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ところであれはどうなった? [ブータン]

爆破作業の巻き添えで犠牲者-タシヤンツェ
Blasting works claim life in Trashiyangtse
Kuensel、2018年3月3日、Younten Tshedup記者(タシヤンツェ)
http://www.kuenselonline.com/blasting-works-claim-life-in-trashiyangtse/

2018-3-3 Kuensel.jpg

【ポイント】
タシヤンツェで1日、チャザム~タシヤンツェ間の道路工事現場で行われた巨岩爆破作業で飛散した破片の直撃を受け、ラムジャル郡の33歳の男性が死亡した。事故が起きたのは午後2時30分。男性は他の男性3人とともにダンメチュ川対岸で釣りをしていた。4人のうち、立っていたのはその男性1人だけであり、対岸の発破の破片は男性の胸に当たった。

道路局によると、チャザムからドクスム方面に遡る7.5km地点で大きな岩が道路をふさぎ、これを除去するために発破が行われた。この地域は、昨年にも二度にわたって巨岩が道路をふさぐ出来事があった。今回の巨岩落下は、2月28日午後に起こり、多くの車両がその両側で立ち往生していた。多くは引き返して迂回路を利用したが、中にはその場に残って夜を明かした運転手もいた。

サムドゥップジョンカルから来た女性高齢者2人は、タシヤンツェ県チョルテンコラで開催されていたお祭りに参加するためにやって来て、この現場で立ち往生し、乗ってきたボレロのシートを倒して他の乗客とともに車内で夜を明かした。「

「道路局はこういう道路封鎖の情報は事前に流すべきだ。そうすれば旅行計画が立てやすくなる」――こう述べる運転手もいた。

道路局地域事務所によると、巨岩除去作業は1日朝から開始され、2日午後3時には通行再開したという。

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『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』 [仕事の小ネタ]

外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 (新潮新書)

外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 (新潮新書)

  • 作者: 山田 拓
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/01/16
  • メディア: 新書
内容紹介
岐阜県最北端の飛騨市に、世界80ヵ国から毎年数千人の外国人観光客を集める人気ツアーがある。その最大の売りは「なにげない里山の日常」だ。小学生のランドセル姿に、カエルの鳴き声の拡がる田んぼに、蕎麦畑の中に立つ古民家に、外国人観光客は感動する。なぜ、なにもない日本の田舎が「宝の山」になりうるのか。地域の課題にインバウンドツーリズムで解決を図った「逆張りの戦略ストーリー」を大公開。

今、日本では、「インバウンド」が大流行のようで、多くの本が出版されている。そのうちの1冊をキンドルでダウンロードして、Wifi接続がほとんど期待できないブータン東部の旅に携行し、滞在中に読んだ。岐阜県出身の僕には、「飛騨市」と言われても飛騨地方なんだという以外にピンとくる自治体名ではないが、神岡町や古川町、宮川村等が合併してできた市だと言われれば、「ああ、高山の北、富山との県境の自治体だな」と想像はできる。そして、飛騨古川といえば、2016年に大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』の舞台になった地でもある。

岐阜県飛騨地方といったら、高山や白川郷、郡上八幡等が有名すぎるぐらいに有名で、岐阜県の北の果ての飛騨市については、岐阜県出身の僕ですら実は訪れたことがない場所である。でも、本書を知ってから飛騨市の画像検索をかけてみると、そこに出てくる谷間の風景は、もう少し家屋の数が少なければ、何だかブータンと似ているなという雰囲気が感じられる。中でも神岡城から神岡の市街地を見下ろすポイントは結構多くの人が画像アップしていて、それを見ていると「ティンプーかよ」と思いたくもなる。

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『地球と一緒に頭も冷やせ!』 [持続可能な開発]

地球と一緒に頭も冷やせ!

地球と一緒に頭も冷やせ!

  • 作者: ビョルン・ロンボルグ
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2008/06/28
  • メディア: 単行本
内容紹介
温暖化問題を煽らず、冷静に考える!
ヒートアップするばかりの温暖化問題。だが、もっと冷静な議論が求められているのではないか? 『環境危機を煽ってはいけない』の著者であるビョルン・ロンボルグが、温暖化問題を徹底解説する。訳者・山形浩生の解説も付す。

