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『ゲリラと森を行く』 [インド]

Touch the GOND 巡回展【東京・表参道】
 ゴンド画(GOND ART)は、インド中央部マディヤ・プラデーシュ州の先住民族によって描かれる伝統的な民族画です。元々は家の外壁に描かれていた絵ですが、ここ数十年の間に紙やキャンバスの上で表現されるようになりました。
 ゴンド画の特徴は民族に伝わる神話や寓話、森の動植物をかたどったユニークなモチーフと、その中に敷き詰められる繊細なパターン模様。
 伝統的な絵画でありながらモダンでポップなゴンド画は、昨今ヨーロッパを中心に現代アートとしても紹介されてきました。世界的に有名なシルクスクリーンの絵本「The night life of trees」(Tara Books/邦訳「夜の木」)など、ゴンド画を挿絵にした絵本も数多く出版されています。
 Touch the GOND3度目となる本個展では、東京・表参道、京都・祇園の2ヶ所で開催いたします。国内外で活躍する約20名のゴンド画家達による原画、絵本・グッズを展示販売する予定です。
tumblr_nwb5pwn8pQ1tdm7mso1_250.jpg この機会に、ぜひお立ち寄りください。
 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

【東京・表参道】
◆日時:2015年11月14日(土)~11月19日(木) 
   12:00-21:00(最終日は19:00まで)
◆ギャラリー:Haden Books
◆住所:東京都港区南青山4-25-10南青山グリーンランドビル
◆アクセス: 表参道駅A4出口より徒歩5分
Touch the GOND URL: http://www.gondart-india.com/

インド駐在時代の知人から紹介され、表参道で開催される絵画展に行ってみることにしている。マディア・プラデシュ州の東部山間地の先住民がこうした民族がを描いているというのは全然知らなかったので、実際に見るのが楽しみだ。こういう伝統的な文化は、他の社会との交流が始まると、なかなか継承されにくい。近代化の大波の中で駆逐され、文化の多様性も失われて行ってしまうのは残念なことだ。

さて、そのゴンド族をはじめとするインド先住民族であるが、インドの本がこれだけいろいろと出ているのに、先住民族について紹介されている本は日本では少ない。さらに、この先住民族が住むインド東部の山岳地帯を拠点にゲリラ活動を続けている反政府勢力について書かれた本も、実は日本では少ない。国土が広いだけに、邦人があまり住んでいないこの地域について触れた本が少ないのは致し方ないところかもしれないが、それも知らないでインド通とはなかなか認めにくい。

そんな中で、英ブッカー賞を受賞した小説家で市民活動家でもあるアルンダティ・ロイの著書で、最も最近日本語訳が出版されたのが、2013年5月の『ゲリラと森を行く』である。原作は2011年6月に出たエッセイ集『Broken Republic』だ。


ゲリラと森を行く

ゲリラと森を行く

  • 作者: アルンダティ・ロイ
  • 出版社/メーカー: 以文社
  • 発売日: 2013/05/23
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
グローバル資本の最大の犠牲者=抵抗者。経済発展を謳歌するインドで、掃討すべき「脅威」と名指させる「毛派」とはどんな人びとなのか。インドの世界的女性作家が、生きのびるために銃をとった子どもたち、女性たちと寝食、行軍をともにし、かれらが守り守られる森のなかに、グローバル資本から逃れ出る未来を構想する。

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『民主主義のあとに生き残るものは』 [インド]

民主主義のあとに生き残るものは

民主主義のあとに生き残るものは

  • 作者: アルンダティ・ロイ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/08/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
インドでは、市場主義とヒンドゥー至上主義が猛威をふるい、人びとの生を脅かしている。しかも民主主義がその暴力を正当化している。同様のことは、世界の至る所で見られるのではないか。そしてまた、各所で起きている小さな抵抗に、これからの希望を見出すことができるのではないか―。注目のインド人作家がしなやかな言葉でつづる政治エッセイ集。ウォール街占拠運動でのスピーチや、初来日時のインタヴューも収載。

先日、ふと『小さきものたちの神』に再挑戦してみようかと思い、図書館で借りてみたのだが、英国ブッカー賞をとって何か国語にも翻訳されたこの小説も、小説であるだけに読もうという気がどうしても起きず、1ヵ月手元に置いた末に結局返却してしまった。その間に、やっぱりアルンダティ・ロイといったら現代インドの政治社会に対する切れ味鋭い批判が売りだろうと思い直し、比較的最近出ている彼女のエッセイ集を代わりに読んでみることにした。

