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『あなたのゼイ肉、落とします』 [読書日記]

あなたのゼイ肉、落とします

あなたのゼイ肉、落とします

  • 作者: 垣谷 美雨
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
ダイエットは運動と食事制限だけではない。大庭小萬里はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、彼女の個別指導を受ければ、誰もが痩せられるという。どうやら、身体だけでなく「心のゼイ肉」を落とすことも大事なようだ……。身も心も軽くなる、読んで痩せるダイエット小説。

先週、『あなたの人生、片づけます』をご紹介した際、この作品には続編があることにもふれた。整理整頓アドバイザーの大庭十萬里には2歳年下の妹がおり、姉妹で協力して掃除請負業を始めて成功を納めたが、やがて独立して個人コンサルタントのような仕事を始め、姉は家の掃除、妹の小萬里はダイエットのアドバイザーとして、各々の著書はベストセラーとなり、引く手あまたの売れっ子アドバイザーとなる。

その基本姿勢は、家の中が片付けられない人、太ってしまう人は、本人も気付かない心の悩みを抱えており、その根本要因を解きほぐしていくことで、整理整頓やダイエットにつながっていくのだというものだ。

但し、姉妹の間で描き方が異なる部分が多少は存在する。著者が掃除編の単なるコピーにならないよう、多少のスパイスを効かせたふしがある。例えば、姉はテレビにも登場して顔が売れているが、妹の方は著書にも顔を出さず、マスコミへの露出もないため、そもそも素性が明らかでなく、それが利用客の想像と実際とのギャップを生むところが毎回面白い。ダイエットアドバイザーなのに痩せてない、せいぜい30代だろうと予想しているところに、どう見ても50代というおばさんが登場するのである。その辺は、道行く人に「あ、大庭十萬里だ」と言われてしまう姉とは好対照だ。

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『世界のエリートがやっている最高の休息報』 [読書日記]

世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる

世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる

  • 作者: 久賀谷 亮
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2016/07/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
★【TVで話題沸騰!】シリーズ20万部突破!! 売行きNo.1のマインドフルネス入門書!
★イェール大で学び、精神医療の最前線・米国で18年診療してきた医師が語る!
★「脳疲労」がすぐ消える「科学的に正しい」脳の休め方とは?

ようやくというか、先週末、本当に落ち着いて休息を取る1日を作ることができた。3月からずっと休みなしできていて、ひどい時は土日とも朝から夕方まで職場で過ごしたことがあった。ほぼ計画通りに作業は進められたので、適度な達成感は得られたのだが、毎日何らかの佐合の提出期限に追われていて、気持ちの休まる暇がなかった。1つの作業をやっていても、次の作業のことを常に心配していないといけない。二手三手ぐらい先のことを考えながら毎日を過ごしていたのである。

この前の記事でも書いた通り、そんな中で、2カ月後回しにしていた作業を再開しようとしたら、2月までいた学生インターンが、2月中にてっきり終わらせているだろうと思っていたことを実際未着手で実習を終えて大学に戻ってしまっていたことが発覚した。こんな手抜きをやられてはこちらもたまらないが、その確認作業を2ヵ月後回しにしたことは自分の落ち度であり、自分を責めるしかなかった。

こういう、結局は自分がやらねばという思いはある一方で、次から次へと押し寄せる相談事に、「それくらい自分で考えてやってくれよ」と言いたくなることが何度もあった。とはいえ、マネージャーの判断が必要となるような複雑な事案が多かったのも事実で、僕が判断を投げ出すわけにもいかない。一部はスタッフからマネージャーへの丸投げは認めず、職場内で短めのミーティングを開いて一気に方針を固めてしまうようなこともやったけど、多くはマネージャーの預かりとなる。でも、心を落ち着けてゆっくり考える時間もほしかったから、残業して考え事をしたりもしたし、週末に1人で職場に行って考え事をしたこともあった。

マネージャーたる者、休息に充てられる時間が少ないのは事実だ。僕の睡眠時間が6時間未満であることを言うと、職場のブータン人の同僚は一様に驚く。お前らが僕に仕事押し付けておいて、睡眠時間が少ないのは良くないなどとよくぞ言えたものだと感心する。さりとて自身の生産性を上げる努力を払ってくれるわけでもない。結局、休息に充てられる時間が限られる中で、如何に効率的に休息を取るかが鍵となりそうだ。

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『あなたの人生、片づけます』 [読書日記]

あなたの人生、片づけます (双葉文庫)

あなたの人生、片づけます (双葉文庫)

  • 作者: 垣谷 美雨
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2016/11/10
  • メディア: 文庫

内容紹介
社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら手助けをしていく。この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!

