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『VTJ前夜の中井祐樹』 [読書日記]

VTJ前夜の中井祐樹

VTJ前夜の中井祐樹

  • 作者: 増田俊也
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2014/12/24
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
格闘技史に残る伝説の大会を軸に、北大柔道部の濃密な人間関係を詩情豊かに謳いあげた『VTJ前夜の中井祐樹』。天才柔道家・古賀稔彦を8年かけて背負い投げで屠った堀越英範の生き様を描いた『超二流と呼ばれた柔道家』。さらに、ヒクソン・グレイシー、東孝、猪熊功、木村政彦ら、生者と死者が交錯する不思議な一夜の幻想譚『死者たちとの夜』。巻末に北大柔道部対談を併録。人間の生きる意味を問い続ける作家、増田俊也の原点となる傑作ノンフィクション集。

今から3年前、このブログで『七帝柔道記』をご紹介した時、「本書は著者の大学2年目の7月までしか描かれていないが、その後の著者がどうなっていったのか、登場した人々がその後どうなったのかについては全く言及がない」と僕は述べている。また、「寝技中心の柔道―――もし七帝柔道出身者がその後プロレスの門を叩いたら、「関節技の鬼」藤原喜明や、当時新日本プロレスが招聘していた旧ソ連のサンボ出身のレスラー達とも相当いい勝負をしていたに違いない。立ち技中心の格闘技と違い、絞め技や関節技は地味でわかりにくく、面白くないのかもしれないが、当時は既に関節技やガチンコ勝負に関心も集まり始めていたので、旧帝大出身のプロレスラーも注目を集めていたことだろう」とも書いていた。

僕の不明を恥じた。著者増田俊也の3期後の副主将に、その後総合格闘技に進んだ中井祐樹がいたことを、その時にはあまり知らなかった。しかも、著者はその後もこの「七帝柔道サーガ」とも呼べる人間模様を、様々な形で描き続けていた。著者の在学中、北大は念願だった七帝戦最下位脱出を著者4年目の代で果たし、それから3年後、久々の七帝戦優勝を勝ち取る。中井はその年の副主将で、七帝戦優勝を機に北大を中退し、佐山聡(初代タイガーマスク)が立ち上げた「シューティング」の門を叩いている。プロシューターとしては短命に終わってしまうが、日本の格闘界に与えたインパクトは非常に大きかったらしい。

僕は中井がジェラルド・ゴルドーと対戦してゴルドーのサミングによって右目を失明する事態に陥りながらも勝利し、決勝で当時最強と言われたヒクソン・グレイシーと対戦するに至った「バーリ・トゥード・ジャパン・オープン95」というのを、僕は覚えていない。結婚の準備に忙しかった頃だし、それ以前に当時それほど総合格闘技というものに興味もなかったので、注目して見ていなかったのだろう。僕が総合格闘技を見始めたのは、2003年末に須藤元気がバタービーンを下したK1-Dynamiteの1戦からなので、約10年くらいのブランクがある。その間にどのような出来事があったのかは、本書を読むまで知らなかった。

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『武曲』 [読書日記]

武曲 (文春文庫)

武曲 (文春文庫)

  • 作者: 藤沢 周
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
羽田融はヒップホップに夢中な北鎌倉学院高校二年生。矢田部研吾はアルコール依存症で失職、今は警備員をしながら同校剣道部のコーチを務める。友人に道場に引っ張られ、渋々竹刀を握った融の姿に、研吾は「殺人刀」の遣い手と懼れられた父・将造と同じ天性の剣士を見た。剣豪小説の新時代を切り拓いた傑作。

先週の今頃、雑誌Numberのウェブ版で本書が紹介されているのを見て、週末読書で読んじまおうと思って電子書籍版を早速購入、読み始めた。文庫版でも490頁もある大作であること、加えて作品に硬派感を出すためかやたらと画数の多い漢字を多用していて、読んでてゴツゴツ躓くことも多く、意外と読み進めるのに時間がかかってしまった。一気読みというわけにはいかなかった。

あらすじはNumberのウェブ版の書評をご覧いただければなんとなくイメージできるのではないかと思う。また、この作品は今年6月に綾野剛、村上虹郎主演で映画化されるらしいので、その作品紹介動画でもイメージしやすいのではないかと思う。
http://number.bunshun.jp/articles/-/827176



さて、肝心の中身であるが、難解な漢字表記、剣道で使われている四字熟語を多用していて、かなり硬派な内容になっている。また、編集者もおそらくそれが作品世界を表現する最適な道だと認めて、難しい漢字も敢えてそのまま載せているのだろう。これだけ硬派な仕上がりにしても、コアな読者は必ずついてくるだろうという強い確信があってのことだろう。

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タグ:剣道
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『マラソンマン』 [読書日記]

高木一馬は、負けず嫌いの小学3年生。その父・勝馬は、かつてはマラソンのトップ・ランナーだったが、今は酒とギャンブルの負け犬人生を送っている。そんな2人に、突然、離別の危機がおとずれた。父と子の絆と、過去の栄光をとりもどすため、勝馬は、ついに再起の道を歩みだす!幻のランナー、奇跡のカムバックなるか!?井上正治の情熱のマラソン・ストーリー、スタート!