この本は、ロイのこれまでに出している書籍をそのまま翻訳したわけではなく、各所でこれまで発表してきたエッセイを集めてそれを翻訳して載せたような内容だ。彼女は、ちょうど2011年3月11日、日本での講演活動のために東京に滞在してて東日本大震災に遭った。都内で13日に予定されていた講演会は中止となった。このため、ロイ招聘に携わった本書の訳者を含めた関係者は、講演会でロイが述べたかった内容「民主主義のあとに生き残るものは」を文章化して本書に収録するとともに、3月12日にロイと訳者の本橋哲也氏が行った対談録を巻末に収録した。

さらに、これを書籍化するにあたり、ロイがウォール街占拠運動を支援する演説「帝国の心臓に新しい想像力を」をYouTubeからダウンロードして第1章に、ロイ本人から2012年になって提供されたエッセイ「資本主義―ある幽霊の話」を第3章に、ロイの2009年のエッセイ集『Listening to Grasshoppers(バッタの声を聴いて)』からカシミール問題を詳述した「自由(アザーディ)―カシミールの人びとが欲する唯一のもの」を第4章に付け加えた。これによって、グローバルな資本主義、帝国主義、インド国内でのヒンドゥー至上主義、インドが自画自賛する民主主義の実態等が草の根の脆弱な人々に及ぼす影響と人々がそれにどのように対抗できるのかを論じている。

いろいろな論点が登場する。ただ、ウォール街占拠運動は別としてその他の論点はいずれもそのフォーカスがインドにあるため、現代インド社会と政治経済を見るオルタナティブな見方として、極めて有用なエッセイが集められていると思う。

それらを全てここで紹介するわけにもいかないので、印象に残った記述を3つほど挙げてみたいと思う。

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『現代インド経済』 [インド]

現代インド経済―発展の淵源・軌跡・展望―

現代インド経済―発展の淵源・軌跡・展望―

  • 作者: 柳澤 悠
  • 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
  • 発売日: 2014/02/12
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
下からの経済発展の衝撃。インド経済の歴史的な成長を準備したものは、経済自由化でもIT産業でもない。植民地期の胎動から輸入代替工業化、「緑の革命」の再評価も視野に、今日の躍動の真の原動力を掴み出す。圧倒的な厚みをもつ下層・インフォーマル部門からの成長プロセスの全貌を捉え、インド経済の見方を一新する決定版。

最近、インドネタを取り上げることがめっきり少なくなった。最後に扱ったのはいつかと調べてみたら、なんと昨年10月だった。さらに振り返れば、インドの発展を扱った専門書・研究論文を紹介したのは2013年11月にまで遡らなければいけない。僕が人事異動で会社の中でも最も忙しいと言われる部署に異動になった直後のことだが、それ以降、インドとの関わりがほぼ完全に切れてしまった状態だ。その間に、インドでは政権交代も起こり、ここ2年ほどの間にインドをテーマにした書籍は相当出ているにも関わらず、この体たらくだ。

Facebookで友人になっているインド人からは、「次はいつ来るのだ」と事あるごとに訊かれる。ご丁寧に、「最近、こんなレポートを書いたよ」と向こうから情報提供してくれる友人もいる。でも、以前ネットワーク論の本の紹介の中でも述べた通り、この手のつながりは時間が経てば経つほど劣化するものである。Facebookで近況を相互に教え合える状況にあるならともかく、SNSをやっていない友人も多いので、どうやったらつながりを維持できるのか、本当に悩ましい。今の部署で仕事していて、インドに行く機会などほとんどあり得ない。だから、インドをテーマにした書籍は、読むのが空しくなる。そうして遠のくから、次に読もうと思った時にもなかなか頭に入って来ないという問題もある。

本書が出たのは2014年2月。僕が2013年11月に最後にインドをテーマにして読んだという学術論文は柳沢悠先生の著作群だったので、当然僕は柳沢先生の新著は早い段階から知っていて、いずれ読みたいと思っていた。しかも、この本は2014年度の国際開発研究大来賞を受賞している。いつか読まねばと思っていたけれど、近所の図書館にはなかなか入庫せず、なかなか読むチャンスが得られなかった。

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『南国港町おばちゃん信金』 [インド]