多分一種の現実逃避だろうと思うが、多忙の1週間に突入しているにも関わらず、新たな本に手を出した。こういう文庫本は、何かの気分転換にとでも思って軽い気持ちで日本で買って持って来ているが、ほぼ間違いなく二度とは読まない。ブータンに日本語の本のBook Offなんてないから(日本の御本家の方も業績よろしくないらしいが)、僕より長くこちらに住まわれるであろう日本人の方の間での回し読みに付してもらうのが唯一の延命策になるだろう。そういう運命の本が僕のアパートの自室には数冊あるが、気付くと多分この本が最後の1冊。読み切ったらすぐに手放せるかと思ったら、矢も楯もたまらず、読書開始とあいなった。

どこで思考が狂ったのかよくわからないが、購入からここまで半年以上引っ張ったのは、この本が終活の本だと僕が勝手に勘違いしたことが理由である。この手の文庫本は裏表紙に本のあらすじが書かれているが、明らかに断捨離の本だ。それなのにどこかで意識がすり替わってしまった。

それほど多作でもない垣谷作品は今回が3冊目で、しかも前2作と違って、今回は中編小説が4編収録されている。いずれにも登場するのは片づけ屋・大庭十萬里。30分程度の空いている時間では文庫本で1編80~90頁はある中編小説は読み切れない。自ずと読んでいて切りが悪いところでいったん中止となるのがつらい。あるいは、1編を読み切るために、その後予定していた行事をすっ飛ばすということも実はあった。(ご迷惑をおかけしました。)垣谷作品として過去読んだ2作はいずれも長編で、序盤のグズグズした展開と後半の急展開のコントラストが大きく、序盤の読み込みに忍耐が求められる作家なのだが、これが中編になると最初から展開が面白くて、読み切らないと気分が悪いと思えるほどページをめくる速度が速くなった。

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『いい空気を一瞬でつくる』 [読書日記]

いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則

いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則

  • 作者: 秀島史香
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2017/03/07
  • メディア: 単行本
内容紹介
J-WAVEやNHKなどで人気のラジオDJが明かす、あっという間に相手の心をつかむコミュニケーション法。大物アーティストや大御所芸人も思わずうなった機転の利いた切り返しや、話の引き出し方、ボケ力などを公開。 緊張を克服するための準備術や声を磨く習慣も。

2000年代に入って以降、日本に住んでいる時のラジオのお供はもっぱらTBSだったが、妻と付き合い始めてからの一時期、妻の影響でJ-WAVEを聴いていたことがあった。当時僕が住んでいたのは埼玉県で、埼玉のFM局といえばNACK5だった。当時ラジオを聴くといったら車の運転中しかなかったので、郊外にドライブに連れて行って都内の彼女を家まで送っていく時には、彼女のリクエストでJ-WAVEということが多かった。

その限られた時間の中で、名前だけ記憶に残っているDJが何人かいる。中にはその後僕自身が仕事でご一緒した方もいらっしゃる。世の中ホントに狭い。そうした中の1人が秀島さんであった。

その後も僕が能動的にJ-WAVEにチューンインすることはなかったが、逆に妻が車を運転する時はほとんどがJ-WAVEで、2000年代に入ってのある時、秀島さんがピストン西澤とのコンビでラジオの番組をやられているのを聴き、10年以上経過していてもまだDJをやられているのに驚きとともに懐かしさも覚えた。

