の冷えと頭痛が治らず、引き続き自宅で療養した。お陰で自宅PCにベタ張りとなり、懸案の書きものの片方は相当進んだ。次の4日(月)にずれ込んだが、ほぼ書き上げた。細部の見直しと論文要約を新たに付け加え、実際の提出は7日(木)となった。

実はこの作業、単に思っていることを書き出せばいいというものではなかった。体調が良くなかった週末は、それでも書き進めようという意欲だけはあったので、自分の論旨を裏付けしてくれる参考文献はそれなりに再確認のために読み直したりもした。その1つは以下の本の中にある1章だったが、それを今改めて読み直してみて、自分が最近何気なく接していた我が社の業務の1つが、実は「システム思考」に由来するものだということを初めて知った。

Catalyzing Development: A New Vision for Aid

Catalyzing Development: A New Vision for Aid

  • 編著者::Homi Kharas, Koji Makino, Woojin Jung
  • 出版社/メーカー: Brookings Inst Pr
  • 発売日: 2011/06/21
  • メディア: ペーパーバック
Some may dispute the effectiveness of aid. But few would disagree that aid delivered to the right source and in the right way can help poor and fragile countries develop. It can be a catalyst, but not a driver of development. Aid now operates in an arena with new players, such as middle-income countries, private philanthropists, and the business community; new challenges presented by fragile states, capacity development, and climate change; and new approaches, including transparency, scaling up, and South-South cooperation. The next High Level Forum on Aid Effectiveness must determine how to organize and deliver aid better in this environment.

Catalyzing Development proposes ten actionable game-changers to meet these challenges based on in-depth, scholarly research. It advocates for these to be included in a Busan Global Development Compact in order to guide the work of development partners in a flexible and differentiated manner in the years ahead.

「システム思考」って何だ?――なんとなく、それをうやむやにした状態で自分の論文の中で言及するわけにもいかず、かといって論文の中で描きたかった最近のトレンドをうまくまとめた言葉が思い浮かばなかったので、何かパンチの効いたキーワードが欲しかった。「システム思考」はまさに僕が探していたキーワードだ。

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『シビックエコノミー』 [持続可能な開発]

シビックエコノミー—世界に学ぶ小さな経済のつくり方

シビックエコノミー—世界に学ぶ小さな経済のつくり方

  • 作者: 00
  • 出版社/メーカー: フィルムアート社
  • 発売日: 2014/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
誰もが経済の中心を担う、市民起業家になれる。私たちはもっと、市民参加型社会を理解し、実行に移すことができる。世界の市民の、市民による、市民のためのイノベーション事例集&解説本!  本書は、名もなき市民1人1人の知恵を結集して起こした、海外の「地域イノベーション」の実例集です。日本国内のソーシャルデザイン本に不足していた、具体的な結果としての「数字」を25のすべての事例で明らかにし、コミュニティやプロジェクト成立の背景、問題解決までのストーリーを、年代ごとにポップなイラストで図説しています。その地域ならではの社会問題、イノベーションが周囲に与えた影響、他地域でも生かせるポイント、他国での類似事例、結論など、すべてをコンパクトに1事例=8ページで見事に整理し、完結して解説しています。また、最終章では成功や失敗を踏まえて「市民起業家に必要な行動ガイド」を8つに絞り込み提案。問題意識を持つ誰もがプロジェクトを立ち上げられる具体策が、丁寧に解かれています。市民としての意識が強い欧米圏で、市民参加型社会をつくるために、コミュニティを活性化するために、大きな社会問題も小さな取り組みから始めるために、日本には足りなかった巻き込み方、さまざまな参加の仕方、結果(数字)の作り方がよくわかる1冊です。

何かの拍子に、この本の存在を知った。多分、ものづくり市民工房の事例が本書にも紹介されていたからだろうと思うが、思いもかけぬタイミングで、市立図書館で順番が回ってきたものだ。ちょっと忙しかった時期なので、タイミングとしては最悪。幸い後ろに順番待ちの人がいなかったお陰で、貸出延長も含めてトータルで4週間かけ、なんとか最後まで目を通した。

市民が主体的に参加して立ち上げる地域経済の取組みを沢山集めた事例集である。そして、その多くは英国の事例だ。その1つ1つはなかなか革新的で興味深い取組みも多い。中にはファブラボ・マンチェスター等、聞いたことがある取組みもあることはあるが、ほとんどは僕のまったく知らなかったもので、目を開かせてくれるものだった。