10月末、第1巻を読んでから、ここまで約2カ月かけて全19巻を読み切った。この作品が週刊少年マガジン誌に連載されたのは1993年半ばで、僕は一念発起して出場した1992年12月の第20回ホノルルマラソンを走り終え、次の目標と定めていた、「30歳で伊良湖トライアスロン挑戦」という夢に向けて、準備を重ねていた頃のことだった。

当時は未だ独身だったし、残業が多い会社から転職して比較的時間の融通が利く会社に移った頃だったから、朝6時台で10kmを走ってから出勤するというのがいつものパターンで、月間走行距離は200kmを越え、しかも懸案だったオーシャンスイミングに向けて、プールでの練習も相当積んでいた。

当時の日本の陸上長距離界は、92年のバルセロナ五輪で男子は森下、女子は有森が銀メダルを獲得し、世界最強のマラソン王国と見られていた。東京マラソンが火をつけたランニングブームは今も健在だが、当時はこうした陸上長距離界の活況が市民のマラソン熱を引っ張っていたように思う。僕の場合は、26歳(1989年)の初秋、季節の変わり目で体調を崩して寝込んでいた時にテレビで見た伊良湖トライアスロンが自分のだらしなさを痛感させ、1991年の秋に始まった第1回東京シティマラソン(ハーフ)の募集が、具体的に大会出場を目標にして、走り込みを始めるきっかけだった。東京シティマラソンは申込みが間に合わなかったので、代わりに出た最初のマラソン大会が1992年1月のサンスポ千葉マリンマラソンだった。

当時はランニングの月刊誌は読み漁っていたし、そういった中で連載が始まった『ランニングマン』も、第1部の高木勝馬の復活劇から、第2部で大学生になっていた息子・一馬のライバルとしてY学院大学のロジェ・ミルバが登場するところまでは、少年マガジンで読んでいたように思う。僕がマガジンと縁を切るきっかけは1995年の結婚と海外赴任だったので、全19巻中、9巻から10巻あたりまでが、僕の記憶で辛うじて残っているギリギリのところだといえる。

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『みかづき』 [読書日記]

みかづき

みかづき

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/09/05
  • メディア: 単行本
内容紹介
「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」――昭和36年。人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。胸を打つ確かな感動。著者5年ぶり、渾身の大長編。
小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い――。
阿川佐和子氏「唸る。目を閉じる。そういえば、あの時代の日本人は、本当に一途だった」
北上次郎氏「圧倒された。この小説にはすべてがある」(「青春と読書」2016年9月号より)
中江有里氏「月の光に浮かび上がる理想と現実。真の教育を巡る人間模様に魅せられた」
驚嘆&絶賛の声、続々!昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編。

「驚嘆&絶賛の声」に参加させて下さい。本当は週末読書は前回ご紹介した『X'mas Stories』に限定するつもりだったのだが、久し振りにジムでトレッドミルに乗るにあたって、1時間ゆっくり走りながら読める本ということで、土曜日に『みかづき』のKindle版を購入して読み始めたところ、日曜午後に続きを読み始めてそのままハマってしまい、日曜午後の予定をすべてキャンセルして読み続け、夜20時前にようやく読了した次第。それほどにのめり込む作品。

お話はほとんどが千葉県内、八千代、習志野、船橋、津田沼あたりで完結しているが、話のスケールは壮大である。ストーリーの始まりは昭和36年(1961年)。そこから、55年にもわたる長いお話であるが、実際には赤坂家の千明と父親との戦前のやり取りの回想シーンなども出てくるので、さらに20年近く長い。当然、その間に政府がその政策遂行の柱として教育制度をどのように捉え、どのようにそれを操作していったのかも描かれている。途中何が何だかわからなくなったが、それは僕自身がこの国の教育政策の変遷と、それが社会からどのように見られていたのかをしっかり知らないで読んでいるからそういう事態に陥るのである。