山形浩生の著書を読んだ勢いで、彼の翻訳した積読書籍もついでに読んでしまうことにした。書体が似ていて読みやすかろうという期待もあったし、僕自身ビヨルン・ロンボルグに著書を過去に読んでいたこともある。それと、読了が間に合わなかったけど、先週は来られたお客さんと気候変動の話をしなければならなかった。そもそも地球温暖化や気候変動は僕の専門でもないので、お前が主となって応対しろと言われてすぐにパッとできるほどのアドリブ力も僕にはない。準備何もしないよりも少しぐらいはしておこうと考え、2年近く積読状態で放置していた本書を読み切ることにした。

ジェフリー・サックス教授とかいった世界の著名人が、温暖化を2℃以内に食い止めないと、その後の温暖化は制御不能なほどに加速し、それによって引き起こされる気候変動が我々の身に予想もつかないような災害を引き起こすと言われると、そうかなとは思うのだが、僕らの子どもの頃は、むしろ地球は氷河期に向かおうとしていると子ども雑誌には書かれていたのに、なんで今は逆になっちゃったのかは理解に苦しむ。

SDGsには17のゴール、その下に169ものターゲットがあるが、その策定に影響力のあったサックス教授のモチベーションの原点も地球温暖化と気候変動にあったような印象である。いわば低炭素化社会の実現はSDGsの目標の中でも中心に据えられるものの1つだといえるわけだが、なのに策定にあたっての最大の争点となったのもこの部分であったようだ。だから、とりあえずはSDGsやパリ協定としてまとまったとはいえ、どうやって目標達成に実効力を持たせるのかは今でも課題だと思う。

一方で、今や国際機関ならどこでも「気候変動スペシャリスト」という専門担当官を置いていて、気候変動対策と名が付けば予算も取りやすくなっている。そういう感じで出てきた援助案件や、それを売りにしている専門官とかを見ていると、ちょっとばかり得体のしれない胡散くささを感じる。(真剣に取り組んでいる人には申し訳ありません。)単に課題に対してド素人な人間の感覚的なことなんだが。

そんなわけで、こうしてロンボルグのような単純な論点には惹かれてしまう自分がいる。

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ウソ?マジでゾンカ語勉強せねば!! [ブータン]

政府、ゾンカ語使用促進への支援を約束
Govt. assures support to promote Dzongkha
Kuensel、2018年2月28日、Rinzin Wangchuk 記者
http://www.kuenselonline.com/govt-assures-support-to-promote-dzongkha/

【ポイント】
60人のゾンカ語専門家が集まり、公用語の使用に関する課題と方向性を話し合う、3日間のシンポジウムが27日から始まった。初日オープニングセッションに登壇したトブゲイ首相は、政府が今後、会議や公共集会の場では公用語の使用に努めることを約束した。また、首相は、外国からの会議参加者に便宜を図るため、通訳の傭上を間もなく開始すると発表した。

これは、2005年の下院決議で、たとえその場にブータン人以外の参加者がいても、会議や公衆を集めた集会はゾンカ語で行うことを決めたことを着実に履行しようとする動き。ゾンカ語開発コミッション(DDC)のツェワン・ノルブ長官は、地方政府のリーダーやステークホルダーからの主な苦情として、政府の首脳や職員がカンファレンスやミーティングを英語だけで行うことを挙げていると報告。また、国王勅許にも、カンファレンス、セミナー、ワークショップ、大衆を動員する集会等を公用語で行うだけでなく、政府の公文書、車両のナンバープレート、世帯番号や住所、看板等もゾンカ語で表記せねばならないと明記されているという。

しかし、実際のところこれらは実践されて来なかった。DDCが昨年行った調査では、対象となった43の政府事務所のうち、公文書をゾンカ語表記にしているのはわずか10%のみ、残りは英語であった。

また首相は、ゾンカ語普及促進のため、政府は生徒向けのゾンカ語授業を無償で提供することにしていると明らかにした。また、今回のシンポジウムに対しては、第12次五カ年計画におけるゾンカ語使用強化に向けた有効性の高い提言が出されるよう強い期待を表明した。

一方、シンポジウム参加者からは、各省や政府機関のシニアクラスがシンポジウムに出席していない点について懸念の声が上がり、こうしたリーダーの態度が公用語使用促進を妨げているとの批判も聞かれた。しかし、そうした参加者の多くも、ランチ終了後には会議場には戻って来なかった。

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タグ:ゾンカ語
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ブータン初の人工衛星(その後) [ブータン]

ブータン1号、打上げ準備完了
BHUTAN-1 ready to be delivered for launch
Kuensel、2018年2月27日、Tshering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-1-ready-to-be-delivered-for-launch/

