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『蚕の村の洋行日記』 [シルク・コットン]

蚕の村の洋行日記―上州蚕種業者・明治初年の欧羅巴体験 (セミナー〈原典を読む〉 (5))

蚕の村の洋行日記―上州蚕種業者・明治初年の欧羅巴体験 (セミナー〈原典を読む〉 (5))

  • 作者: 丑木 幸男
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1995/07
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
「帰国の時はおまへを大切に致し候」 蚕の種紙を売りに出かけたイタリアから、こう妻に書き送った上州村の豪農たち。近代のとば口の様々な西洋体験は、人々に何をもたらしたか。

6日(水)、かねてからの念願だった「世界遺産」富岡製糸場に行ってきた。「世界遺産」というのがくっついたお陰で訪問客が増え、なかなか行く機会を見出せずにいたのだが、さすがに海外赴任まで残り時間が少なくなり、前の部署での仕事もひと段落ついて出勤せずに赴任準備に時間が割けるようになってきたので、まさにその赴任準備と称して、富岡まで足を運んだのである。

東京からの一人旅。車で行くのと電車で行くのとでかかる費用を比べて、後者を選択した。但し、目的地にまで辿り着くまでには時間もかかる。行きは朝8時半に最寄り駅から出発し、製糸場到着は正午だった。帰りも同様に3時間半かかった。これだけ時間がかかるわけだから、良い機会なので積読状態だった蔵書を多少でも読み進めようと考え、携行した1冊が『蚕の村の洋行日記』だった。

サブタイトルに「上州蚕種業者・明治初年の欧羅巴体験」とある。このサブタイトルだけ見れば、上州境島村の田島家が代表して欧州にわたり、島村産の蚕種を欧州のバイヤーに直接売った例の話だと容易に想像がつく。この話については橋本由子著『上州島村シルクロード』をブログでご紹介した際に概略説明済みなので併せてご参照下さい。『上州島村シルクロード』は子供向けの読みものとして書かれているので、欧州に渡った人々の現地でのご苦労が物語風に描かれているので理解しやすいが、実際に彼らが残した報告書や現地から出した書簡などの史料が直接引用されてるわけではない。そこを補っているのが『蚕の村の洋行日記』だ。

この本には、そうした史料の引用がかなり頻繁に出て来る。お陰で、1879年(明治12年)の第1回直輸出における派遣で、田島弥平、信、弥三郎の3人は西回りの航路ではなく、東回りの航路を使い、先ずサンフランシスコで上陸して、大陸横断してナイヤガラ、ニューヨーク見物など行っていることや、こんなルートを使えるくらいだから、相当な所持金を持っての豪遊だったことなどが浮かび上がってくる。

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『蚕:絹糸を吐く虫と日本人』 [シルク・コットン]

蚕: 絹糸を吐く虫と日本人

蚕: 絹糸を吐く虫と日本人

  • 作者: 畑中 章宏
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2015/12/11
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
世界一の生糸輸出国だった近代の日本。お金を運んでくれる虫と、私たちはどのように暮らしたのか。養蚕が生み出した文化と芸術を、気鋭の民俗学者が掘り起こすノンフィクション。

2012年のはじめ、僕はインドにおける日本とインドの蚕糸業技術協力の歴史をまとめて、1冊の本にした。その後、南インドの蚕糸業地域にはJICAの青年海外協力隊の隊員の方々が派遣されるようになり、隊員の皆さんは僕の本を参考にしながら現地で活動されているそうだ。僕の次の赴任国はインドじゃないけれど、地理的にはインドには近くなることから、機会があれば南インドをまた訪問して、僕がインタビューした養蚕農家の方々は今どうされているのか、追跡調査もしてみたいし、本を書くにあたって紙面の関係上あまり触れられなかった製糸や織物の話について、もう少し調べてみたいと思っている。勿論、青年海外協力隊の方々と交流させていただけるのも楽しみだ。