特に千明さんが何故そこまで文部省を敵視するのか、なぜそれが千明さんだけだったのか、同じ世代で教員をやっているような人は、同じように感じたりはして来なかったのか。また、千明さん絡みで言えば、吾郎さんが千明さんや事務室長の策謀により塾長を追われて退場する前と後で、千明さんの描かれ方に大きな変化が見られて戸惑った。吾郎さん目線で見た千明さんて、目が鋭すぎて鋭利な刃物みたいだったとあるが、吾郎さん退場の後、話が千明さん目線に移った途端、鋭利な刃物というよりは、きついオバサンという感じで捉えられてしまうようになった。この目線の変更には正直戸惑った。

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タグ:千葉 森絵都
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『X'mas Stories』 [読書日記]

X’mas Stories: 一年でいちばん奇跡が起きる日 (新潮文庫)

X’mas Stories: 一年でいちばん奇跡が起きる日 (新潮文庫)

  • 作者: 朝井リョウ・あさのあつこ・伊坂幸太郎・恩田陸・白河三兎・三浦しをん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/11/14
  • メディア: 文庫
内容紹介
もう枕元にサンタは来ないけど、この物語がクリスマスをもっと特別な1日にしてくれる――。6人の人気作家が腕を競って描いた6つの奇跡。自分がこの世に誕生した日を意識し続けるOL、イブに何の期待も抱いていない司法浪人生、そして、華やいだ東京の街にタイムスリップしてしまった武士……! ささやかな贈り物に、自分へのご褒美に。冬の夜に煌めくクリスマス・アンソロジー。

クリスマスがどうのこうの言える年齢では既にないし、とりわけクリスマスとは縁のない仏教国で12月25日を迎えようとしているわけなので、今年は特にケーキとも縁遠い。単身赴任だとささやかながらの家族との団欒もない。ましてや一番下の子供も中学に上がってしまった今となっては、プレゼントをせがまれることもなくなった。(そういうのは爺ちゃん婆ちゃんからもらえるお年玉だけにしておけということになる。)

こんなクリスマスを題材にしたアンソロジーを買って、一時帰国から戻ってきた理由は、ひとえに朝井リョウ君の作品が収録されているからであった。中身を確認せずに書店で購入してしまったので、こちらに持ってきて目次を読んでビックリしてしまった。ここに収録されている「逆算」って、今年9月に出た『何様』に収録されていた作品である。

こう書いてしまうとネタばらしになってしまうが、そういう意図ではないのでお許し下さい。この3カ月の間に、「逆算」を二度読んだことになるが、実は印象としては今回の方が良かった。世代の違いなのかもしれないが、朝井君の作品は、セックスへの言及が当たり前のように出てくる。そこは彼独特の表現で描かれが、実際の行為の描写がそんなにあるわけではなくても、それを主人公がどう捉えているのかは朝井作品にはありがちな描写だ。(だから、「水曜日の南階段はきれい」がかえって新鮮に感じるのだろう。そういう描写がないから。)

『何様』のように、『何者』に登場する人物を随所に配置したスピンオフ作品を並べられた著書の中では、作品の中の登場人物のほとんどが僕らの次の世代の人たちばかり、ややもすると自分の子供たちの世代の人たちの、親としては見たくない世界の話がこれでもかこれでもかと繰り返される。そんな作品群の中にポンと置かれると、「逆算」に対する印象も決して良くはなかった。同じような理由で、「水曜日の南階段~」も、初めて読んだ時と比べると、良くはなかったのである。単発で読んだ時はとても新鮮だったけど。

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『真実の10メートル手前』 [読書日記]

真実の10メートル手前

真実の10メートル手前

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/12/21
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは「恋累心中」と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める…。太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執―己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、本書のために書き下ろされた「綱渡りの成功例」など。優れた技倆を示す粒揃いの六編。

この週末2冊目の読書。一時的にSo-netブログにログインできなくなり(後に妻がIDを変更していたことが判明)、余暇と言ってもSNS以外あまりやることもないブータンでの完全フリーの週末に、やれることといったら本を読むことだった。

米澤穂信作品は、7月に『王とサーカス』が最初。岐阜県出身の作家なのに、これまであまり読んでこなかった。『王とサーカス』は舞台がカトマンズだったから読んだわけだが、登場する主人公が東洋新聞で、大垣支局にもいたことがあるとなったら、そりゃ今後も太刀洗万智登場作品は読まねばならんだろう。多分、「東洋新聞」って、「東京新聞(=中日新聞)」がモデルでしょう?それに、実は僕の小中高の同級生にも同じ名前の女子がいた。米澤さんは年齢的には僕よりも10歳以上若いし、斐太高校ご出身だそうだから、単なる偶然だと思うが。