長年ラジオでマイクを通して視聴者とコミュニケーションを取られてきた方のトークに関する本だということで、読んでみたくなって、電子書籍版をダウンロードして、連休の最終日に読み始めた。法則が42個もあるのでいちいち覚えるのは大変だが、非常に読みやすい文体で、あっという間に読み終えた。視聴者に対する話しかけだけではなく、サブタイトルが示唆する通り、ラジオやテレビで番組を制作していくスタッフの間でのチームビルティングとか、ゲストの出演者とのアイスブレーキングとかで、著者が長年の経験の中で培ってこられたノウハウがかなり盛り込まれており、「一瞬」で読了できるけれども、情報量としては相当なものが含まれている。

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タグ:秀島史香
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『上京物語』 [読書日記]

私事だが、うちの長男が7日に大学の入学式を迎えた。昨年全滅した大学受験。捲土重来を期して臨んだ今年は、1校を除いて全て合格し、第二志望だった大学に入学することになった。異国で単身赴任中の父親としては何も力になってやれなかったけれど、自分自身の力でここまでやってきたことは称賛に値する。失敗も良い経験として、これからの大学生活に臨んでくれるものと期待したい。

以前、喜多川泰著『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』をご紹介した際、この本、浪人生活確定で高校卒業を迎えた長男に、気分転換で読んでみたらと言って薦めたと書いた。結局読んでくれたのかどうかはいまだにわからない。それから1年経ち、大学生になった長男に、父親として贈ることができそうな気の利いたメッセージは僕自身の言葉としてはなかなか思いつかない。やっぱり喜多川泰の著書でも読んでみたらとは言いたい気持ちはある。押し付けがましさは多少あるけれど、今の長男の境遇からすればそれも許されるタイミングだろう。一浪の末に大学に合格し、親元を離れて東京に向かう「祐輔」が主人公となるこんな本がいいかなと思う。

上京物語 僕の人生を変えた、父の五つの教え

上京物語 僕の人生を変えた、父の五つの教え

  • 作者: 喜多川 泰
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2009/02/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
夢を夢で終わらせないために……。自分にしかできない生き方を見つけたいあなたに贈る、五つの新常識と三つの方法。魂を揺さぶるメッセージで読者の心を惹きつける喜多川泰氏の最新刊!
<こんなストーリー>
成功を夢見て上京した青年、祐介。いい暮らしがしたい。かっこいい車に乗りたい。自分の家が欲しい。誰もが思い描く「理想の人生」を追い求めていたはずだったのだが……。大きな希望に胸を膨らませながら人生のスタートラインに立ったのに、みんなが当たり前だと思っている常識に流されて生きていくうちに、いつのまにか夢を忘れ、「こんなはずじゃなかったのに……」と後悔する。そんな多くの人が陥りがちな生き方を打ち破るには、何をすべきなのか?本当の幸せをつかむための考え方、心の持ち方とは?父から息子へ贈る渾身の手紙によって、夢を実現する「成功者」の生き方が少しずつ解き明かされていく!

1つだけうちの長男と置かれた状況が違うのは、本書で出てくる「祐輔」というのは、地方出身者で親元を離れて一人暮らしを始めることになっていること。うちの長男は東京生まれで、大学も都内なので、取りあえずは自宅から通学するらしい。「祐輔」の父親が息子に贈った手紙の中で出てくる架空の人物「祐介」が羨んだ、自宅通学、自宅通勤でお金が貯まりやすいという状況にはうちの長男はあるわけだが、だからといって本書が読者に伝えたいメッセージが、うちの長男には当てはまらないというわけではない。

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タグ:喜多川泰
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『なぜデータ主義は失敗するのか?』 [読書日記]

なぜデータ主義は失敗するのか?:人文科学的思考のすすめ

なぜデータ主義は失敗するのか?:人文科学的思考のすすめ

  • 作者: クリスチャン・ マスビェア
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/07/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
ブレインストーミングからデザイン思考、ビッグデータまで、魔法のビジネスツールはどうして難局を乗り越えられないのか。人文科学的思考法をビジネスの場で用いるというのは、具体的にはどういうことなのか。データ分析だけでは激動の状況に対応できない。ならばどうすればいいか…多数の一流企業と協働するコンサルタントが明かす、難局を乗り越える思考法。