2018-2-27 Kuensel01.jpg

【ポイント】
ブータン政府が若手エンジニア4名を日本の九州工業大学に派遣し、2016年11月から参加してきた超小型人工衛星開発プロジェクト「BIRDS-2」において、ブータン発のナノサテライト「ブータン1号」が完成。重さ1.5キロの衛星は、JAXAにより4月中に打ち上げられる予定。2月26日に報道陣に公開して行われたテレビ会議で明らかになったもの。

情報通信省のダショー・カルマ・W・ペンジョル事務次官によると、これは同国の宇宙科学技術プログラムの記念すべき第一歩であり、国王のビジョンを具体化したものだという。宇宙科学技術の振興により、経済社会開発の加速化が図られ、政府によるSDGs達成への取組みも促進されることが期待される。

これら4名のエンジニアの育成からナノサテライトの打上げ、国内の地上管制センターの整備までを含め、当初予想では28万ドルがかかる見込み。BIRDS-2は2016年11月からスタートし、ブータンの他に、マレーシア、フィリピンから若手エンジニアが参加。

ブータンでは、ブータン国営テレビ(BBS)の放送が全国カバーするためのINSATコミュニケーション施設の利用に年間950万ニュルタム、ブータンテレコムが通信網の全国カバーのために年間300万ニュルタム、水文気象サービス局は氷河湖決壊洪水早期警報システムの運用に年間120万ニュルタムを支出している。ブータン1号は、打上げ後、地上から500~1500kmの低い空間で飛行、ハイエンドカメラを2台搭載し、上空から氷河湖や森林被覆の状況を把握し、基礎通信サービスの提供が可能になる。

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『新教養主義宣言』 [読書日記]

新教養主義宣言 (河出文庫)

新教養主義宣言 (河出文庫)

  • 作者: 山形 浩生
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2007/04/01
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
「日本的四畳半ウサギ小屋的せまさ」に行き詰まっている現実も、ちょっと物の見方を変えれば可能性に満ちている。文化、経済、情報、社会、あらゆる分野をまたにかけて、でかい態度にリリシズムをひそませた明晰な日本語で、いま必要な新たなる“教養”を読者の脳裏にたたき込む。21世紀の日本人必読の書。

なんでこの本を購入することになったのか、2年以上前の話なので今となっては思い出せない。著者が翻訳で関わった途上国開発関係の専門書は何冊か読んでお世話になっていた。わかりやすい翻訳をされる方だと好感を持っていた。また、途上国開発に限らずで、道を歩けば「山形浩生」に当たるというぐらい、自分の行く先々でその名を見かけたりもした。僕は途上国開発の文脈から山形浩生という名を知ったので、その山形浩生が秋葉原に出入りしてメイカームーブメントにも関わっていると聞き、にわかに同一人物だとは信じられなかった。いったいどういう人物なのだろうかと知りたくて、文庫版を買ってみたというところだろう。

話は脱線するが、「教養」という言葉の意味について、僕が考えるようになってきたのはわりと最近のことだ。読書メーターの読了書籍が1,500冊以上積み上がってくると、僕も捨てたもんじゃないなと自己肯定感も多少芽生えてきたし、読んだ本の中から話のネタを繰り出し、あれとこれを組み合わせたら面白いかもと思えるようになってきた。哲学書や啓蒙書の類、アダム・スミスやマルクス、ケインズの類を読んできたわけじゃないから、その底の浅さは否定はしないけど、ジャンルのバラエティがその底の浅さを多少は補って自分の武器にはなってきているのかなと思い始めてはいる。著者から言わせると、そんなゴミのような本ばかり沢山読んだって真の教養は身に付かないよと馬鹿にされそうだが、僕は僕なりにやっているということで!それに、実際役に立った局面もあったわけだし。

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タグ:山形浩生
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『デジタル・アーカイブの最前線』 [読書日記]

デジタル・アーカイブの最前線 (ブルーバックス)

デジタル・アーカイブの最前線 (ブルーバックス)

  • 作者: 時実 象一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/02/20
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
災害の悲しい記憶も、映画の名場面が生む感動も、人類が未来に残すべき貴重な「知の遺産」である。だが、それらを守るしくみが崩れつつあるいま、出版物は孤児と化し、映像は再生不能となり、ウェブ世界でも膨大な情報がどんどん消えている。これらを電子的に保存すべく、世界の有志たちが立ち上がり、推進するデジタル・アーカイブ。その考え方、方法から乗り越えるべき問題まで。

2012年という特定の時期に、知の遺産のアーカイブ化について集中的に調べ物をしたことがあった。ある特定のプロジェクトと関連しているけど会社の内外に散らばっている様々な情報をまとめて、デジタルデータは閲覧できるようにして、アナログデータは図書室に補完するような作業をやったことがある。