次に南インドを訪れる機会がいつ訪れるのかはわからない中ではあったものの、本を出してからの4年間、僕が意識してきたことはむしろ日本の蚕糸業の歴史をもっと勉強しておくことだった。本を書いたおかげで、国内ではいろいろな方々とのつながりができた。そうした方々に誘われて、行ってみた先では今まで知らなかった新たな発見もあった。イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読めば東北地方で養蚕が相当広い地域で行われていたことがわかるし、その名残が後に宮本常一によって改めて紹介されている。宮本の著作には東北に限らず、全国の農村で養蚕が普通に行われていた様子が描かれている。

養蚕自体が主目的でなかった数々の本の中から養蚕のピースをかき集め、それらを組み合わせることで1つの絵図を頭の中で作っておきたい――そういう思いからこつこつ続けていた勉強は、次に南インドを訪れて、特に若い協力隊員の方々との交流の中で、少しは役に立つこともあるかもしれない。また、僕が今度赴任する予定の国にも、産業と言うには規模も小さいけれど、養蚕や絹織物の産地がある。そういう生業を見る際の物差しとして、日本は昔どうだったのかを知っておくことは大事だと思っている。

さて、本日ご紹介の1冊は、その蚕糸業をコアにした、ど真ん中直球勝負の本である。昨年ブログで紹介した、『「日本残酷物語」を読む』の著者、新進気鋭の民俗学者・畑中章宏氏の新著だ。宮本の著作を相当細かく追っかけていれば、バードや宮本自身の蚕糸業に関する記述を拾い出して、「カイコ」や「絹」を主題に1冊の本にすることがあっても何ら不思議ではない。僕が頭の中でやろうとしていたことを、こうして文章化して世に出すというのは、たいへんありがたいことだし、一方で羨ましいことでもある。

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『事典 絹と木綿の江戸時代』 [シルク・コットン]

事典 絹と木綿の江戸時代

事典 絹と木綿の江戸時代

  • 作者: 山脇 悌二郎
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
江戸時代、中国船やオランダ船により絹や木綿がもたらされ、多くの種類が流通した。縮緬、さらさなどの舶来の絹・木綿の語源、国産の絹・木綿の原系や染色などを解説する近世における織物の全容を解明した労作。

以前、『苧麻・絹・木綿の社会史』をご紹介する中でも触れた、山梨県立博物館の企画展「天の虫のおきみやげ~山梨の養蚕信仰」、展示は明日までということで、行けるとしたらこの日しかないと考え、早くから有給休暇の申請を出していた25日(木)だったが、前夜から次男が熱を出し、妻がその日に次男を病院に連れて行くことになり、休暇なのに山梨まで出かけるとはなにごとかと苦言を呈せられたこともあって、断念せざるを得なくなってしまった。それだったら、代わりに近場で少しぐらいはシルクのことを考える時間を作ろうと思い、市立図書館に2時間ほど立ち寄って、館内閲覧限定だった書籍を流し読みするのに充てた。

この本、既に絶版になっていて、売りに出ている中古本はなんと5500円もする。それだけ払っても購入する価値のある本かどうかはわからないので、先ずは近場で所蔵している図書館を探し、ざっと目を通してみて買うかどうするかを判断しようと思っていた。そう思ってから2年以上放置状態だったのだが、先月から継続中の、読書メーターで「読みたい本」リストに挙げていた本の圧縮作業の一環として、4月までに片づけてしまおうと思っていたことの1つであった。

まあ、事典ですので。さらっと流し読みして、おおまかにどんなことが書かれているかをチェックして取りあえずは良しということにさせて下さい。率直に言って、まえがきもなくいきなり本文に入ってしまうのに度肝を抜かれ、読んでてもああこれは事典なんだというのを再認識させられた。江戸時代に出回っていた糸と織物の種類を、輸入もの、国産とに分類し、その織り方、染め方等がざっと列挙されてる感じである。時おりエピソードが入っていたりもしないこともないが、はっきり言ってしまえばやっぱり事典だ。

ただ、絹と木綿の両方に言及があるのはありがたいことである。強いて1つだけ印象に残ったことを触れておくとすると、既に江戸時代にはインドから更紗(綿織物の1種)が輸入されていたとか、新たな発見だった。

必要があればその都度また図書館で閲覧して、記載内容を確認できればいいだろう。5500円も払う価値のある本だとは正直あまり思えなかった。同じ江戸時代の絹・木綿を扱っているという点では、前述の『苧麻・絹・木綿の社会史』の方がはるかに面白いし、その本は既に入手済みだ。