今週、春休み期間中の新中学二年生の次男からLINE電話で取材を受けた。お父さんの仕事について話を聞かせて欲しいとのこと。春休みの宿題というやつで、仕事について考えるという企画だったようで、いろいろ聞かれたが、その中の1つに、「お父さんのような仕事をするには、大学でどんなことを勉強したらいいのか」というのが含まれていた。

僕は、「(うちの三人兄弟の中で最も人たらしである)君に最も向いているのは文化人類学か社会学だろう。それに統計学をちゃんと勉強しておくとよい」というような回答をした。加えて歴史に関する深い造詣があるとお父さんの仕事にはかなり役に立つけど。

歴史の部分はともかくとして、ここで僕が愚息に対して言わんとしたことが、決して僕の今やっている仕事に直結してくるわけではない。僕は文化人類学も統計学も、系統立った勉強をしてきたわけではなく、必要に駆られて後から自分でかじったという程度のものでしかない。ただ、後者に関しては、今の世の中がこれだけ「ビッグデータ」「オープンデータ」と言われている中で、どの業界を目指すにしてももそれなりに必要とされる知識であろうというのは理解されやすいだろう。

では文化人類学はどうか。僕の今身を置く業界では大学時代に文化人類学を勉強したという人は結構多い。統計学的に有意に多いだろう。でも、「父親と同じような仕事を目指すなら」という仮定を取り除いても、文化人類学の適用可能範囲はもっと幅広いのではないかと思う。

本書はまさにそこの部分を主張している。タイトルが「データ主義=失敗」を想起させる点については納得いかないが、内容的には人の行動の背景を理解することも重要だということで、二者択一ではなくどちらも必要ということを言わんとしているのではないかと思える。

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『少しだけ、おともだち』 [読書日記]

少しだけ、おともだち

少しだけ、おともだち

  • 作者: 朝倉 かすみ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/10
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより) ほんとうに仲よし?ご近所さん、同級生、同僚―。物心ついたころから、「おともだち」はむずかしい。微妙な距離感を描いた8つの物語。

「忙しい」のを盛んに言い訳にするブータン人の前ではあまり言いたくはないが、僕もここ数週間、非常に忙しくかった、というのをゆっくり本を読んでいる時間もなかった言い訳にしたい衝動に駆られる。本読んでないのに新聞記事は盛んに読んで、ブログで紹介記事を挙げてるじゃないかというツッコミは飛んできそうだが。

ちょっとキザなセリフを吐かせてもらうと、こちらに来てから日本語を使う頻度よりも英語を使う頻度の方が高くなったせいか、それとも単に加齢のせいか、とにかく日本語の文章がスラスラ書けなくなった。昔はブログで1つ記事を書こうと思うと、4パラ構成でどうやって起承転結を描くか、楽に考えることができた。ところが今では1つの記事を書くための構成を考え、文章をひねり出すのにすごいエネルギーを消耗するようになった。考えがなかなかまとまらないのはきっと加齢のせいで、スラスラ文章が書けないのは普段の会話で日本語をあまり使わないからだろう。

さらに気になっているのは、日本語の文章が書けないどころか、日本語の文章が読めなくなってきていることだ。クソ長い日本語のメールに対する拒否反応は10年以上前から僕にはあり、当時のブログではこんな冗長なメールを上司に送信してきて報連相やったと言い張る部下に対する嫌悪感をあからさまに述べたこともある。そんなことで時間を費やすぐらいなら、サシで議論した方がよほど本人のためにも良いが、残念ながら報連相や意見交換をメールで行う人は今でも多い。それが行動様式化して染みついてしまっているのだろうから仕方がない。

あれ?また下手な駄文を書いてしまったかも。問題は、このクソ長いメールの文章に対する拒否反応は、単に書き手のためにならないということではなく、僕の頭の中にスラスラ入って来ないという読み手側の事情もある。メールを開けて、文章がクソ長かった時点で既に僕の心が閉ざされてしまうというのもあるが、辛抱して読もうとしても、集中力が続かない。きっと加齢(また)のせいもあるのだろう。