皮肉なもので、雑食的にいろいろなジャンルの本を読んでいると、時々それらがつながっているように感じることがある。僕が歴史関係の本や宮本常一の民俗学の本を紹介するときによく感じるのが「古文書を有する国の良さ」である。劣化は進んでいても、歴史的建造物や宗教施設、果ては民家に至るまで、保管されているアナログ情報を辿っていくと、その頃何があったのか、誰がいたのか、人々は何を営んでいたのか、何を考えていたのかがわかったりする。歴史学や民俗学の面白さはそこにもある。平安時代の貴族の日記とかが今読めちゃったりするのは、考えてみればスゴイことだと思いませんか?

一方で、デジタル情報って、結構な頻度で更新されちゃったりする。個人レベルでHPやブログ、SNSをやってる分には、ただ単にある器に新しい情報を加えていくだけの話だし、器に手を加えるほどのスキルも時間的余裕もないから、少なくとも自分が生きてる間、プラットフォームが存続する間は情報はどんどん保存されていく。でも、例えば自分の会社のHPを考えた場合、ショボいながらも独自のHPを作った頃(1999年か2000年頃だろうか…)のTOPページってどんな感じだったのか、遡って調べてみることすらかなわない。そもそも容量の問題があって、新しい情報を加えたければ古い情報は削除して空き容量を作るしかない。

ついでに言えば、僕がもし急逝してしまい、家族もソネブロやFacebook、MixiのログインIDとパスワードを知らなかったりすると、僕はサイバー空間上でずっと生き続けることになる。一方、ことHPに関しては、サーバー維持管理手数料が僕のクレジットカードの口座から自動的に引き落とせなくなれば、サーバー維持管理業者は僕のHPを抹消するだろう。

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『トコトンやさしい電気自動車の本』 [仕事の小ネタ]

トコトンやさしい電気自動車の本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)

トコトンやさしい電気自動車の本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)

  • 作者: 廣田 幸嗣
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 2016/08/23
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
電気自動車は環境への負荷がより小さいだけでなく、エンジンや変速機がないシンプルでコンパクトな構成にできたり、自在な車両運動が可能なことから、自動車産業に大きなインパクトを与えます。そんな電気自動車の基礎知識を一冊に網羅しました。

電気自動車(EV)の原理を少し勉強したくて昨年9月に日本に帰った時に購入したのだけれど、読むまでには少し時間がかかった。すごく必要に駆られたわけでもないし、なにせ昨秋10月、11月の読書量が激減して、積読状態で放置しておいた本が相当あった。今回の読書は在庫処分の一環。

さらに、「トコトンやさしい」と書かれているほどにはやさしくはなかった。EVの話の筈なのに、水素電池車(FCV)の説明にも紙面が割かれているし、電池形式やモーター形式など、電気工学系の技術の話はものすごく詳しい。多分、そういう分野の読者にはやさしい内容なのだと思うが、僕のようなド素人には、この程度の本でも十分難しい。

一方で、これが近頃大流行のIOTとどう絡むのかについては、ほとんど言及がなかった。EVの可能性って単にCO2排出量抑制の効果だけに留まらず、もっと幅広いんじゃないかと思うんだけれど、著者の専門領域の問題なのか、スルーされたトピックが他にもありそうな気がする。この第二版が2016年に発刊されていることを考えると、さすがにIOTとか自動運転にもうちょっと紙面を割かないとまずいんじゃないでしょうか。

技術的なところは僕には難しすぎるし、僕がそこまでの知識を持って話をせねばならない局面も考えにくいので、取りあえず何が書かれているのかさらっと読んでつかんでおき、必要なら再度部分的に読み返すようにして使いたいと思っている。

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『フィールドワークからの国際協力』 [仕事の小ネタ]

フィールドワークからの国際協力

フィールドワークからの国際協力

  • 編著者:荒木徹也・井上真
  • 出版社/メーカー: 昭和堂
  • 発売日: 2009/06
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
フィールドワークに憧れて現場に飛び込んだものの、実体験と理論のギャップに立ちすくむ…。そんな状況を打ち破るために「国際協力」という可能性を提示する。より良い世界への架け橋をめざして。