南国港町おばちゃん信金: 「支援」って何?“おまけ組”共生コミュニティの創り方

南国港町おばちゃん信金: 「支援」って何?“おまけ組”共生コミュニティの創り方

  • 作者: 原 康子
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2014/09/25
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
経済第一主義が作り出す、ほんの一握りの「勝ち組」と大多数の「負け組」―超格差社会。しかしここに、勝ち組でも、負け組でもない、“おまけ組”とも呼ぶべきもう一つの道を選んだおばちゃんたちがいる。南国のある港町。彼女らの小さな取り組みが私たちに教えてくれるものとは。国際協力NGOの一員として活動を共にした著者が、自らの「思い出すのも恥ずかしい」数々の失敗話を俎上にのせて、共生、支え合い、支援のありうべき姿を、ユーモア溢れる筆致で鋭く描き出す。

「南国港町」だけでは想像できないと思うが、この本はインドのスラムでそこに住むおばちゃんたちが信用金庫を設立し、自律的な経営を実現させていくまでを見守った1人の日本人女性の活動記録が、岐阜弁で書かれている。著者の所属するNGOの現場へのアプローチは他の日本のNGOと比べてもとてもユニークであり、国際協力に関心のある人には薦めたいと思う。

僕がインド駐在していた頃から親交のある原さんが書かれたこの本、本音を言うと僕の本を扱ってくれた出版社の地球選書シリーズから出したかった。実のところ僕の本が出された2012年2月当時、僕はこの協力についても本で取り上げられないかと出版社にかけあったことがあるのだが、僕の本に続いてインドものが続くのは営業上あり得ない、他の国の話を取り上げたいと却下された経緯がある。この間に原さんご自身が別の出版社に働きかけられ、こうして日の目を見たわけで、取りあえずは嬉しいが、ちょっと心境は複雑。

僕が自分の本を書く際、編集者から口を酸っぱく言われたことが2つある。1つは、事実を淡々と、かつ数字も絡めて具体的に述べよということ、もう1つは、現場の風景、そこに暮らす人々の日常が読んでいてイメージできる描写を加えよということだった。僕はその言葉を胸に、3週間南インドの農村で養蚕農家の聞き取りを行ったが、3週間程度の調査で描き切るのは結構大変だった。その点からすると、原さんのように現場のおばちゃんたちとの関わりが10年以上に及ぶ人の書いたものはそもそも違う。この本はとてもわかりやすい。4コマ漫画や写真だけではなく、ふだんのおばちゃんたちの会話がそのまま出てくる。なるほど岐阜弁に通訳した方が現場の風景に近いと思う。

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『珍夜特急1-インド・パキスタン-』 [インド]

珍夜特急1―インド・パキスタン―

珍夜特急1―インド・パキスタン―

  • 出版社/メーカー: クロサワ レタリング
  • 発売日: 2014/01/15
  • メディア: Kindle版
内容紹介
インドのカルカッタからポルトガルのロカ岬まで、ユーラシア大陸を単独バイクで横断する――。19歳の”私”は、大学の学費を費やして行ったタイ旅行でどこからともなくそんな啓示を受ける。
すぐに卒業を諦め、3年間に及ぶ準備期間を経ていよいよインドに入国した”私”は、いきなり送ったバイクを受け取れないというハプニングに見舞われる。
こんな調子で、それまで日本ですらまともなツーリングもしたことのなかった”私”が、ポルトガルまで無事に走り続けることができるのだろうか――。期間約1年、5万キロにわたるトラブルまみれの旅が、いま始まる!
個人出版の電子書籍なのか、シリーズの割には1冊当たりの単価がとても安く、冷やかし半分で第1巻を購入し、そのまま2ヶ月以上「積読」にしておいたもの。三連休でもあるし、せめてこの本ぐらいは読み切っておこうかと考えた。

明らかに沢木耕太郎の『深夜特急』をもじって付けられたタイトルだ。いいのかなぁと気になった。沢木は実際にインド・ユーラシア大陸の移動に深夜バスを多用していたので、『深夜特急』というタイトルもしっくりきたが、クロサワコウタロウの場合はバイク旅なので、少なくとも出発の地インド・カルカッタから最南端のカンニャクマリを経てゴア、アウランガバード、アグラ、デリー、アムリッツァルを経由してパキスタンに入国し、ラホールからクエッタを目指すという道のりは、夜間のバイク走行を避けている。街路灯がない中でのバイク走行が危ないからで、その判断は正しいと思うが、行く先々での「珍夜」はあっても、それが「特急」とは必ずしも結びつかない。