ただ、少なくともそうした経緯もあって、せめて太刀洗万智登場作品ぐらいはちゃんと読んでおこうと前々から思っていた。今回のこの短編集は、週刊誌でも紹介されていて、週刊文春ミステリー年間ベスト10で、『満願』、『王とサーカス』に続き、3年連続1位になるかという高い評価を受けていた。(残念ながら2票差で2位だったらしい。)その作品紹介の中で、大垣が登場しただけでなく、吉祥寺も登場するという。これは読まねばということになったわけである。

太刀洗万智は、『王とサーカス』では東洋新聞の記者を辞めてカトマンズに渡っているので、本書に収録されている「真実の10メートル手前」のエピソードの後に『王とサーカス』(時期は2001年6月)が来て、そしてそれ以降の短編につながっていく(多分、この短編は太刀洗万智の成長過程を時系列的に追った形にはなっていないように思うが)。「真実の10メートル手前」と次の「正義漢」の間での太刀洗万智の変化はあまり気にならないが、こういう順番で続けて読んでみたら、何か新しい発見があるかもしれない。

この歳になるとあまりミステリーは読まないので、久々のミステリーは新鮮だったことを最後に付しておく。

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『夜のピクニック』 [読書日記]

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
夜を徹して80キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。生徒たちは、親しい友人とよもやま話をしたり、想い人への気持ちを打ち明け合ったりして一夜を過ごす。そんななか、貴子は一つの賭けを胸に秘めていた。3年間わだかまった想いを清算するために―。今まで誰にも話したことのない、とある秘密。折しも、行事の直前にはアメリカへ転校したかつてのクラスメイトから、奇妙な葉書が舞い込んでいた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る―。

前回更新から中3日、体調がどん底でした。多分今月最も忙しかった1週間だったのですが、15日にハに行って以降、ティンプーの夜の気温が急激に下がりました。日中の最高気温との差が15度以上もあると、さすがに体がついていきません。今週は月曜日はまあまあ大したことはなかったのですが、喉の痛みが始まり、火曜日以降どんどん風邪がひどくなっていきました。夜の食事会もパスして、睡眠時間の確保に努めましたが、なかなか回復の兆しが見えません。そうこうするうちに、月に1回ぐらい訪れる、極端に血行が悪くなる時期がやってきて、下肢の冷え、首・肩の凝り、そして頭痛と、もうどうしょうもない症状です。首周りを温めるなど対策はいろいろ講じているところです。従って、週末とはいえ、なかなか外出もできず、もっぱら寝て過ごしている状況です。

さて、そんな寝ころんで何をやるかを考えて、それじゃ何か気の紛れる小説でも読もうかと思い、キンドルの人気小説のリストを物色していて、出会ったのが本日ご紹介の作品。恩田陸作品を読むのは初めてであり、作者で選んだというよりも、ストーリーで選んだ。体調が極めて悪い中で、せめて気持ちだけでも前向きになりたくて、外で長時間体を動かすような話を選んだ。

作品の舞台は高校。24時間で80kmを歩くという全校行事の話。昔ホノルルマラソンを9時間弱で「完走」したアイドルがいて、その後の市民マラソンではいかにも私も市民ランナーです然としていろんなところに出ていたが、全行程歩けば9時間弱でフルマラソンは歩ききれる。従って、80kmも18時間あれば歩けないことはない。そう理論上は考え得るが、こんなに歩き続ければ脱水になったりガス欠になったりもするし、足にマメができたり古傷の痛みが再発したりといろいろ起こり得る。それを集団で、それも高校生活をともに過ごした生徒同士で歩くという行事、僕は高校時代には経験していないけど、そんなのがあったら自分の高校生活もちょっと違ったものになっていただろうなと思う。

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『空海入門』 [読書日記]

空海入門―弘仁のモダニスト (ちくま新書)

空海入門―弘仁のモダニスト (ちくま新書)

  • 作者: 竹内 信夫
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1997/05
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
空海は生まれながらに真言宗祖だったのではなく、自身の自己探求の歩みの帰結としてそうなったにすぎない。人間空海を導き、つき動かすものは、純粋無垢な菩提心だった。山と都市、高野山と平安京、唐代中国と日本、重なり合う複合的な磁場のなかで自らを形づくり、日本文化の設計者となった天才的個性の生涯。