6年ぐらい前だったか、一時期エスノグラフィ―を相当かじった時期があって、その時に本書の存在は知っていた。近所の市立図書館で見かけて、一度だけ閲覧したことがあるが、フィールドがインドネシア中心だったので、ちょっと心が躍らなくて本格読書には至らなかった。中古本が安く出回るようになってから、中古で購入した。そのままブータンに持ってくる結果になってしまったが、その後2年近く積読にしてあったので、もういい加減読もうと思い、先週から今週にかけて続いている当地の大型連休の時期に集中して読み込むことにした。

フィールドとしてインドネシアが多くなっているのは、編集責任者のお二人に、執筆協力者の多くが東京大学大学院農学生命科学研究科の研究者で、東大とインドネシアの大学との特別な関係があってのことらしい。要すれば若いうちにフィールドに出て農村で参与観察をやって、村落のリアリティを身をもってしっかり体に叩き込んでおくこと、そうした中から優れた研究成果を発信し、政策にも影響を与え、国際協力も良くしていくのだという論調で書かれている。

従って、前半で出てくる東大の研究者の執筆した各章は、「フィールドワーク→国際協力」というシークエンスで述べておられる。中にはそもそも国際協力にもつながらず、地域研究だけで終わっている人もいるが、ご自身のフィールドワークと同時並行的に行われていた国際協力に対し、批判を試みておられる記述も見られる。

下世話な話だが、こうしてフィールドワークを推奨されるのはいい、反対もするつもりはないが、どうせならフィールドワークに必要な現地への渡航と現地での生活に必要な経費をどう捻出したのかも、書いて欲しかった。旧帝大だから科研費も結構付いて、それで学生の面倒も多少は見られるような余力もあったのかもしれないが、僕が修士の学位を取った大学院はそういう、院生がフィールドワークに必要なお金を助成できるような仕組みはなかったし、外部の研究助成制度を紹介していただいたこともない。こんな話は執筆者の誰もが触れてないが、ある意味、東大だからできたんじゃないかと思われかねない。

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『海に生きる人々』 [宮本常一]

海に生きる人びと (河出文庫)

海に生きる人びと (河出文庫)

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/07/04
  • メディア: 文庫
内容紹介
宮本常一の傑作『山に生きる人びと』と対をなす、日本人の祖先・海人たちの移動と定着の歴史と民俗。海の民の漁撈、航海、村作り、信仰の記録。

小さな山岳国に住んでいると、海岸沿いに暮らしてきた人々の暮らしに惹かれることが時々ある。今年に入って宮本常一の著作を読むのはこれが2冊目だけど、いずれも海にまつわるお話だった。お目当ての島は登場しなかったけど、本書の記述からの類推で、その島も元々は漁業で食べていて海人の往来が相当頻繁に行われていたのだろうなと想像はできた。

宮本の著作を読むたびに、地名というものの重要性を痛感させられる。今回も「あま」と付く地名は、それがたとえ海から離れた内陸にあっても、元々は海で漁労や航海業を生業にしていた人々が、豊臣秀吉以降の定住促進策の影響もあって定着した地だった可能性があるらしい。そういう歴史の暗号のようなものを、平成の市町村合併がぶち壊してしまった側面もある。宮本は単に村々を歩いてそこに暮らす人々と語り合い、古文書を読み込み、その時まで連綿と続く地域の歴史を掘り起こし、記録にとどめて行った。それらを「山」や「海」といった括りで整理し、アカデミックな成果も発表してきている。

歴史の勉強にもなる。学校の授業で習った通り一遍の日本史に、民衆の視点が加わり、授業で習うことが民衆の生活にどのように影響を与えたか(あるいは受けたか)に思いを至らせることができる。松浦党がなぜ特定の氏ではなく党なのかとか、南北朝の頃によく見かけた少弐氏はどこに行ってしまったのかとか、本書を読まなければ気付かなかったことは多い。

こういう、全国津々浦々を歩き尽くした民俗学者がまだ昭和の時代にはいたというのが、日本人にとっては幸せだった。今の我が子たちが学校での正規の教科書を覚えるのに必死になり、地域の歴史や家族の歴史というものを自ら調べる機会すらないように感じる。学校教育で教えられる歴史や地理をちゃんと覚えているかで評価されはするけれど、地域や人、家族というものへ思いや深い洞察というものは評価されない。うちの子どもたちは親の親戚がどこで何をしているのかには殆ど関心がない。ややもすれば、親のやっていることにも関心がない。

僕自身もいろいろな出会いがあり、自分で関心を持って文献読んだり実際にその地を歩いたりしてきたから、歴史や地域に対する造詣を多少なりとも深めて来れたのだと思う。そんな自分にできることは何だろうか―――本書を読み終えた今、改めて自分自身に問いかけているところである。

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