さて、こうして本書の内容確認をやってお茶を濁した25日であったが、肝心の次男の容態はというと、その日の朝には既に熱がある程度まで下がり、午後には起きて自宅でプラプラしていた。「こんなことなら山梨行ったら良かったのにね」とほざいた妻の首を絞めたくなった(苦笑)。

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『蚕の城』 [シルク・コットン]

蚕の城―明治近代産業の核

蚕の城―明治近代産業の核

  • 作者: 馬場 明子
  • 出版社/メーカー: 未知谷
  • 発売日: 2015/07
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
日本の遺伝学は蚕(絹織物産業)から始まった!明治日本の近代化の礎として世界遺産に登録された富岡製糸場と絹産業遺産群。その一つ、荒船風穴に代表される蚕の種(卵)を保存する技術は3・11以降、遺伝学研究にとって非常に重要なものとなっている。カイコをめぐって発達した産業と学問の、黎明期から現在まで明治以来、連綿と続く、カイコの遺伝学を中心に追う。

このところ、珍しくも「蚕(カイコ)」と名の付く新刊本が出てきている。富岡製糸場と上州の絹産業遺産群が世界遺産登録されたことが大きいのだと思う。放っておいたら忘れ去られてしまう日本の文化や産業の遺産にこうして光が当たるのは良いことだ。

僕も少し前にカイコのライフサイクルを勉強し、それを生かして産業として発展させた蚕糸業の歩み自体の理解も深めた。特に製糸の工程については、日本の近代化を支えた明治から昭和初期の群馬や岡谷の様子を調べ、勉強もしてきたつもりだ。ところが、理解困難でなかなか触れられなかった養蚕の一側面がある。それが系統保存と育種である。

そもそも遺伝学なんて中学生の頃にメンデルの法則を少しかじったぐらいだし、一時期わりとよく見ていた競馬でも、サラブレッドの血統について言われていることはよくわからなかった。近代産業としての養蚕が成立する以前なら、自家で掃き立てたカイコの中から形質の良さそうな繭を選んで成虫を羽化させ、交配して次の種を得るような自家再生産をやってたんだろうと漠然と思っていた。しかし、質が一定の繭を大量に生産する必要が生じた近代の蚕糸業はそんなわけにいかないから、品種の改良とか行いつつ、一定品質の種を大量生産する仕組みも整えられていったに違いない。

しかし、そんな掛け合わせの妙による育種や、その系統を長期間保存して絶滅しないよう備える技術など、特別な知識と技術が必要な世界で、僕らのにわか勉強ではとうてい太刀打ちできない話のように思えてならない。現に、この部分については一般読者向けにわかりやすく書かれた本というのが意外と少ない。カイコの飼育に関してはいっぱい本があるのに…。

ところが、そんなジャンルにあえて切り込んだルポライターがいた。

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『苧麻・絹・木綿の社会史』 [シルク・コットン]

苧麻・絹・木綿の社会史

苧麻・絹・木綿の社会史

  • 作者: 永原 慶二
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2004/11
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
前近代の日本人の三大衣料原料であった苧麻・絹・木綿。その生産はどのように行われ、民衆の暮らしとどう関わったのか。三本の糸を手繰りながら、これまで見えなかった民衆の生活史・社会史像を独創性豊かに織り出す。

少し前に別の記事で、「海外赴任する前に富岡製糸場は見ておきたい」という趣旨の発言をしたことがあった(こちらの記事参照)。その実現は3月以降のお楽しみということにして、今どうしても行きたいのは、実は山梨県立博物館の企画展『天の虫のおきみやげ-山梨の養蚕振興』だったりするわけだ。こちらは展示期間が今月いっぱいまでなので、平日に会社休んで早く行きたいと思っている。そうなると、懸案だった『富岡日記』は後回しで、その前に読んでおくべき積読の書を片付けることからスタートせねばなるまい。

日本の歴史学の泰斗ともいえる永原慶二の著したこの本は、購入してから積読状態での放置が1年以上に及んでいた。海外赴任の日までに積読状態の本をできるだけ減らすという至上命題のため、僕は山梨県立博物館行きを誓ってすぐに、この本を読むのに取りかかった。それでもなかなか読み進めることができず、この1週間でなんとか勢いをつけ、読み切ることができた。