お待たせしました。そこでようやく本題である―――。

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タグ:朝倉かすみ
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『海外でデザインを仕事にする』 [読書日記]

海外でデザインを仕事にする

海外でデザインを仕事にする

  • 編者: 岡田 栄造
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2017/01/25
  • メディア: 単行本
内容紹介
自分なりのスケールで世界に確かな存在感を示す14人のデザイナーによるエッセイ。
IDEOの欧米オフィスを渡り歩いた職人的仕事術、Googleのアートディレクターに至る紆余曲折、テキスタイルの可能性を探る北欧のアトリエ風景、制約だらけの途上国のファブラボでの奮闘・・・
フィールドに飛び込み領域を切り拓く先駆者からのメッセージ。

1月に出たばかりの本だが、知り合いの方が2人、本書にエッセイを寄稿されているので、2月に日本に帰った時に1冊購入してブータンに持って来ることにした。大きくは欧米で働いておられた方と、中国、シンガポール、フィリピン、ガーナ等の国々に足を運んだ方々とに分けられる気がする。

僕ら中年世代は「デザイン」というと本当に狭い意味でのデザインしかイメージできないことが多いが、2年ほど前に大騒ぎになった新国立競技場の建設問題でもちょっとだけ垣間見れたように、1つの建物が出来上がるためには様々なステークホルダーとの調整も出てくる。単に建造物のデザインだけでなく、それに関わる人々全ての役割を定義して、全体を俯瞰できるデザインである必要がある。

本書で登場する多くの執筆協力者が、大学でデザインを勉強して、取りあえずメーカーに就職して働き始めてみたものの、全体の中の一部のみのデザインをやらされていて、そのうちに全体のデザインをやりたくなって会社を辞め、海外に飛び出していったという点では共通性がある。単に白い画用紙の上にスケッチを描くだけでなく、実際のステークホルダーとの調整も入ってくる。デザイナーというよりも、ひょっとしたら「トータルコーディネーター」と言った方がいいのかもしれない。

どこの国に行っても、何をやろうとしても、本当にそこに必要と思われる仕事は、複数のステークホルダー、省庁、企業、住民/市民等にまたがることが多い。それまでつながっていなかったもの、なかなかつながれなかったものをつなぎ合わせることで、今までとは違う何かが生まれてくる―――そう思えることは多いけれど、実際にそれを実現させるのは大変なことだと思う。当事者はわかっていてもできてこなかったケースも少なくない。そういうことはブータンに住んでいてもよく直面する。必要なのにできてないのがわかっているから、政府は「コーディネーション」や「コラボレーション」を強調するのだろう。

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『アメリカは食べる。』 [読書日記]

アメリカは食べる。――アメリカ食文化の謎をめぐる旅

アメリカは食べる。――アメリカ食文化の謎をめぐる旅

  • 作者: 東 理夫
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2015/08/29
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
アメリカじゅうのどこの食堂でも朝食のメニューの中身がほとんど同じなのはなぜか? アメリカ料理に季節感や地方色が希薄なのはなぜか? アメリカに醗酵食品が少ないのはなぜか?…移民国家として独自の文化を築き上げたアメリカ合衆国の食にまつわる数々の謎を、アメリカ文化に精通した著者が、みずからの旅を通じて一つひとつ紐解いていく。食の百科全書!