僕がこの本を読もうと思ったのは、インドに自分のバイクを持ち込んで旅しているからである。第2巻以降を読む気があまりない中、第1巻がインドを扱っていたから読んだというわけ。インド国内行く先々でどれだけインド人にダマされたか、興味津々で読んだ。また、誰もが知っている大都市ではなく、辛うじて名前ぐらいは聞いたことがあるという程度の中小の地方都市で、著者がどんな経験をするのかが楽しみだった。

その点ではカルカッタ(コルカタ)とブバネシュワルの対比は面白かったし、タミルナドゥ州のティルチラーパリーやマハラシュトラ州のアウランガバードでの滞在記はちょっと面白かった。でも、途中をかなり端折っている箇所も。例えば、アウランガバードからアグラまでの行程にはほとんど言及がなく、本書を読んでいると距離感がつかみにくいが、おそらく本書において最長の空白区間となっている。マディアプラデシュ州のインドールやグワリオールあたりを経由してアグラに至ったのだと予想されるが、途中ランドマークになりそうな都市がなかったからか、一気に走ってしまったという印象だ。そういう点での物足りなさは正直感じる。

さて、ポルトガルの最西端を目指した旅の始まりのインド・パキスタン編を読んで続けて第2巻以降を読む気になれたかというと、ちょっと今はその時期ではないような気がする。もう僕はこういう旅に憧れていてよいような年齢でもない。著者はゴールが迫ってくると寄り道を繰り返してゴール到達を先延ばしにしていたようだし、この旅を終えた後、今度は米州大陸を北から南に走るバイク旅を敢行している。羨ましさは感じつつも、それは彼が未だ20代と若く、自分探しを続けていてもいい年齢だったから許されたことだと思う。

その意味では、僕なんかは想定読者のターゲットゾーンから外れているように思う。僕はこれ以上は多分読まないだろうが、こういうバイク旅ご興味ある方は続けて読まれてもいいかもしれない。

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『いつまでも美しく』 [インド]

Behind the Beautiful Forevers: Life, death, and hope in a Mumbai undercity

Behind the Beautiful Forevers: Life, death, and hope in a Mumbai undercity

  • 作者: Katherine Boo
  • 出版社/メーカー: Random House
  • 発売日: 2012/02/07
  • メディア: ハードカバー

いつまでも美しく: インド・ムンバイの スラムに生きる人びと

いつまでも美しく: インド・ムンバイの スラムに生きる人びと

  • 作者: キャサリン ブー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/01/24
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
ピュリッツァー賞受賞ジャーナリストが描き出すムンバイのスラムに生きる人びとの素顔。全米図書賞に輝いた傑作ノンフィクション。インド人を夫にもつアメリカ人ジャーナリストが、3年余にわたる密着取材をもとに、21世紀の大都市における貧困と格差、そのただ中で懸命に生きる人びとの姿を描く。全米ベストセラーとなり、数多くの文学賞に輝いた真実の物語。
このブログでインドを取り上げることが最近めっきり減ってしまった。読書ブログに装いを変えたのでそれ自体は致し方ないが、仕事でもインドと直接関係することが少なくなったことがインドに向き合う自分のモチベーションにも微妙な影響を与えている。

原書をわざわざ購入しておきながら、読むのをズルズル先延ばししているうちに、なんと邦訳が出版されてしまったというのが今日ご紹介の1冊。2012年8月にインドに出張した際に、空港の書店などを探して購入した原書『Behind the Beautiful Forevers』(強いて言うなら、「『永遠に美しく』の看板の向こうで」といった意味だろう)が、今年に入って早川書店から『いつまでも美しく』というタイトルで出版されていたのだ。正直この訳本が発売になっているのを知り、「やられた!」と思った。

舞台はムンバイの国際空港にほど近いスラム「アンナワディ」のお話。急速な経済発展を遂げる大都会の片隅で、3000人がひしめき合って暮らしているスラムで、元々は1990年代前半の経済自由化政策の頃に、南部タミル・ナドゥ州から出稼ぎに来た人々が住み始めた集落である。