購入した動機は、1冊の本の中で、絹と木綿が扱われてることに尽きる。これまで、絹は絹、木綿は木綿で、日本の歴史の中でどこからどのように登場し、普及していったのかを解説してくれる本は存在していた。どこのどのような本ではどのように描かれてるか、そうした相場観は何となく養成できたように思う。ところが、視点を変えてそこに暮らす人々の衣服として捉えた場合、それを絹、木綿と素材別で切り分けてしまっては、日本人の暮らしがどのように変わっていったのかをダイナミックに捉えることができない。

永原氏の著書の1つに『新・木綿以前のこと』(中公新書、1990年)がある。柳田國男の『木綿以前のこと』になぞらえてこんなタイトルになったのだろう。でも、この本に関するアマゾンのレビュー欄を読むと、この本に書かれているのは主に「木綿以後のこと」だとの批判がある。「木綿以前のこと」にはあまり触れられていない。著者もこの題は気が進まなかったが、編集者に強引に言われてこうなったのだという。著者の心の中にはずっとそんなわだかまりがあったのだろう。晩年になると、「木綿以前こと」と「木綿以後のこと」を統合して、日本の社会の変遷を、衣料の素材の変遷から、捉えようという試みに着手し、本書の二校まで進んだ段階で、他界されるに至ったのだそうだ。

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『近代文学にみる女と家と絹物語』 [シルク・コットン]

最初にお伝えしたいことがあります。どうやら春からまた海外赴任のようです。どこの国かはいずれお知らせします。そうすると、長らく「読書メーター」で「読みたい本」ないし「積読本」にしていたものをできるだけ圧縮せねばという気持ちが働きます。また、逆に今関わっている仕事も収束させる必要があるので、手広く様々なジャンルの専門書を読んでものも、見直ししていかねばばと思っています。

近代文学にみる女と家と絹物語 (みみずく叢書)

近代文学にみる女と家と絹物語 (みみずく叢書)

  • 作者: 堀井 正子
  • 出版社/メーカー: オフィス・エム
  • 発売日: 1995/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

本日ご紹介する1冊も、前から読みたい本としてリストアップしてあったものだ。ただ、近所の図書館にはどこにも蔵書がなく、読むなら中古であっても購入しないと読めないという1冊だった。発刊は20年前である。送られてきたのは安い中古の1冊だったが、扉のところに著者が知人の方に謹呈したサインが入っている。どのような経緯があったのかは存じ上げないが、著者謹呈の本を中古本のマーケットに出されたのには恐れ入った。僕ならちょっとできない行為だが、お陰でこうやって入手することができたわけで、少なくとも僕が生きている間は、できるだけ手放さないようにしたいと思う。

多分、長野県のどこかの公開市民講座で使われていたテキストのようなものなのだろう。19世紀後半から20世紀前半にかけては日本は生糸輸出で近代化に成功してきたので、製糸や養蚕に関わった人々を題材にした文学作品は沢山あっても不思議ではない。そんな作品の幾つかは、既にこのブログでも紹介してきている。文学作品じゃないのも含まれてはいるが、その主な記事は以下の通りだ。

 『あゝ野麦峠』
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2011-02-12

 『あゝ野麦峠』関連図書
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2011-02-16

 『続・あゝ野麦峠』
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2011-02-26

 『絹の文化誌』
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2011-03-06-1

 『地平線以下』
 http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2011-03-20

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『楫取素彦と吉田松陰の妹・文』 [シルク・コットン]

楫取素彦と吉田松陰の妹・文 (新人物文庫)

楫取素彦と吉田松陰の妹・文 (新人物文庫)