今回の一時帰国の往路、最初の本を読み終わり、次に手を付けたのが本書である。736ページと大部な1冊を、そもそもなんで米国と縁もゆかりもない、国交すらないブータンに持って行っていたかというと、昨年4月の赴任の直前、義理の父から「読んだら」と餞別代りに手渡されたからであった。

なんで義父がこの本を僕に渡されたかというと、学生時代の僕の留学先がルイジアナ州であり、本書の中でも度々取り上げられる、ガンボーやジャンバラヤ、ボー・ボーイ、グリッツといった南部ならではの料理を、半ば日常的に食べていたことを、義父はご存知であったからだろうと思われる。僕がこのブログを始めたのは今からちょうど12年前であるが、ブログが急速に普及する以前、僕は米国に3年間駐在した経験があり、その時にも義父は僕らを訪ねて米国に来られ、その際にニューオリンズからミシシッピー・リバーロードのプランテーションを旅した。そうしたご記憶もあっての、本書の推薦だったことだろう。

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タグ:米国 東理夫
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『本当の強さとは何か』 [読書日記]

本当の強さとは何か

本当の強さとは何か

  • 作者: 増田俊也X中井祐樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
格闘技界最大レジェンドの「真の強さ」に、大宅賞作家が肉薄する最強本! 柔道と柔術を極めた伝説の格闘家と、木村政彦の遺志を伝え続ける作家による最強対談。相手の反則により、24歳で片目失明により総合格闘家を引退するも、数年後には柔術家として復活。日本柔術界トップとして多くの弟子を育てている中井の「強さ」の神髄に増田が迫る。二人が共に汗を流した、七帝柔道(北大)の秘話も満載!

先日の『VTJ前夜の中井祐樹』ご紹介の際に書かなかったが、僕の友人で世代的には既に40代を間違いなく迎えているのに、今も総合格闘技の試合に出ている人がいる。なんで中高年になっても格闘技が続けられるのか、それが剣道や合気道だったらわかるのだが、総合となるとキックやパンチが飛んでくるんだろうから、相当な覚悟がいると思う。友人といっても今はお互い異国に住んでいるので接点は多くはないが、最近Facebookでシェアされた映像を見ていると、MMA(混合格闘技)用のマットで、時にパンチグローブやキック用のパッドを付けて練習していたり、かと思うと柔道に似た道着を着用して寝技の練習をしていたりする。「総合」というからにはどんな格闘技にも対応できる幅の広いテクニックが求められるのだろう。

さて、本日ご紹介の本は、先日の『VTJ前夜の中井祐樹』のバーリトゥード・ジャパン・オープン95の惨劇から後の中井祐樹の歩みを垣間見ることができる1冊である。また、ある意味では、『七帝柔道記』以降の増田俊也の歩みを知ることのできる1冊ともいうことができる。

本書の前書きで、増田は「対談しているときから感じてはいたが、こうして活字になると、中井の言葉の切れ味の凄みはあらゆる人生啓蒙書を圧倒している。(中略)私としてはそういった専門誌で語っている言葉を少しレベルを落として一般向けに語ってくれればと思っていたが、実際には中井は格闘技雑誌にさえ語っていない厳しい言葉を、核心をついて語っている」と書いている。上記の書籍紹介にも、「中井の「強さ」の神髄に増田が迫る」とある。

この言葉を鵜呑みにして読み始めると、冒頭から随分と戸惑いを感じる。対談となっているが、全体の7~8割は増田がしゃべっている。中井が寡黙だというのもあるのかもしれないが、増田の問いかけが「俺は~~だと思うんだけど違うか」ってな自分の持つ仮説を先ず述べて、それに対して中井の同意を求めるパターンがだいたい決まっている。中井が「そうですね」と短く答えるセリフが頻繁に出てくる。中井の生の言葉の切れ味がどうこうって、そもそも中井の言葉を引き出せていない。むしろ、増田が持つ「中井祐樹」観、あるいは格闘技観等を確認、実証している1冊となっている気がする。だからといって、本書が読む価値がないとは全く思わないが。

1995年のVTJで右目を失明してからの中井祐樹の歩みを知ることができたこと、それと、中高年になっても総合格闘技の試合に出場している僕の知人がなぜそれができるのか、その理由を垣間見ることができたことが本書の収穫だといえる。なお、増田はパラエストラをWindowsに例えているが、僕はむしろiPhoneのオープンソースに似てるかなという気がした。全国各地にパラエストラの道場ができ、各々がその技術を磨いて独自の発展を遂げ、それが短期間で普及してしまうというのも、ブラジリアン柔術のオープンソースの性格を如実に示しているようで面白かった。
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