何なんだこのテーマは!?―――と思われる方もいらっしゃるかもしれない。最近このブログで取り上げている記事の傾向からいって、ここで「空海」が出てくるというのは意外だろう。でも実はそうではない。ブータンに来てチベット仏教について多少なりとも知っておきたいと思ったとき、最も手っ取り早い密教へのエントリーポイントは、日本語で空海関連の文献を読むことだと考えたからである。ただ、いきなり思想の方に入っていくのも大変なので、空海の生涯について描かれた伝記からスタートしようかということで、本書を手に取った。

僕の実家は浄土真宗大谷派なので、そもそも真言宗との接点はさほどない筈なのだが、実は僕は「空海」の名前も満濃池を作った人であることも、小学校で日本の歴史を学ぶ高学年になる以前に知っていた。どういう経緯なのかわからないが、実家には空海の生涯を漫画で描いた冊子があった。そんなに分厚い本でもなく、ページをめくったら漫画だったくらいのイメージだ。自分の勝手な想像だが、近所にあった真言宗のお寺とのお付き合いの中でいただいたものだったのではないかと思う。(これとの関連性もよくわからないが、僕はこの頃に「青の洞門」のことも何かの漫画で読んで知った。ほんと、自分の記憶力のいい加減さには情けなくなることが多い。)

今回の空海再訪はそれ以来のこと。僕の知識は平安時代初期の「最澄と空海」というセットでインプットされている程度のものに過ぎない。日本史のテスト問題用の暗記知識でしかないし、両者の違いとか訊かれても全然わからない。

そんな状態だから、先ずはその生涯を学ぶというのからのスタートになる。

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『聲の形』 [読書日記]

聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)

聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)

  • 作者: 大今良時
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/17
  • メディア: コミック

今年の夏は日本映画のヒット作が続いている。先日、小説版をご紹介した『君の名は』は、8月公開後、現在まで絶賛公開中だが、9月のシルバーウィークの頃になると、今度はさらに『聲の形』も公開され、話題になっている。水門小学校6年生の将也のクラスに転校してきた硝子は聴覚障害者。筆談で友達になりたいと訴える硝子をウザいと捉えた将也を筆頭にクラスのいじめが始まる。やがてそれがエスカレートし、校長先生からいじめの存在を疑われるようになると、担任を含めてクラスの皆が将也1人にその非を負わせるべく無視、嫌がらせの矛先が将也に向く。硝子は転校し、将也は小中学校生活を孤独で過ごし、高校生活も同じ状態で半ばを迎えた時、硝子への詫びと過去の償いに向けて将也は動き始める―――ざっとそんな話である。


この作品で要注目なのは、僕が高校卒業までを過ごした岐阜県大垣市の様々な場所の風景が作品の中で登場していることだ。既に「聖地巡礼」が始まっていて、中には作品と実際の場所とをセットで紹介してくれている動画サイトもあり、それを見るとすぐに「あ、あそこか!」と思わず手を叩きたくなるぐらいに身近な場所が多いことに気付かされる。『君の名は』は同じ岐阜県でも郡上市が舞台だったが、『聲の形』はもっと身近だ。原作の大今良時さんが大垣出身なので、さもありなんだ。

《映画のシーンとの比較》

《原作マンガのシーンとの比較》

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『何者』再読 [読書日記]

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

  • 作者: 朝井 リョウ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/06/26
  • メディア: 文庫
内容紹介
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。

今週1週間、当地は三連休もあったのに僕は論文と大格闘中だったので、ブログの更新が滞ってしまっている。久々に何を書こうかと考えたが、僕に残された週末の自由時間があと1時間しかない中で、パッと書けるものとして『何者』を取り上げる。

今日から映画『何者』が公開される。3年3カ月前に原作読んだ時は、正直あまり読後感のよろしい作品じゃなかったし、今回読み直してみても、この作品自体には少なからず恐ろしさも感じる。うちの子どもたちもあと何年かしたら就活時期を迎えることになるが、今の時代の就活ってこんな感じなのだというのを臨場感を持って知るには、こういう作品を映画で見るのは良いことなのではないかと思う。

SNSの恐ろしさについては、本書を最初に読んだ時に書いたブログでかなり語っているのでそちらもご覧下さい。

今回、なんで再読に踏み切ったかというと、少し前に『何様』を読んだのが発端だ。この日のブログで僕はこう書いている。「『何者』を読んでから3年半が経過し、ほとんど登場人物のことを、「光太郎」以外忘れてしまっていたことが、『何者』と『何様』をつなげてみる作業を困難にしている。登場人物が誰が誰なのか、「光太郎」以外全然思い出せず、こりゃ『何者』をもう一度読み直さないと朝井クンサポーターとしては納得がいかないところだ。」 これが動機ということになる。

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