このスラムで暮らす人々のうち、著者は4人の人物に主にスポットを当てる。1人目はムスリムのフセイン家の長男アブドゥル。ゴミの売買で家計を支え、生活も少しずつ上向きはじめている。一家はウッタル・プラデシュ州出身のムスリムで、この本の舞台となる2007年から2010年頃にかけては、マハラシュトラ州を基盤とする地方政党シブ・セナやラージ・タックライ率いるMNSが他州からの出稼ぎ労働者の排斥運動を展開していたために、警察沙汰などにならないよう、ひっそりと淡々と暮らしていた。

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インド・ハンセン病セミナー(7月16日)のご案内 [インド]

人間の安全保障展関連セミナー
底辺から社会を動かす-インドのハンセン病回復者の挑戦から学ぶこと

 ◆日時: 2013年7月16日(火曜日)19時から20時30分
 ◆会場: JICA市ヶ谷ビル 6階 セミナールーム600
 ◆主催: JICA地球ひろば 協力:日本財団
 JICA地球ひろばは、市民の皆さまに幅広く国際協力の重要性を知っていただくため、開発途上国の実情や世界の諸問題を紹介する展示や、イベント・セミナーを多数開催しています。今回は人間の安全保障展関連セミナーとしてインドのハンセン病回復者を対象とした日本財団の活動をご紹介します。
 病気にかかると、生まれ育った村から追い出される。病気が治ったのに、仕事に就けず物乞いをせざるを得ない。親がかつてハンセン病を患ったというだけで、学校から入学を断られる。そのような厳しい差別に直面している人々が、世界には現在も多く存在します。
 病原菌によって皮膚や神経が侵される「ハンセン病」。外見に変形をもたらすことから、偏見と差別の対象になりやすい病気です。1980年代に有効な治療薬が開発され、早期診断・治療がされれば後遺症も残ることはありません。しかし、医学の進歩とは別に、社会には根強い差別が残っています。
 日本財団は、ハンセン病とそれにまつわる差別をなくすための活動に1970年代から取り組んでいます。中でも世界最多の約120万人のハンセン病回復者が暮らすインドにおいて、ハンセン病回復者の経済的自立と当事者のエンパワメントに力を入れて取り組んできました。
 社会の底辺で暮らすハンセン病回復者たちがどのように立ち上がり、社会的・経済的な立場を回復し、権利を得るための活動を広げてきたのでしょうか。2年間にわたり、インド18州をまわってハンセン病回復者たちと共に活動された財団職員の粟津 知佳子氏をお招きし、その経験から学んだことをお話しいただきます。
 ◆講師: 粟津 知佳子氏(日本財団 国際協力グループ)
 【略歴】2004年上智大学卒。2004年日本財団に入職。2008年より国際協力グループ所属。
  2010年11月から2013年4月までインド・ニューデリーのササカワ・インド・ハンセン病財団へ出向。
  ハンセン病回復者の社会的・経済的自立支援と差別をなくすための啓発事業に取り組んでいる。
 ◆対象: ご興味のある方ならどなたでも
 ◆定員: 90名(先着順)
 ◆参加費: 無料
7月16日(火)夜、東京・市ヶ谷でインドのハンセン病に関するセミナーが開催される。情報拡散に協力を求められたので、この場を借りてご紹介させていただきたい。

Leprosy.jpg
《セミナーチラシ(クリックすると拡大表示されます)》

事前申込みは、下記のJICA地球ひろばのURLからお願いします。
http://www.jica.go.jp/hiroba/event/201307.html#a01-0716-01
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『貧乏人の経済学』著者、インドを語る [インド]

インドの大衆週刊誌INDIA TODAYの2003年4月1日号に、マサチューセッツ工科大学のアビジット・バナジー教授のインタビューが掲載されていた。「貧困者はゾンビではない(The poor are not zombies)」と題したこのインタビューは特集記事の一環で、それほど長くないので、全文訳して紹介してみようと思う。

Q:インドは現世代のうちに貧困撲滅することができるでしょうか?どのようにしたら貧困撲滅できますか?

A:私たちが貧困撲滅できないという理由などありません。それはリソースの問題などではなく、実際に現場で機能する政策の設計の問題です。私達は何人かの専門家とともに政府のオフィスの中で座って政策設計を行いますが、それを実地で試してみるようなことを決してしません。そして、失敗を絶対認めません。全国農村雇用保証制度(NREGA)の基本に立ち返ってうまくいくことを取り上げ、うまくいかないことを廃止しようというようなことも決してしません。

Q:政府の補助金制度は機能しているのでしょうか?