  • 作者: 一坂 太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2014/12/09
  • メディア: 文庫
内容紹介
2015年NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の準主役、楫取素彦(小田村伊之助)のことが一番詳しくわかる決定版!!NHK大河ドラマ「花燃ゆ」のヒロイン・文の夫にして、吉田松陰の至誠を継いだ、知られざる偉人・楫取素彦(小田村伊之助)の人生に迫ります。天才で知られる吉田松陰の陰で、彼を生涯支え続け、松陰の死後もその志を継ぎました。幕末、長州藩主の側近として各地を飛び回り、坂本龍馬を桂小五郎に紹介して薩長同盟の端緒役となります。維新後は初代群馬県令として活躍し、富岡製糸場の危機を救い、のちに群馬の父と呼ばれました。こうした楫取の功績は驚くほど知られていません。本書は、楫取素彦と吉田松陰、その妹・文の生涯を丹念に描いた労作です。巻末には、坂本龍馬との出会いを語る楫取の回顧録「薩長連合の発端」と文(美和子)が、松陰がいた頃の杉家の話を語った「楫取美和子回顧録」を特別収録しており、必見です。

今年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』はご覧になっていますか? 僕は、去年の『軍師官兵衛』のように毎週かぶりつきで見るというようなことはないけれど、幕末の出来事を学ぶにはいいコンテンツだと思い、なるべく見るようにしている。井上真央さんがあまり好きじゃないというのもあるのだけど、まあそれは置いておく。むしろ、長年の大河ドラマフリークとしては、『花燃ゆ』というタイトルにも若干抵抗がある。『花神』、『草燃える』、『山河燃ゆ』、『炎立つ』等をガラポンしたらこんなん出ました的なタイトルだ。安易なネーミングだと最初から思っていた。

また、主人公をわざわざ吉田松陰の妹にしなくてもよかったんではないかという気もする。ドラマの視聴率が低迷しているので話題になっているが(僕はそんなに悪いドラマじゃないとも思うが)、夫・久坂玄瑞が蛤御門の変で自刃して長州藩が朝敵と見なされるというドラマのクライマックスが終わると、文が長州藩内外の情勢に絡むシーンが極端に減る筈なので、ドラマの脚本家としては相当頭が痛い時期を迎える。これからの方が視聴率確保が難しいんじゃないかと勝手に心配してしまうところもある。まさかと思うが、坂本龍馬とか西郷隆盛とか木戸孝允とか岩倉具視とかと文を絡ませるんだろうか。それじゃあ『利家とまつ』や『江』の二の舞だ。

なぜこんなことをグダグダ書くかといえば、松下村塾の関係者で吉田松陰と絡んでいた人で1年間という大河ドラマを持たせるとしたら、割と長生きした人――伊藤博文とか小田村伊之助とかを主人公に据えた方が、ドラマの脚本は書きやすかったんじゃないかと思うからだ。取り分け、小田村伊之助の最初の妻は松陰の妹・寿で、寿を亡くした後、松陰の母・滝の勧めもあって寿の妹である文と再婚している。「楫取素彦」に改名した小田村が、明治政府樹立後初代群馬県令になるまで結構な愛妻家だったらしいし、群馬県令を務めていた頃に寿を亡くし、喪が明けてすぐに文と再婚したのも、県令たる者が独り身でいるのも具合が悪かろうというぐらいの感じだったらしいから、楫取を中心に据える方が、多分人物としてもドラマとしても描きやすかったんじゃなかろうか。

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『絹の国拓く』 [シルク・コットン]

SilkCountry.jpg

絹の国拓く―世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 上毛新聞社
  • 発売日: 2014/07
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
世界遺産登録を目指した県民、国民の思いがついに実を結んだ。養蚕、製糸の技術開発に情熱を注いだ幕末から明治の先人たち。4半世紀に及ぶ登録に向けた水面下の努力と粘り強い活動…。登録への道のりは決して平坦ではなく、険しく、波乱に満ちていた。多くの困難を知恵と汗で克服し、偉業を成し遂げた記録は、小説よりドラマチックだ。上毛新聞が連載した登録に至る軌跡のすべて。

少し前に『絹の国を創った人々』を読んで、ちょっと読みづらいと書いたばかりだが、本日ご紹介する本の方は、実際に上毛新聞社の記者の方々が特集チームを組んで実際の執筆にあたられた記事をまとめたものなので、非常に読みやすい。ハードカバーで、しかも全頁カラー口絵付きなのに値段は1500円とお手頃で、僕は取りあえず市立図書館で借りて読んだけれど、よくまとまった1冊なので、お金を払って手元に置いておいてもいいかなと思っているくらいだ。