個別の事例を列挙した後、そこからの含意と教訓を述べておられる。太字で書かれた箇所だけを拾ってみておく。

- シビックエコノミーは、社会、経済、環境の問題を前進させるための欠かせない力として、新しいかたちで
  再び台頭し始めている。


- 市民起業家は、人、地域、地域社会の強さ、繁栄、幸福を増すことに積極的に貢献することができる。

ー 地域――市町村や隣近所――が新しいシビックエコノミーの中心である。

- シビックエコノミーの成長には、公共、民間、第3セクターにわたって、さまざまな考え方ややり方が必要
 になる。


これに関してはちょっと補足しておくと、シビックエコノミーは極めて多様な主導者と参加者の目的と行動力によって牽引される経済なので、政府、地域の公共機関、民間、第3セクターのどの主体であっても、単独では市民起業家の成長のための材料を揃えることができないとも指摘し、その中での公共、民間、第3セクターの果たすべき役割を述べている。

公共部門の役割について、本書は「サーバントリーダーシップ」を提供することだとまとめている。基本になるのは、「時間を追って、地域で起こっていることの正確な把握、地域や組織内での下位者への権限移譲、実践コミュニティーの形成、そしてスチュワードシップ(管理責任)」(p.172)だという。それは容易なことではなく、「人や場所の隠れた機会や能力に気づくだけでなく、それらを組み合わせ直し、革新的な手法で、たとえば仲介、共創、資金調達、委託、成功の測定」(同上)等を行うことが求められるのだという。

- シビックエコノミーが成功するためには、巨大なものと極小のものの橋渡しが必要になる。

- 私たちは、シビックエコノミーをもっと理解し、そして実行に移さなければならない。

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『ラーニング・レボリューション』 [持続可能な開発]

ラーニング・レボリューション――MIT発 世界を変える「100ドルPC」プロジェクト

ラーニング・レボリューション――MIT発 世界を変える「100ドルPC」プロジェクト

  • 作者: ウォルター・ベンダー
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2014/05/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
すべての子どもが1人1台パソコンを手にしたら、この世界はどう変わるだろう。グローバルにつながり合う企業・政府・個人が共に仕掛ける教育革命の大プロジェクト「OLPC」。

OLPC(One Laptop Per Child)-「1人に1台のラップトップを」と称した巨大プロジェクトのことは、かなり前から聞き知っていた。構想を最初に聞いたのは2000年代に入ってから意外と早い時期で、「100ドルラップトップ」という良い方をされていて、世間の耳目はラップトップのコストダウンをどうやって実現させられるのかというハード面に集まり、これが学校に通う子ども達の手に渡った後、子ども達の学習姿勢にどのような変化をもたらすと期待されているのかという点については、あまり触れられることがなかった。

OLPCが具体的なラップトップとともに世界にお目見えしたのは2006年にチュニスで平かれた「世界情報社会サミット」の時である。当時、僕は「そんなにコストダウンできるのなら自分も1台欲しい」と思ったが、そういうものがヨドバシカメラやヤマダ電機の店頭に並んだことはないし、駐在していたインドでも見かけたことはない。都市部ならともかく、途上国の農村部はラップトップの使用環境が過酷だ。そして、OLPCが狙っている市場は、まさにそうした農村部であると理解している。ハード面ではとても制約が大きいだろうと当時は思い、そのことをブログでも記事として何度か書いていた(残念ながら、当時の過去ログは一般読者向け閲覧ができる状態で置いてないので、ここではリンク先をご紹介できませんが。)

その後も、『ものづくり革命』をご紹介した中でOLPCにも言及し、やはりかんばしくない結果を「それ見たことか」とこき下ろしたことがある。

こうして、僕はOLPCのことはかなり以前から聞き知っていたけれども、ハード面での制約要素の方ばかりに気を取られ、話の主役となるラップトップ「XO」が子どもの学習姿勢に及ぼす変化への洞察がほとんどなかった。それが本書を読んでみての大きな反省点だ。使い方のわからないラップトップをいきなり渡されたら、子ども達はどうするだろうか。友達と相談して、あるいは自分で調べたりして、操作方法をどんどん学習していくだろうし、こんなこともできる、あんなこともできると、いろいろな可能性を見出し、それをまた友達とシェアできる。うまくいかないこともある。失敗から学ぶことも貴重な教育機会だ。

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『Common Wealth』(その4) [持続可能な開発]

昨年9月頃にこの本を紹介する連載シリーズをやろうと試みたのだが、第3弾まで書いたところで頓挫し、今日に至っています。理由は第4弾を書きかけのまま放置していたためですが、半年も経つともう一度本を読み直してみないと書けません。

その一方、元々第5弾として書こうと考えていたのは、「持続可能な開発の実現に向けて、私たち自身何をすべきなのか」についての著者の見解で、数ページの中にで8項目を列挙されていて引用がしやすいようです。