A:もちろんです。私が思うに、貧困は削減途上にあり、NREGAは貧困削減過程で大きな役割を果たしています。NREGAは賃金を上昇させ、貧困層に福祉をもたらしました。Indira Awaas Yojana(貧困層向け住宅供給制度)やJanani Suraksha Yojana(母性保護制度)は、それが実施が容易な制度であったことからうまく機能しています。水や肥料価格への補助金を通じた農業補助政策は逆に廃止すべきです。それよりも農民に現金給付する方が効果が期待されます。農業補助金のような極端なものを農民に与えるよりずっとましです。CNGガスや軽油、肥料といったものの価格を補助金で引き下げたところで、その最大の受益者は貧困層ではありません。

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『転換期を迎えるインド』 [インド]

転換期を迎えるインド―変化をチャンスに変える日本企業の戦略

転換期を迎えるインド―変化をチャンスに変える日本企業の戦略

  • 編者: 中島久雄・岩垂好彦
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/08
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
日本企業は成長と革新の「新沃野」でいかに戦うべきか。なされるべき戦略転換の実相と近未来市場の展望を克明に解説。
1つの対象を見るには、2つの異なる見方がある。コップに水が半分入っているのを見て、「こんなに水が入っている」と考える人もいれば、「これだけしか水が入っていない」と考える人もいる。若い部下を見て、「長所」を伸ばそうと考える先輩もいれば、「短所」を直そうと考える先輩もいる。1つの対象をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかは、それを見る人の基本的な立場によって異なる。

インドを対象とした場合も同様である。潜在的な巨大市場というポジティブな捉え方と、汚職や女性への暴力、差別などのダークサイドに注目する捉え方と、2通りがあると思う。本書は明らかに前者で、ダークサイドには目をつむり、日本企業に「チャンスを逃すな」と問いかけるレポート内容になっている。そして、そういう考え方の読者のニーズには十分応えられる内容だと思う。

これからインド市場に参入し、先行している企業に追い付くには、先発企業と同程度の販路、製品・サービス、価格、プロモーションに追い付くために、思い切った投資で一気呵成に体制を整えるのが理想で、投資額を小出しにしてリスク分散を図るやり方は良くないという主張には頷けるものはある。(ただ、思い切った投資を上層部に説得できるだけのインド市場向け人材を長年にわたって育ててこなかったというウィークポイントが、日本企業にはあるような気がするけど。)

また、インドの富裕層が大都市だけでなく、それに次ぐ規模の都市や地方にも幅広く分散し、しかも大都市中心部の富裕層の市場は底が浅いという分析も、興味深い。そこからは、投資余力が限られているからはじめはデリー、ムンバイ、チェンナイ、バンガロールといった大都市から参入していこうという事業展開のあり方に対する批判にも繋がっていく。この辺の分析は、さすがは日本随一の民間シンクタンク・野村総研だ。

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インド女性の現実 [インド]

May You Be the Mother of a Hundred Sons

May You Be the Mother of a Hundred Sons

  • 作者: Elisabeth Bumiller
  • 出版社/メーカー: South Asia Books
  • 発売日: 1998/02/28
  • メディア: ペーパーバック

インド駐在員時代に購入したペーパーバックの中には、現在に至るまで積読状態のものが何冊かある。少しぐらい片付けないといけないと思い、2週間ほど前から読み始めた。読み始めて早々、訳本が出ているのを知った。近所の市立図書館で蔵書検索したら、入手できたので、手っ取り早く訳本から読み、必要に応じて原文を当たるという方法を取った。

本書は1998年発刊とあるが、初版刊行は1990年。実際には1980年代半ばから88年にかけて、夫のインド赴任に伴い3年間インドで生活した元ワシントンポストのレポーターが、滞在期間中に行なったインドの女性へのインタビューを再構成し、1冊の本にまとめたものである。それがいまだにペーパーバックとしてインドの書店で売られているというのだから、この本の賞味期限の長さは驚異的であり、今でもインドの女性が置かれた状況にさほど大きな変化がないということを示している。ここで書かれていることは、僕の限られたインド駐在員生活の中で知り得た女性のイメージともかなり近く、今でも説得的だと思う。インドについてジェンダー研究をやろうと思うなら、本書は必須アイテムだ。

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