第1の良さは、「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産登録に至るまでの経緯、関係者の努力が、時系列でうまくまとめられていることだ。なぜこの4ヵ所に決まったのか、群馬県内にある他の蚕糸業関連の事物はなぜ対象にならなかったのか、いろいろ謎なことがあったのだが、本書を読んでかなりスッキリした。

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『絹の国を創った人々』 [シルク・コットン]

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絹の国を創った人々―日本近代化の原点・富岡製糸場

  • 作者: 志村 和次郎
  • 出版社/メーカー: 上毛新聞社
  • 発売日: 2014/07
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
明治期、国を挙げての養蚕、製糸、絹織物の振興策が取られる。富岡製糸場の器械製糸をキーワードに、生糸、蚕種の輸出や養蚕技術の向上策など、日本版産業革命の推進力になった「絹の道への先駆け」ロマンとは!

富岡製糸場等の世界遺産登録に合わせて上毛新聞が組んでいた様々な特集ものの1つ。 地元の歴史研究家兼ジャーナリストが、群馬県や埼玉県北部の深谷周辺を出身とする幕末から明治期に活躍した偉人を取り上げて、近代日本の建設にどう貢献したのかを紹介している本である。(1人はフランスから招聘されて富岡製糸場の設計から創業にかけて貢献したポール・ブリュナであるが。) ジャーナリストの方が書かれたという割にはあまり読みやすい文章でもなく、誤植も目立つが、地元の人は一度読んでおかれるとよいであろう。地元への愛着が湧きそうだ。

世界遺産に認定された「富岡製糸場と絹産業遺産群」であるが、富岡はともかく、あとの3カ所については、それぞれの歴史的意義は説明がされているものの、シルク産業の発展という1つの歴史の中で、それがどこでどのように位置づけられているのかが各々の個別の説明だけでは全く理解できず、困ったことがある。本書が扱っている登場人物は大きくは6人だが、その郷土の偉人の伝記を描く中で、これら産業遺産群がそもそもどうやって作られていったのかが書かれており、その点からも理解はしやすかった。富岡製糸場が蚕糸業人材育成の拠点となっていた期間は意外と短く、その後は採算維持のためにいろいろ取組みが進められたが、それにコンパクトに触れている本として有用でもある。また、生糸の主要輸出先が欧州から米国に変化していった経緯が、本書を読んで初めてわかった気がする。

フィーチャーされている偉人の冒頭は渋沢栄一であるが、彼についての説明は多言を要しないだろう。明治政府の産業振興・工業化政策の一環として、器械製糸の導入を図るため、富岡製糸場の開設に踏み切った仕掛け人である。

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『富岡製糸場と絹産業遺産群』 [シルク・コットン]


遅ればせながら、1週間前の21日(土)、「富岡製糸場と絹産業遺産群」がユネスコ世界文化遺産に正式に決まった。関係者の皆さんの長年の努力がようやく実を結んだ格好で、本当におめでたいことです。関係者の皆さまのお喜びもひとしおでしょう。少し前に自分が本を書く際に富岡製糸場のこともかなり調べたことがあるので、こうして近代日本の発展を牽引した蚕糸業に再び注目が集まるのは嬉しいことである。

世界遺産認定がほぼ確実になっていた中、富岡製糸場にスポットを当てた本がチラホラ出始めている。僕も1冊ぐらいはと思い、富岡製糸場総合研究センターの所長さんの書かれた本を購入していた。しばらくは積読状態で放置しておいたが、今週海外出張した際にこの新書を携行し、現地でひと仕事終えた後で読み始め、一晩で読み終えた。

富岡製糸場と絹産業遺産群 (ベスト新書)

富岡製糸場と絹産業遺産群 (ベスト新書)

  • 作者: 今井 幹夫
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2014/03/08
  • メディア: 新書
内容紹介
富士山に続いて本年、ユネスコ世界遺産登録をめざす群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」。明治5年創業以来、日本の近代化を支えた伝説の模範工場の歴史と真価が写真や絵画、数々の史料でいま甦る。カラーグラビア64頁+本文160頁。奇跡の産業遺産がここにある!

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