そこで、順序を入れ替えて、今回は我々一人ひとりにできることについて、第4弾として先取りして書こうと思います。

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール

  • 作者: ジェフリー・サックス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/07/24
  • メディア: 単行本

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その1.現在の課題について知ること。持続可能な開発の基礎となる科学にくわしくなろう。
著者は、学生なら環境、開発経済学、気候変動、公衆衛生、その他関連領域の授業を受けようと提唱する。また、学生でなくても科学の発展についていけるよう努力すべきだという。『ネイチャー』や『サイエンス』など、一流の科学雑誌が現代の必読書だという。(この点では英語で書かれた雑誌ばかりの列挙は僕らにはハンデになるが。)

その2.なるべく旅をすること。街を歩きまわること、国内を見てまわること、海外に出かけること。
異なる土地や文化にじかに触れることは、共通の関心や願望をわかりあい、その土地特有の問題を理解するのに最良の手段だと著者は言う。特に若い人にとっては、未知の異文化に接し、ひどい貧富の差を知ること、地球の汚染、水ストレスに苦しむ地域、気候変動の脅威等を自分の目で見ることは貴重な経験だという。

その3.持続可能な開発を推し進める団体を作るか、または参加する。
これは言わずもがな。日本でも多くの若い人たちが、既存の開発協力の枠組みにとらわれない、新たな方法論でこの課題に取り組みはじめている。

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『2050年の世界』 [持続可能な開発]

2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する

2050年の世界―英『エコノミスト』誌は予測する

  • 作者: 英『エコノミスト』編集部
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/08
  • メディア: 単行本
内容紹介
1962年に日本の経済大国化を予測し、見事に的中させたグローバルエリート誌が、今後40年を大胆に予測。
-日本は、人類がまだ見たことのない老人の国へと突き進んでいる。
  2050年における日本の平均年齢は52.7歳。米国のそれは40歳。
-しかし、中国も同じ少子高齢化に悩み、2050年に人口減少がはじまり、経済成長は止まり、
  インドに逆転される。
-豊かさの指標であるGNPで、日本は韓国の約半分になる。
-今後もっとも進歩をとげる科学分野は、生物学である。
-英語は、タイプライターのキー配列のように、いったん得たグローバル言語の座を維持する。
-人口の配当をうけるタンザニアなどアフリカ諸国が新興国として台頭。
ビジネスに、教育に、あなたの未来に関するヒントが満載!

2年ぐらい前から、わけあって未来予測の本を意識的に読むようにしてきた。『〇〇年の〇〇』というタイプの本だ。お陰で自分たちの老後はどうなるとか、我が子の未来はどうなっているのかとか、地球はそもそもどうなっていくのかとか、そういうことへのある程度のイメージは作り上げることができた。それでも未来予測の本は多く、とりわけ分厚い本は、取りあえず購入はしたけどそのまま積読状態で長く放置してしまった。年明けから始めた蔵書の「リストラ」、年の初めということもあり、やっぱりこれから世の中はどうなっていくのかを考える本から行くのがいい。

400頁超の大作で、各頁の文字も細かい。お陰で読了には多少時間がかかった。読み込みにかけられる時間が意外と少なかったというのも理由としてはあるかもしれない。ちょっとペースが遅いなと感じたので、会社の昼休みにコーヒーショップに行って30~40分の読み込みをやったりもして、なんとか読み進める時間を捻出した感じだ。

未来予測といっても、何についての未来かは読者によって関心も異なるし、1人の読者であってもその時々の関心によって読むポイントも変わってくるだろう。ひと通り読んだ上で、必要に応じて必要な箇所を読み返すのでもいいかと思う。訳本を読むときに常に気になるのは、文中で引用されている文章の出所だ。日本語で引用元の著者名とタイトルを書かれていても、原文の日本語版が出ていない限りは英語の原書を当たるしかないが、それを調べることができないケースが多い。編集の都合上、訳本では索引や脚注、参考文献リストが往々にして割愛されてしまう。そうすると、引用文献の原文の記述がどうなっているのか、その前後に何が書かれているのかがわからない。

要するに、本書の場合も先ずは訳本を読んで何が書かれているのか全体像を掴むというのは良いが、本当にこの中の記述を使いこなそうと思ったら、次は英語で書かれた原文の方をチェックできるようにしておくべきだということになる。だから、読了と同時に僕は原書の方も購入することを決めた(中古だが)。

Megachange: The World in 2050 (The Economist)

Megachange: The World in 2050 (The Economist)

  • 作者: D. Franklin
  • 出版社/メーカー: Wiley
  • 発売日: 2012/03/27
  • メディア: ハードカバー


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『中間層消滅』 [持続可能な開発]

中間層消滅 (角川新書)

中間層消滅 (角川新書)

  • 作者: 駒村康平
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川マガジンズ
  • 発売日: 2015/03/06
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
年間可処分所得201万円~999万円。これが日本の中間所得層である。今、戦後の日本社会を支えてきたこの中間層が消滅の危機に陥っている。このままでは中間層は消滅し、戦前のような金持ちと貧乏人だけの社会になる。一億総中流といわれた日本の分厚い中間層を再構築するための処方箋を提言!

この本は今年春に発売されてしばらくして文庫や新書をまとめ買いした際に含まれていた1冊なのだが、その後約半年積読状態にして、11月にようやく読み始める決心をした。この間読まずに積読にしていた理由は、あまりに簡素な装丁もさることながら、駒村先生のこれまでの著書を多少は読みかじっている経験者としては、データを駆使されているのは流石だなと思いつつも、生データではなくデータの加工の度合いが素晴らし過ぎて、かえってハードルを上げてしまっているところがあるように思う。例えば、2つのトレンドを1つのグラフで示すのに、左側の目盛と右側の目盛を使い、片や棒グラフ、片や折れ線グラフで示すといった手法がよく用いられるが、僕は意外とこの手のグラフを読むのが苦手で、そこから何が言えるのかというのを理解するのに時間がかかる。挿入図表が多いことはページをめくるスピードが速くてすぐ読み終われるのではないかと思われるかもしれないが、僕の場合はそんなことはない。図表の理解に時間がかかり、かえって読むスピードが鈍る。図表が多いのも良し悪しだ。

ではなぜその本を11月に読んだのかというと、必要にかられたからだ。最近のブログの記事のどこかで書いたかもしれないが、先週末に都内某所で開催された学会で僕は発表する機会を与えてもらい、そのために11月末までに英語5000語程度を目安に論文を提出するよう主催者から課せられた。僕は10月末までは別の学会発表で忙殺されていて、実際に11月末提出の論文の執筆にとりかかれたのは月半ばを過ぎてからのことだった。そもそも論文の構成がなかなか固まらず、しばらくは参考文献の読み込みに精を出した。その時に読んだ1冊がこの本。

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『貧困を救うテクノロジー』 [持続可能な開発]

貧困を救うテクノロジー

貧困を救うテクノロジー

  • 作者: イアン・スマイリー
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2015/08/19
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
1961年国連にて「開発の10年」が戦略として打ち出されて以来、南北問題は世界全体が注視し、解決すべき喫緊の問題として認識されるようになった。大型の投資と貿易は経済発展の手段としてさかんに取り入れられたが、ほとんどの場合、先進国からの一方通行という性格を帯びていたため失敗に終わる。一方で、小型で単純で安価に導入され、成功をおさめたプロジェクトもあった。本書は、発展途上国の実状と、約50年にわたる貧困との戦いの具体的な実績から、真に有効で持続可能な開発援助の方法を明らかにし、これからのあるべき姿を問う。

まだ発売になってから日が浅いが、日経の書評でも取り上げられ、実際に先に読んだ知り合いも「これ面白いです」と薦めてくれた1冊である。このところ、人の仕事が機械に置き換えられていくという話ばっかり載ってる本を立て続けに読んで気持ちが暗くなっていたが、もう少し夢のある話でもないものかと視点を変えたくて、こんな本も今回の出張には持ってきていた。

この本、原典は2000年に出ていて、販促用の帯によると、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)では不朽のテキストとして読まれているんだそうだ。著者は別にMITの先生だというわけじゃないけれど、過去2世紀ほどを遡っての技術史を、途上国の開発という文脈で捉えている興味深い1冊だというのは認める。

15年も前に出た本が今頃邦訳されるというのはなんでだろうかといえば、それはきっとMITのものづくりが注目されたからだと思う。巻頭言を書かれている遠藤謙氏といったら、MITのメディア・ラボ所属の注目の研究者で、以前、『クーリエ・ジャパン』が2011年にメディア・ラボの特集を組んだ際にも登場していた。今やMITは世界中のものづくり愛好家の聖地のようなところであり、メイカームーブメントの一環としてこのような本も今になって注目されるようになってきたのだろう。慶應大学の田中浩也先生が監訳で随分とものづくりの本が日本でも出版されるようになってきてはいるが、絶対的にはまだまだ不足で、特にものづくりが途上国のような身の回りに不便や問題が多いような環境の中でどのようにそれに立ち向かえるのか、ヒントを与えてくれるようなコンテンツは少ない。そういう意味では、「痒いところに手が届く」ような1冊であるといえる。

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